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こんにちは、パリのアパルトマンからお届けします。フリーランスのSAKIです。
このラジオでは、私SAKIがパリ生活やビジネス、読書で学んだことを毎朝10分配信しています。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
私は今日もズンバに行ってきました。
ズンバに行ってきたみたいな話をちょこちょこラジオでしていると思うんですけど、
ふと言っておこうと思ったことがあって、
私ダンスうまくないです、全然。
小学校の時に、まずピアノをやった時に、幼心に、あ、私リズム感ないってめっちゃ思ったんですよ。
で、その次、大学生の時にダンスサークルに入ったんですけど、
踊るのは楽しいんですけど、普通にうまくないなって思ったんですよね、自分のこと。
リズム感全然なくて、だからなんかこうやって、ズンバ毎日やってますみたいな感じで言ってるんですけど、
多分うまくないです。
スタジオってね、ジムの中にあるスタジオで、
そのジムの会員だったら誰でもズンバに参加できるみたいな、
ズンバのレッスンに参加できるみたいな感じなんですよ。
だからプロフェッショナルにズンバをやりたいって思ってる人あんまりいなくて、
楽しいからとか運動不足解消とかそういうためにやってるから、
だからだと思うんですけど、そのスタジオに鏡ないんですよ。
だから自分が踊っている姿が見えないと。
で、目の前でインストラクターの先生が踊ってくれてて、
その先生はもうノリノリのキレキレで、めっちゃうまいラテン系の本場の方たちなんですけど、
その人たちを見て踊ってたら、なんかめっちゃうまいみたいな気分になれて楽しいんですよ。
鏡あったら多分もう行ってないと思うんですけど、
なんかそういう楽しさがあるから結構行ってるって感じですね。
在宅だからそういう発散とか運動してホルモン出すの大事かなって思ってます。
今日なんですけど、ちょっと休日ということで、またしつこいんですけども、
ちょっとね本を紹介したいと思ってます。
で、ちょっと言い訳させて欲しいんですけど、海外に住んでるんでね、
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紙の本の冊数がそもそも少ないんですよ、手持ちが。
で、Amazonのデータでも何冊か持ってるんですけど、
画面上で本読んでるから、このラジオで紹介するときに、
なんか読みにくくって、ちょっと方法を考えてるんですけど、
今のところ持ってる紙の本のいいなと思うものを紹介してるんで、
めっちゃおすすめっていうのもまず80%くらいあります。
で、あとは手持ちの紙の本が少ない理由で、
また西香奈子さんの短編集の中から1個紹介したいと思ってます。
本当に大好きで、あとお気づきかもしれないんですけど、
私は気に入った服を毎日着たおすタイプの女です。
だから好きな本作家の人を読み倒すみたいな感じなんですよね。
結構ラジオで、どんな話したいですかってお聞きしたときに、
その読書の絵が結構好きですっていうのを何通かもらったんで、
ちょっと調子に乗ってるとこもあります。
あ、みんな、みなさんいいんや、みたいな。
やっちゃうで、みたいな気持ちになってますんで、
ちょっと今日も紹介したいと思ってます。
今日は短編集で、おまじないという本の中に入ってる
マタニティというタイトルの短編集です。
タイトルの通り、女性の妊娠についての本になってます。
まず最初1ページだけ読んで、その後ちょっとあらすじを説明したいと思います。
ちょっと読みます。
うっすらと現れた青い線を見たときは、どうしたらいいのかわからなかった。
いや、どうしたらいいのか、ではない。
どう思ったらいいのか、だ。
どう思ったらいいのか、なんて変だ。
自分の感情なのだから。
思おうとするのではなく、もう先に思ってしまう。
それが感情というもののはずなのに。
でも本当に私はわからなかったのだ。
どう思ったらいいのだろう。
どう思ったらいいのだろう。
夢見ていた瞬間のはずだった。
少なくとも喜ぶべき瞬間のはずだった。
でも青い線を見た刹那、しばらく筋肉が止まった。
