大宝の歴史と美味しさ
声が美味しい店ってありませんか。何回でも聞きたい、いらっしゃいませ、とか、ありがとうございました。
そして、そう思わせる店は必ず美味い。もちろん、そんなの簡単に出せない。若い声で印象に残ったことはないから、年取ってないとダメだろう。
一体何万回行ったのか。もう無意識のいらっしゃいませ的境地に行かないことには始まらなそうな。
今日もガラスの向こうから、中華鍋とお玉がこすれはじける金属音とともに、あの美味しい声が聞こえてくる。
ああ、大砲だなあ。
今年、50周年を迎える、押しも押されぬ京都の中華の名店です。
当日、声の主、渡辺よしひろさん、かっこお父さんの長女で、店の細かいことをしきるひろこさんが呼びかけると、奥からわいわい出てきた面々は13人。
せっかくいい写真撮ってもらえるんだから、来れる人は全員来てもらったんですよ、とひろこさん。
何でもこれまで取材のたび、集合写真を載せてと頼むもことごとく、それはちょっと、と断られていたのだとか。
それが今回はこちらからのリクエストで、願ったり叶ったりの様相。
ひろこ嬉しそう。私が働き始めてから今までのスタッフを数えてみたんですよ。
そしたら130人いて、130人がここを通過していったのか。
大宝という駅だね。
というわけで、この写真が大きくグラビア印刷されて、記事の冒頭を飾る。
いいでしょう。だいたい、店の紹介に集合写真を希望する店ってないと思う。
このエピソードだけでも、大宝の美味しさに触れた気になる。
店主の人柄と影響
50周年の節目だから、大宝とお父さんの歴史を振り返ろう。
京都の北、綾部出身。
現在、当地では息子の後期が田舎の大宝を営む。
思春期に市内に出てきて、レタリングの仕事に就く。
そこで中華料理屋のメニューなどを書かせてもらい、打ち合わせで訪れた際に、
今日はこれ食べて帰り、と美味しくそそのかされたのが中華との出会い。
なりゆきでそこで働くようになり、
いろんなお店に連れて行ってもらって、いろんなことを教えてもらった。
すぐ隣の教習所で出会った奥さんと25歳の時に結婚して開いた2人のお店が大宝。
現在より少しだけ北に位置する九坪の狭い狭いお店。
カウンター9席だけで、やがてそのうち2つは
学校帰りの息子コウキと娘ヒロコの過ごす席となるため、残りは7席。
見せてくれた当時の写真にはラーメン150円って書いてあって驚く。
70年代、ヤクザ映画全盛で店が終わったらみんなで映画館に直行。朝まで過ごしたり。
映画館もバスも喫煙科のみんなギラギラしててぐちゃぐちゃの時代。
九坪の店も中華料理を教えてもらった親方が辞めるというので開いたとこで始まったもの。
店出す時に絶対やったろと思っとったのが今も名物のてり丼。
先輩が肉のヘタを捨てずにまとめておいて賄いに作ってくれたものがその原型。
これからいろんなものが出てくる時代やから自分とこの名物作らなあかんとこれにヒントを得た。
当時牛肉こそ肉という時代で何やこれ豚肉かとどうしても豚は下に見られ
脂っこいとかいろんなこと言われていろんな工夫をしたみたい。
カウンター越しやからお客さんも言いたい放題。
今は面と向かって気軽に言うことってあまりないのでぐちゃぐちゃの時代のそんな店と客の関係が羨ましい。
そうやけどめちゃめちゃ勉強になりました。
大砲のお父さんの素晴らしいところはまずこの謙虚さと柔軟さ。
名店なのに全く偉そうにしないフラットさは感動レベル。
この姿勢はあのおいしい声に影響している。
編集者の視点と料理の魅力
先日も田舎の大砲チームや仲良しの料理屋ファームチームとともに中国に研修と称した食べ歩きに行ってきたそう。
失礼ながらそういうのやめとくわとなってもおかしくない年齢だと思うけど行く。
夕食後夜食を食べに行くとなったらそれも行く。
お腹を壊す。それでも食べる。ずっと好奇心の塊です。
好奇心を支えるもう一つ特筆すべきことは元気。
75歳なのに少年のようです。
夜仕事終わったら二条城の公園に行って筋トレしているってマジ。
ジムは雰囲気が好きじゃないからホームは二条公園。
