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2021-01-15 17:23

#12 当事者・企業に聞く、男性の育児休業のリアル


育児休業は、法律で定められている労働者の権利です。しかし厚生労働省の調査によると、2019年度の男性の育休取得率はたった7.48%にとどまっています。実際に育休を取得した会社員男性と、企業サイドに生の声を伺いました。

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この番組は、自治・カルチャーシーンをテーマに、取材音声をもとにしたリアリティーあふれる情報を配信していきます。
こんにちは、フリーランス編集者の小澤彩です。
私は現在、都内で3歳の子供を育てています。
子育ては、計画通りになかなかいかないもの。
パートナーとのチームプレーが不可欠です。
今回は、「義務化は実現なるか?男性育休のリアル」というテーマで、
政府も推進している男性の育児休業について、個人・企業サイドに取材を行いました。
育児休業は、1歳未満の子供を育てている従業員が、勤務先に申し出ることで利用できる制度です。
法律で定められている労働者の権利です。
性別問わず利用可能な制度ですが、実際のところ、男性で制度を利用している人はまだまだ少数派。
厚生労働省の調査によると、2019年度の男性の育休取得率は7.48%。
過去最高となりましたが、まだまだほんの一部の方しか利用できていません。
制度上は、育児休業を開始する予定日の1ヶ月前までに勤務先に書面で申し込めばよいのですが、
実際には、休みにくいという声も現場から上がっています。
まだ男性の育児について、職場の理解が追いついていない環境で育児休業を取得したという会社員の田中さんと、
男性の育休取得を推奨している企業で男性管理職として育休を取得した北野さんに、
育休取得までの道のりや企業としての取り組みを伺います。
まずは、2019年4月に第一子が誕生したばかりの田中さんのケースです。
夫婦同時に育休を6ヶ月取得したという田中さん、そのきっかけは何だったのでしょうか。
今、私は37歳で、仕事としてはメーカー勤務の技術職で、30歳の時に転職をしたので、
中途で入って7年目で育休を取得したという感じですね。
育休を取得したきっかけというのは、あまり交渉な狙いとか意図はなくて、
妻が単純に育休を取ってほしいなと持ちかけてきたので、
じゃあ取ってみるかということで、会社に相談をして取ってみたという感じです。
実際に会社に育休を取ると宣言したときの周囲の反応は、驚きがメインだったそうです。
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同僚とかは、「おお、取るんだ!」という感じで、噂には育児休業制度を聞いていたけれど、
初めて取る人を見たというふうな珍しい生き物を見るような感じで、周りからは見られたという感じですね。
別に否定的な意味ではなくて、初めてその制度を使うような人が周りに出てきたみたいな感じの受け止められ方でした。
半年もの育休を取ることが決まった後、なんと同じ部署の同僚が倒れてしまい、人手が足りなくなってしまったそう。
周囲に迷惑をかけまいと、自ら育休中も働きますと宣言したという田中さん。
そのとき会社の反応は、
実は育休中にもある程度働けるというのが法律上はあるんですけれども、
ただ会社として育休中に働くのは認められないということで、会社側というのかな、自分の所属する部署の方でうまく人をやりくりして、
会社側休んで別の人を当てがうみたいな感じで、引き継ぎのさらに引き継ぎみたいなことをして半年間休むことになりました。
無事に半年間の育休を取得した田中さんですが、半年も休んだら会社で自分のポジションがなくなるんじゃないか、
人事評価はどうなってしまうんだろうというような不安はあったのでしょうか。
私はそんなに人事評価については不安はなかったです。
仕事の成果で評価がされていれば、私はそんなに不利にならないだろうという自信があったので、そこは大丈夫でしたけれども、
きっとあまり成果が残せていない人はちょっと育休を取ろうと思うと、なんかしんどいのかなというふうに思ったりはします。
周囲の理解もあり、安心して休むことができた田中さん。育休中の収入についても詳しく教えてくださいました。
普段の収入の67%がもらえました。学面の67%でかつ非課税なので、課税の分を考慮すると約8割ぐらいもらえていたので、
8割もらえればそこそこいいかなというふうに私は思っていました。
さらに半年も休むと給与収入がだいぶ減るので、翌年の住民税が非常に安くなるというのもあって、
多分トータルで考えると給料の9割から9割5分ぐらい出てるんじゃないのかなというふうに思っていまして、
そんだけ減らなければ割と十分な制度だと思います。
確かニュースでも日本の育休の制度は世界的に一番いいみたいな話がニュースであったと思うんですけれど、
なので多分日本の育休の制度は相当いいと思います。
