今までみなさん、これ、有線接続だと思ってましたけど、実は無線でした!っていうのが、私の拍手論文のメインなわけですね。
Welcome to Deep Structure Radio. この番組は、言語学者のKeiと、アシスタントのもちこが、言語学の面白さを広めるべく、私たちが普段何気なく使っている言葉について、言語学という特殊なレンズを通じて、面白おかしく語っていく番組です。
今夜は、私の拍論について、第2回お話ししていきたいと思います。 それでは、今日も言語の深層へ潜っていきましょう。
はい、ということで、101号室の言語学のお時間です。 このコーナーでは、私、Keiが気になる言語現象についてお話ししていきたいと思っております。
はい、ということで、前回の引き続きですね、私の拍論について、もうちょっとお話しさせていただきたいなと、ちょっと自分語りになっちゃって申し訳ないですけど、思います。
前回、まだ聞いてないよという方もいるかもしれないので、前回の振り返りをさらっともちこさんにお願いしようかな。
はい。 さあ、前回どういう話だったか覚えてますか? デスマスの話、定年語の話をしてましたね。
そうですね。私、拍手論文、デスマスの話で書いたんですけど、何が問題だったか覚えてます?
他の言語と比べて、日本語の定年語だけ、デスマスの動きが他だったらできないことができてしまっているのはなぜか、みたいなところから始めたっていうお話だったと思います。
そうですね。さらにそれ深掘りしていくと、日本語の中にもちょっと変なことがあって、デスマスって一言でよくまとめて定年語って言われますけど、
例えば、マスは早くご回復なさいマスことをお祈りしてマスみたいにこととかからとか、そういうのの中に割としょっちゅう出てくるのに、
来週忙しいデスことは存じていますみたいなことを言うとすごい変。みたいな感じで、デスとマスで埋め込めるかどうか。
もうちょっと専門的に言うと、従属説の中に出てこれるかどうかっていうのが、デスとマスでも何か差がありそうってことが分かってきたと。
これをシールとマトリオシカの例えで説明するっていう、結構大掴みな説明を、自分の白論とは覚えないぐらい大掴みな説明をしたんですけど、
そんなようなお話でしたね。ぜひ前回まだ聞いてない方は聞いていただきたいんですけど、今回はこの後編ということで、
果たしてそのマトリオシカの中に深く入ってしまったマスのシールが、どうやってその外の世界のあなたへの経緯を表しているかっていうことについて、
お話ししていきたいと思います。前回もお話ししたと思うんですけど、丁寧語、もうちょっと専門用語で言うとアルキュティビティなっていう言い方したりするんですけど、
こういうデスマスみたいな聞き手、リスナーに対する敬語っていうのは実は日本特有じゃないんですよ。
先週ご紹介したタイ語と韓国語にも似たようなものが見られますし、もっと面白いところで言うとスペインの一部地域で話されているバスク語とか、
あとインドの言語ですね、パンジャビ語とかタミル語、あとはインドの北で話されているマギ語なんて言うような言語でも、
動詞に何かちょこちょこっと特殊なマークというか要素をくっつけて、聞き手のあなたのことを尊敬してますよって示すような仕組みっていうのは存在するんですね。
で、こういうデータを知ると言語学者にはあるロマンが芽生えるんですよ。
これね、昔ちょびっとお話したことあるんですけど、この生成文法、私がやっている生成統合論とか生成文法っていう研究分野にいる人たちは、
全部の言語に共通するOSを探してるんですね。結構ロマンあると思いません?
