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海老澤美幸
みこたまファッションロー&ビジネス。
ファッション業界のさらなる発展を法律で後押しする。
そんな思いから、このポッドキャストは、
アパレル経営者やデザイナーの方々に向けて、
ファッションローの専門家だからこそ分かる
法律の落とし穴や誤解を分かりやすく解説。
ファッションの法律に特化した旬なナレッジをお伝えします。
小松隼也
はい、では第6回みこたまファッションロー&ビジネス。
今回は私弁護士小松隼也と
中内康裕
私弁護士中内康裕が2名でお送りしたいと思います。
小松隼也
内容はですね、今回は商標に関するお話の発展版ということで、
最近ですね、話題になっているデジタルコンテンツに関する商標の話と、
中内弁護士が法改正を担当した氏名商標、
小松隼也とかですね、
そういう名前に関しての商標登録が可能かどうかという部分に関するお話をしていきたいと思います。
中内康裕
はい、よろしくお願いします。
小松隼也
よろしくお願いします。
中内康裕
お久しぶりの商標会ですね。
小松隼也
はい、そうですね。
ステマ規制が最近大変ホットだったので、
ステマ規制のお話をしてきましたが、
ちょっと商標もですね、やっぱり相談が多いということで、
中内さんと商標の話をしていきたいと思います。
中内康裕
そうですね。
はい、お願いします。
小松隼也
では早速なんですが、デジタルコンテンツいろいろあるとは思うんですけど、
ちょっと前まですごいホットな話題だったNFTとか、
NFTに限らずメタバース空間とか、
ファッションの場合だとデジタルコンテンツ化っていうのは結構親和性が高いと思うんだけど、
デジタルコンテンツに関して商標登録する上で何か注意するべきこととか、
特別気をつけておいた方がいいことっていうのはありますかね。
中内康裕
そうですね、デジタルコンテンツいっぱい気をつけた方がいいこととかあります。
その中でも、まずはそもそも今ファッションブランドとして商標を持っている方は、
いっぱいいらっしゃると思うんですけど、
そもそもデジタルコンテンツの分野とか範囲で、
商標を持っていない人が多いのかなっていうふうに思ってます。
小松隼也
一番最初って衣服をカバーする25類とか、
小物とか靴とかはやるかもしれないから、
ちょっとその辺りは登録しようっていうブランドも多いと思うんだけど、
デジタルコンテンツ最初から登録してるところってやっぱ少ないよね。
中内康裕
そうですね、ファッションブランドだとほとんど私は見たことがないかな。
NFTとかが話題になる前にデジタル系の範囲でカバーしているファッションブランドってあんまり見ないかなっていうふうに思ってます。
小松隼也
ファッションブランドとかだと衣服で25類を取るとか小物とか靴とかは販売するかもしれないから、
その辺りは幅広いに取ろうっていうところはあると思うんだけど、
デジタルコンテンツまで最初から取っておこうっていうところはあんまりなかったですよね。
03:03
中内康裕
そうですね、そもそもまだ昔はデジタルコンテンツでファッションブランドが何かやるのかっていうのはまだ全然世の中的にも明らかになってないというか、
まだまだメジャーじゃなかったのかなと思います。
小松隼也
だから服で25類取ってるから、服をデジタルコンテンツ化したら25類で守れるんじゃないの?っていうとそういうわけじゃないってことだよね。
中内康裕
そうですね、そこら辺はちょうど1,2年前に韓国とか他のEU圏内でも色々議論はあったところなんですけれども、
基本的に物としての、いわゆる25類の服を商標としてカバーしたとしても、デジタルコンテンツの服、
バーチャル空間で例えばアバターが着るような服について25類の今までの区分でカバーできるかというとできないっていうような見解がメジャーになっております。
小松隼也
服に限らず、例えばプロダクトデザインだったりとか、色々なサービス、製品に関してデジタルに関しては別途登録する必要があるよってことだよね。
中内康裕
そうですね、本当に具体的なことを言うと、9類っていう分類があってですね、そこではダウンロード可能なコンピュータプログラムといったような商品、
あと他にも41類って言って、こっちはどっちかっていうとダウンロードせずにクラウド上で例えば何かデジタルのグッズをクラウド上で利用できるっていうようなサービスを考えるときには
41類っていうような区分を取ったりするんですけれども、デジタルコンテンツだったりNFTの事業を進出しようっていう風に考えているブランドに関しては9類とか41類は欠かさず取っているっていう風なイメージです。
