ジャーナリストとのコミュニケーション
中川 浩孝
コミュニケーション力を究めるゴールデン・トライアングル。 仕事でコミュニケーションを扱う3人が、これまでの経験や最新の話題を語りながら、コミュニケーションとは何かを一緒に考えていくポッドキャストです。
田中 愼一
みなさんこんにちは。コミュニケーションを極めると自分が見えてくる。 そして世界も見えてくる。
コミュニケーションの世界に携わって40年以上。 コミュニケーション命。 シン・田中こと田中愼一です。よろしくお願いします。
高木 恵子
SEからPRコミュニケーション業界に転職して約30年。高木恵子です。
中川 浩孝
外資系企業でマーケティングを経験してきたアメリカ在住中川浩孝です。前回からの続きです。引き続きお楽しみください。
田中 愼一
実は僕が非常に、昔からご縁のあるウォールストリートジャーナルっていうありますね。 世界的な媒体ですけども、そこのジャーナリストということで、かなり上まで行って、
僕との付き合いも非常に始まったのは1980年、ちょうど4年か5年ぐらいで。
僕はホンダでアメリカにいて、アメリカの反日世論をどうやってホンダの味方にするかっていうんで、7年間走り回ってた時期なんですけども、
そのときに、最も僕が尊敬するジャーナリストとして出会ったのがこの人で。
この人とはその後、たまにコミュニケーションがあるんだな。
年に1回とか2回、たまにコミュニケーションとって意見交換してて。
そしたらLinkedInでコネクトしたらどうだっていうレコメンデーションをもらったんで、
アメリカへの依存と不確実性
田中 愼一
彼の顔がぼっと出てきて、ああ懐かしいなと思ってメモを入れたんですね。
元気かーって。俺まだFHフライシュマンヒラードなんだけどさーとか言いながら。
このついでが良かったか良くなかったかちょっとわかんないけど、ついでにトランプ現象どう思う?って。
日本のビジネスリーダーたちは今非常に心配してると。
一つの方向性として、アメリカ市場への依存率っていうか、
これを少しでも減らしていく方向で考えてるリーダーもいるみたいだと。
っていう一言を付け加えたのが、実は今回の話のトリガーになってるんですね。
そしたらそれを送った瞬間にですね、これをまだ読み砕けてないんですけど。
もう3日ぐらい読み込んでるんですけど、
今日中にはなんとか読み込んで、向こうに返信しなきゃいけないと思ってるんですが。
まあ、ぐわわわっと来たんですね。
かいつまんでですよ。これ全部話せるかどうかわかんないですけど、かいつまんでいうとですね、
確かにね、僕が言うように、今アメリカからの依存度を下げるという動きがあるってのは聞いているが、
しかし自分が、彼は非常に高名なジャーナリストなんで、
トップCEOの人たちとか、いわゆる政府関係の人間とかとは、かなり意見交換も求められてきてて、
そういう意味で彼らとは非常に話をしてるんですけど、
それは間違いなく、新たなステージに入ったアンサータンティー、つまり不確実性の新たな時代だっていう認識がやっぱりするべきなんだというのが一つあって。
僕が日本の企業のリーダーが、アメリカからの依存率を下げるために、
より他のマーケットに対して比重を動かすような流れが一つあるよって言ったことに対して、
ここは日本のリーダーたちは気をつけなきゃいけない。
これからますます確かに不確実性は高まるんだが、
アメリカに対する依存率を下げるっていうのは、それはおすすめしない。
基本的には逆に、英語でダブルダウンって言葉、
ヒロさん知ってます?ダブルダウンっていうね。
カジノとか賭けで負けたときに、
ダブルでまたさらに賭け金を倍にしちゃうと、逆に負けたときに元取るために。
これダブルダウンって言葉らしいんです。僕も今回初めて知ったんだけど。
そのダブルダウンをしなきゃいかんのだと。
だから今、日本の企業は、いわゆるアメリカへの依存率を下げるどころか、倍掛けしろと。
