タイトルコール
海老澤美幸
みこたまファッションロー&ビジネス
ファッション業界のさらなる発展を法律で後押しする。
そんな思いから、このポッドキャストは、
アパレル経営者やデザイナーの方々に向けて、
ファッションローの専門家だからこそ分かる
法律の落とし穴や誤解を分かりやすく解説。
ファッションの法律に特化した旬なナレッジをお伝えします。
小松隼也
はい、みこたまファッションロー&ビジネス第5回は、
弁護士の小松隼也と、
海老澤美幸
はい、海老澤美幸でお送りいたします。
小松隼也
はい、今回は前回に引き続き、
2023年10月1日から施行されるステマ規制に関して、
ちょっと詳しくお話ししていきましょうということになっております。
先日ですね、我々も事務所のセミナーで、
ステマ規制に関するセミナーを実施しましたが、
どうでしたか?
海老澤美幸
たくさんね、集まっていただいてありがたいことに。
小松隼也
そうですね、やっぱり関心が高いんでしょうね。
海老澤美幸
そうですね、ご質問もすごく多かったですね。
小松隼也
多かったですね、しかも結構リアルな質問でしたね、全部。
海老澤美幸
本当にそうでした。
なかなかね、やっぱり対応に時間も手間もかかるというのが、
やっぱりちょっと分かりましたね。
小松隼也
そうですね、現場としては優先順位をつけて、
何から対応していけばいいのかというのが、
一番気になるかなって思うところと、
やっぱりやってみて思ったのは、思ったより適応対象が広いということで。
海老澤美幸
広い、いや本当にそうです。
小松隼也
あれもステマ、これもステマという感じになっていってしまいそうなわけなんですが、
そもそも前回のおさらいですが、
ステマ規制というのはざっくりどんな内容でしたか?
海老澤美幸
えっとですね、本当にざっくり申し上げると、
会社の広告なのに広告じゃないように見えるもの、
そういったものはダメですよということなんですよね。
会社の広告だったら、会社の広告だということを明らかにしてくださいね、
というのが本当にステマ規制のざっくりとした内容ということになりますね。
ステマに当たるからといって、何かダメだというよりはですね、
ステマに当たる場合は「#PR」をつけるとか、
そういう形で会社の広告だということを明らかにしてもらうというのが、
一番重要なポイントになるのかなというふうに思いますね。
小松隼也
そうですね、会社の広告というのは、
会社の広告というのは例えば会社のアカウントが宣伝とか投稿するんじゃなくて、
従業員の人とかですよね、プライベートのアカウントで、
この商品めっちゃいいですっていうのが、
実は働いている会社で開発担当してた商品だったりした時とかは、
本当は会社の関与があるのに、実は普通の友達とかが見ると、
普通のプライベートの投稿っぽくて、いいな買っちゃおうとかっていうのがまさにステマですね。
あとはインフルエンサーとか、限らずだよね。
インフルエンサー限らず第三者の人が実は利益をもらっていて、
商品を宣伝している場合には、これもだからステマ、ステルスマーケティングだから、
ちゃんとPRを今後は分かりやすくつけましょうねっていうことになるわけですよね。
海老澤美幸
そうですね、多分今のインフルエンサーの方が皆さんイメージを持っていただきやすいんじゃないかなっていう感じがしますね。
ステマ規制の具体的な適用範囲
小松隼也
あとはこれ逆にじゃあ何でもかんでもPRつけなきゃいけないんですかっていう質問の中で多かったのは、
「そもそもオフィシャルのホームページとか、これはもうそのステマというかもう会社の宣伝って分かるからPRってつけなくていいんですよね?」みたいな質問が多かったと思うんですけど。
海老澤美幸
多かったですね。
小松隼也
公式ホームページとかの宣伝っていうのはステマに当たらないっていうことでいいんですか?