実際に日本でもですね、ナイキとかニューバランスとかそこら辺NFTの産入を表明しているブランドはここら辺は9とか41とか、場合によってはバリエーションが他にもあったりするんですけれども、ここら辺の区分は抑えているっていうようなイメージです。
小松隼也
なるほどですね。これデジタル展開っていうのを会社立ち上げた時とかブランド立ち上げた時はまだあんま考えてないから、やる時になったら取ればいいですかねって質問多いと思うんだけどそこはどうですかね。
中内康裕
それは多いですね。ここら辺意外に誤解されている方も多いんですけれども、例えば我々MiKoTamaというブランド名で例えば25類の衣服について権利を取っていましたと、プラスα例えば18類のカバンに関しても商標として権利を取っていましたっていう風な場合でも全く別の人がまさにこのMiKoTamaっていう商標でこの9とか41とかいったデジタルコンテンツの区分を
取ることは制度上可能になっています。なので今展開する予定がなくてもですね将来展開する可能性が少しでもあるんであればデジタルコンテンツの範囲を商標としてカバーしておかないと第三者にそこの範囲を全く同じブランド名で横取りされちゃうっていう風な可能性はあるかなと思っています。
06:07
小松隼也
これじゃあ仮にうちはもうデジタルよくわかんないし、多分将来やることもないですよっていう場合は横取りされても問題がないかもしれないって思っちゃうんだけど、これじゃあもう絶対うちは自分たちはやりませんよっていう時は取らなくても大丈夫なの?
中内康裕
うちで将来デジタルコンテンツを展開する予定がないから権利としてはわざわざ取らなくてもいいかなっていうケースはよくあると思うんですけれども、こういった時に全然関係ない第三者が例えば全く同じブランド名でNFTの何かした時にブランドとしてそれを止めることができないっていうようなリスクがありますね。
小松隼也
うーん、なるほどな。だから紛らわしいものが出てきちゃうのを防ぎたいっていう場合であれば防御的に取っておくっていうのも1個考える余地があるってことだね。
中内康裕
はい、まさにその通り、保険とか防御のために取っておいてもいいんじゃないかなっていうお話です。
小松隼也
この辺ってじゃあ具体的に裁判とかそういう紛争になったケースとかってあるんですかね。
中内康裕
そうですね。日本だと実はまだ紛争になったケースはないんですけれども、海外ではもう裁判になってしかも決着がついたっていうようなケースもあって、
一つはメタバーキンという呼ばれるNFTのアイテムとまさにそのバーキンを販売しているエルメスが戦ったっていう風なケースがあります。
小松隼也
メタバーキンってどういうサービスだったの?
中内康裕
メタバーキンはデジタル上でのアーティストというかデジタル上でアート作品を発表しているメイソン・ロスチャイルドという方がいたんですけれども、
その人が例えば環境破壊とか毛顔ファッションで使うことがどうなのかとかそういった問題提起をする意味でですね、
メタバーキンと称してバーキンの形をパロディしたNFTのアートを販売しておりました。
小松隼也
バーキンの形をしてるんだけど色がすごい違ったりあるよね。
ちょっとくっついてたりするやつだよね。
中内康裕
そうです。すごい毒々しい色を使ってたり、ファーを使ってたり、本当のバーキンにはないようなデザインをしたアート作品を作っていましたね。
小松隼也
結構な金額で割と数も売れてたよね。
中内康裕
そうです。これ100点ほど売ってて、しかもそれぞれ450ドルなんで6万円前後ぐらいですかね。
で販売されて、実際に売れていたっていうような状況でした。
なるほど。それに対してエルメスが訴訟を提起したと。
そうですね。エルメスまさにバーキンという名称で商標を持ってましたし、その他にもバーキンのカバンの形で、現地ではトレードドレスっていうような権利にはなるんですけれども、
日本でイメージすると立体的なデザインに関する商標を持っていたりしました。これらの権利を根拠にメタバーキンを訴えたっていうようなケースになっています。
小松隼也
バーキンってもともと商標はどういう登録をしたんですか?類とかサービス区分は。
09:04
中内康裕
そうなんです。実はこれはバーキンはいずれもトレードドレスもバーキンという名前の商標も18類というカバンの区分で登録していました。
小松隼也
エルメスとしてはなかなか難しかったんですか。
中内康裕
実はここは日本とアメリカの制度が違っているので、ちょっと難しい話にはなるんですけれども、アメリカでは最終的な侵害かどうかという判断は、どちらかというと区分みたいな話よりも、
誤認混同しますかっていうようなところがメジャーな基準というか、そこが最終的な要件というか、誤認混同するかどうかという意味で最終的なジャッジがされております。
小松隼也
そうすると結果としては?