もっと賭け金を上げろと、アメリカに対する。
これがすごく重要なんだと。
それはなぜかというと、やっぱりアメリカの経済っていうのは、
トリリオン、だから30トリリオンUSドルって日本語では何円なのかちょっとわからないんですけど、
アメリカの一番でかい経済なんだけども、その経済の7割がコンシューマー向けがあると。
実際ホンダもやってたよねって話で、80年代ね。
逆にとにかくアメリカに入っていくと、この巨大なマーケットに対するアクセスができると。
だから例えば80年代のホンダがどんどんアメリカの中に、トヨタや日産以上に入り込んでいったってのはまさに正論で、
それによってその恩恵を最も把握したっていう。
そうすると同じように、今でもアメリカの経済っていうのは非常に重要で、倍に賭け金をしたとしてもいい。
だからトランプ現象で心配するんではなく、心配してそこから依存率を下げるんではなく、逆にもっと攻めろって。
こんな話ですね。
アメリカの経済っていうのは、いろいろあるけれども、トランプが一時的にコントロールを利かせるような雰囲気はあるにしても、
やはりこれだけのスケールを持ったマーケットで、しかも一応ビジネス活動は規制されてない。
はっきり言うと。アメリカが一番規制されてない。
しかも、いわゆるシングルラングージボーダーって呼んでるんですけども彼は。
全部が英語という一つの共通言語で、これだけの巨大な経済っていうのは動いてるっていう。
ここは世界にはこれに類するところはないから、当然依存率を下げるなんていう発想は間違いであるっていうのは、一つの彼の論拠なんですね。
ただ、じゃあトランプ現象から生じている不確実性っていうものは、どう考えればいいのか。
彼はですね、いわゆる実際に不合理な、筋の通らない、例えば今回のタリフ、いわゆるもうあっちこっちに、
彼はアンディシプリントタリフって書いてありますけど、筋の通っていないタリフを上げる、
関税を上げていくっていうような、とてつもない常識外れなアイディアっていうのは、今後出てくるであろうと。
ただ、間違いなくそこを調整するのが経済であると。
もうすでにいくつかの調整が始まってると。
すでに一番初めに起こったのが、いわゆるマーケットのほうからの調整が入ってきてる。
だから基本的には、いろいろ想定外の常識外の政策ポリシーが出てくるだろうけれども、
基本的にはそこに対する調整っていうのは、少なくとも今のトランプ政権では、
いわゆる一番初めに考えたものから徐々にモデレートなものにどんどん変わってきてるんで、
そこが一応今のところはトランプの政権は、マーケットの反応や経済の反応に敏感に応じて、
自分たちが言ってきたことを調整するっていうことを、多分余儀なくされるだろうと。
チャンスへの転換
田中 愼一
だからそこには調整機能が働くっていうのは、彼の接点なんですね。
じゃあトランプのままでいいかというと、いやそんなことは実はないと。
今のところは上手く、上手くとは言ってなかったけど、
今のところはなんとなくマーケットの動きや経済の動きにアジャストして、
自分たちが言ってきた、たとえば関税政策に関しても妥協し始めてきてるっていう。
これを、このジャーナリストは一つの調整機能という作用として見てるわけですね。
ただ、そこの機能が作用してるっていうのは、ある程度の前提条件が必要なんです。
それは今後とも、基本的にトランプ政権が、
そういうマーケットの動きとか経済の動きを見ながら、
しっかりと調整をできる、アジャストできるフレキシビリティっていうのを、
しっかりと持っているかどうかっていうのは鍵になると。
ところがそこに最大の実は欠点があって、
今のワシントンから出てくるいろいろなポリシーっていうのは、何から生まれてるかっていうと、
トランプ政権の、これ英語で僕も初めて知ったんですが、この言葉。
hubrisってわかります?Product of hubris at the top levelって言うんですけども。