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一方、実際に育児休業を受け入れる企業側はどんな取り組みをしているのでしょうか。
企業向けのサービスを提供するIT企業株式会社スタディスト・開発部副部長の北野さんにもお話を伺いました。
北野さんは、2019年の10月に子どもが生まれて、およそ3ヶ月の育児休業を取得したそうです。
男性が育休を希望する場合、企業・管理職サイドに求められることは何なのでしょうか。
組織としては、特定の人に属人化してしまった仕事とかプロセスをできるだけ常日頃から減らしていく必要性があるなということを感じています。
というのは、いくら制度上では育休士とか可能ですよと言っても、その人が抜けてしまって仕事が全く回らないという風になっているのであれば、休みたくても休めないと思うんですね。
なので常にそういう特定の人に依存したプロセスをできるだけ減らすように手順書を作ったりですとか、
チームで一緒に仕事をするような機会を作ったりですとか、そういったところは普段から心がけてやっていますね。
あとは移動をしたりとか、チームの仕事の状況をうまく会社が整えるためのバックアップをするということもできるはずなので、そういったこともあると良いのかなと思いました。
スタディストという会社では、もともと家族をすごく大切にしようという空気感があったので、
育休を取るのは当たり前の権利としてある程度使うことができたのかなと自分では考えていますね。
ただ、社会として特別なことだと受け取らない姿勢が大事だと思っていて、取るのが当たり前というよりかは取ることを選択できるという雰囲気になっているのが望ましいのかなと感じています。
あと職種による違いという観点だと、開発の仕事っていろんな仕事がログに残りやすいんですね。
ソフトウェアのコードを書いていったりとか、それをレビューしたプロセスとかも全部オンライン上にログが残るので、
やっぱりログが残るということがすごく業務引き継ぎをするにあたって大切なのかなと感じているので、
たとえ開発者の仕事じゃなくても、営業の仕事だったとしても、営業の商談記録だったりとか、ログに残したりとかしていくことで、
引き継ぎがしやすい状態をずっと維持しておくということは可能なのかなと考えています。
元々の企業風土もあり、難なく育休を取得できたという北野さん。
3ヶ月の育児休業中は赤ちゃんにつきっきりで、あっという間に感じたそうです。
基本的には育児を妻と一緒にやるというふうにやっていました。
妻の里帰り出産で妻の実家にずっと行っていたんですけど、
なので家事は向こうのお母さんとかにいろいろ助けていただきながら、
育児の方にできる限り時間を使えるように育児参加をしていました。
子どもがだいたい朝の6時とか、それの前後とかに目覚めるので、
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そこから起きて一緒に遊んだりして、
だいたい8時とか9時ぐらいから子どもが朝寝をするので、
朝ごはんをあげた後に朝寝をさせてあげて、
また起きたらご飯をあげて、また一緒に遊んで、
また夕方お昼くらいに眠くなったら、一緒にお昼寝を寝かせつけをしてというような流れですね。
育児を少し舐めていたというのは、改めて取得してみたら、
夜にこんだけ起こされるのかとか、泣きやませるのがこんなに時間がかかるのかとか、
やっぱりそこを育休することによって自分が体験できたというのは、
すごく大きな経験だったのと感じています。
北野さんが働く開発部では、直近3年以内の男性育休取得率はなんと100%。
管理職である北野さん自身も、実際に子育てにコミットしたからこそ、
今後、他のメンバーやチームの部下が育休取得を希望した場合も、
しっかり寄り添いたい気持ちが強くなったそうです。
今、私は組織のマネージャーの仕事をしているので、
チームの人とかには、もちろん個人の考えが最優先ではある前提なんですけど、
個人的には取得してよかったよということは、チームの人には伝えたいなと思っていますね。
なので、育休を取得する自由もあれば、取得しない自由というのもあって、
自分にとっていいと思うことを選択できる状態というのを、
スタディスソという会社だけじゃなく、社会としてもできるだけ維持できるようにしたいなと思っています。
そのために、育休取得をしたいという申請とかがあった場合に、
特別なこととして扱わないという姿勢がすごく大切かなと、
決裁者という立場としては感じますね。
前提として、育休を取得するのは女性の方が当たり前という、
やっぱり雰囲気は強いのかなというふうに感じていて、
男性でも育休を取得している事例自体が増えるということは、
まず第一歩目としては大事なのかなと考えています。
そうすることによって、徐々に育休取得が当たり前になっていくと、
次のステップとしては、育休の取得することが当たり前というよりかは、
育休取得することを選べることが当たり前というフェーズになるのかなと思っていて、
そうなるといいなと感じています。
現在、育児休業を取得する男性はまだまだ少数派。