海老澤美幸
基本的には公式ホームページに記載されているものとか宣伝されているものっていうのは、
当然その公式ホームページの会社が宣伝してるっていうことが明らかなので、
基本的に当たらないということでいいかなというふうに思うんですけど、
ちょっと注意していただきたいのが、
例えば専門家コメントみたいに会社以外の第三者の人がコメントしてるように見えるケースってあるじゃないですか。
ああいうものは実際は見た目は第三者があくまで客観的にコメントしてるみたいなふうに見えるんだけれども、
実は裏で会社が何か依頼をしたりとか指示をしてるといったようなケースもあると思うんですよね。
そういったケースは消費者からすると本当は会社の広告じゃないのかなとか混乱しちゃうことになるので、
そういったケースに関しては会社の広告だということを明らかにしてもらう必要があるというふうにはされてますね。
小松隼也
例えばうちの事務所でファッション業界の専門家っていうかドンみたいな人に頼んで、
「みこたまいいよ~」みたいな、「こんなサービスもあんなサービスもすごい早い、丁寧だ」みたいなのを書いてくださいよ、って
感じで書いてもらった場合とかは本当はうちから頼んで意見をもらって編集して載っけてますよって書かなきゃいけない。今後は。
海老澤美幸
そうです、そういうことですね。
例えばお客様の声みたいなことですよね。
そういうもので、本当は後ろで「お願いしますよ」って書いてもらったみたいなケースだったら、「会社が頼んで書いてもらいました」みたいなことを書かなきゃいけないということですね。
小松隼也
なるほどね。これ結構あれですよ、お客様の声のところでいくと、お客様の声はピックアップしてるのもダメなの?
海老澤美幸
そうです、会社が手を加えて、例えば星1つのものは削除しますとか、
小松隼也
見せないようにしちゃうとかね。
海老澤美幸
そうそう、見せないようにしちゃうとか、そういうのは基本的にはステマにあたる可能性があるということになりますね。
小松隼也
口コミの星4と星5だけ引っ張ってきて、めっちゃいい口コミしか見えないみたいな。
そう。
だから恣意的なピックアップはステマなんだよね。
海老澤美幸
そうです、ステマにあたる可能性がありますね。
小松隼也
あとコメントの内容をちょっといじって、いいこと言ってるところだけ残すとかもダメなんだよね。
海老澤美幸
そうですね、基本的に手を加えたり調整をするケースはステマにあたるというふうに考えられる可能性が高いと思いますね。
小松隼也
これって何でもかんでも手を入れちゃいけないってわけじゃなくて、例外として挙がってるのは名誉毀損にあたるような場合のコメントに関しては会社として手を加えていいっていうことは例示されてるんですよね。
海老澤美幸
そうですね、誹謗中傷にあたるようなそういったものを会社側が修正してもらうと、それがあるからといって直ちにステマにあたるっていうような、そういうことにはならないよっていうことは書かれてます。
小松隼也
この辺の判断基準がまだ前例がないから曖昧だと思うんだけど、ちょっとネガティブなやつだから、誹謗中傷だから削除だってやっちゃうと今回はステマ規制にあたる可能性があるから、
海老澤美幸
この辺のジャッジっていうのは専門家とかに相談して、どこまで対応するかっていうのを今後判断していく必要があるっていうことになりそうですね。
小松隼也
あとは質問で多かったのが、オフィシャルアカウントの話を今してたんだけど、「ファッションだったらデザイナーのアカウントはデザイナーってわかってるからみんな大丈夫ですよね?」みたいな質問多かったですよね。
これってどうなんですか?
海老澤美幸
あとあれですよね、例えばその「会社で有名なインフルエンサーがいて、その人は会社のインフルエンサーだっていうことが明らかだから、それは大丈夫ですよね?」みたいなお話もありましたね。
こういったケースは基本的にはステマにあたる可能性があるかなと思っていて、会社のアカウント、要は会社名のアカウントですかね。
会社だってことが明らかなアカウントの場合はステマに当たらないっていうのが原則かなというふうに思うんですけど、例えば今おっしゃったような代表取締役とかデザイナーとか会社の人かどうかわからないような形で投稿する場合、
で、プロフィールに行くと、実は何とか社代表取締役とか何とか社のPR担当とかで書かれてるみたいな、そういったケースだとですね、プロフィールに遷移しないとわからなかったりするので、投稿自体からは広告だってことが明らかじゃないって判断もなされる可能性はあるかなと思ってますね。
小松隼也
そうですよね。だから「プロフィールに説明してあるから大丈夫ですよね?」ってところに関しては、まあ確かにストーリーとかだと出てないしね。そう考えると普通に見た人からすれば、プライベート投稿っぽく見えちゃう場合にはステマになってPR表記つけないとダメですってことになりそうですね。
