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2022-02-04 17:21

今日の10分de1テーマ「掃除婦のための手引き書〜愚かな聖人の滑稽な尊さ」について

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本職は編集者のエイドリアン太郎が1日1テーマを決めて10分話すpodcastです。 ※ご意見、ご感想、質問や話のお題などありましたら eidoriantarou@gmail.com へお便りください

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はい、というわけで始まりました。
本日はですね、
掃除布のための手引書という短編集がありまして、
ルシア・ベルリンっていうアメリカの小説家の人ですね、女性で、
活動期間が本当、なんか10年、20年くらいで、
すごい作品数少ないみたいなんですけど、
シングルマザーかなんかで子供を一生懸命育てながら、
たまに働きながら小説書いてたみたいな人でですね、
この掃除布のための手引書ってちょっと話題になったんで、
ちょっと前に買ってたんですけど、読んでなかったんですけど、
一編一編めちゃくちゃ短いんですけど、
すごい小説、というかすごい短編揃いでですね、
これはすごいなと思いまして、
で、ちょっとその話をしたいなと思うんですけど、
どれもですね、すごい短編だったんですけど、
僕まだ半分しか読んでないんですけどね、
良いと悪いっていう短編があってですね、
これが僕今のところすごい良かったなと思ってるんですけど、
なんかですね、主人公の女の子が女子大生でですね、
チリに住んでるんですよね、アメリカ人なんですけど、
で、お父さんがですね、チリの鉱山かなんかで仕事してて、
で、あの子、インターナショナルスクール感覚でですね、
チリの大学に通っていると、
で、アメリカ人の友達だけとつるんで通っているんですけど、
そこのですね、アメリカ史を教えている先生がいるんですね、
その先生はですね、すごくずんぐりむっくりしててですね、
おばさんでですね、服装も汚くてですね、
なんか、とにかく垢抜けないんですよ。
でですね、もうボソボソとアメリカ史を教えるみたいな人らしいんですけど、
でですね、その先生をですね、めちゃくちゃこう馬鹿にしてるんですよね。
で、馬鹿にしててですね、なんかちょっとこんな質問したら
ヤキになっていろいろ話し始めるぞって言って、
ああ、ほんとにそんなリアクションする?みたいな感じのですね、
いじってたりとかしててですね、
えーと、キャッキャキャキャですね、
まあ、若い女の子たちがおばちゃん先生をいじってるみたいな感じなんですけど、
まあですね、この場面でですね、僕は中学校の時の数学の先生を思い出したんですけど、
ずんぐりむっくりしてるおばちゃんの先生でですね、
みんなにいじられてるみたいな。
でですね、その、なんですけど、その先生がですね、
その主人公の、特によくいじってくる主人公に対してですね、
あの、あなたは実はいい人なのわかってるよ、みたいな感じでですね、
だからあなたは見込みがあるから、
私と一緒に、私が実はチャリティ活動してるんだと。
私はその、まあこれ1950年代くらいの舞台か、あの年代の舞台だと思うんですけど、
私はその共産主義、共産党に所属してて、
で、それの考えも元にチャリティ活動をやってると。
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で、えっと、そのチリのね、その貧しい人たちを応援したりとか、
その地元の革命活動してるような人とも交流してるのよって。
で、あなたも来ないって言ってですね、
で、え?何それ?ってなるんだけど、
革命かか、なんかちょっと、なんかちょっとなんか危険な感じがして面白そうかもと思って、
じゃあちょっと一日土曜日行ってみようかなって行くんですよね。
で、行ったらですね、すごいこう、そのおばちゃん先生が張り切ってですね、
あのこうトラックに乗せて、この貧民の子どもたちに渡す、
あげるご飯用意しないとね、みたいな感じで、
あのブーンって運んでですね、
すごい汚いゴミ山みたいなところからですね、子どもたちがウラウジャウジャ出てきてですね、
みんなご飯を受け取ってくと、
はいはいはいはいはい、いっぱいあるわよ、みたいな感じで渡しててですね。
で、なんなんですけど、その時に主人公はですね、
そことフツリ合いなですね、めちゃくちゃ綺麗な格好をしてるんですよね、
シャネルとか着てるんですけど、
子どもが珍しがってですね、このストッキングとか触ってくるんですよね。