hubris ってのは思い上がり。
つまりトップリーダー、トップだからこれトランプのことですね。
トランプの思い上がりっていうものが、
基本的に今のポリシー、いろいろなポリシーを出している原型である、起点であるって言ってて。
これはもう間違いなく起こりうるリスクで、
世界を震撼するほどのミステイクをしてしまうリスクは、かなり確度としては高い。
調整機能は今んとこ調整をしてるように機能はしてるんだけども、
でも根本的なところは、いろいろなポリシーが出てくるポリシーっていうのは、
トランプの思い上がりから出てきてる。
思い上がりっていう表現をうまく使ったなと思ってるんですけども、
これは我々もいろいろトランプ現象をやったときに彼らの単純な思い込みっていうのが、
いかに馬鹿げた非常識な政策を、ポリシーを出してるかっていう話でもしましたよね。
それがたぶん彼から言うと、hubris っていう思い上がりっていう表現を使ってて、
ここが基本的には非常に厳しくなっていくっていうか、逆に言うと楽観論はないっていう。
だからかなり一見悲観論的な話まで来てるんですが、
実は最終的な結果はですね、
だから今言った理由で、いわゆるすごいマーケットなんで、
ここを見逃す手はない。
ダブル、2倍掛けして何としてでも入り込め。
一方でリスクがあると。
そのリスクっていうのは、今んとこ調整機能を働かせてるけども、
基本的にはその調整機能が本当に働き続けるかどうかっていう大きなリスクがある。
ただもちろん2026年の中間選挙がありますよ。
そこにいわゆるリセッションを起こしちゃったら、
政権そのものが成り立たなくなるんで、
多分それを考えると、より多くの調整作用っていうのは働いてくるだろうが、
ただ彼は曰く、
基本的な今回のいろいろなポリシーが出てくる起点っていうのは、
トランプの思い上がりから来てるんで、
我々の言葉で言うと思い込みですね。
だから多分、大きなリスクを背負うことになる。
っていうところまで言って、そこまでなんとか読み上げたんだけど、
そのあと彼が結論で出したがってるのが、ちょっと結構面白いかなっていうか。
前に話したのは、実はこれから日本の企業だけじゃなくトップはね、
日本の企業のトップだけは、他の国も全部そうだと。
アメリカにいる企業もそうだけど、
まずはアメリカという大きなマーケットというものをしっかりとインテグレートしていく。
だからディペンデンシー、つまり依存率を下げるってことは考えるなと。
まずダブルダウンで、とにかくもっと投資しろ、インテグレートしろっていう一方で、
その大きなマーケットからのメリットを享受しろと。
ただ一方、リスクは間違いなく高まってきてると。トランプ政権によって。
これからとてつもない、基本的にはアンサータンティっていうピリオドに入ってくると。
今まで言っていた不確実性の時代なんてもう規模じゃないよと。
とてつもないクライシスになるよと。
ただ、クライシスって実はオポチュニティなんだって言い始めてるんですよ。
つまり、ピンチはチャンスっていう話。我々の言葉で言うとピンチはチャンスっていうことで、
とにかくとてつもないクライシスが起こるから、それは言い換えるととてつもないチャンスなんだっていう。
だからこれからある意味、ビジネスリーダーの受難の時代にもなるんだけども、
ただ受難っていうのはチャンスでもあるっていう話で。
だから受難のアンサータンティ、不確実性っていうものをどれだけチャンスに結びつけられるのかどうかっていうのが、
これから重要ですよ。
彼の起点は、今のところ彼の論文を読み上げるには、
まずアメリカっていうマーケットはすごいからもっとインテグレートしろって話。
二つ目は、でもリスクがある。
で、調整機能は効いてるようだけども、
調整機能が効かなくなる唯一の原因はトランプの思い込みにある。
そこから出てくるポリシーっていうのは、基本的には調整機能を逆に効かせなくなる可能性があるから、