中内康裕
そうですね、最終的な結果としてはエルメスが勝っているんですけれども、ロスチャイルドス的にはこれは表現の自由、アートだから表現の自由だと、だから許されるんだというような主張もしているんですけれども、裁判所としてはそこには正直深入りはせずに、
バーキンの知名度とかそういった要素を加味してですね、こういった名称を使っていればエルメスが関与しているように誤認するだろうというようなジャッジをして、実際にエルメスが勝って、このメタバーキンも販売差し止めだったり名称を使うなというような判断がされています。
小松隼也
うん、これただ日本でじゃあバーキンというかエルメスは18種類のカバンだけでデジタル止めてるからじゃあ大丈夫ですよねってわけではならない。
中内康裕
はい、まさにそうです。日本だとですね、基本的にその登録しているロゴとかマークが似ているかっていうのが一つと、もう一つはその実際に登録している権利の範囲ですね、カバンについて登録しているのかとか、服について権利を登録しているのかっていうその2つのポイントが基本的に似てないと止められません。
なので日本だと旧類とか先ほど言った旧類とか41類とかデジタル関係の商品についてカバーしていないと日本では止めれないっていう別の判断になると思います。
小松隼也
なるほど。はい、まあでもそういった背景もあって、最近エルメス自体もNFTに参入を表明していて、日本では日本に限らず世界各国でもそうだと思いますけれども旧類とか41類とかデジタルの範囲についていろんなブランドがですね権利を取っているっていう状況にあります。
中内康裕
ちなみによくうちでも海外のクライアントが日本でそれ旧類とか41類取りたいよって言ってご相談に来るケースもありますし、逆にあの日本のブランドで海外でもちゃんと例えば中国とか韓国でも9類とか41類で権利をカバーしたいっていうようなご相談も結構あったりします。
小松隼也
なるほどですね。これじゃあさっきのエルメスの話とはまた別で、ナイキとストックXの紛争というのはどういうものだったんですか?
12:05
中内康裕
そうですね、ナイキとストックXも実はアメリカで揉めていてですね、ストックXもしかするとご存知の方も多いかもしれないんですけれども、ざっくり言うとスニーカーの二次流通プラットフォームで中古のスニーカーを買ったり売ったりできるっていうプラットフォームがあります。
で、そのプラットフォーム上でですね、ストックXが独自にボルトNFTっていうNFTを発行しました。で、このNFTっていうのは実際にあのストックXが在庫としているスニーカーとですね、紐づいた、要は引換券として機能するようなNFTをサービスとしてローンチしたっていう風な背景があります。
例えば、そのNFTを持っているとNFTと交換して、ストックXの在庫にあるスニーカーを実際に自分の手元に送ってもらうというか、交換することもできますし、わざわざそこまでせずにNFT単体で他の人に、例えば私がナイキのスニーカーのNFT、あるスニーカーのダンクとかでもいいんですけど、NFTを持ってましたっていうときに、これをストックX上で小松さんにNFTを売りましたってなると、
NFTを小松さんが持っているっていう状況になるので、小松さんはこれをダンクと引き換えることもできますし、そこまでせずにNFTとして他の人に売却するっていうことができるっていうサービスが実際にローンチされました。
小松隼也
NFTにそういう経済的な利益があるんじゃないかって話だと思うんだけど、これってNFT自体にナイキっていう名前が使われているって形になるのかな?
中内康裕
そうですね、まさにストックXボルトNFTみたいな感じで検索していただくと出てくるんですけれども、何でしょう、ステッカーというか、画像上はNFTが存在するわけではないと思うんですけれども、それを模したデジタルのカードみたいな感じのものがあって、そこにそれと紐づいたスニーカーの写真ですね。
当然、ナイキのスニーカーであればスウォッシュが入ったスニーカーの写真、他の例えばアディダスのスニーカーであればアディダスのスニーカーの写真みたいなのが乗っかったイメージがですね、出てきます。まさにそのNFTにナイキのロゴだったり、ナイキの名称を使っているので、ナイキは自分の商標権勝手に使うなっていうふうな形で訴えたっていうような事件です。
小松隼也
なるほど。これって言ったら、日本の卸売のお店とかがナイキのスニーカーとかを販売している場合とは違って、スニーカーとは別のそういうNFTっていうものにナイキのマークを使っているから商標侵害だって話になっているんですか?