そしたら、あなたも好かれてるみたいね、とかって言うんですけど、
いや、そういうんじゃなくて多分、ストッキングとかシャネルとかが、
の食感とかが珍しいだけだと思うんだけど、みたいな感じでですね、
とにかくそう奉仕活動をしていると。
で、あの、でちょっと革命の活動をしているところにも行こうか、みたいな感じで行くんですけど、
その女の子はですね、チリで生まれ育っているんでスペイン語をしゃべれるし聞き取れるんですよ。
なんですけど先生の方はですね、スペイン語を今頑張って勉強中みたいな、
あの、人民のみんなともちゃんとコミュニケーション取れるように、
スペイン語もしゃべれるようにならないとね、みたいな。
でもあなたしゃべれるんだったら通訳して、みたいな感じでですね、
まあその、なんか革命家グループみたいなのがいる鉱山みたいなところに行ったりとかするんですけど、
革命家グループとかは、もう本当に言葉だけでですね、
ただのこう下品た集団でですね、
下品なジョークとですね、金の話しかしてないのをスペイン語をわかっている主人公がわかるんですよ。
でもわからないですね、そのおばちゃん先生はですね、
必死になってこう、あの、私たちの理想を実現するために頑張りましょうね、みたいなことをですね、言ってるんですけど、
みんなですね、また変なアメリカのババアが来やがった、
なんかしかも変なアメリカの女連れて、みたいな感じですね。
とにかくチリ人はみんなですね、アメリカにCIAとかによってですね、
政府のコントロールとかがあったりとかしたんで、
めちゃくちゃみんなアメリカ嫌いなんですよ。
だからアメリカ人の女がいるっていうだけでですね、
めちゃくちゃスペイン語で毒づいてるんですけど、
先生スペイン語しゃべれないんで気づいてないんですよね。
こうやって人民とも交わっていかないとね、みたいな感じなんですよ。
このですね、なんていうか、すごく理想主義的なですね、
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正しいことをしようとしてるんだけど、
完全に空回っているというキャラクターなんですよね、その先生が。
なんですけど、その先生にですね、連れてかれた、
すごい身体に障害がある子ばっかりいる学校とか連れてかれてですね、
施設連れてかれて、その子供と遊ぶのとかは、
いい悪い別にして別に普通に楽しいなみたいな、
どういう遊び受けるかなみたいな工夫するのも楽しかったりして、
結構毎週土曜日にですね、その先生の活動についていくことになるんですよね。
そしたらですね、
あんた、あんた、何毎週あのババアと出かけてんのよみたいな感じで、
その学校のイケてるグループみたいな、からはですね、
ちょっと冷やかされたりとかして、
あんた、なんか変なこと考えてんじゃないの?みたいな感じでなんですよね。
で、なんですけど、ちょっとその障害者の子供が施設で活動するのはちょっと面白いし、
なんかちょっと先生がほっとけなくなってきたんですね、少しずつ。
で、感じでですね、ついていくとですね、
行く先々ですごい罵声浴びされるんですよね。
先生の方は聞こえてないからいいんですけど、意味わかってないからいいんですけど、
女の子の方はですね、普通にすごい、めちゃくちゃ悪口言われてるみたいなのがわかるわけで。
で、さらにですね、その募金活動しましょうとかつって、
街角に立って募金してたらですね、めっちゃみんなスペイン語で毒づいてくるんですよ。
で、でですね、それでその募金をしている場面を見たらですね、
そのクラス、大学のイケてる男子みたいなのがですね、
何やってんの?みたいな感じですね。
その女の子、主人公の女の子を止めてですね、
そういうことをやると良くないんだと。
それは物恋だからつって。
物恋は貧しい人たちの中でも物恋のルールはあるし、
女の人がね、しかも別に貧しくもない女の人が街中でやってるのはすごく侮辱してると。
で、しかもお前にお金渡したからって言って、
それがどういう風に使われるかなんて渡そう側からしては分かんないわけだから、
本当に詐欺だと思われてるぞ、みたいな。
なんで?だからそんなことはやめろって言って、
その女の子はやめさせるんですよね。
で、でも先生の方はですね、
すごい周りからギャーギャー言われてて、
言葉分かんなくても自分のこと責められてるってことは分かるんだけど、
先生は引かずにですね、ずっと毅然としてですね、
恵まれない子どもたちに募金をお願いしますって言い続けてるんですよね。
で、やっぱりこういうことやめようよって先生に言うとですね、
先生はあなたは人に言われたことで自分の正しいと思ってることをやめるつもり?