男性の育休の義務化が検討されていることについて、
北野さんはどう考えているのでしょうか。
先ほど申し上げたように、男性が育休取得をすることが、
自然なこととして受け取ってもらうというフェーズにいくためには、
男性が育休を取得する事例が前提として増えることは大切だと思っているので、
そのためにはある程度、義務って言うと自分のイメージとは違うんですけど、
そこまではいかなくても、後押しするような制度ができること自体は、
必ずしも悪いことではないのかなと思っているんですけど、
やっぱり最終的には、育休取得することが当たり前ではなくて、
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育休取得することを選べるのが当たり前になってほしいと思っているので、
あまり義務っていう言葉に対する、義務っていう感じではないんですかね。
ちょっと説明が微妙なんですけど。
さらに、男性社員が育児休業を取得することで、
会社側にもメリットがあるのではないか、と木佐野さんは語ります。
企業が育休取得をする、社員を受け入れることに対するメリットについては2点考えていて、
1点目については、お話の冒頭の方で申し上げたんですけど、
チームのメンバーが業務から抜けてしまうということによって、
その人がやっていた業務っていうのが改めて明らかになると考えているんですね。
その人がどういう仕事を持っていたのかっていうことを、
改めて他の周囲の人が理解することによって、
俗人化を防げたりとか、チームの仕事のプロセスをこう変えようっていう、
業務改革、業務改善のきっかけに繋がったりすると思っているので、
そういった点がまず1点目ですね。
2点目は、育休取得をできないってなってしまうと、
少し退職を検討してしまうきっかけにもなり得るのかなと考えていて、
やっぱり活躍してくれる社員にはずっと長く働いてほしいっていうのは、
私だけじゃなくて、全ての企業の中の人が感じていることだと思うので、
その人の人生をサポートできるような周囲の雰囲気だったりとか、
制度づくりだったりが大切なんじゃないかなと感じています。
育児休業中、主体的に子育てに取り組んできた北野さんご夫婦ですが、
様々なシーンで、育児は女性がやるものという社会の風潮を感じることが
あったそうです。
北野さんは、男性が地域の育児コミュニティにどう入っていくべきか、
まだ感覚がつかめていないと言います。
赤ちゃん連れで外出した際も、男性トイレの中に子どものおむつ替えのスペースがなく、
困ったそうです。
これは私だけじゃなくて、妻から聞いた話なんですけど、
今住んでいる区の子育て施設みたいなところに行った時とかに、
男性が子どもと2人で来ていると、どうしてもその女性が子どもと2人でいることに比べて、
輪の中に入りづらそうなふうに見えているということは聞いたことがあって、
社会的な目線とギャップがまだまだ、現状はギャップがあるんだろうなというふうに感じますね。
半年間の育休を取得した田中さんは、
育児は母親がするものという社会意識は、
男性育休が浸透することによって変えられるのではないかと語ります。
多分、女性が育児をするというのは、
もうそれこそ世界的に昔からそういうふうな流れがどうしてもあるので、
女性が育児をするという大きな前提があるのは仕方がないのかなというふうに思うんですけれども、
それを社会制度とかで少しずつ男性が育児をしていくという方向に行かざるを得ないというふうに思います。
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どうしても子どもは女性が産むしかないので、
男性はお腹を膨らませて産むことはできないというのがあって、
女性は子どもを産むための休みである産休がありますけれど、
男性にはそれがないので、
簡単に言ってしまえば、男性にも女性が産休の2ヶ月と同じように、
男性も産休で、実際には男性は産まないんですけれど、
2ヶ月休むというふうに制度を男女平等にしてしまえば、
割とやりやすいのかなとは思ったりはしますけどね。
今回は、育児休業を比較的スムーズに取得できたケースをご紹介してきましたが、
まだまだ日本では男性の育休取得は一般化していません。
日本商工会議所と東京商工会議所の調査によると、
男性社員の育児休業取得の義務化について、
反対、もしくはどちらかというと反対と回答した中小企業は合わせて7割に上りました。
まだまだ義務化への道のりは長そうですが、
一方で子どもを産んだ女性の産後鬱は社会問題にもなっています。
夫婦で一緒に育児する選択肢ができれば、社会は変わるのではないでしょうか。
今回は、「義務化は実現なるか?男性育休のリアル」というテーマでお送りいたしました。
お相手は小澤彩でした。
この番組はポッドキャストプロダクション、ピトパのオリジナルコンテンツです。
番組の感想、リクエストは、詳細欄のURLよりお待ちしています。
それではまた次回お会いしましょう。
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