より大きな不確実性が増える。
でも結果論からすると、その不確実性から出てくるいろんなリスクっていうのを、
逆にチャンスに変えていかないと、これからはもうダメだ。
だからアメリカにもっとインテグレートしろ。
さらにはピンチをチャンスにする発想を持てっていうか、覚悟を持てっていう、こんな感じですかね。
次にこっちは、何か質問ありますか、彼に。
そういう発想に対してどうですか。
中川 浩孝
もちろんマーケットとして見たときに、アメリカは巨大なマーケットであってっていうのは理解しているので、
そこは別に無視する必要はないと思うし、むしろもちろんこれまでと同じように今後もやるべきだと思うんですが、
そこに投資するっていう話はまたちょっと違うかなとは思うんですよね。
国際分業とサプライチェーンの影響
中川 浩孝
マーケットにフォーカスするっていうのは必ずしも、そのマーケットで作るっていうことだけを意味しているわけではないと思うんですけど、
それって国際分業とは何ぞやっていうのを一回話さないといけなくなっちゃうんですけど。
田中 愼一
ただ基本的には国際分業っていうのを許さないでしょ、今の政権は。
中川 浩孝
そう、そういうことですよね。
田中 愼一
だからサプライチェーンがダメなんですよ。
サプライチェーンが今逆に傾向としてグローバルにどんどん広がっている中で逆行してるわけですよ。
中川 浩孝
その通りですよね。
いや別に私それ自体は全然いい考え、むしろ私もある程度自給率というか、
何でもかんでもやっぱり輸出輸入に頼るのは良くないと私も思っているので、
それを調整すること自体は大変正しいと思うんですけど、
じゃあアメリカの今の状態で、
全部今外に出している生産とかっていうものをアメリカに戻した時に、
本当にそれがちゃんと全部埋まるほどの労働力があるのかっていうのも、
私はハテナがつくわけなんですよ、やっぱり。
それってやっぱり10年とか20年とかかかってフルフィルできるものだと思うので、
いきなり工場戻ってきて労働者がそこに戻れるのかっていうのは、
工場だって作るのは1年でできるわけじゃないので、何年もかかる可能性もあるわけですから。
田中 愼一
あるけど技術的に不可能ですよ。
中川 浩孝
技術的にも不可能ですね。
田中 愼一
例えば自動車にとっては、自動車の部品っていうのは完成車を作る以上に難しいところがあって、
だからいわゆるそういう部品のサプライチェーンって作るのにすごい時間かかるんですよね。
中川 浩孝
そうですよね。
田中 愼一
しかも今までずっと北米で一体化っていう感じになってたから、
ホンダもトヨタも、あとGMとかビッグスリーもそうですけど、
カナダで作って、次にアメリカに持ち込んで、さらに今度またカナダに戻して、
最終的にメキシコに持っていくっていう。
中川 浩孝
そうなんですよね。
田中 愼一
そういうのが基本だから、まさにヒロさん言うように、
10年かかり、5年10年かけて作り上げていくもんだから、
それが今、関税かけられちゃうと、
中川 浩孝
自分たちのサプライチェーンが全部首絞めることになっちゃうんですよね。
田中 愼一
だからインテグレーションという定義、
インテグレーションイコール国内で全部やれって話じゃなくて、
どういうふうにインテグレートしていったほうがいいのかっていうところは、いろんな考え方があるんだと思う。
中川 浩孝
そうなんですよね。
田中 愼一
いずれにしてもそこに対して、トランプが選挙を意識しながら柔軟に対応してね、
関税っていうのは言ってもいいけど、ポリシー。
ただその実際の実践のときにある程度、期間を置くとかね、それから何々を外すとか、
あるいはそういうアジャスト効果っていうんですか、
利かせられるんだったら、それはそれなりに機能するかもしれないですけど、
でもまあ、やっぱり前もここで話してるけど、
