1. Deep Structure Radio〜 Keiともちこの言語学研究室 〜
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2026-02-05 15:58

#03 じぃじの敗北 〜赤ちゃんが最初に呼ぶ名前の科学〜

Kei
Kei
Host

パパやママよりも先に「じぃじ」と呼んで欲しいと切に願うおじいちゃん。果たしてその願いは叶うのか⁉︎


 オープニング

 101号室の言語学① にちてんリスナーのおじいちゃん

 101号室の言語学②「じぃじ」は難しすぎる

 101号室の言語学③ 世界的に「お母さん」には "m" の音が多い

 もちこのもちこみ!「お便り:まさかの "ごニーズ"」

 エンディング



話の中で登場した『安住紳一郎の日曜天国』の回はこちらで聴くことができます!↓


https://youtu.be/eJy-SS03Srw?si=skI18Qg-x0y_BUU7


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【番組概要】

言語学者のKeiとアシスタントのもちこが日常に溢れる「ことば」の不思議を「言語学」という特殊なレンズを通じて、面白おかしく語るポッドキャスト番組。通勤中や散歩のお供に、言葉の知的探求を。

【更新】 毎週木曜夜7時

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出演者

Kei:若手言語学者。アメリカで博士号を取得後、現在は日本の大学で働いている。専門は生成統語論、形式意味論、形式語用論。ときどき、心理言語学の研究も。ウイスキーが好き。

もちこ:Deep Structure Radio アシスタント。仮面をかぶって会社員をしているが、中身は結構やべーやつ。苦手な科目は「せいかつ」と「どうとく」。

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【Keiの補足】

「赤ちゃんにとっては、両唇音の方が獲得しやすい」「世界の言語ではお母さんを表す単語に[m]が多い」という話は、川原繁人先生の本『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む』でも紹介されています。この本はとても平易に書かれており、音声学の入門としても、子育て中のパパ・ママにも面白い本なのでおすすめです。↓

https://amzn.asia/d/9wU2zVH

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#DSR101 #言語学 #音声学 #言語獲得


サマリー

このエピソードでは、言語学的な視点からおじいちゃんが孫に「ジジ」と呼ばれることが難しい理由が考察されている。赤ちゃんが言葉を覚える際に、ジジの発音が他の呼び名と比較して難しいという現象に焦点が当てられている。また、赤ちゃんが最初に呼ぶ名前に関する科学的な話題を通じて、言葉の進化やビジネス用語の使い分けについても語られている。特に「ごニーズ」という言葉の意味やニュアンスに注目し、ビジネスシーンでの言葉の選択がどのように変わるかが探られている。