それは良くないわ、みたいなことを言うんですよね。
09:01
そこはですね、空回ってるくせに、そこは芯を食ってるんですよね。
だからですね、うってなるんですよね。
で、そんな中ですね、地元のお祭りにも参加して、
どんどん人民とも交流しないとね、みたいな感じですね。
地元のお祭りに行くときに、その先生がですね、
暑いからって言ってすっごい薄着の格好をして出ようとするんですよね。
すごい薄着で、もう乳首とか透けちゃってるんですよ。
で、ちょっとそんな格好で、近所とか海だったらいいけど、
街中はダメよ、ダメだよ先生って言うんだけど、
私はこの格好をしたいからしてるだけなの。
涼しくて快適だからしてるだけなんだよって言って。
そんな人がどうこう見えるだなんてことに振り回されちゃダメよって言うんですよね。
だからですね、なんて言うんですかね、
本当に信念があるんですよ。
空回ってるんだけど信念はあるんですよね。
でですね、行くとですね、すごいお酒振る舞われてめちゃくちゃ酔っ払って、
先生もめちゃくちゃ酔っ払ってですね、
本当楽しいわねみたいな感じで、
こんなに人民の皆さんと交流できてみたいな感じなんですけど、
ずっと人民って言ってるんですけど、
自分というのもですね、
その先生の無意識の上から目線があるわけですよね。
でも、なんだろう、その人たちを救いたいという気持ちは本当なんですよ。
でですね、出て行ったらすごいこういろんな男の人に話しかけられたりとかして、
最初なんだこのアメリカ女みたいなこと言ってるんですけど、
なんか薄着のおばちゃんがいるのを見てですね、
なんかこう地元の鉱山婦みたいなのがですね、
ちょっとこう絡んでくるみたいなのがあって、
それはですね、性的な目的なんだというのは主人公がわかってるんですけど、
先生の方がわかってないんですよね。
で、わかってなくてですね、
したらそのキスを急にされてですね、
すごいびっくりして先生が急にされた瞬間に大泣きし始めてですね、
で、外に出て行って、川の水で顔めっちゃ洗い始めるみたいな、
ワンワンワンって泣きながら洗い始めるみたいな感じでですね、
なんなんだアメリカ女みたいな、バカでええみたいな感じなんですよ。
でですね、もうその頃にはですね、
なんかやっぱりね、その主人公の女の子の方が、
その先生に対してなんとも言えない感情を持ってるんですよね。
なんかその先生の滑稽さをですね、
クラスメイトが笑っているのを見たら、
無性に腹が立つんですよね。
なんだけど、その先生は確実に絡まっているんですよ。
スペイン語がわかる身からすると。
でですね、実際にそうやって何もわからずにですね、
お祭りの中に入って行ってですね、
まあそういう目にも合うんですけど、
その時にですね、すごい酔っ払って楽しそうな先生を見て、
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ちょっと危なっかしくてですね、
先生ちょっとあんまりフラフラしないでって言ってですね、
すごい近くで顔を見た時に、
ものすごい分厚いメガネかけてるなってことをわかってたんですけど、
すごく近くで初めて顔を見て、
先生はほとんど視力を失ってるってことがわかるんですよね。
だからですね、まさに見えてなかったんですよね。
だからもうその、うすらとはもちろん見えてるんだけど、
一体ですね、周りの人が自分に対してどんなバカにしてるとか、
どんなですね、下げ隅の顔で自分を見てるかっていうのは、
見えてなかったんですよ。
で、スペイン語も聞こえてなかったんですよね。
まさに見えても聞こえてもなかった状態なんですけど、