トランプの現象のリスクって危険ってのは、彼の思い込みがあまりにもシンプルすぎちゃって。
今MBAでいろいろ教えてるんだけども、
そのときにNBAの35人か、僕の受講生ってだいたい1回ね、
彼らと議論させるのは、トランプの中にある思い込みってどう分析するって話で。
結構いくつかのポイントで出てて、
まず第一は時代認識っていうのは何かというと、
基本的に多様性がアメリカを弱くしてる。
それからもう一つは、アメリカは世界の食いもんにされている。
この二つ。
これ、たとえばオバマはその、いわゆる逆なんですね。
オバマの思い込みの基本原則っていうのは、
多様性こそアメリカを強くしてきた。
ところがその多様性が今対立とか、格差の対立になってきてる。
だから我々はもう一度、多様性をベースとした一つにならなきゃいけない。
オバマの思い込みとトランプの思い込みを比較してみると、
トランプの思い込みは結構被害者妄想が甚だしいんですよ。
被害者妄想が甚だしい人は、周りに対する発信を間違えやすい。
あと、周りに対する発信が変な効果を持つっていう。
何しろ被害者意識を持ってる人って結構多いですからね。
人口の半分は被害者意識を持ってると思ったほうがいいでしょうね。
その半分が動き出しちゃうんですよね。
だからそういう意味で言うと、トランプの思い込みっていうものがやっぱり基本原因にあるとすると、
なかなか彼のそれを変えることはできないですね。
多分変えること、案外彼が邪魔するでしょうね。アジャストしようとしても、トランプ政権がね。
中川 浩孝
実際にどれだけの結果が現れるかなんですよね。
私すごく面白いなと思っているのは、
トランプの支持者って、トランプの政策を支持している部分もあるんですが、
トランプを支持してるんですよね。
なのでトランプが言ってることは正しいって風になっているので、
トランプ政権の認識の違い
中川 浩孝
今までどう考えてもトランプのやろうとしていることと、
この考え方はちょっと違うんじゃないかなっていうことが、
もし出てきたとしても、トランプが言ってるんだから正しいんだろうっていう風になってしまう人が多いのかなっていう感じは、
今のところではしてるんですか。
田中 愼一
多分そうでしょうね。
多分そういう人たちは、今言った被害者意識を持ってて、
それは別に外国に対しての被害者意識だけじゃなくて、
国内でもエリート層からの被害者意識とか。
でも金持ちなんだけどね。
中川 浩孝
そこが一番の問題で、見てみたら、結局お金持ちの白人ばっかりじゃんってなっちゃうと思うんですよ。
そこが、自分はお金がない白人だっていうところが、
どうして理解できないのかなーって私も思うんですけど、
そこはやっぱりね、ちょっと。
田中 愼一
いやそこはだから、まさに今ヒロさん言った通りでさ、
やっぱりトランプが好きなんですよ。
中川 浩孝
そうなんですよね。
田中 愼一
で、トランプが好きだってことは、トランプと同じ被害者妄想を持ってるんだよね。
中川 浩孝
そうなんですよね。
田中 愼一
トランプの思い込みはもう妄想に近くなってきてるから。
中川 浩孝
いやでもトランプはだって金持ちじゃんって思っちゃうんですよ。
だからそこが本当謎っていうか、なんであんなに。
でも前にもちょっとこれ言ったような気がするんですけど、
アメリカ人はお金持ちを若干ヒーロー視するところはあるんですよね。
やっぱりお金持ちになったってことは何かすごい人なんだっていうふうに思うところがあるので、
その人が貧乏人の私たちの味方になってくれているっていう、
なんかそういうヒーロー的な扱いというかっていうのは感じますけれどもね、
確かにね、トランプに関して言えば。
田中 愼一
まあ確かにね、
やっぱりITタイクーンとか大物に対するリスペクトはありますよね。
あれは確かにあるな。
中川 浩孝
そうだけど、きっと今まではああいう人たちに対しては、
なんか金の亡者的なお金を儲けている側の人なんだけれど、