おじいちゃんの悲劇
Welcome to Deep Structure Radio. この番組は、言語学者のKeiと アシスタントのもちこが、言語学の面白さを広めるべく、私たちが普段何気なく使っている言葉について、言語学という特殊なレンズを通じて、面白おかしく語っていく番組です。
第3回の今夜は、「とあるおじいちゃんの悲劇」について言語学的にお話しします。早速最初のコーナーに行ってみましょう。
はい、ということで101号室の言語学のお時間ですね。このコーナーでは、私が気になった言語表現、言語現象についてお話ししていこうと思うんですが、もちこさん、
アズミ新一郎の日曜天国っていうラジオ番組があるんですけど、知ってますか?
知ってます。
めちゃくちゃ面白いですよね。
リスナーさんが面白いです。
リスナーさんがめちゃくちゃ鍛えられてて、あれすごい長寿番組なんですよ。
僕、アメリカにいるときにそれを知って、ちょうどその頃YouTubeに上げ始めてくれたんで、YouTubeでアメリカから聞いてたんですけど、
その日曜天国っていう番組にですね、数年前から毎年年明けにメッセージを送ってくれるリスナーのおじいちゃんがいて、
もう毎年?
そうそう、毎年年明け1回目か2回目の放送の時に必ずそのおじいさんからの投稿が紹介されるっておじいちゃんがいたんですね。
で、そのおじいさんの投稿内容っていうのが、数年前に生まれたお孫さん、だからもう今2歳とか3歳とかぐらいなんですけど、
に、なんとかしてパパママよりも先にジジって呼んでほしいっていう、そういう投稿でスタートして、
で、毎年そのお孫さんの発言、発話をロックオンしたのを年明けに放送するっていうのがもう一つ恒例行事みたいになってるんですよね。
アップデートがね、子供の成長で。
で、もう数年前なんで3歳ぐらいになってだいぶお孫さんしゃべれるようになってるよね、みたいなのがついこの間ラジオ放送であったんですけれども、
結果的に言うとですね、パパママより先にジジと呼んでもらうことはできなかったと。
でもまあなんとかそのジジらしいそのロックオンをして、今年のに送りましたみたいな、そんなような放送だったんですね。
発音の難しさ
で、この話を聞いた時に、これはなんて言語学的なんだと、私は感じたわけですよ。
どういうことかと言いますとですね、おじいちゃんには非常にかわいそうなんですけれども、
残念ながら言語学という学問の視点から言うと、パパママより先にジジが出てくることはね、ほぼゼロなんですよ。
一緒にいないからとかそういうのではなく。
そういうのではなく、言語学的に無理というお話ですね。
で、なんでこのパパとかママが圧勝してジジが最高列になってしまうのかっていう話を今日はしていきたいと思っております。
ではですね、実際解剖していきたいと思うんですけど、ももち子さん、パパ、ママ、バーバ、この発音上の共通点って何だと思います?
パパ、ママ、バーバ、真っ先に思いつくのは、同じ音が2回繰り返してるなっていうのは思いましたけど、
でもそれだとジジも別に一緒ですもんね。
そうですね、ジジも一緒ですよね。
他にもっと口の動きに注目して考えてほしいんですけど。
パパ、ママ、バーバ、始まるときに口が絶対閉じてるかな?
そうですね、その通りですね。
言語学的にはPとかMの音、ムムムとかあるいはBの音ですね、バッバッ。
こういう音っていうのは全部両方の唇を閉じて作る両親音っていう音なんですね。
唇の音。
両方の唇の音って書いて両親音って言います。
この両親音って当然唇で作ってる音なので、赤ちゃんからしたら見やすいわけですよね。
口の動き見てたら。
視覚情報として見えるわけじゃないですか。
なるほど。
ですがこれに比べてジジはどうでしょう?
ジジ?
口は閉じてないですね、唇かは開いてます。
どうやって出してるかって言われたら、口をイの形にしてて、ジ、うーん、わかんないですね。
そうですよね。
ジの音は専門用語で言うと、有声死刑口号外破札音って言います。
非常に難しいですけど。
赤ちゃんどころか持ち子が厳しいです。
どういうことかと言いますとですね、まず有声なのでこれは声があるっていうふうに書くんですけれども、声帯が振動するっていうことですね。
その音を作るときに。
死刑の音なので、まず上の歯茎に下の先ちょうどくっついて、デュっていういわゆる破裂音という弾くような音を作ります。
その直後に口号外っていう歯茎よりもうちょっと後ろのところなんですけど、そこに下が行ってジっていう擦る、摩擦音と呼ばれる擦るような音を作る。
これを組み合わせて行うので破札音っていうふうに呼ばれます。