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絶対にこんな風に例えるべきではないけれど、
陰謀に白髪を見つけてしまったときのような、そんな感じだ。
ここまできた。後に戻れない。
いや、本当にそうなのだろうか。
私はどう思っている。
子供ができた。
こういう冒頭で始まるんですよ。
主人公は女性で、妊娠したと。
びっくりしていると。
そんな冒頭で始まっているんですね。
子供はいつか欲しいと思っていて、
今はこの方が38歳で、
30歳を過ぎたくらいからずっと思っていて、
仕事に追われてあっという間に時が経って、
悩んでいたんですけど、
でも待望の子供だ。私の子供だ。
でも私は下着を下ろしたまま、
トイレでしばらく呆然としていた。という風に続くんですよ。
話は続いていくんですけれども、
その次に展開されていく内容としては、
相手の彼と出会ったところから始まるんですけど、
4ヶ月前に出会ったと。
同僚と、同僚の知り合いで飲み会に来たと。
そういう男性と知り合ったんですけど、
すごく雰囲気が良くてね、
気になるなって思ったんですよ。
女子っぽくめちゃくちゃ努力したそうなんですよ。
歯医者さんに行って歯石を取りに行ったりとか、
肌とか髪とか爪も徹底的に手入れして、
会話もユーモアのある会話とか、
頼りになる女性を演出してとか、
すごいめっちゃ頑張って付き合ったんですよね。
4ヶ月後に、
付き合ったんですよね。
4ヶ月ぐらい今付き合ってて、
すごくいい感じだと思う。
お付き合いしましょうって言われた時はすごく嫌がって、
めちゃくちゃ嬉しかったんですよね。
4ヶ月本当に幸せだったと。
この人は今までの恋愛経験としては、
結構なんか、
あんまりいい思い出がなかったみたいなんですね。
すごく努力してきたけれども、
なんかいつも、
あんまり良くない、
あんまり信用できないとか、
そういう人と恋愛をしてきて、
だからかわかんないんですけど、
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ネガティブな気持ちが根底にあるみたいなんですよ。
嫌われたくないから、
努力して応用な女性になりたい。
結婚を焦ったりしたくないし、
彼にプレッシャーもかけたくないって。
そう思っていた時に、
妊娠したんで、
ちょっとこう、どうしようと思ったみたいなんですよ。
なんか、その主人公が思ったことは、
自立した女性みたいな感じで、
もっとポジティブに自分に自信があって、
結婚なんか、妊娠なんか焦らない人みたいな感じの
風にやりたかったけど、
妊娠してしまって、
成し崩し的に結婚に持ち込めるのではないかと考えている
女性みたいになりたくないって思ったらしいんですよ。
意図的に子供を作ったと思われたらどうしようみたいな風に
思って会って、
最初、妊娠検査薬の青い線を見た時に思ったそうなんですよ。
優しい彼はそう思わないかもしれないけど、
周りはどうだろう?他の友達はどう思うだろう?
とか、すごく気になってきてしまって、
そっちを先に考えてしまうと。
そういう風なことを先に考えてしまう自分にもゾッとしたし、
命の誕生を喜ぶより前に、
周囲からどう思われるかとか、
そんなげびたことを考えるなんて、
自分は母親としてどうかしている。
母親。
急にその言葉が重みを持ったと書いてるんですよね。
この人は本当に混乱してるんですよね。
他の人からどう思われるかとか、
でも命が宿ったと喜びだとか、
そういうことを頭がぐるぐるして混乱して、
もっと母親っていうのは崇高な存在だと思ってたし、
身体の中に命が宿るということは神秘で、
女性は自動的に神秘に寄り添った人間になるものって思ってたらしいんですよ。
でも今はそういう風に考えてしまってる自分が、
ゲスなんじゃないかみたいなのを考えて悩んでるんですね。
ぐるぐる考えて、ネットで調べようか、
これはどうしたらいいのかとか、
どんな切り口で彼に話したらいいのか、
悩んでネットで検索しようとか思ったんですけど、
同じような質問をね。
でも今の社会は厳しいと。
そんな付き合い始めたばかりで結婚も決まっていません。
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相手や周りの人に計画的に子供を作ったと思われたら嫌だなと焦っています。
どうしたらいいですか?