トランプに政権がなったときにやっぱりその下についたっていう感じで、
トランプに対して、やっぱりトランプすげえんだなっていう感じのイメージに持たせているっていう意味では、
やっぱりうまく使っているなっていう感じはしますね、すごく。
田中 愼一
確かにですね。
中川 浩孝
それで、今はいいんですけれども、
ほんとこれで生活が全く良くならないっていう現実が、
変わるのか変わらないのか、実際に良くなってくればいいと思うんですけど。
田中 愼一
まあね、たぶんね、でも少なくともそうですね、
自動車に関しての現実っていうのを全然わかってないっていうところでベースになって、
もちろん大統領は全部分かれって話じゃないんだけども、
少なくとも、政権の中に現実を知ってる人っているのかよって思うくらいの政策ですよ。
そんな、だって部品は5月からやるんでしょ。
はじめ部品を外すのかと思ったら、
外すんじゃなくて、いや延ばしたって、どれくらい延ばしたって1ヶ月?バカ言うなって話で。
10年延ばすなら話わかるけど、現実と向き合ってない気がするんですよ、この政権。
中川 浩孝
その辺はだからアメリカの自動車業界からどういうフィードバックがあったのかなってすごい気になりますよね。
だって自分たちのほんと首絞めてると思うんですよね、メキシコとかからすごい輸入してるんで。
田中 愼一
これはもう日米関係なく間違いなく反対しますよ、関税問題は。
中川 浩孝
そうですよね。
田中 愼一
現実じゃないもん、そんな。
中川 浩孝
すごい謎。
田中 愼一
だからね、いわゆる被害者妄想が甚だしいもんだから、関税上げちゃうわけでしょ。
お前ら安い関税でアメリカの消費者を食いもんにして。
冗談じゃね。しかも一方、アメリカに産業育成ができないじゃないか。
だから本当に食いもんにされてるっていう被害者意識で動いてるとしか思えないですよね。
中川 浩孝
そのストーリーは非常にでも強いストーリーというか、非常に心動かされるストーリーなので、
それを利用したいのはもちろんわかるんですけど、
アメリカの自動車会社だってたくさん輸入してますよ、海外からっていうのは、
たぶんみなさんわかってないのかなっていう気はしちゃいますよね。
田中 愼一
たぶん、でもそれはいくらなんでもアメリカの経済を支えてきたのは貿易ですからね、ある意味ね。
関税を下げる方向で自由主義貿易ですからね。
これから結果を見ていくしかないんだよね。
ただやっぱり重要なのはね、さっきジャーナリストも言ってたけど、
やっぱりこれからは想定外が起こるんでね。
そこをどういうふうに、逆にチャンスとして結びつけていくのかっていうのを、
より考えておかなきゃいけないっていう。
変化への対応
田中 愼一
だからそういうふうに言うと、日本の経営者ってみんな大変だ大変だって言ってるけど、
結構ずっと平時の中で生きてきてるから、想定外に慣れてないんですよね。
そんなの一番初めに出てきちゃうのが、クライシスに出会ったときの日本企業の対応とか。
まあ最悪ですよね。あれは完全に平和ボケって感じですよね。
そういう世界に晒されてないんだよね、日本って。
高木 恵子
なんかでも例えが悪いんですけど、このやっぱりコロナが世界的にもうみんなコロナになっちゃって、
いろんなことが止まったときって、すごいやっぱり変わったじゃないですか。
特に日本なんかは、こうやって絶対出社しなきゃいけない、
会社で仕事しなきゃいけないっていう、
ステレオタイプの働き方のモードが、すごいガラッと今変わってきた。
でも多分コロナがなかったら、日本の社会っていうか、この構造って、
ここまでこの短期間で変わらなかったような気がするんですよね。
そう、ってなると、ちょっと例えが悪いんだけど、このトランプ現象も一種のコロナ現象と同じで、
極端なアクションがない限り、世の中って変わらないじゃないですか。
変わりたいってみんなずっと何十年何百年言ってても、やっぱり時間がかかるけど、