あとは例えばアカウント名に会社名を入れてもらうとかね、そういう対応はあり得ますよね。わかりやすいようにね、確かに確かに。それは一つ対策としてはあるよね。あると思います。あとは今はデザイナーとか取締役とかそういう人たちは気をつければいいですって話だと思うんだけど、このスタッフ、従業員とかだよね、が投稿する場合もステマに当たる可能性があるってことなんだけど、
海老澤美幸
これスタッフの投稿っていうのはどれぐらいの範囲が当たるって話も結構悩ましいところですね。悩ましいですね。一応消費者庁が出してる運用基準だと地位とか立場とか、あとその権限だったり、その人の担当業務とか、まあその投稿の目的みたいなところが考慮されますよなんてことが書かれてはいるんですけれども、非常に悩ましいところです。
小松隼也
実際に明示されているのは開発担当者とかPR業務の人だよね。そうです。販売に関わってくる人。おそらくただこの書き方としては抽象的な評価が必要になってくると思うから、そこに限らずということで、それこそ従業員に限らず、あの業務委託でPR頼んでる人とか開発頼んでる人とかっていうのも入ってくる可能性は十分ありますよね。
海老澤美幸
特にファッションとかビューティーだと、その業務委託でPRとか宣伝とか企画とかお願いしてるケースがとても多いと思うんですよね。こういった場合は基本的には従業員と同じように考えられるでしょうから、その企画とかPRとかに従業員的な立場で関与してるってことになると思いますので、そういう場合は従業員と同様に、きちんとPR表記とかその会社の広告だよっていうことを明らかにしてもらう必要があるのかなというふうに思います。
小松隼也
そうですよね。ここはまだ運用方針には書かれていないけど、基本的には業務委託先が外れるっていうとかなり骨抜きになっちゃうし、しかもこのステマ規制の国が出している資料からすれば基本的には抽象的に広く規制する趣旨だっていうのはもう明確になってるからね。
小松隼也
さすがにここはアンパイを取る方がいいんじゃないかなって気はしますよね。
海老澤美幸
そうですね。今おっしゃった通り、運用基準が具体例をなるべくミニマムにしてるのは漏れがないような形で規制をする趣旨だっていうのは何かに書かれていましたよね。
小松隼也
うん、そうですよね。当たらないやつをいっぱい書きすぎると適用対象がどんどん減ってっちゃうから、そういう趣旨じゃないみたいな言い方をしてるからね。
ちょっとここは幅広にリスケッチしていった方がいいんじゃないかなって思うところではありますよね。
あとはブランドアンバサダーとかっていうのもどうなってくるんですかね。
海老澤美幸
ここ悩ましいんですけど、実は観光大使なんかは社会通念上ですね、ブランドというか、例えば国とかブランドとかから依頼をされて広告してるってことが、
明らかな人に関してはステマに当たらないというふうに実は運用基準上書かれてるんですけれども、アンバサダーはちょっと悩ましいなと個人的には思ってますね。
アンバサダーって観光大使みたいに国とか市とかから委託を受けてやってるというケースとはちょっと違って、やや認知度がそんなに高くないんじゃないかなっていう気がしてますけど、どうですかね。
ステマ規制の基準とリスク
小松隼也
そうですね。しかも勝手に言ってる人もいるよね。
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
それ言ったらだって自分もプロレスアンバサダーのつもりでやってるけど。
海老澤美幸
そうですね。私も釣りアンバサダーのつもりでやってる。
小松隼也
めちゃめちゃストーリー書いてるけど、これ俺裏で実はお金もらってたら完全にステマだもんね。
海老澤美幸
そうですね。それはステマですね。
小松隼也
みたいなのあるから、この辺もだから一見して明らかじゃないとダメだからきついよね、その辺はね。
海老澤美幸
そうだと思いますね。
小松隼也
この辺もリスクに入ってくるだろうね。
海老澤美幸
あると思いますね。
観光大使ってね、ある種確立されたなんとか市観光大使とか、一般にもよく知られてるじゃないですか。
でもアンバサダーって、そんな立ち位置ではまだないような気もするので。
小松隼也
確かに。
海老澤美幸
やっぱりちょっと注意が必要かなって気がしますね。
小松隼也
そうですね。確かに。
だからやっぱり全体的に、「これだったらわかるでしょ」って自分で判断するのはリスクだよね。
海老澤美幸
そうですね。リスクだと思います。
小松隼也
わかんない人がいたらそこはステマだもんね。
海老澤美幸
そうですね。あくまで一般消費者の人が会社の広告だとわかるかどうかっていうのが大きな基準なので、消費者庁に関して言うと。
なので、やっぱりそこは自分で主観的に判断せずにですね、ちゃんと一般消費者の方から見てわかりやすいかなという基準を持って判断してもらうのがいいと思いますね。