中内康裕
そうです。まさにその点がですね、今裁判所でも揉めていてまだ決着出てないんですけれども、ナイキとしてはNFTだからこそ価格が高騰してたりそういった状況があって、もはやそれってスニーカーそのものの売買じゃなくて、NFTっていう別個のデジタル資産とかデジタル的なアイテムを販売してるんじゃないのっていうような形でナイキはストックXを訴えたって話ですね。
15:14
小松隼也
なるほど。そこにナイキのマークを使うんだったら、ちゃんと商標権必要だよね。
中内康裕
そうですね。
小松隼也
ってなってくるわけですね。
中内康裕
ストックXとしては当然これは単なる引き換え性であって、普通のスニーカーショップがタグとかにナイキのロゴがあったり、もしくはチラシとして自分の商品を載っけているのと大して変わらないんじゃないかというか、単に引き換え権としてあるだけで、あくまでナイキの商品を、ナイキのスニーカーを販売しているだけですよっていうような形で反論していて、まだここは決着が出ていない。
NFTの他にもいろいろと争点があったりして、この裁判はまだ続いているっていうような状況です。
小松隼也
なるほど。
これってまだアメリカでも結論が出てないと思うんだけど、日本でもNFTに限らずデジタルコンテンツを絡めたビジネスってファッション以外でもすごいたくさん出てきているイメージなんだけど、デジタルが絡んだ時点で商標の区分としてはやっぱり広めにとっておいた方がいいってことなの?
中内康裕
そうですね。おっしゃる通りですね。取っておかないと警告が来たとか、使われた時に警告できないっていうような可能性があるので、そういう意味でも幅広にとっておくと後々安心かなと思います。
小松隼也
確かに裁判例としてはまだあんまりないけど、うちの事務所でもそういう相談は結構今もあるよね?
中内康裕
あります。ありますし、実際にQ-rateが41で出願しているケースもありますね。
小松隼也
でも取っておいてもらったら権利侵害に関しては主張しやすいし、取ってない中でこれ取られちゃうかもしれないし、主張できないかもしれませんよっていうリスクは常にある。
あると思います。まさにメタバース上でアバターが着る服とか靴とか、メタバース上でコンテンツとして、アートでもいいと思いますけど、それを表現するっていう風になった時にやっぱりどんなものでもメタバースと絡めてデジタルコンテンツになる可能性はあるかなっていう風に思います。
そうですね。ここに関してはビジネスモデルを今後どうしていくかっていうところと絡んでくる話なので、会社内だけで判断するっていうよりは専門家といろいろ話して、将来的に広がる可能性だったり絡む可能性があればここは取っておいた方がいいんじゃないですか?
コスト感の話もあると思うし、国をどこまで取るかって話もあると思うので、うまくリスト化してできるだけ事前に取っておいてもらった方がコストも低く済むよって感じですかね。
中内康裕
そうですね。まさに日本もですし、世界も視野に入れてトータルでご相談いただくっていう感じになるかなと思います。
小松隼也
なのでデジタルコンテンツ、NFTに限らず考えていらっしゃる方は一度検討してみてもらえるといいかなという風に思います。
ではデジタルに関する話に引き続き、中内さんが法改正を担当された氏名商標に関してはお聞きしたいと思うんですが、氏名商標に関してはどういった動きがあるんでしょうか。
18:12
中内康裕
はい。氏名ですね、人のフルネームを含む商標については、2023年に法改正があって登録できるようになりました。
それで最近なんですけれども、まさにこの制度が今年ですね、2024年の4月からスタートするっていう風に特許庁の方でも発表があったところでございます。
小松隼也
そもそもこれまでっていうのは、人の氏名、名前に関する商標っていうのはどういうルールになってたんですかね。
中内康裕
実はですね、人のフルネームを含む商標については、基本的に同姓同名の他の他人がいた場合には、その人の承諾をもらわないと登録できないっていう風な制度になっていました。
小松隼也
基本的には同じ名前の人って結構多いから、そうすると登録できないっていうのはほとんどだったってことかな。