向かいに城もあるし最高ですよ。
家にじっとしていられないので休日も出かける。
自転車で鴨川も大好き。
お気に入りは後陣口の土手。
夏の夕焼け最高。
ジャブジャブ川に入って寝転んだり。
思わず75歳ですよと言ってしまった。
ひろこも食べるの大好き。何でも食べます。
肉離れした時もあったんですけど本人は肉食べるの足りてないって。
ねえお父さんと言われてもはぁと全く意に返していない。
この元気さマジで何。
50年走り続けたけどそれは裏を返せば止まるのが怖いってこと。
と真面目なコメントをしたのは取材終盤。
よく友達と話しするんですけども山登りと一緒ですよ。
頂上に近づくにつれて厳しくなる。
人生どこが頂上かわからんけど
年取って悠々自敵なんてことは絶対ないですよ。
厳しくなるって鴨川で泳いでる人が言うから面白い。
とにかく辞めるなんて一遍も考えたことはありません。
死ぬまで続けるとみんなに言ってます。
まあ止められる人はいない。
最後に特に何も聞いてないのにお父さんが言いました。
いろんなことあるやろうけど乗り越えて飲み込んでじっくりにっこり笑えたら。
この言葉しみる。
カッコつけて言ってるんじゃないから。
分かった気がしたのは大砲の味人気それからあの声は
50年いろんなことを越えてきたからなんだけど
厳選はこのお父さんの全然カッコつけない力の抜け具合ではないか。
シュート練習500本して
もう余計な力が入らない時のシュートの方がよく入るみたいな
そういう境地にお父さんいるんじゃないか。
一生懸命やりながら力を抜くのって本当に難しい。
さてこれから昼寝の時間と店のソファー席に横になる準備万端の様子
ほんといいな。
あー髪幅がない。
やっぱり硬い牛肉の絶品麻婆豆腐については書けなかった。
まあいいです。そんなことより大砲一編3ヶ月ぐらいここで一緒に働いてみたい。
たまに出るバイト募集の張り紙を見るたびに思います。
こんにちは。芸大ラジオまいまいです。
今坂井先生が読んでくださったのは甘辛手帳での坂井さん書き立てホヤホヤの原稿です。
ここからめっちゃ変わってます。
そうなんですね。
足立さんに赤ペンいっぱい入れられて、大砲にも入れられて変わってますから。
これは結構違いますけどね。
僕が書いたのはこれですね。
どうでしたか?奈々さん。
とても素晴らしい。どこをどう変えられたのか気になりますけど、貴重な原稿を聞かせていただけてとても良かったです。
料理とか食のお店なので、いわゆるこのメニューが看板で、それはどんな風に作られててどんな味なのかみたいな話をしたっていいと思うんですけど、
そういう話は大きくなくて、そのお店をやってらっしゃる方の人となりとか、そのお店がどういうお店なのかみたいなのが、
そういうエピソードで、この店美味しいんだろうなって思わせるっていうのがすごいいいなと思って、最初に音が美味しいお店っておっしゃられましたけど、
さかいさんのこの文章のリズムというか、言葉の音の心地よさみたいな、面白さみたいなものとかが、その美味しさみたいなのをより書き立ててるような感じがして、とてもいい原稿でした。
はい。ありがとうございます。いや、照れるね、本当に。恥ずかしいわ、これマジで。
いやでも、自分で朗読して、すげえ気になった、いろいろな部分が。いつも本当に何羽さんがおっしゃってくれたみたいに、リズムはすごい意識して書いてる気がするんですけど、自分が。
でも朗読するとまた全然違うなと思って、そう思いましたね。
大砲に関してはやっぱりすごく有名なお店だし、あと僕ね、食レポみたいなのは苦手なんですよ。
この間もアイス食べてあんまり何もいいこと言えなかったし、その前はビール飲んで何もいいこと言えなかったんですよ。
だから多分、食のおいしいことに対する自分の言葉のボキャブラリーないなっていうのを感じてて、
で、そういうのもあって、大砲の食べ物については書く必要ないなっていうので、それよりはなんか全然違うこと書きたいなっていうのは正直思いながら書いたんですけど。