小松隼也
そうですね。
あとは、ちょっとインフルエンサーに依頼する場合に話を戻すんですけど、
これインフルエンサーだけどフォロワーがちょっとしかいないみたいな。
ちょっとしかいないから大丈夫ですよねって質問たまにあるんだけど。
ありますね。
そもそもインフルエンサーだけが対象じゃないもんね。
海老澤美幸
ではないですね。これ別にフォロワー数とかアカウントの規模とかは関係ないんで、
まあ本当に極端なこと言ってしまえば、例えばフォロワー一人とかそういうことであっても当たりますね。
小松隼也
裏でだから結局利益のやり取りがあって、ステルスマーケティングしてたら人数は関係ないってことですね。
海老澤美幸
そうですね。関係ないですね。
小松隼也
そりゃそうだよね。
ギフティングに関する考慮事項
小松隼也
あとはインフルエンサーとのこれまでの関係性からで、一番多い質問だと思うんだけど、
特にステマをやってほしいからってわけじゃなくて、お礼で、商品ギフティングで、よくしょっちゅうだよね。
ギフティングする場合どういうことに注意して考えていけばいいのか。
海老澤美幸
悩ましくてですね、ギフティングしたからといって直ちにステマに当たるというわけではないと思うんですよね。
なのでギフティング自体が大きな問題があるということではないと思うんですけど、
例えば過去にすごく今までもギフティングをして投稿してもらったといったような関係性が結構続いているとか、
そういうことを踏まえて、ギフティングをした場合もステマに当たる可能性はないわけじゃないかなというふうに思います。
小松隼也
そうですね。ギフティングのときにどういうやり取りをして、
どういうふうに商品を送るときにどういうお礼状とか送付書に書くかとか、
そのあたりで判断基準が変わってくるだろうね。
変わってきますね。書きぶりなんかも結構考慮されるポイントの一つかなと思うんですね。
結構このあたりどういうメールにすればいいですかって質問はあったので、
みんなパターンをいくつか考えて、PR担当者、ギフティング担当者の人からこういうものがいいんですか、
こういうものがいいんですかっていくつか出して、
法務担当者とか外部弁護士と一緒に、これは率があるよね、これはOKだよねっていうところを
ここ一個調べ潰しにやっていくしかないかなと思うんで。
海老澤美幸
そうですね。文言に関してはそういう形で精査してもらうしかないでしょうね。
小松隼也
それである程度ひな形じゃないけど、社内基準を作っておくのが安心だよね。
海老澤美幸
そうですね。そうだと思いますね。
小松隼也
やっぱり結局ルール付けをして共有しておくっていうところになってくるかな。
海老澤美幸
そうですね。これは多分後半でお話することになると思うんですけど、ギフティングについてきちんとこれまでの経緯とかも
把握しておいてもらうとかっていうのもやっぱり大事ですよね。
小松隼也
そうだね。金銭の供与が過去にあったかとかね。
この辺だから全部リスト化しておかないとまずいよね。
海老澤美幸
そうだと思います。今後は少なくとも始めてもらった方がいいです。
小松隼也
あとは、実際施策としてされている会社とかも多いかと思うんだけど、
商品の購入者に次回使えるクーポンを配布するとか、これもステマになってきちゃうんですか?
海老澤美幸
これは実はですね、運用基準で示されているんですけども、
基本的にはステマに当たらないというふうにされてますね。
例えばクーポンを配布する場合にこう書いてくださいとか、
指示していれば別なんですけど、皆さんに次回使えるクーポン、プレゼントみたいな感じで
例えば口コミを書いてもらうとか、そういったケースは基本的には当たらないというふうにはされてますね。
なんか星5を書いてくれたらクーポンあげるとか。
小松隼也
そうですね。それはちょっとなるでしょうね。当たる可能性はあるでしょうね。
あとはメルマガ会員全員にクーポンじゃなくてサンプルをプレゼントして
プレゼントした会員が口コミを投稿してくれたようなケースっていうのはどうなんですか?
海老澤美幸
そうですね。これも今一つ前のケースと同様にですね、
単純にサンプルをプレゼントしてプレゼントしてもらった会員の人がすごい良かったということで
口コミをあげてくれるみたいなケースであれば、これはステマに当たらないというふうに考えられるんですよね。
小松隼也
なるほどね。あとはそうだね、ちょっと話が変わっちゃうんだけど、
雑誌広告やクーポンの配布に関する規制
小松隼也
今は結構ウェブとかメールとか前提に考えていたんだけど、
ステマ規制って今回特にウェブに関してだけじゃないから、
あらゆる表現手段全てに及ぶということで明示されていると思うんだけど、
いわゆる紙媒体、雑誌、ウェブもそうだと思うよね。
海老澤美幸
雑誌の編集ページとかで気をつけることっていうのは?