このコロナみたいなものすごいインパクトがない限り、それでもこうやっぱり数年、
日本なんか数年かかってますよね。
コロナがやっと2、3年で、この何だろう、家でも仕事をする、ハイブリッドで仕事をする、
みたいなのがやっと定着してきたっていう。
だから変な話、トランプ現象でどうなるかですよね。
アメリカも世界も、っていうのはちょっと楽しみ、私は楽しみなんですけど。
田中 愼一
チャンスになる可能性あると思いますね。
日本そのものを変えるって意味ですか。
高木 恵子
そう、何かやっぱり変わるためのきっかけにはなると思うんだけど、
当然そこには痛み、そのコロナで私たちは変わったものもあったけど、
やっぱり不自由な生活があったっていう、それは痛みと感じるのであればあったわけじゃないですか。
だからそこの両方って絶対同時に体験するんだとは思うけれども、
そういう意味で言うと、私なんかはもうとにかくやってみてと思うんですよね。
それでアメリカも世界も、それをどうやっぱりアジャストしていくか、自分たちが。
あとは個人が、やっぱり個人がもう個人のことを考える生き方をしていかなきゃ、
その近藤さんのね、ドキュメンタリーしかりですけども、
これからは個人が個人の生き方をやっぱり考えてやらなきゃいけない世の中なんだろうなって思うんですけどね。
田中 愼一
それはいい指摘ですね、確かにね。
やっぱりね、所詮人間一人なんですよ。
高木 恵子
そうなんですよ。個なんですよ。
個なんですよ。
別に何人だろうが何だろうが、やっぱり個なんですよ。そうなんですよ。
田中 愼一
だからその個人っていう形で、やっぱりこれから考えていくっていうのは必要だと思いますね。
だからその時の個人っていうのがなかなか難しくて。
近藤正美と欲求の変化
高木 恵子
そう、そうだと思います。
田中 愼一
実際の自分って本当に知ってるわけじゃなくて、
それは結構、いろいろ経験する中で覚醒するっていうか、境地が出てきて、
そうすると新たな自分を知るって感じになって。
さっきの近藤正臣のドキュメンタリーも、ある意味で言うと彼自身が気が付かなかった自分に気が付いてるわけですよ。
だからそれがある意味、元気のもとになってきた。
食欲も湧いてきた。
僕はやっぱり、欲求というか本能というか煩悩というか、
欲っていうのは人間が生きていく上で絶対重要で、
本能を抑えるとかね、そういう発想もあるけれども、
基本的にはやはり最終的に生きるというものにすべてつながってるのが欲ですからね。
それをしっかりと保つっていうのは、ある意味単に健康とか言うだけじゃなくて、
心の動きに大きく左右するっていうのが、
近藤正臣さんのドラマを見てて、1年でこんなに変わるんだなって。
別に環境は客観的に見て変わってないんですよ。
一人であることは変わらないわけですよ。
でも彼の心の中が変わってるんですよ。
それによって彼が、象徴的なシーンということでさっき言いましたけども、
一番初めのシーンは、まずそうなパンをかじってまずそうに食ってるんですよ。
ふてくされた感じの顔で食ってるのか、
最後は自分でお雑煮を作って、元旦の日に。
それを作りながら、作ってるときの目の輝きが違うんですね。
それで基本的には席に座って、猫がそばにいる中で、
食べながら、いや食欲は出てきたって言うね。
人生ってのは、一生懸命働いて生きるというよりも軽く生きる。
毎日ができないことの発見っていうことで、本人は納得したんでしょうね。
それでね、そういうもんでしょうね。個ですね。
高木 恵子
個ですね。個だと思う。
田中 愼一
でもさっきのトランプ現象っていうのをうまく利用するっていう発想は面白いなと思うのは、
昔から僕は、アメリカを一番食いもんにしたのはどこの国かって言ったら、
僕は日本だと思ってた。
これは昔からいくと、日本の明治維新を起こすのに、
5隻の船がアメリカから来ましたねっていうのがきっかけで。