そんな質問に好意的な答えが返ってくるわけがない。
私自身こんなことを初めに思ってしまう自分を嫌だと思ってるし、
だからパソコンで調べなくてもわかるなって。
それをもし見てしまったら最後、
私はズタズタに切り刻まれてしまうだろうと。
その傷は誰も癒してくれないだろう。
そういう考えがぐるぐるぐるぐる回って、
眠れないまま朝を迎え出そうなんです。
話が続いていくんですけど、
いろんな感情がグラグラして不安定なんですよね。
世界の終わりだって思う時もあれば、
大丈夫、彼もきっと喜んでくれるわって思う時もあるし、
素敵な家族になれそうだとか、
万が一もし彼が躊躇したって、
この子を一人で育ててみせるわみたいな、
唐突にホルモンのバランスの変化とか、
気持ち的な不安定さで唐突に湧いてくるんですよね。
お腹に手を当てながら、
カフェの中とか会社に帰る道で、
その人はずっと考えてるんですよね。
会社に行きながらも悩んでて、
でももしかして妊娠してないかもしれないし、
その検査役の青い線はうっすらだったし、
最近忙しかったからストレスで生理が遅れてただけなんじゃないか、
そういうふうに思ったりするんですよ。
そんな時に、テレビを見たんですね。
そのワイドショーがやってたんですよ。
そのワイドショーは、
アメリカの強行政策について、
行こうとする日本があるんですけど、
どう思われますか、みたいな。
そのコメンテーターが、
若足というテレビに出てる男性に質問するという場面だったんですね。
その若足という男性は、どんな人かというと、
かつてサッカー選手としてスターだったと。
花話、功績を残したんだけれども、
後で覚醒剤に手を出してしまって、
すごく落ちてしまったと。
そういう人なんですね。
で、テレビに復帰してきたと。
ワイドショーの中でも、
ちょっといじられるみたいな、
お、若足さんがお答えになるんですね、みたいな感じで、
話を振ったのに、話し始めようとすると、
お答えになるんですか、あなたが、みたいな感じでみんなが笑うという、
そういう風な雰囲気だったみたいなんですよ。
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ワイドショーはね。
その、若足も、
スター選手の時の面影はなくてもすっかり、
ビジュアルもね、超えて太って、
前世紀の鍵はなかったと。
で、なんか、その若足が話し出した発言っていうのは、
なんか、日本を取り戻すとか、
Make America Great Again とか、いろいろ言いますけど、
そもそも、なんでそんな強くないといけないんですかね、
てんてんてん、みたいな。
そういう発言をするんですよ。
で、この話の主人公の女の人もね、
あ、やっぱりこの人なんかしょうもないこと言い出したみたいな感じで、
思って、でもワイドショーを見続けるんですね。
で、その女性は思うんですよ。
こういうやからが私は一番嫌いや、と。
ろくに努力もせず、そのままの自分を認めて欲しがる。
現役時代の努力なんて帳消しや。
今現在、努力を放棄した人間は、
やっぱり今現在から振り落とされるべきだ、みたいな。
どうしてテレビにこんな人が出てるのか、ぐらいまで思うんですよ。
で、でも若足は続けるんですね。
弱いことってそんないけないんですか、と。
で、その発言をして、
見てる主人公の女性は怒るんですけど、
でも、なんか目をそらすことができない。
このテレビから、この若足から。
そう。で、
まあ続けるんですけど、その若足がね。
弱い人間でも生きていけるのが社会なんじゃないですか、
って言うんですよ。
で、その頭をかいて、いろいろ話し出すんですけど、
現役時代の女性は、
堂々とした影はなくて、
ぽろぽろと、そういう弱音みたいなことを吐き出すんですよね。
で、続けて言ったことは、
僕、現役時代、
ずっと強くないといけないと思ってたんです。
強い男でないと、
生きてる資格なんてないって。
でも、そうやって、
強がれば強がるほど苦しくて、
だから、あんなものに手を出しちゃって、
自分が情けなかった。
こんな弱い人間だったんだって。
絶望しました。
誰かがネットに書き込む音が聞こえる。
きっとこのとこは今日も援助するだろう。
って、女性の心の内も書かれてるんですよ。
ふざけるなとか、甘えてんじゃねえとか、書かれるんやろうなみたいな。
でもその若足が、まだ続けるんですけどね。