これがジの発音なわけですね。
なんとなくわかります?この震えている感じとか。
ジ、ジ、ジ、ジ、ジ、ジ。
なんとなく言われてみれば、下の位置とかってよくLとRの違いはねとかTHの音はねっていうときに習いますけど、意識したことないかなみたいな気持ちになっちゃうんで。
言われてみたら、後ろの方にいるかな?震えてるかな?くらいはわかるような気もするくらいかな私は。
今野志子さんが言ってくれたみたいに、すごくこの微妙な動きをジの音はしなきゃいけないわけですよ。
さっきパ、マ、バはものすごい僕簡単に説明しましたよね。
唇使ってる音ですよ。だから赤ちゃんにとってもめちゃくちゃ簡単なわけです。
ジとギ何が違うって言われたらちょっとわかんないんですもん。
ジとギの違いっていうのはギはもっと後ろの方で発音していて、さらに破裂が起きるタイプの音っていう。
音にもいろんな超音法っていうんですけど、音の作り方みたいなタイプがあるんですね。今日は細かくお話ししませんけど。
それは赤ちゃんには厳しいんじゃないですか。
大人でもこんなに外的に説明されるのが難しいことを赤ちゃんは時間をかけて習得しなきゃいけないわけなんです。
なので赤ちゃんからすると丸見えなパ、マ、バみたいな音の方が簡単なわけですね。赤ちゃんにとっては。
したがってジジはどうやっても最初には出てこないわけです。だってジジの方が圧倒的に難しいんだもん。
音の獲得
むしろだからパパとママと呼ばれるようになった説すらありません?
それでめちゃくちゃ良い視点なんですよ。実際に世界の言語の中でお母さんを表す音にはものすごくMが多いって言われてるんですね。
マザー。
イタリア語でもママですよね。もちろん言語の系統みたいなのもあると思うんですけど。
でも世界的に発音しやすいMの音っていうのがお母さんを呼称する名前に使われやすいっていうのはどうもあるみたいです。傾向として。
確かに韓国語もおんまとかって言いますね。
そうですね。なので赤ちゃんにとっては見える音っていうのがすごく獲得しやすいっていうことですよね。
言いやすくて呼びやすくて、一番最重要パーソンじゃないですか。
赤ちゃんにとってはね。
そこで出しやすい音っていうのがむしろそっちなのかなって思うぐらい、ジジにはちょっと残念な結果になりましたけれども。
そういう実は言語獲得と音の秘密っていうのがジジの悲劇には隠れていたんだなということを感じながら私は日曜天国楽しく聞いていました。
ジジには伝えられてない。
ジジには伝えられてない。
アズミさんがアナウンサーなんでそういうことをわかってらっしゃって。
ちょっとねそういうような話も出たりはしたんですけれども。
ジジにはきっと伝わってないんじゃないかなと思いながら。
もしそのジジがこの放送を聞いてくれてたら落ち込まないでっていうことを伝えたいなと思ってますね。
またその子供がね、いざそのジっていう発音ができるところまで来たってことは、ある意味口の中の筋肉がプロのレベルまで発達したってことなので。
さっきのなんちゃら音が習得できたってことですよね。
そうなので、それを素直に褒めてあげてほしいなというふうに思います。
今日の101号室の言語学はこんなところで、次のコーナーに行ってみたいと思います。
もちこの持ち込み。
このコーナーではもちことリスナーの皆さんが日常生活で発見した奇妙な言い回し、新しい若者言葉、謎のビジネス用語。
そんな日常にあふれる不思議な言葉遣いをKさんに分析してもらう。そんなコーナーです。
早速今日のお便り行ってみましょう。
ラジオネーム万年平社員さん。
Kさんもちこさんこんばんは。
前回のおソースの話、面白すぎて何度も聞き返しました。
が、そのせいで私の耳が完全にバグってしまいました。
今までは聞き流せていた言葉がいちいち気になって仕方ありません。
そして今日ついにおソースを超える偽材を社内の会議で発見してしまったので報告します。
うちの営業マンが取引先の方に向かって真剣な顔でこう言ったんです。
言語の進化とビジネス用語
御社のごニーズに合わせまして最適なプランをご提案します。
ご、ごニーズ?ニーズにご?
その瞬間私の頭の中にはのし袋に入った必要性ニーズがちらついて会議の内容が全く入ってきませんでした。
けいさんこれは私の耳がおかしいんでしょうか?それともこれも言語の進化なんでしょうか?とお便りいただいております。
ありがとうございます。非常にいい、面白いデータを見つけてきてくださいましたねこれは。
ごニーズ。
これすごいね。ごニーズ。一体何が起きてごニーズになったんでしょうね。