でも最初に出てきた、うまいだけでもいいんじゃないかなっていうのを感じましたけどね、味に関しては。
今回はですね、また前回引き続いて編集者お二人、ライターもされてるなにわさんと編集ずっぽしの足立さんのお二人をゲストに招いてやっていっているんですけど、
甘辛手帳を足立さんは編集してて、なにわさんはそれに関わっていらっしゃるっていう関係のお二人なんですけど、
甘辛手帳とかだとどうしても食べ物の記事がいっぱい並ぶわけですよね。
そうです。
みんなは多分すごく上手においしいとかうまいだけじゃない言葉でいろいろ書いているんだろうなと思うんですけど、僕は苦手だということです。
足立さん何かありますかね。
でもなにわさんの言ってることがすごく自分でもしっくりくるというか、
おいしいって食べ物を表現することだけじゃないとは思ってるんです。
もちろん食べ物のディティールであったり作り方とか、シェフの人のこだわりとかを書くっていうのも一つのおいしいの表現だと思うんですけど、
さかえさんの言語も人に振り切ってるんですよ。
さかえさんとお店の関係の中でのおいしいっていう話が出てくるので、本当においしそうやなって思うんですよ。
そこにてり丼の細かい描写がなくても、麻婆豆腐の話がなくても、絶対おいしいって感じさせるディティールが詰まってて、
私はさかえさんにお願いしたいなっていつも思ってるんですけど、特に好きなとこ言っていいですか。
最初にお店ができた時、お店がすごく狭くて9席しかない。
そこに娘と息子が帰ってくると、そこの席が埋まって7席にしかなくなっちゃうっていう、その描写だけでぐっと来るんですよ。
お客さんは7席しか座れないんですよね。
でもそこには家族である2人がいるっていう、この情景の浮かぶ、その風景が50周年なんで、50年くらい前の時に、もうちょっと後ですかね、に会ったっていうのはめちゃくちゃいいなと思って、
そういうのもおいしさの一つやなっていうのは読んでて、楽しかったです、すごく。
僕も楽しく書きましたよ。これ行って俺2日か3日くらいでピュッと送りましたね。
早っ!すごい嬉しかったです。
ありがとうございます。僕も何話さんどうか分からないですけど、俺書いた文章をとりあえず友達とかにパーッと送ったりするんですよ。
で、書いてくる言葉見て、だいたい本当に言ってるかどうかもだいたい分かるし、今回はなんか全然単語のこと書いてないけど、めっちゃおいしそうみたいなことが結構書いてきたんで、ほら大丈夫やなみたいな確認をしてから足立さんにシュッと送りました。
あとちょっといろいろ組替え等は行わせていただきました。
編集者とライターの役割
文字数とか言われるんですよ。当然言われる文字数とか言われるんだけど、俺文字数数えたくないし、自分はイラストレーターっていうソフトでやってるんで文字数とか出ないんですよね。
で、ワードは使えないし、そうするとなんとなくたぶんこんぐらいなんやろうなっていうので足立さんに送るから、あとなんか文字数とか適当にお願いしますみたいな。
あと今回ね、すっごい最後の終わり方、俺これダメやろうなと思いながら送ったんですよ。最後なんかバイトの張り紙を見るたびに思いますとか言って。
でもこれ力を抜けたお父さんの話なんで、俺も別に抜けてていいかみたいな、しまってなくてもいいかなと思ってピュッと送ったけど、
メールには終わりとかちょっとあれなんで足立さん適当になんかやってくださいみたいな感じでピュッと送って、
そしたら足立さんがレゴのブロックみたいな感じで組み替えて全然変わっています。
変えました。
背は焼けましたかね、僕。
いや、楽しいですね。
それは楽しいんや。
こことここ繋げたらいいんちゃうかみたいな。
そういうのやってもらったんですよね。
それは結構特殊かもしれないですね。ライターさんですね。
無責任な感じがね。
そんな風に投げてくれる。
文字数合わせないかね。
書いてる人いないんであんまり。
あ、そうなの。みんなちゃんと文字数合わせてくるの?
合わせてくれます。
どうせ直されるのに?