そうですね。基本的に雑誌の編集ページに関しては、私も雑誌社は長かったのでよく分かるんですけど、
メディアが自主的な意思で企画したりとか編集したりとか制作した場合っていうのは、
基本的にはステマに当たらないというふうに考えられるかなというふうに思いますね。
ただですね、例えば場合によってはすごく謝礼を払ってるような場合とか、結構高い謝礼を払ってる場合とか、
そういう通常のですね、範囲を超えるような金銭のやり取りが行われているとか、
利益の提供が行われているみたいな、そういったケースだとブランド側がメディアのページですね、
その表示に関与しているという判断もあり得るかなというふうに思いますね。
小松隼也
そうですね。取材の謝礼で数万とかじゃなくて、
普通に完全にタイアップ記事で100万、200万みたいなのはもう表示が必要だよね。
海老澤美幸
結構よくあるんですけど、例えば載せる代わりに10万円払ってくださいみたいなケースとか、たまにあるんですよね。
そういったケースであたかも編集ページのように載せてる雑誌とかもですね、たまにあったりするんですよ。
そういうケースだとステマっていう判断になるんじゃないかなという気はしますね。
小松隼也
そうですよね。このあたり、あとは「この雑誌読んでる人は普通分かりますよ」っていうのも厳しいっていうことになってたよね。
そうだと思いますね。一般の方が見たときにっていう判断になると思うので。
普通の一般消費者が見て気づかないようなものであれば、PR、広告、宣伝表示をしないといけないってことには今後なってくるでしょうね。
海老澤美幸
なってくると思いますね。で、あと雑誌だとやっぱり結構多いのが、
サンプルをもらったりとか、雑誌に掲載したり、掲載する前提で使ってもらうためにサンプルをプレゼントしてくれたり、
あと場合によってはパーティーに読んでもらったりとか、そういうケースが割と多いんですよね。
ちょっとそのあたりはなかなか悩ましいところかなというふうに思っていて、
基本的にお付き合いの範囲内というか、そういう範囲内であればある程度は許容されるのかなというふうには思うんですけど、
例えばすごくその関係が長く続いていて、ずっとそれをきっかけにして編集ページで紹介を必ずしているとか、
そういった関係性があるとどうだろうねっていう感じはしますかね。
小松隼也
そうですね。
悩ましいですね。
あと海外とかだと、「#sponsored」とか、そういった「PR」じゃないやつが付けられたりもしていて、
依頼者の方とかからも、これじゃあsponsoredって付ければいいですかみたいな相談もいくつか来てると思うんだけど、
これって「sponsored」でもいいの?
海老澤美幸
ここはですね、基本的には言葉から広告とか、そういったものだっていうことが明らかにわかることが必要なんですよね。
実は消費者庁のホームページで公開しているものがあるんですけど、
一般の人がどんな言葉を見たときに広告だっていうふうに認識するかという意識調査を公開してるんですね。
それを見ると、漢字の「広告」というのは大体8割ぐらいの人が広告だっていうふうに認識するんですけど、
英語の「PR」というもので大体6割ぐらいの人が広告だと認識していて、カタカナの「プロモーション」で4割ぐらいなんですよ。
そういうこともあって、実は消費者庁の公開している運用基準では、漢字の「広告」とか英語の「PR」とか、
カタカナの「プロモーション」というのが推奨されているんですけれども、
他方、「sponsored」とかそれ以外のものに関しては、大体2割とか少ないものだと本当に1割弱とか、
そんな感じで広告だっていうことが認識されづらいというふうにされてるんですよね。
おそらくそうなると、「sponsored」だけを付けたとして、その投稿が広告だというふうに意識されづらいということになると思うので、
sponsoredだけだと不十分だというふうに判断される可能性が高いんじゃないかなという気がしてますかね。
小松隼也
今回の規制の目的からすれば、本当は利益が渡されていたりとか、会社の関係者の場合には宣伝広告をちゃんと付けなさいねということだから、
海老澤美幸
投数の人しか分からなかったというような結果も出ているので、こういったものも難しいというふうにお考えいただいた方がいいかなと思ってますね。
どうしてもやっぱり見栄えというか、かっこよさの観点からこういうのを使いたいというケースもあると思うんですけど、
その場合は、例えばですね、ドコドコ社さんからご提供いただきましたとか、そういった記載でも明らかだというふうにはされているので、
そういったものと合わせ技にしていただくとか、ちょっとそういった工夫は必要かなというふうに思いますね。
小松隼也
消費者というか、我々一般人がパッと見た時に、これは宣伝だ、広告だというのが分かるようになっていればいいということですね。
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