すごい真剣な顔でおっしゃったんでしょうね。
可能性として考えられるのは、言語の進化って言うとちょっと僕好きじゃないので変化って言いますけど、
もしかするとその人の中では可能性の一つですよ。あくまで可能性の一つですけど、ニーズを外来語というよりは漢語っぽく見てるというか、あるいはもしかしたら和語かそうでないかで分けてる。
前回の話で和語、漢語、外来語って3つに分けてるよって話だったけれども、その方にとっては和語かそうじゃないかみたいな。
和語or notみたいな感じ。和語だったらおつけてもいいけど、和語じゃなかったらなんかつけなきゃごにしとくかみたいな感じかな。
つけないっていう選択肢がなくなっちゃったんですかね。
なんてだろうね。もしくはご要望じゃなくて、その要望をビジネス用語に変えた可能性もあるかなと思いましたけど。
私も最初、要望だったらご要望、意見だったらご意見って言ったところで、そこに近いじゃないですか。
本当はご要望から派生して、でもご要望って言うとすごい欲しいっていうのが目に見えてるけど、
needsの方がもしかしたら、まだこれが欲しいんですって指させないようなところでも、合わせて提案させてくださいよっていう要望じゃ表せないけど、
だからニーズって使いたい、でもご要望みたいに丁寧にしたいってなった時に、生み出してしまったごニーズなのかなって。
ニーズっていう言葉でしか表せない意味というかニュアンスというかがある。
要望とはきっとその営業マンにとって、御社のご要望に合わせましてっていうのとはまた違うニュアンスがあったんじゃないですかね。
なるほどね。
もち子さん的にはどうですか。ニーズっていう単語の方がフィットするなみたいな場面がありそうな気がする。
僕は大学で働いてて、あんまりいわゆる社会で働いてないというか、いわゆる企業で働いてないので、ニーズっていう単語を使う機会があんまりないんですけど。
これは完全にビジネスあるあるですけど、はっきりさせたくない時にカタカナにするんですよね。
あー、ちょっとうやむやにしてるみたいな感じ。
要望ってもう明らかにこれが欲しいっていうはっきりした印象があるけど、ニーズだとまだほんわりしてるとか、
なるほど。
なんかこうアジャイルとかもそうだし、なんだろう、はっきり漢語とかの方が断定しちゃう感じがあって。
みんなにとってカタカナ語ってちょっとこう遠いから、なんかこうごまかせるって言ったら変かもしれないんだけれども、
なんかこうそういう時に便利に使いがち。
だからそこにはたぶん従来、え、それもうカッコつけないで漢字にしなよとかカタカナ使うのやめなよっていう気持ちもわかる一方で、
でもなんかやっぱりそこにしか伝えられない、こう定まってないんだよっていう印象だったりとか。
なんだろう、バッファー用意しておきたいんだよって、このバッファーももうちょっとね、予備って言えないみたいなところで、
なんかこうそういう感じで使い分けてるというか、使っちゃうっていうのは、なんかこうビジネスパーソンあるあるなんじゃないかなとは思いますね。
なるほどね。
このコーナーでは皆さんが日常で感じた言葉の違和感を大募集しています。
リスナーからの疑問とエンディング
街中で聞こえた変な会話、職場の謎ルール、あるいは私言い間違えましたという実習でも構いません。
あなたが確保した生きたサンプルを101号室、もちこまで報告してください。
優秀な報告書はKさんが分析して、当番組のアーカイブに永久保存しちゃいます。
報告フォームは番組の概要欄にて、皆さんの捜査協力お待ちしております。
さて本日もそろそろ101号室の明かりを消す時間です。
もちこさん、今夜のお話どうでしたか?
そうですね。
ジージはあまり傷つかずに仕方なかったんだなと思ってほしいですし、
お孫さんがジージと言えるようになったところにも成長の喜びをかみしめてほしいなと、
会ったこともないジージにそんな気持ちを抱いてしまいました。
そうですね。日展に送っているジージにはぜひ強く生きていただきたいなと思いますね。
はい。番組ではリスナーの皆さんからの素朴な疑問や番組の感想などお待ちしています。
詳細は概要欄にあるGoogleフォームズリンクまで。
番組のフォローと高評価もポチッとしていただけると、Kさんの研究費になります。
皆様からのお便りお待ちしております。それではまた次回お会いしましょう。
Deep Structure Radio、お相手はアシスタントのもちこと、
言語学者のKでした。
15:58

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