で、っていうことにも気づくと。
で、そんな中でですね、そのままキスされてですね、
急に先生びっくりしてですね、
なんか川の水で顔洗い始めてですね、
で、そのままですね、家に2人で帰ってくるんですけど、
さり際にですね、多分なんかもうその主人公の女の子が、
もうこの先生とはたもと若党と思ったことに気づいたのか、
女の子にベタベタってくっついてきて、
あの、私を捨てないでと、私を一人にしないでって言うんですよね。
言うんだけど、なんかさようなら、今までありがとうみたいな、
なんか凡庸なことを言って別れたような気がする、
みたいな感じなんですよ。
で、その後ですね、先生は大学から姿を消すんですよね。
で、何があったかは誰も知らないと。
で、誰も気にしてもいなかったと。
で、その後、その女の子は治療を離れてですね、
晴れてアメリカに戻ってですね、
アメリカの大学に通い始めると。
でも周りとですね、話せる仲間がもういなかった。
同じように話せる人はいなかったと。
先生みたいに話せる人はいなかったと。
で、ごめんなさいと言える相手がいなかったと終わるんですよね。
すごい味が多いですよね。
何でしょうね、なんかこの、何だろうな、なんか、
まあ大きく言うと指定ものだと思うんですけど、
でもまあすごくね、ものすごく空回って間違ってるんですよね。
で、バカにされてるし、自分もバカにしていたけど、
信念があるということは間違いがないんですよ。
ただ、その信念っていうのも、いろんな実は上から目線に支えられてたりとか、
もちろんですね、現実は見えてない、まさに見えてなかったわけでですね。
で、それに対して主人公の女の子は何度もですね、結構冷静に突っ込むんですよね。
で、私これもうやめようかと思うみたいなことを先生に言ったときに、
15:00
先生はその、あなたは世界の問題を見てみないふりをするつもり、
それが今世界を悪くしてるのよみたいなことを言ったら、
いや、世界が悪いっていうことはもうわかったと。
でもそれは彼らの問題で私の問題じゃないとか、すごく真っ当なことを言うんですよね。
バランスの取れたことを言うんですけど、
自分のやりたいということを諦めちゃダメよ、みたいなことを先生は言うんですよ。
先生はですね、バランスは取れてない、全体も見えてない、だけど信念はあるんですよね。
でも孤独でもあるんですよね。
でですね、その信念があってバランスが取れてなくて間違っていて、
ちょっと馬鹿げてて滑稽なんだけど、
その先生を見ているとバランスが取れていて、ちゃんとものが見えていて、
分かっている自分っていうのは恥ずかしくなってるんですよね、おそらく主人公は。
なんかですね、そのバランスが見えてなくて、
何かに打ち込んでいる、間違っていても打ち込んでいるっていう姿を見ると、
自分の正解、正しい、ちゃんとしているということが恥ずかしいことに思えてきて、
ごめんなさいという気持ちが多分出てくるんですよね。
だからですね、ある種の指定関係はあるわけですよね。
こういうキャラクター造形すごい好きでですね、
この先生を見ていてすごい思い出したのは、
ウォッチメンのロールシャッハーですね。
僕が世界一ぐらい好きなキャラクターですけど、
ああいう間違っている正義みたいな、
でもそれを貫こうとしているのは尊いよねっていうようなキャラクターですよね。
そういうキャラクターすごい好きだなと思いました。
すごいいい短編集なんで、続き読むの楽しみなんですけど、
本日は以上です。ありがとうございました。
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