アメリカの教育改革と格差
教育カフェテラスの時間です。皆さん、こんにちは。水野太一です。
こんにちは。高橋紗友香です。今日も楽しく、ためになるお話を聞いていきたいと思います。
この番組では、国内外の教育に関する最新情報や、教育に関する身近な話題を紹介しています。
今回は、アメリカの教育改革がもたらした教育格差について深掘りしていきたいと思います。
よろしくお願いします。
今回のテーマは、東洋経済オンラインに掲載された記事、
高教育の市場化と民営化が進み、教育格差が拡大です。
この記事は、2025年4月11日に掲載されたもので、
教育研究者の鈴木大優さんが、アメリカの教育改革がもたらした問題点について語っています。
アメリカの教育改革ですか。どのような内容なのでしょうか。
記事によると、アメリカでは新自由主義的な教育改革によって、
高教育の市場化と民営化が進み、教育格差が拡大しているそうです。
学校が競争するようになり、教育の序列化と貧弱化が起こったとのことです。
教育の市場化ですか。具体的にはどういうことでしょう。
教育を市場原理に委ねるというのは、学校を企業のように競争させるということです。
例えば、学力テストの結果で学校を評価し、成績の悪い学校には予算を削減したり、閉鎖したりするような政策が行われました。
なるほど。それによって教育格差は拡大したんですね。
そうです。記事では、2002年に制定された落ちこぼれ防止法が、そのきっかけになったと指摘されています。
教育の市場化とその影響
この法律は、学力標準テストの結果に基づいて学校を評価し、結果責任を求めるものでした。
学力テストの結果が重視されるようになったんですね。
ええ。それまでは、経済格差による教育機会の格差が課題でしたが、この法律によって学習到達度の格差を解消することが重視されるようになりました。
その結果、テストも成績が悪い学校は閉鎖され、貧困地域の子どもたちが、さらに不利な状況に置かれることになったんです。
それはかわいそうですね。
さらに、教員の評価もテストも点数によって左右されるようになったため、ベテラン教員が成績のいい地域に移動し、貧困地域では経験の浅い教員ばかりになってしまったという問題も起きました。
先生の質にも格差が出てしまったんですね。
おっしゃる通りです。裕福な地域では、教員もゆとりをもって教育に取り組める一方、貧困地域ではマニュアル化が進み、テスト対策に追われるという状況になってしまったそうです。
なんだか、教育が商品みたいになってしまっていますね。
その通りです。鈴木さんは、新自由主義の影響によって、教育がお金を出せば買うこともできる商品になってしまったと嘆いています。
学校や教員はサービス提供者、子どもや保護者は消費者という扱いになってしまったんです。
それってどういうことですか?
日本への影響と今後の展望
例えば、学校がクレームのリスクを減らすために、授業や生徒指導をマニュアル化したり、細かいルールを設けたりするようになったんです。
まるでカストフード店みたいですね。
まさに、記事にもマックチャーターという言葉が出てきます。
これは、貧困地域の公立学校が、公立化のために学習スタンダードや厳しい拘束を採用する公設民営学校チェーンに置き換わっていく状況を指しています。
そんなことになっているんですね。
はい。そして、アメリカの状況は日本にも影響を与えていると鈴木さんは指摘しています。
日本にもですか?
ええ。日本でも全国学力学習状況調査が復活し、学校別の成績が開示されるようになったことで、学校間の競争が激化しました。
また、学習指導要領でも何ができるようになるかという学習到達度が重視されるようになり、テスト対策に明け暮れる学校が増えているそうです。
なんだか他人事ではないですね。
そうですね。記事では日本の教育現場でもアメリカのような状況が起こりつつあると警鐘を鳴らしています。
でもアメリカではそのような状況に対して何か動きがあるのでしょうか?
はい。記事によると、2018年頃から各州の教職員組合がストライキを始め、保護者や生徒もそれを支える形で、新自由主義教育への反発が広がっていったそうです。
それはいい動きですね。
ええ。しかしトランプ大統領も再登場によって、その流れは逆戻りする可能性があると記事では指摘されています。
そうなんですね。
トランプ政権は自己責任を求め、構造的な不平等や格差を無視する社会を目指す可能性があるそうです。
なんだか心配ですね。
ええ。ただ、記事ではアメリカにはそうした抑圧に立ち向かうエネルギーもあると述べられています。
そうだといいですね。
鈴木さんは、日本が目指すべき教育について、教員が尊敬される世の中にならなければ、真の教育改革はできないと語っています。
それは本当にそう思います。
また、次期学習指導要領について、教員が勤務時間内に授業準備ができ、休憩もしっかり取れるよう、標準授業時数を削減すべきだと述べています。
先生たちの働き方も見直す必要があるんですね。
ええ。さらに、文科省が学習指導要領を法規のように扱うのではなく、あくまで基準として示すことで、現場が柔軟に対応できる裁量を持てるようにすべきだと主張しています。
現場の先生たちの意見も尊重するべきですね。
おっしゃる通りです。そして、これからの時代に必要な教育として、自分の考えを人前で話す力やリーダーシップなど、人間らしい感性を大切にした教育を重視すべきだと述べています。
AI時代だからこそ、人間らしさが大切になるんですね。
おっしゃる通りです。ICTはあくまでツールとして捉え、単なるテスト対策ではない豊かな学力観、教育観を持って活用すべきだと鈴木さんは考えています。
なるほど。よくわかりました。
今回の記事を通して、アメリカの教育改革がもたらした問題点と、日本が目指すべき教育の在り方について考えることができました。
そうですね。今日の話を伺って、教育について改めて深く考えることができました。
アメリカの教育の現状を知り、日本が同じ輪立ちを踏まないようにするためには、教育に関わるすべての人が問題意識を持ち、より良い教育の在り方を模索していく必要がありそうですね。
本当にそうですね。今回のテーマが、皆さんの教育に対する関心を深めるきっかけになれば幸いです。
水野先生、今回もありがとうございました。
どうもありがとうございました。
教育カフェテラス、今回のテーマはいかがでしたでしょうか。
これからも様々な教育に関する話題をお届けしていきますので、ぜひお楽しみに。
それでは、次回の教育カフェテラスでお会いしましょう。
お相手は、水野太一と
高橋沙耶香でした。
最後までお聞きいただき、ありがとうございました。
それでは、また次回。