中内康裕
そうですね。日本の方のフルネームだと、当然日本の中に同じフルネームの人がいる場合が結構多いと思うので、そういった場合は登録できないっていう風な法律と、最近の運用にはなっていました。
小松隼也
結構でも、何だろう、ヨウジ・ヤマモトとか、なんか昔からあるブランドに関しては、人の名前がその商標として登録されていると思うんだけど、それはやっぱ昔は登録できたけど最近はダメだったっていうことなんですか。
中内康裕
そうですね。おっしゃる通りその疑問って結構あると思います。実は法律上は明確に他人の使命というか、同姓同名の人承諾をもらわないと登録できないっていう風に書いていたんですけれども、おっしゃるように有名なブランドの中でも人の名前を含むブランド名っていうのは結構あると思います。
これは、昔は割と特許庁という審査機関が運用上の工夫で、同姓同名の人からの異議がなければOKをしましょうとか、名字と名前との間にスペースを含まない形で一見名前と見えないような表記をしている場合には、ちょっと例外的に登録を認めましょうっていうような運用が法律ではなくて、事実上されていて、
昔のフルネームを含むブランドっていうのは登録されてきたっていう歴史が実はあります。ただ、最近そういった出願が裁判上でも問題になって、そういったフルネームを含む商標について法律の要件を満たしているのかというような裁判所の判断がいくつかあったんですけれども、
いずれも厳しい判断で、法律の記載通りに判断して同じ名前の他人がいる場合にはその人の承諾をもらわないと原則通り登録できませんというような厳しい一律の判断が最近の裁判例ではされていました。
小松隼也
若手のデザイナーさんだったりとか、結構ブランドに自分の名前つけるってこれまでに伝統的に行われてきたからやっぱりつけたいっていう人も多いと思うんだけど、今度は2024年の4月からはつけられるようになるっていうことでいいのかな?
21:15
中内康裕
そうですね、全てつけられるっていうわけではないんですけれども、特に新しいブランドのデザイナーさんにとっては前の制度とは違ってかなり取りやすくなるっていうような状況に変わりました。
小松隼也
具体的にはどういうふうにやればいいんでしょうかね?
中内康裕
具体的に制度として、同性同名の他人がいた場合でもですね、その他人が自分が取ろうと思っている商標の分野で有名な人ではなければ登録ができるっていうような制度になりました。
具体的には、例えば私がファッションブランドを始めようと思って、25類の服の分野でNakauchi Yasuhiroっていう風なブランド名で商標を取ろうっていう風になった時にですね、服とかカバンとか、はたまた場合によってはジュエリーとかですね、そういった服に関連するような、いわゆるファッション的な分野で
私と別のですね、なかうちやすひろさん、有名ななかうちやすひろさんがいなければ私の出願が認められる。他に有名な人がいなければ自分の名前を含む商標は基本的に出願が認められるという風な制度に変わりました。
小松隼也
それなんか他に有名な人がいるかどうかって特許庁の方で判断してくれるの?
中内康裕
そうですね、特許庁で判断をするっていう制度になってます。
小松隼也
そしたらまあとりあえず出すときは出してみればいいのかな?
中内康裕
そうですね、まずは出してみて特許庁の判断を待つっていう風な感じにはなると思います。
小松隼也
なるほど、じゃあ似てる分野の中に有名な同じ名前の人があるかどうかって、ファッションだったらだからファッションだけじゃなくてジュエリーとかそういうだから関連領域の中にいるかどうかっていう風な判断になってくるんだね。
中内康裕
そうですね、このちょっとファジーな要件と言いますか、その関連する分野っていうのはちょっとわかりづらい部分もあるかなと思います。
仮にその服で出願しますっていう風になったときに、完全に服だけで同じ名前の人がいるかどうかを判断するっていうのはまあわかりやすいんですけれども、それよりももうちょっと幅を持ったまさにファッション分野っていう風な範囲で有名な人が他にいるかどうかっていう風な判断になりますね。
小松隼也
じゃあスタイリストとかでいたらアウトみたいな話でしょ?
