復習から科学的思考の練習へ
教育カフェテラス水野太一です。 国内外の教育の話題から、明日の教室で試せる考え方を拾っていく番組です。
アシスタントの高橋さやかです。よろしくお願いします。
さやかさんは、中学校の理科の授業の最初の10分を覚えていますか?
正直、あまり覚えていません。前の時間の復習プリントを解いていた気がします。
今日はその10分の話です。アメリカの教育サイトデデュトピアの9月30日の記事で、中学校で理科を教えている先生が書いています。
担当は、日本の中学1年生にあたる7年生です。
中学1年生というと、まだ小学生の空気が残っていて、休み時間の勢いのまま教室に戻ってくる年頃でしょうか?
筆者もまさにそう書いています。
休み時間の騒ぎを引きずったまま入ってくる生徒たちを科学的な考え方へ切り替えるのは簡単ではないそうです。
最初の10分がその授業全体の流れを決めると筆者は考えています。
その10分を筆者は前からうまく使えていたのでしょうか?私の記憶のように復習の時間だったような気がします。
当たりです。以前は前の日の内容をおさらいする時間にしていました。それにも価値はあります。
でも筆者はその復習が育てたい科学の力を本当に育てているかと自分に問い、答えはノーだったそうです。
育てたい科学の力というのは実験の手順を覚えることとはまた別のものでしょうか?
自習の前は理科は知識を教える教科だと思い込んでいたので気になります。
別のものです。筆者が挙げているのは気づく、問いを立てる、規則性を見つける、予測する、証拠を分析する、説明を組み立てる、考えを伝える、そして新しい情報が入ったら考えを直すといった力です。
内容を覚えているだけでは科学をしていることにはならないという考えです。
最後の考えを直すというのが意外でした。テストで一度書いた答えを直すのは迷っているようであまり良い印象はありませんでした。
一人で考え、動いて語る10分
そこが今日の山場なので覚えておいてください。筆者は10分の使い方を変えて生徒に調べるものを渡すことにしました。
写真、短いデータの表、短い動画、珍しいもの、ちょっとした実演、あるいは科学的な主張の一部でも構いません。その時練習させたいことに合わせて選びます。
最近はグラフに取り組んでデータの表から自分でグラフを作らせたそうです。
10分でそんなにいろいろできるのでしょうか。私なら欲張って質問をたくさん並べてしまいそうです。
その欲張りを筆者ははっきり避けています。最初も3分は一人で考える時間で、問いは一つか二つだけにします。
何に気づいたか、何が不思議か、規則性はあるか、次に何が起こると思うか、そう考える証拠は何か、この中から選びます。
それ以上並べると生徒は必ず混乱するそうです。
最初に一人で考える時間があるのはありがたいです。私は考えるのが遅い方で、すぐに話し合いが始まるといつも聞き役になっていました。
筆者が一人の時間を置く理由もそこにあります。いきなり全体で話し始めると、答えの早い子や自信のある子がグループの考えを持っていってしまいます。
そうなると、普段発言しない子が置いていかれます。まず自分の考えを持ってから、他の人の考えを聞くという順番です。
あなたの考えには意味があると伝えるための3分でもあります。
4分目からは隣の席の人と話すのだと思います。私の実習先でも部屋で話す時間はよくありました。
少し違います。立って動きます。生徒は立ち上がって片手を挙げ、教室を歩き回って同じように手を挙げている人を見つけます。
ハイタッチをしてペアになり、一人一分ずつ自分の考えを説明します。終わったら相手を変えて、さらに2回繰り返します。
中学生が教室を歩き回ったら収集がつかなくなりそうで少し怖いです。
考えを直すことを科学のゴールにする
その心配は最もです。ただ時間はタイマーで区切り、やることは自分の考えを話すことだけと決まっています。
同じ証拠でも相手によって違う読み方が出てくるので、3人と話せば3通りの考えに出会えます。
それに動くことそのものが楽しいのです。
3人と話したら最初に書いた自分の考えが少し恥ずかしくなりそうです。
その恥ずかしさを筆者は歓迎しています。最後の3分で生徒は最初に書いたものを読み返し、他の人の考えを聞いて何を足すか、何を変えるか、何をはっきりさせるかを書き直します。
見落とした観察を足す子もいれば予測を丸ごと変える子もいます。筆者はそれこそが望んでいることだと書いています。
さっきの考えを直すにつながりました。直すことはここでは迷いではなくゴールになっているのだとわかりました。
そうです。科学者は新しい証拠に出会うと説明を変えます。
前はこう思っていたけれど今はこう思うと生徒が言えるようになることを筆者は目指しています。
それこそが科学的な考え方が働いている姿だというのです。
日本の理科でも予想・実験・考察という流れを習いました。ただ予想が外れた子が外れちゃったって終わってしまう場面を実習で見ました。
そこは日本の授業でも活かせるところです。予想が外れたことを考えを直すきっかけとして扱えば、外れた子こそ一番科学をしたことになります。
一方で毎日10分をこの形に使うと復習の時間が減るという心配もあるでしょう。
筆者も復習には価値があると認めています。毎日でなくても週に何回かから試すのが現実的かもしれません。
今日一番印象に残ったのは自分の考えを持ってから人の話を聞くという順番です。聞き役ばかりだった私にもさんとなれば言えることがあったのかもしれません。
今日は授業の最初も10分も科学者の練習の時間に変える話でした。気づく、話す、直すという流れを10分に収める工夫は理科の他の教科でも使えるはずです。
最後までお聞きいただきありがとうございました。次回はどんな教室の話が聞けるのか私も楽しみにしています。