そうですね。パヴェルの塔で言語がチリチリになったとしても、何か共通項があるんじゃないかっていうところにはロマンを書いてますね。
そうそう。だから人間の言語って表面的に、もちろん英語も日本語も中国語も韓国語もみんな表面的には違うわけじゃないですか。
音も違う、単語も違う、言葉も違うけど、でもその人が言葉を話すっていうことに関して言うと、
人間の脳に何か共通的な基盤があるはずだよね、みたいな。そういうことを考えてるんですよね。
だからこの日本語のデスマスに似た感じの表現っていうのが他の言語にもあるって言われたら、
私たちはそれを一つのメカニズムの外に説明したいっていう欲求がめちゃくちゃ強まるわけですよ。
バスク語はこう、パンジャビ語はこう、日本語はこうじゃなくて何か共通項があるんじゃないかみたいな。
そういうことです。共通項があって、でもこういう違いがあるから日本語だとこう、パンジャビ語だとこう、韓国語だとこうっていう風にしたいんですよ。本当はね。我々の理想としては。
で、なのでできれば他の敬語システムで言われている理論を使って、日本語のデスマスの話も説明したいよねっていう欲求があるわけです。
で、先行研究をそういう流れで調べていくと、パンジャビ語、タミール語、マギ語なんかの多くの言語において、
アロキューティビティのマーキングっていうのは、いわゆる一致、アグリーというシステムですね。で動いているっていう風に主張されてきたわけです。
で、これ一致って言われてなんかちょっとピンとこないと思うんですけど、分かりやすい例は英語の三単元のSと一緒です。
っていうのは例えば英語の三単元のSって主語がIだったら何もしないけど、主語が三人称で単数でかつ時勢が現在の時だけwalksみたいにSをつけるって話ですよね。
だからIが主語だったらIwalkだけど、HeとかJohnとかが主語だったらJohnwalksみたいになるっていう。
これって要は主語が特定の形の時に動詞の形を変えましょうっていう仕組みじゃないですか。
これを一致アグリーメントって呼ぶんですね。で英語の場合はこれは主語と動詞の一致なわけですけど、
そのバスク語とかパンジャビ語とかタミル語にあるそのデスマスみたいなものっていうのは、ある意味文の中には出てこない、目には見えないけど存在している聞き手に対応して動詞の形を変えてる。
高校の英文法だと近いですもんね。
そうです。
Iの方がね。
だからhe thinksのthinksはその直前のheに対応してthinksになってるし、
I am smartのamは直前のIに対応してamになってるわけなので、
メインの主語がheだからと言ってこのamのところをisにしたりはしないじゃないですか。
影響力ありすぎですもんね。
そう。っていうのがデスマスでも同じことだよねってことです。
その要はhe thinks thatのthatの中にいるデスマスをこの外側にいる聞き手の人と対応させるって
有線ケーブルでそれできんのかいっていう話なわけですよ。
本当にそのアグリーメントさっき言った主語と動詞の一致と同じメカニズムだったとしたら
それ繋げられなくないっていう話になっちゃうわけですよね。
それをどう解決するかっていう問題が立ちはだかったわけです。
これにも先行研究でいろんな解決策は提示されてるんですけど、
私はちょっとそれとは違う方法を今回取りましたっていうのが
私の博士論文のメインの一番大きな主張だったんですよね。
私の主張をものすごくわかりやすく今の例えで噛み砕くと
マスを聞き手の人と接続するのって有線ケーブルじゃなくて無線LANなんじゃないっていう
Wi-Fiなんじゃないっていうのが私の主張です。
この例えいいかどうかは全くわからないんですけど
頑張ってたどいてるんでもう少し頑張って付き合ってください。
今までバスク語とかタミール語パンジャビ語のデスマスに対応しているものですよね。
有線ケーブルでつなげましょうって話だったんだけど
これ有線ケーブルじゃ届かない距離なのに
繋がってるっていう現実があるわけですよ。
この有線ケーブルで届かないのに繋がってるどうやって繋げばいいんだって言ったときに
私はそのいわゆる一致さっきの有線なんですよね。
有線ケーブルじゃなくて消耗束縛っていう名前
これ専門用語なんですけどある種のWi-Fi接続なんじゃないかっていう提案をしたんです。
そういう理論を提案したのね。
消耗束縛って何かって言われたらすっごい雑に言うと
代名詞に近いイメージだと思ってください。
代名詞と全く同じって言っちゃうとちょっと問題があるんですけど
今回のお話の流れとしてはいいかなと思います。
例えばHe thinks that I am smartって言ったときって
このIって必ず文を発話している人を指してるわけで
ジョムを指してることにはなりませんよね。
だからどっちかっていうと代名詞の解釈のメカニズムに近いようなやり方で
デスマス解釈してるんじゃないっていう
そういう提案をしたんですよ。
これを使うと何がいいかっていうと先週の話ですよね。
一番奥深い一番ちっちゃいマトリョーシカにマスのシールを貼って
箱の中に閉じ込めてもそこから壁をすり抜けて
Wi-Fiでルーターと埋め込んだマスのシールっていうのを
連携させることができるんじゃないかっていう。
それをもっと細かい理論はいろいろあるんですけど
組み立てて今まで皆さん優先接続だと思ってましたけど
実は無線でしたっていうのが私の博士論文のメインなわけですね。
だからこそ日本語の丁寧語っていうのは
韓国語とかでは見られない特殊な振る舞いができたんじゃないか。
そういうのが私の博士論文の骨子でございました。
まとめるとちょっと見る限り
日本語ちょっと特殊かもみたいな話でスタートしたんですけど
実は設計思想というか使ってるシステムがちょっと違うだけで
構造自体は一緒なんじゃなかろうかと。
聞き手の人と何かリンクさせなきゃいけない
繋げなきゃいけないっていう点でも一緒だし。
だけどその繋ぎ方が優先だったか無線だったかっていう
違いだけなんじゃないみたいな話で
先ほど言った生成文法の理論の人のロマンを突き詰めつつ
でも日本語ちょっと何か違うかもよみたいなのを
現象を説明しつつっていうのが
私の博士論の一番の大事なところだったわけです。
今回この話をしたのは
ぜひ言語学の研究の最先端がどういうことをやってるのかっていうのを
知っていただくと同時に
普通の人がある意味別にどっちでも良くない?