中内康裕
可能性はあると思います。
ちょっとファッションと離れるんですけど、特許庁側も一応これに関しては具体例っていうか資料を公表していて、
例えばその私が、小松さんの名前勝手に使いますけど、『JunyaKomatsuの素』っていう中華の素とかチャーハンの素の商標を取ろうと思いましたっていうときに、
24:03
中内康裕
全く別に中華料理店を営む小松じゅんやさんがいて、その中華料理店が結構新聞とか、例えば食べログの百名店とかで結構有名になっている場合には、
チャーハンの素と、あと飲食店サービスというか中華料理店って厳密には一緒ではないんですけれども、関連する分野の中で同姓同名の有名な小松じゅんやさんという料理人がいる場合には、
我々が出そうと思っていたチャーハンの素、『JunyaKomatsuの素』っていうチャーハンの素の商標は出願が認められなくなるでしょうっていう風な制度になっています。
小松隼也
なるほど、それはだから元々いる人が、その人は商標を取ってなくてもいいと思うんですよね。
中内康裕
そうですね、取ってなくてもいいです。
小松隼也
その名前で仕事をしてたら取れなくなっちゃうかもしれないという有名な人がいればだよね。
中内康裕
はい。
小松隼也
有名ってどれぐらい、中華でどれぐらい有名なの?
中内康裕
ここって実は結構難しいというか、最近まで審査基準としてどういう風に審査しますかっていうような議論もされていて、
ただそこでも明確なウェブサイトとかに取り上げられて、ちょっと検索したらその名前が出てくるっていうような、ある程度のレベル感でも有名という風に判断される可能性はあるかなっていうような議論の状況です。
小松隼也
なるほど、じゃあ趣味で中華作ってくらいだったらあれだろうけど、
中内康裕
はい。
小松隼也
お店もおって、普通のお店ぐらいだったら大丈夫なんだろうね。
そうですね。
割とだからメディアに取り上げられたりとか雑誌に載ったりとかしてくると引っかかってくる可能性がある。
中内康裕
そうだと思います。単純に名前検索で出てくるぐらいではダメかなっていう風に思います。
小松隼也
なんかファッションとかインフルエンサーとかね、その辺どの抜点が起きてきたりするかもしれないよね、じゃあ。
中内康裕
ありますね。インフルエンサーで有名な同じ名前の子がいましたとか。
小松隼也
まあアウトになっちゃうかもね。
中内康裕
なる可能性が高いなと思う。
小松隼也
それちなみにじゃあ特長から、じゃあ似たような分野で、ちょっと有名な人いるからちょっとあなたの名前は登録できませんってなっちゃったらもう登録できなくなっちゃう。
中内康裕
反論するチャンスは残されているので、審査の中で一度反論する。反論の仕方もなかなか難しいかなっていう風に思うんですけれども。
あの人有名じゃないよね。
そうですね。一つそう有名じゃないとか、ちょっとその分野として遠くないですかっていう風に。
例えばその私が取ろうと思っていた分野は服なので、もう一人の中内康博さんの商品だと誤解する人はいないでしょうっていうような論法で反論していくしかないかなっていう風に思います。
小松隼也
なるほどなるほど。まあかぶんないよねっていうことだよね。
中内康裕
まあそうですね。
小松隼也
これちなみにあとその有名な人から許可もらえば取れる?
中内康裕
あ、そうです。その部分は前と一緒でですね。仮に有名な人がいてもその人から承諾をもらえれば登録できるっていう風な制度になってます。
小松隼也
なるほど。なるほどですね。そっか。それがじゃあ4月から始まるってことですね。
27:03
中内康裕
はい。あと一応細かい要件はもうちょっとあって、その出願しようとする商標とそこに含まれている名前と出願人との間にですね、関連性があるか。
当然自分の名前だったら自分の名前ですとか、あともしくはあの企業さんが出願する場合には所属しているデザイナーの名前ですとかそういった場合には当然関連性はあると思うのでここは難なく認められると思いますし、
あともう一つ不正の目的がないかっていう要件があって、この点もですね自分の名前だったら当然不正の目的はないと思うんですけれども、
全然関係ない他社の名前をこのブランド売れそうだから先に自分が横取り的に商標を取っちゃってそのブランドに後々売りつけようみたいな不正の目的が明らかに見えるっていうような場合には出願を当然認められないことにはなりますけれども。
小松隼也
なるほど。そしたら若手のデザイナーとかで取ってないブランド、デザイナーの人とかの名前を将来取るだろうから先取っちゃおうって言って取って売りつけするみたいなそういうのは不正の目的がダメになる。
中内康裕
そうですね。なかなか不正の目的を審査官の方が判断するのは難しいと思いつつ、全くその出願しようとして横取りしようとしている人の名前と全然関係なくて、
かつその同じ名前の若手デザイナーの名前のブランドがちょこちょこメディアに出てきているみたいな状況があれば場合によっては不正の目的あるよねっていうふうな形で拒絶されるっていうパターンも多いかなと思います。
小松隼也
なるほど。取られちゃった後にあの人不正の目的だから取り消してくださいよみたいなのもある?