いや、なんか何でしょうね。企画にもよりますけど、そんなめっちゃ超組み替えたりとかあんまりないかもしれないです。
だから背は焼けるってことやね。
いやいやいや、楽しくやってます。違うんです。
何でしょうね。
さかいさんは思うがままに書いてほしいと思ってて、ただこの雑誌という枠組みに落とし込んだ時に、やっぱりこの読者の方を引っ張るための流れみたいなのがどうしても気になるんですよ。
原稿制作の苦しさ
ここでこの話題が出てきて、最後に終わるみたいなのに、どうしても雑誌なんで、この枠の中で読者を最後まで引っ張っていくっていうことを考えた時に、
ちょっとこうさせてほしいっていうのが、さかいさんとのやり取りではあるっていう感じです。
だから背は焼けるってことやな。
そういう意味で、背は焼いてもらって、こう来るんだよね。
そしたらなんか、なんかこうちょっと美しすぎるなとか。
そうそうそう、そういうのあるんですよね。
あって、せっかく綺麗にしてもらったやつをまた俺が、この語尾をこうしたいとか言って。
それもありがたいんですよ。結局私が作った語尾は、さかいさんの声じゃないので、直してほしいっていうのと、
でもこっちはこっちで気になることがやっぱあるんですね。体言止めが続くとかが、どうしてもその文章のリズムとして気になったりするんですよ。
そうすると、ちょっと私の方で語尾を付け足したりする。
と、さかいさんの方が、ちょっとなんか綺麗になりすぎちゃうみたいな。
体言止めって何?
なんとかなんとかという雑誌、なんとかなんとかという人、何々だであるとかがない文章ですね。
それが3回続くと気になったりとか、リズム的に。
それはなんかいろんな文章を読んで、こういうのちょっと肩っていうのは私の中にあるからと思うんですけど、
そういうのを調整すると、さかいさんの方でちょっと違和感が出たりとか、そういうのは面白いですけどね、やり取りとして。
僕もちょちゃっとやるぐらいは気になる。
これ気になるんですけど、こうしちゃダメですか?とか書いて送ったりしておりました。
それが終わったら次、大砲さん、今回は二条の大砲のお店なんですけど、そこのチェックが入るんですよ。
そしたらまたそこで、いや言ってたやん、それみたいなのを、こんなことは言うとらんとかって書かれたりとかして、
私が間に入って、お姉さん、さかいさんからこのようなことを申されたのですが、そこはちょっと。
そしてやっとこの1個の記事ができる。それに写真がジャーンと乗っかってね。
そうですね。
いやー大変ですよね。で、なにわさんはちゃんと文字数合わせて、バチンと決めに行くん?
そうですね。文字数はまあ合わせます。
それは当たり前。
それは、仕事としてライティングをやっているので、まあ寄贈的なこととして染み付いているっていうだけだと思いますけど。
気にせず書いてくださいね、さかいさん。
人によって、特に天から手帳って結構その編集者と書く人とのやり取りの間で、多分やり方が全然違うんじゃないかなと思ってて、
なんかレイアウトを決まる前に原稿先に仕上げちゃってみたいなパターンもありますよね。
ありますあります。
だからなんかその原稿次第で考えるみたいなのもあるって聞いたし、なんか私の場合は結構逆に先にレイアウト決めてもらって、そこに当てはめていくっていうことが多いので、
そうですね、まあ割とスタンダードなやり方をやっていると思います。
レイアウトがないと書きづらいっていうライターさんもいます。
へえ、俺一切いらん。だから途中にレイアウトを送られてきたんやけど、今回も。
なんのためにこれを俺に送ってきたんやろうなみたいな。
ああ、そうなんですね。
うんうんうん。
なんとなくは、ふんふんって、こんなんなるんや。
そこを切り離す方もいますし、逆にこのページの配文とかがわかんないと書きづらいっていう方もいて、それはもうそれぞれなんですよ。
なにわさんとも、もちろん原稿のやりとりって何億かすることってあって、もっと自分の書簡を入れてほしいとか、そういうリクエストをして書き直してもらうことはあります。
いやでも一個の文章を書くのって楽しいですよ。
なんかそれをしかもさ、こんな立派な雑誌に、今時雑誌とかなかなか大変やん?と思うけど、それにわざわざ載せてくれてさ、いろんな人が読んでくれると思うと嬉しい。嬉しいですよね。
仕事としての楽しみ
嬉しいですね。
僕はなんか趣味的な感じの関わり方ですけど、本業は他にあるって思ってるから、そういう無責任な投げ方したりとかするんやけど、こういうのを毎月毎月たくさんの量をなにわさんはやってるってことですよね。
そうですね。アンマーカラー手帳の場合結構単発で、この記事みたいな感じなので、あんまりそういう仕事がたくさんやってるっていう感じでもない気がするので、イメージないですけど、
フリーランスなので、適当な態度で仕事をやってはいけないっていう使命感みたいなのはありますね。
全然坂井さん仕事適当じゃないと思うんですけど、野辺さんライターとして仕事がやりやすいなと思ってもらえるやり方はやっておこうかなとか。
そうやね。
まあそういう感じですよね。データの送り方とか、そういうちっちゃいこととかもですけど。
なんかいろいろ教えてほしいな、そういうポイント。
まあそういうのは多分、うちの大学の中では文芸では教えられてると思うんですけど、あれ?教えられてないの?