黒船来襲ですけども。
それから次は、いわゆる日露戦争のとき。
これ以上戦えないって日本がなったときに、一応講和条約っていうんで、
ルーズベルト当時の大統領が入ってくれて、事なきを得たっていうのと。
それから戦後日本の復興っていうことで、
基本的には安全保障関係は一切ただ乗りでアメリカにオンブでラッコにして、
その分経済をどんどんやる。
そうしたら今度は隣の国で戦争が始まって、
一挙に経済復興がグワーッとなる。
そうこうしてるうちに今度は自動車が大挙してアメリカに行って、
30%ぐらいのマーケットシェア取っちゃって、
で稼ぎまくるというような動きをして、
やっぱり日本がアメリカを一番食いもんにしたんだろうなっていうふうには、
昔から自説で言ってるんですけども、
今回このトランプ現象もですね、
これトランプ現象が日本で起こったらやばいですから、
だったら日本にも影響ある程度ある国でこのトランプ現象が起こってもらって、
ちょっとトランプみたいな人間が日本で現れたら、
もう日本が崩壊するしかないから、
アメリカでそういう人間が現れてですね、
いろいろやって、それをベースに日本も変わるきっかけにしていく。
確かにありかなと思いますね。
日本でああいう政治家が出てきたらちょっとやばいと思うけども、
アメリカだったらそこをうまく許容していっちゃうんじゃないかなって。
そこから日本は学べるっていうんだ。
いいじゃないですか。アメリカ食い物、最新版、バージョン。
高木 恵子
そういうふうに食い物にできればいいですよね、日本がね。
田中 愼一
食われちゃうとあれですけどね。
高木 恵子
本当だから私たちもこう、多分どうなんだろう。
トランプ現象と日本への影響
高木 恵子
昔に比べると世界の情勢をすごく気にするようになったような気がするんですよ。
日本人も。昔の日本人ってすごい平和だったから、
あんまり海外とか世界のニュースってよっぽどじゃないとみんな追わなかったと思うんだけど、
田中 愼一
なんか昔に比べるとすごく気にしてる日本人が増えてきてる気がするから。
中川 浩孝
それは面白い視点ですね。
私は日本では世界のニュースすごいやってるけど、アメリカでは世界のニュースはほとんどやっていないっていうイメージが今までずっとあったので、それはすごく面白い視点だなと思いました。
高木 恵子
ニュースは流れてても、そこまで気にしてる日本人は少なかった。
中川 浩孝
気にしてるかどうかっていうのは確かにありますね。
高木 恵子
そこなんですよ。そこは増えてると思う。
田中 愼一
なんかね、バラエティ番組見てる感覚なんですよ。
中川 浩孝
遠くで起こってることだしねっていう感じね。
田中 愼一
別に自分の身に直接関わるもんっていうよりも、バラエティーで出てくるようなニュースを見てる。
中川 浩孝
本当にテレビの中の世界っていうふうに見てるってことですよね。
田中 愼一
一種の付けっぱなしにしておいて、で見てるっていう。だからある意味報道番組もバラエティーももうだんだん近寄ってきてますよね。
昼の番組だとほとんどバラエティーじゃないですかね、報道番組って言われてるから。
午前中も含めて、午前午後だいたいバラエティー報道番組ですよね。
高木 恵子
だって分かりやすくしないと本当分かんないから、だと思うんですよね。
田中 愼一
今回は少なくとも日本の自動車産業にいる連中はびっくりこけてますよ。
実感して、これだって日産だったらリストラじゃねこれとか、いろいろな話が出てきて、いかにアメリカに依存してるかっていうのはみんな実感してるから、
たぶん仕事の中で直接影響が来てるっていうのは実感してるから。
これはね、かなりきつい黒船ですよ。
だから結構トランプ現象を黒船現象という形で、黒船効果?
だから結局明治維新の黒船効果、それから第二次世界大戦後の黒船効果、マッカーサー効果ね。
で三つ目が、実はトランプであったっていうね。
日本を変えたトランプっていう。