中内康裕
ありますね。まさにそれは無効審判という形で審判提起してこういった不正の目的があるからこれは取り消してくださいっていうふうな判断もあるので、仮に取られたとしてもそういった手法は取れるかなというふうに思います。
小松隼也
まあとはいえ早めに出すに越したことがないってことで。
中内康裕
おっしゃる通りですね。取られたものをひっくり返そうと思うとやっぱり弁護士とか弁理士の先生にお願いする。
費用がかなり高くついちゃうので本当に4月の段階で用意どうになるので早めに出願してですね登録するのが一番コスト的にも低く済むのではないかなって思います。
小松隼也
そしたら名前で取ろうとしている人は4月1日にはわーってみんな出す?
中内康裕
出すと思いますね。
その幼児山本とか滝沖口とか有名なブランドでもちょっとロゴとかを変えて最近また取り直そうとしたときに拒絶された例とかもあってですね。
そういったブランドも今後はすんなりと取れるようになってくると思うのでやっぱり4月の段階でそういった出願は増えるのかなっていうふうには思いますし。
我々もご相談いただく中でちょっとこれはフルネーム含まれてて取るの難しいかもしれませんっていうふうなご案内をしてたケースもあるんですけれどもこういったケースもだいぶ取りやすくなるのではないかなというふうに思います。
30:06
小松隼也
そうですね。そしたら日本でも取って4月以降に取って海外も取って果たして安定してブランド運営できるということですね。
中内康裕
はい。
小松隼也
よかった。
中内康裕
そうですね。本当に若手デザイナーさんには朗報ですし私もこれ担当してる中でメインのターゲットはやっぱりファッションブランドの若手デザイナーの人たちがちゃんと商標を取って日本でもしっかりブランド運営できるようにっていうのが目的だったのでそういったものも達成できそうで私としても個人的には嬉しいかなっていうふうに思ってます。
小松隼也
ちなみに余談なんですけど中内さんが特許庁で仕事してるときにファッションブランド以外に名前使ってる分野とかあったりするんですか?
中内康裕
調査研究の中ではやっぱりファッションブランドがメインではあったものの多少は化粧品ブランドとかですね。
そういった会社にヒアリングはありました。
ただ小松さんがよくおっしゃるようにアートギャラリーとかですね。
小松隼也
ギャラリーね。ギャラリー名前だね。
中内康裕
そうですね。そういったところは意外に考えが及んでないというか。
小松隼也
取ってないからね。もったいないので取っておかないとね。
中内康裕
そうですね。なのでそこら辺もターゲットにはなってきそうです。
小松隼也
確かに。あとお菓子とかそうだよね。
中内康裕
そうですね。
小松隼也
そうだよね。サダハルアオキとか、星鎧塚とか。
中内康裕
そうですそうです。パティシエさん。
小松隼也
パティシエさんの名前多いよね。
中内康裕
多いですよね。お店の名前とかで。
そうだよね。多いんだよね。
まさに飲食店はちょこちょこあるなっていう話というか、調査研究には上がってましたね。
小松隼也
なるほど。その辺が取れるようになるというのは良かったですね。
中内康裕
はい。
小松隼也
そんな法改正がされて、この2024年の4月から実施されるということなので、
ぜひ皆さんその辺りも気にかけてもらえるといいかなと思います。
はい。
というところで、今日のみこたまファッションロー&ビジネスはここまでとしたいと思います。
次回はですね、最近もサスネナブルの流れとかでも割と需要も数も増えてきていると思うんですが、リメイクですかね。
リメイクに関してもですね、結構法律の落とし穴というか、意外に荒れそうなのっていうような権利侵害リスクだったり、
逆にこうしたらうまくやれるみたいなところもあったりするので、
少しリメイクに関して次回はお話していきたいと思います。
またぜひ次回もお聞きください。
中内康裕
ありがとうございました。
海老澤美幸
ファッションローに関するお問い合わせは、
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