あんまり。
でも大事なことじゃない?この人に依頼したいなって思う時の要素の一つになるじゃないですか。仕事がしやすい。人柄がいいとか、メールの返信がすぐ返ってくるとか、その内容じゃないところでね。
そういうことって教えてもらってない?ちょっとこれは学生時代の話は第3話にね、話し予定ですけども。
でも会社とか社会人になってからの実践で。
で、学んだことですかね。
そっか。
人がやってるの見て、こうした方がやりとりがスムーズなんだなとか言って、学んでいった感じですかね。
そうやね。大学でおっしゃることじゃないか。
相手の反応見たりとかしながら、感想必ず一言入れるとか、返信するときに。
なるほど。大事やね。
めっちゃ大事です。カメラマンさんもライターさんも必ず入れます。
入れんかったらやっぱりね、ちょっと。
受け取るだけ受け取って流すは絶対ダメって思ってます。
大事やね。
というわけで今日はですね、今回はやっぱ編集者とかライターとかっていうのはすごく人気の職業だと僕は思っていまして、実際そうだと思うんです。
で、うちの大学の中の在学生とかでもやっぱりそういう雑誌の編集、出版社に就職したいっていう人たくさん見てきたんで、
実際そういう仕事をしているお二人が来てくれてるんで。
ね、菜の葉ちゃん。
はい。
だからその二人にちょっと編集の辛さと楽しさとみたいなことを本当は聞こうと思ったけどね、結構時間いったなっていうのが正直なところで、
俺の朗読相当長かったんちゃうかなこれ。申し訳ない。
で、もうちょっとだけ聞いて、また第3話の方でも聞いていけたらいいのかなと思いますけど。
さて、では編集の一番楽しいところはやっぱりタダでね、物を食べられるところですか?
そうですね。
そう?
いや違いますね。
でも、タダでいろんなところ、タダでっていうかね、仕事のお金でいろんなものを食べたりとかできるのはなかなかいいでしょう?
そうですね。あんまりそういう、なんですかね、タダで食べれるからいいみたいな直な意識はやっぱり仕事なんでないんです。
ないんや。
ないです。
すごい。
そっか、じゃあそれは置いておいて、編集の楽しいところ教えてください。
編集の楽しいところ、でもさっき坂井さんが言ってあったみたいに、会社の仕事なんでもちろん経費使っていくんですけど、
お店の人の話を聞けるのはめちゃくちゃ楽しいですね、この仕事は。
やっぱり私人やと思ってるんです。飲食店の人たちのおいしさに関わってくるものって。
そうや。
もうそこの人たちの人柄の良さだったり、料理に欠けてる思いとかだったり、それでめちゃくちゃおいしさは私左右されるんですよ。
そこをおいしいと感じるかとその人がいいかとか結構直結してるんで、取材した後のご飯めちゃくちゃおいしいです。
はい。
取材した後食べるご飯は。
ちょっと冷めてるけどね。
冷めててもおいしいですし、次行った時の食べた時の感じ方が違いますね、やっぱり。
この人がどういう経歴でここに立ってて、なんでここで料理してるのかとかを聞いた後ってめちゃくちゃおいしいので。
いい話だな。
めっちゃ楽しいですね。取材が一番楽しいですね。
取材が一番楽しい。
はい。で、その取材で得たものを落とし込むのがめちゃくちゃ辛いです。
雑誌って形に。
アウトプットがしんどいですね。
しんどい。どうしんどいの?
えーと、坂井さんとやり取りしてる。
俺とやり取りしてる?