なぜかカメラ目線なんですよ。
ふざけた態度のコメンテーターの方も、
見るわけでもなく、馬鹿にした、
周りの共演者も見るわけではなく、
カメラ目線でね。
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自分が弱い人間なんだって、はっきり自覚したら、
僕、強がってた時より、
なんていうか、生きやすくなったんです。
自分の弱さを認めたら、
逆に強くなれたんです。
って言うんですよ。
周りの共演者は、
反論して、正論っぽいこと言うんですよ。
じゃあ、日本も弱くなれって言うんですか。
それはまさに、弱い人間の態度なんではないですか。
そもそも国際社会というのは。
正論の嵐なんですよね。
もう、テレビを見てる主人公の女性はね、
この正論を叫んでるコメンテーターたちより、
それを俯瞰してコントロールしようとしている、
司会者よりも、私は若足を信じられるって、
思ったんですよね。
そんなこと、絶対に認めたくなかったけど、
なんかこの人のこと、心から信じられるって、
思ったんですよ。
で、手を当てたお腹に、
まだちっとも膨らんでいない中、
もしかしたら、生命なんて宿ってはいなくて、
ただ、未消化のために、
こびりついているかもしれないお腹に。
でも、今度はその手を離さなかった。
離さなくていいと思った。
私は弱い。
弱い人間だ。
そう言い聞かせる。
自分の体に。
もしかしたら未来の子供に。
または、曖昧な何かに。
私は、
私は、こんなにも弱い。
こんなにも。
で、その時に、
その女の人はね、また歩き始めるんですけど、
なんか視界がクリアになったと。
次に書いていることは、
薄く張っていた膜がポロリと取れた。
そこの心の中には、
大丈夫、きっと彼も喜んでくれるわ。
的な、
こともなく、
または逆の、この子を一人で育ててみせるわ。
的な勇敢さもなく、
何もなかった。
でも、この体で、この弱くて下水、
この体で生きていくのだ、という
妙な実感だけがあった。
っていう風な感じで、
この短冊は終わるんですよ。
だから、結局、この話の
最後まで読んで、この人が
妊娠してたのかどうなのかとか、
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彼に報告したのかどうなのかとかは、
書いてないんですよね。
そっちは分からないんですけど、
この女性の方の
心の変化が、すごい
分かりますよね。
希少転結のストーリー的な
何かは、どうなったかは分からないけれども、
確実にこの人の心の中が変わったことが
書いてて、
この書き方ね、
すごいいいなって思ったんですよ。
いつもいいなしく言わないんですけど、
ちょっと大好きすぎるんで、この作家さんに。
でも、このストーリーにフォーカスじゃなくて、
こういうこの主人公の女性の心のきびを
中心として書いて、逆にストーリーの結末とかを
書かないことで、そっちに集中できるじゃないですか。
書きたいことは、確かにその子供が
ここの話ではね、できたとかできてないとか、
彼が喜んだか喜んでないとかは、
この話の論点ではないんですよね。
この作品の。
大事なことは、この女性の方の
心の変化。なんか弱いって思ってて、
なんかゲツなこととかを考えてしまったりとか、
他人の目とかを考えてしまったり、ぐるぐるぐるぐる、
悩むんですけど、でも最後には、
私だって弱いし、ゲツやしって
認めることで、なんかこのままでいいんだ、
この体で生きていくんだ、
みたいな気持ちになるんですよね。
こうやってすごいストーリー的な
ダイナミックさはないけど、
この人の心の中はもうダイナミック変化ですよね。
そういうところがこの話書かれていて、
面白いなって思いました。
しかもその、
扱ってるトピックが、
女性が悩んだりとか、
現代の女性とかが、
人の目を気にしてしまうとか、
他人の評価がどうとかっていうのを
思ってしまうという悩みを取り扱ってるんで、
共感できる方も
多いんじゃないかなって思いました。
本当に日常の、
誰もが思うかもしれないような
文章ですよね。
すごい面白いですね。
これもまた短いんですけども、
こんなお話でした。
皆さんはこの話を聞いて、
どんなことを感じられましたでしょうか。
じゃあ今日は、
この辺でお開きということで、
また明日お会いしましょう。
では皆さん、良い週末をお過ごしください。