って思ってるようなことを一生懸命考えて
理論を組み立てるっていうことをやってるのが
言語学者の日常というか
っていうのをちょっと感じてもらえたらいいかなと思ってお話ししました。
それからその生成文法のロマンっていうのもあるなと思ってて
その世界の言語って違うけど
大元を正したら実は一緒だっていうのって結構ロマンあると思いません?
夢ある話ですよね。
だから日本語も英語も韓国語も
実はOSは一緒っていうのってすごいロマンあるなって思ってて
そこにできるだけ貢献できるような
研究をしていきたいなっていうふうに思ってますし
そんなふうに言語学者が研究してるってことを知っていただきたくて
お話をしました。
リスナーの方がね
今日何を持ち帰れるかってことを考えると
特にそんな大きな持ち帰りとか発見はないと思うんですけど
明日から誰かが何とかしますことを存じていますとか
ご迷惑をおかけしたことは存じておりますとかって言われた時に
デスバス埋め込んでるってちょっと思ってもらえたら面白いかなと
この人の頭の中でマトリョーシカに小さいシール貼って
それを箱の中に入れたらWi-Fi飛んだなって思ってもらえたら
もう私はそれで今日2回かけて話した価値があるかなというふうに思っています。
私結構これ感じてますよ普段。
本当ですか?
結構使うシーンあるんですよねこのしますことっていう中の
特にやっぱり丁寧にしようとすればするほど
ユーザーとしてというか
一ユーザーとしてはもうそこしか丁寧を加点する場所がないんですよ
ここが丁寧にしちゃってるんで
っていう時にやっぱり結構仕事柄丁寧にしなきゃいけないシーンが多いので
よく多発してるなと思っているので
Wi-Fi感じながら明日からも頑張ろうと思います。
これねすごい面白いテーマなんですよ
人がコミュニケーションを取る中で
どうやってその対人関係を文法に落とし込んでるかっていう研究なんですよね
ある意味デスマスの研究って
なのでまだまだ発展している途中ですし
今後これがどういう理論になっていくのかっていうのを
また機会を見て
今回もしかしたら再生率めっちゃ低いかもしれませんけど
でもこれをね伝えていくのもこのDSRの一つの目的かなと思いますので
気を見てお伝えしていければなというふうに思っております
第2回お付き合いいただいてありがとうございますという感じでございますが
今日の10152の言語学はこんなところで
次のコーナーに行ってみたいと思います
ミッドナイトオフィスアワー
はい続いてのコーナーはミッドナイトオフィスアワーということで
このコーナーでは皆様からKの質問にお答えしていきたいと思います
本日もメールをいただいております
もち子さんお便り読みをお願いします
はいラジオネーム真夜中の高越ガールさんからお便りをいただいております
Kさんもち子さんこんにちは
こんにちは
いつもディープストラクチャーラジオを楽しく聞かせていただいています
さてKさんに質問なのですが
Kさんはアメリカの大学院で博士号を取得されていますよね
異国での研究生活は想像を絶する大変さだったと思うのですが
アメリカでの陰性生活の中で
ズバリこれが一番きつかった
あの時はマジでやばかったというエピソードがあればぜひ教えてください
これからも配信楽しみにしていますとお便りいただきました
はい真夜中の高越ガールさんお便りありがとうございます
そうね大変だったことって言ったらもういろいろあるんですけど
まあなんか勉強面と生活面とくらいでお話ししていくのがいいですかね
たぶんね
そうですねアメリカならではといいますか
もう気になるとネタは尽きないとは思うんですけれども
喋らせたら2時間は喋れますよもっと喋れるかも
勉強側をサクッと聞いて生活側聞きたいですね
分かりましたはい
勉強側で言うともちろん白論は大変でした
やっぱり追い込みで本当に毎日書いて送って
白紙論文のアドバイザー指導教官の先生ですよね
毎日のように面談をしてもらってっていう感じだったので
私の先生すごい世界中を飛び回ってらっしゃる方で
1回1月だったからに面談してもらおうと思って
もうコロナ以後だったんでズームミーティングがかなり浸透してたんですよ
ミーティングしたら今モロッコにいるんですとか言って
ミーティングしてる間にその辺でムスリムのチャンティング
お祈りの歌が始まっちゃって何も聞こえないみたいなことがあったりとか
その3日後にミーティングしてもらった時は
今スペインまで飛んできましたみたいな感じで
そんなアクティブな先生と一緒に本当にいろんな議論をしながら
白紙論文を書いたっていうのはすごく大変だったんですけど
いい思い出ではあります
あとはアメリカの大学院って5年間あるので
1年生が一番大変だったかもしれないですね
そういうもんなんですかね
というのも1年生の間1、2年生の時が一番コースワーク
いわゆる授業の時間が多くて