違う違う。
違う。
そういうふうにライターさん書き手の方とやり取りした原稿を、じゃあどう読んでどう返事を返すかっていうのがありますので、
編集の役割
で、カメラマンさんから大量に写真が上がってくるこれをどうレイアウトに落とし込むか、で、それをデザイナーさんにどう伝えるか。
上がってきたものに対してちょっと違うとか思った時にどうまた言語化して返すのかっていう作業はすごい大変です。
大変そう。
大変です。
すいませんとか言いながらね。
そうそうそう。そうなんですそうなんです。お願いしながら。
ちょっとこことか言いますね。
そうなんですよ。
ちょっと違うって思ったことを言葉にして返すのがめちゃくちゃ難しいんですよ。
自分の違和感の正体を言葉にして伝えるのがもうすごい難しくて、しんどいですけど、でも噛み合った時の快感みたいなのはたまらなくて、雑誌が出来上がった時一番テンション上がってて、
そのアドレナリンでもう1、2ヶ月生きていけるみたいな感じでした。
すごい。
結構自分でガソリン入れていくみたいな感じです。
かっこいいですね。
自分が作ったものがエネルギーになってまた走っていけると。
そうですね。結構しんどいっていうこの谷からガッてテンション上がってもう1、2ヶ月生きていける。
あーしんどい。でもまた上がるみたいなのを結構繰り返してるイメージですね。
そして止まることないもんね。
止まらないですね。
ハムスターの回し車っていう表現を使う編集者の人が2、3人おりまして、
はい。
永遠にそこから降りられない月刊誌みたいな。
体感としてはよく分かります。
大変さもなんとなくは分かった気がするけど、楽しそうやなって結局思ったね。
なんか朝鮮役っていうイメージはあったんですけど、
もっとクリエイティブなお仕事だなと思いました。
そうだね。めちゃくちゃクリエイティブなお仕事だなと思いますね。
谷川さんは編集もやるし、ライターもやるみたいな。
そうですね。
仕事のされ方ですけど、どうですか?一番楽しい?
なんかこの今回のラジオのお話をいただいて、
編集の仕事とはどういうものなのかっていう話になるっていうテーマを聞いたときに、
田地さんとちょっとLINEでやりとりしてて、
なんか編集ってのっかる仕事だしなっていうことを言ってたんですよ。
だから要するに自分が主人公になりたいと思ってなくて、主人公になる仕事じゃない。
何か別のママカラ手帳だとお店とか料理とかが主人公で、
それをのっかるって言い方がいいかわかんないですけど、
それを紹介する、また別の形で料理するような仕事だと思ってて、
それは別にママカラ手帳関係なく、編集ってそういう仕事だと思ってるんですね。
だから私がめっちゃいいと思ってるのは、
主人公になりたくないし、主人公にはなれないんだけど、
主人公をちょっと動かすことができるんですよ。
それがすごい良いと思ってて、
それはやっぱり編集の醍醐味だと思うんですよね。
そこが一番楽しいところかもしれないです。
クリエイティブな編集作業
ちょっと抽象的な言い方ですけど。
ちょっと動かすっていうのはどういうこと?
例えば、もうあいずをちょっと動かすみたいな。
なんか動かないものみたいなってことですか?
あんまりこういうふうに書いてほしいとか、
こういう写真を撮ってほしいみたいな、バチッと決めるとかじゃないですけど、
例えば全体としてはこういうことをこの本で言いたいんですみたいなことを、
その著者の方なり、取材先の方なりに伝えると、
そこからまたエピソードを考えてくださったりとか、
今までにないコンテンツが出てきたりするじゃないですか。
そういうのが主人公をちょっと動かしてるっていう感じかなと思ってて、
結局そのテーマを決めたりとか、
今回こういう話を聞きたいんです、
今までこういう取材されてたと思うんですけど、
今回こういう視点で個人的には聞きたいんです、
みたいなことが結構面白かったりとか、
これまでその方が発言されてたことと、
繋がってるけどまた違うみたいなとか、
なんかそういう出てきてないこととかが掘り出せたりとかするから、
なんかそういうのがこうちょっと動かしてる感かなと。
いいなあ。いや、すっごい共感できました。
本当ですか。よかった。
学生とかでもね、僕学生をちょっと動かしたいなっていう中で、
思いながら一応接してはいるし、
デザインの仕事とかも一緒かなと思って。
さて、今回もエンディングのお時間となりました。
原地さんの庭さん、どうもありがとうございました。
ありがとうございました。