例えばその#PRとかっていう表示、広告もだけど、投稿の下の方に隠れちゃっているような、いっぱいハッシュタグが、
ハッシュタグポエムみたいな感じで、#今日の俺は #ちょっと違うよ #夕日がなんちゃらみたいな、ハッシュタグPRとか。
海老澤美幸
たまにありますよね。それはね、明らかにダメだとされてますね
笑
広告表示のルール付け
海老澤美幸
あくまで#PRとか、#広告とか、そういったものをつける場合でも、分かりやすく表示しなければならないとされているので、
ハッシュタグPRとか広告であっても、本当に見やすい位置に明確につけてもらう必要があるかなというふうに思いますね。
あと例えば動画とかだと、一瞬だけ、数秒だけ表示するっていうのも基本的にはダメだというふうにされていて、きちんと長い動画であれば、
例えば真ん中ぐらいでも表示するとか、一定程度消費者の人がきちんと確認できるような表示をしてくださいというふうにされてますね。
小松隼也
なるほどですね。テレビ番組とか映画とかだと冒頭とかCMの時間に流れるじゃないですか、
ああいうのに関しては、今までの慣習的に100%広告だろうなというふうに分かるというふうに考えられていると思うんだけど、
もうちょっとTikTokとか、Instagramのリール化とか、ああいう動画とかだと、一瞬だけ出るだけじゃダメなんだよね。
海老澤美幸
そうですね。だから一定時間長く表示をしておく必要があるんじゃないかなというふうに思いますね。
小松隼也
結構そういうショート動画、TikTokとかリールとかもそうなんだけど、
あれのスポンサーのものですよっていうもので、商品とかが動画の中に入っているみたいなのもあると思うんだけど、
ハッシュタグPRとか広告がついていれば分かりやすいけど、動画の一部を切り取ってTwitterとかでツイートするやつとかがあると思うんだけど、
ああいうのも、広告表示をつけていかないとまずくなってくるんでしょうね。
海老澤美幸
そうですね。関係性がある、つまり事業者の方で表示内容の徹底に関与していると言える場合は、そういった表示が必要になるというふうになるでしょうね。
小松隼也
結構そのあたりちょっと思わぬところで、今回の規制に引っかかる可能性はありそうですよね。
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
そういったいろいろ新しい規制なので、ルールっていうのをこれから作っていかなきゃいけないかと思うんですが、
社内ルールを具体的に作る場合、どういったことを決めていけばいいと思いますか?
海老澤美幸
そうですね。やっぱり2つ方向性があると思うんですけれども、
まず1つ目は従業員が自社の商品を宣伝する場合っていうののルール付けっていうのは必要ですよね。
基本的には運用基準によれば、プロダクトの開発とか販売とかPRとかそういったところに関わっている従業員が、
例えば匿名で宣伝をするようなケースだとステマに当たるというふうにされているので、
そういった人たちが自社の商品の宣伝をする場合は必ずハッシュタグPRを載せましょうねとか、
あるいは例えばそういったことを業務の一環としてやっているケースもあると思うんですよね、会社によっては。
そういった場合はアカウント名に明確にドコドコ社PRとかそういったものを付けていただくとか、
そういったルール付けっていうのが1つ大事かなというふうに思いますね。
もう1つはやはりインフルエンサーにギフティングをしたり、依頼をしたりっていうところのルールを決めておくっていうのが大事ですよね。
特にこのポッドキャストでも、第1回目でもお話をしてますけれども、
インフルエンサーに関してどういった場合にステマに当たるかというところのお話もしていて、
その際にインフルエンサーが自主的に投稿しているというふうに判断されるためには客観的な様々な事情から判断をするというふうにされているので、
例えば過去にインフルエンサーに依頼をしていたかとか、それがどのくらいの期間かとか、ギャランティを払っていたかとか、
そういったことをきちんと記録としてとっておくということも大事なので、
そういう意味ではそういったことをやった場合は必ず社内で共有をするとか、そういったルールも決めておく必要があるかなというふうに思いますね。
小松隼也
結構そのあたりの客観的な事実、やり取りの内容だったり、お金とか利益、お金にかかる利益を渡しているかどうかっていうのが判断基準の一つになってくるから、
そのあたりをリスト化しておくのが大事そうですよね。
海老澤美幸
一般的に結構ファッションでもビューティーでもそうだと思うんですけど、結構ギフティングなんかは担当者レベルでやってしまうことが多いと思うんですね。
会社がそれを全て把握していることってほとんどないと言いますか、少ないような気がするので、
そういったものもきちんと社内で把握できるように体制を構築しておくっていうのはとても大事ですよね。
小松隼也
結構みんな個人個人でSNSとかでやり取りしてしまっていると思うので、
リスト化しようとしてもできないみたいなことがしょっちゅう起こりそうだから、
これからはそのあたりを個人に任せるとしても誰かちゃんとチェックするような体制を作ったり、
複数のグループでやり取りしてもらうとか、どういった内容のメッセージを送ったかとかっていうのが全部大事になってくると思うので、
インフルエンサーと契約の見直し
小松隼也
そこを見える化共有化するっていうのはまずは大事そうですよね。
海老澤美幸
そうですね。やっぱりそういったものを申告するような会社の方に連絡をするような体制を作っていただくとかっていうのが大事ですよね。
あとは、ギフティングとかをしてもらうときに、どんな送付状の内容にするかみたいなところもよく質問されますよね。
小松隼也
結構送付状のワーディングで判断変わってくるでしょうからね。
海老澤美幸
そうですね。ここはなかなか悩ましいところだと思うんですけれども、
そうですね。結構、例えばお願いしますみたいな投稿、よかったら投稿してくださいみたいな書き方をすると、
おそらくはステマだというふうに判断されるリスクもあるようには思うので、ちょっと書き方は工夫をしていただく必要がありますよね。
小松隼也
そうですね。これはステマが問題になるので、我々は何も指示しておりませんが、良ければとか、なんか難しくなってくるんですね。
海老澤美幸
そうですね。そこをちょっと書いてしまった方がいいのかという問題もありますしね、別途。
小松隼也
担当者レベル、特にPRの人とかギフティングまでやってきた人と、我々みたいな法務の関係者っていうところで、
言葉尻のすり合わせだったりとか、共有をしていって、ひな形的なものを準備しておくっていうのも効果的ですよね。
海老澤美幸
そうですね。とても大事だと思いますね。
小松隼也
この辺りの意見交換というか、法務だけで作るとなかなか実務的に使えないものになってしまうことも多いので、
現場の担当者と我々法務のすり合わせっていうのが非常に重要になってくるようなイメージがありますね。
海老澤美幸
そうだと思います。
小松隼也
これあとはその社内ルールを決めて運用していくっていうのは、これも今すぐにでも始めないといけないと思うんですが、
加えてインフルエンサーだったりとか広告代理店ですよね。
今まで業務委託でやってきているところが多いかと思うんですが、
こことの契約とかもちょっと見直したほうが良さそうですよね。
海老澤美幸
そうですね。例えばインフルエンサーの方にお願いをするとして、
どこにどういう表示をしてもらうかとか、そういったことをきちんと決めておく必要がありますよね。
場合によっては、今回完全にステマ地点の対象は事業者ですから、
インフルエンサーはステマ地点の対象にはなっていないということになりますね。
特にインフルエンサーにお願いする場合、その契約書の中で、
例えば会社の指示でここに表示をしてくださいと、それに従わない場合は契約書の解除とか、
あるいは場合によっては損害賠償請求ができるような、
そういった規定を整備しておくというのも大事かなと思いますね。
小松隼也
確かにインフルエンサーの方が良かれと思って投稿した内容が、
事業者、会社に跳ね返ってきてしまうようになっているということですよね。
海老澤美幸
そうですね。あとは広告代理店と契約をする場合も、
その契約書の中にきちんといろいろな情報を入れておくということが大事かなと思いますね。
小松隼也
そうですね。多分今までのひな形だとここまで具体的に入ってないでしょうから。
海老澤美幸
そうですね。カバーされてないと思いますね。
あとは、例えばファッションなどだと商品を卸しで販売しているケースも多いと思うんですよね。
例えば卸し先に商品を販売していて、卸し先からインフルエンサーに何らかギフティングとか依頼をされた場合に、
おそらく表に出る表示っていうのはブランドの表示になると思うんですね。
その場合、何かインフルエンサーの方がきちんとPRを表示しなかったとか、何らか問題があった場合に、
おそらく行政庁からの指導が入るのは卸し先ではなくて、ブランド側になる可能性が高いのかなと思うので、
卸し先との契約でもその辺りをきちんと決めておく必要があるかなと思いますね。
小松隼也
広告代理店だったり卸し先だったり、間に一人入ることによってブランド側からコントロールできなくなるところが戻ってくる可能性があるから、
海老澤美幸
このあたりは契約で担保するしかないですね。
過去の投稿の対応
小松隼也
あとは結構大きなポイントかなと思うんですけど、過去の投稿に関してどう対応していくか。
まさにこの2023年10月1日から施行されるわけですけど、全部さらってリスト化していくら払って何渡したかとかって、
どっからやればいいんですか?みたいな話もあると思うんですけど、具体的な対応方法としてはどういった対応がお勧めですか?
海老澤美幸
非常に悩ましいところなんですけれども、第1回でもご説明をした通り、10月1日より前の投稿について何か遡及して法律が適用されるというわけではないんですが、
10月1日時点で残っているもの、表示されているものに関しては、ステマ規制が適用される対象になりますので、
なかなか難しいんですけれども、まずはですね、非常に目立つ投稿とかアクティブな投稿っていうのを優先的に対応してもらう必要があるかなというふうに思いますかね。
そういった投稿に関して、例えば自社の従業員の投稿であれば、すぐに従業員に連絡をして変えてもらう、あるいは削除してもらうということが必要でしょうし、
もしインフルエンサーであれば、すぐに連絡を取っていただいて、そのインフルエンサーに対して削除とか修正とかをお願いしてもらうということが大事ですよね。
もしインフルエンサーが連絡が取れないということになると、これは会社の管理下にはないという判断にもなりますから、
その場合はステマに当たらないということにはなりますけれども、インフルエンサーと連絡がつく限りは会社が管理できるよねということになりますので、
そういった対応をまず優先的にしていただく必要があるかなというふうに思いますかね。
小松隼也
確かに行政からの運用指針にはインフルエンサーに連絡がつく場合には会社のコントロール下にあるということで、今回のステマ規制が適用されるということになっていたかと思うんですが、
だから問題になってから連絡を取るんじゃ遅いんだよね。
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
事前に連絡を取って取れるか取れないかを判断しておく必要がありますよね。
海老澤美幸
そうですね。なのでまずは目立つ投稿、アクティブな投稿というものを優先的に対応していただきつつ、並行してこれまでのギフティングの状況とか、
あるいはインフルエンサーに依頼した投稿内容とか、あとは従業員の方が匿名で投稿しているものとか、そういったものをちょっと洗い出して整理していただいて、
対応の優先順位をつけていただくというのが大事かなというふうに思いますかね。
小松隼也
そうですね。その整理の過程で、やっぱり会社の中でこういう情報がないねとか足りないねというやつをシステム化していって、
ステマ規制について
小松隼也
今後のギフティングとかにあたっては連絡先もそうだし、いつ何を渡してどういうやり取りをしていたかというところを全部リスト化していってもらうというのが大事ですかね。
海老澤美幸
そうですね。おっしゃる通りだと思いますね。
平行して社内のそういうルールといいますか、さっきのルールの整備と、それから社内体制の構築っていうものを進めていただく必要があるかなというふうに思いますね。
小松隼也
まずはできるところから、増やすところから対応していってもらうというのが一番良さそうですね。
海老澤美幸
そうだと思います。今後ですね、消費者庁の方からQ&Aも出すよというふうに言ってますから、
そういった動向にも注意をして対応について検討していただく必要があるのかなというふうに思いますね。
小松隼也
そうですね。行政から新しい情報がアップデートとして出れば、我々もこのみこたまファッションロー&ビジネスで説明というか紹介していきたいなと思いますし、
我々も日々ご相談に乗って新しい相談のQ&Aが結構たまってきているので、
セミナーも前回やりましたけど、もう少しこれが実際に動き出す10月以降に2、3回新しくやっていきたいなと思っているところなので、
海老澤美幸
そうですね。またキャッチアップの機会で。
小松隼也
新しいセミナーのアップデートしたものも参加してもらえればと思いますし、もしご相談があればご連絡いただければと思います。
海老澤美幸
はい、ぜひぜひ。
小松隼也
今回は一番ホットトピックであったステマに関してお話ししましたが、
商標に関する話題
小松隼也
次回はですね、ちょっとやっぱりまたステマと同じぐらい相談の多い商標ですかね。
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
中内弁護士と商標に関しては何度か解説してきたんですが、このみこたまファッションロー&ビジネスをやった以降もですね、
新しい相談が山のように来ておりまして、やっぱり海外でですね、商標取りづらいとか、ブランドの名前変えなきゃいけないとか、サービスの名前変えなきゃいけないとか、
結構やっぱりファッションに限らずスタートアップのご相談もすごく多くなってきていて、
海老澤美幸
そうですね。
小松隼也
ちょっと我々もですね、何か新しい体制とか啓蒙活動をもうちょっとしていければいいなというふうに思っているところなので、
改めて商標に関してお話ししたいなというふうに思っております。
小松隼也
はい。
では皆さんご視聴ありがとうございました。
海老澤美幸
ありがとうございました。
さようなら。
小松隼也
さようなら。
海老澤美幸
ファッションローに関するお問い合わせは、
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