これを何とか説明したいよねっていうふうにお話ししたのが、かの有名なポール・グライス先生ですね。
このポール・グライス先生は哲学者の方なんですけど、人はどうやって言葉の裏側を読むかっていうのを論理的に説明しようよっていうことを始めた人なんです。
言葉をこういうふうに人がどう使うか、文字通りの意味だけじゃないところを捉えようとする、その学問分野のことを誤用論なんて言ったりするんですけど、
その誤用論の中でも本当に超有名な大河野先生の一人です。
今回このポール・グライス先生の一番基礎となる理論ですね。
強調の原理っていうのと、グライスの合理っていうのについてお話ししていきたいと思ってます。
まずグライス先生が言ってることの第一原則、強調の原理ですね。
我々、無意識に相手っていうのは会話に協力してくれてる人だっていうふうに、そう信じ込みましょうっていう、そういうルールがまず会話の前提としてあるんじゃないかっていうふうに言ってます。
会話というか人間の前提としてあるような感じはしますけどね。
やや性善説的だなと思いますけど。
そうですね。人間として今この時間自分の相手をしてくれてるんだったら、悪気はないだろうと。半分願望込みな気もしますけど、
埋め込まれている前提として扱いましょうっていうのは、そういうことであれば乗りましょうっていう感じがします。
そういう前提で一回話を進めてみようぜっていうことですね。
この前提のもとで4つのルールに従って会話を進めていると。
その4つを今度ご紹介するんですけど、まず一つ目が質の合理。
これは嘘を言わないでねっていうことですね。
嘘を言わないとか本当だと思ってないことを言わないでくださいっていうルール。
これはルール①。
協調の原理からは派生しやすいというか、つながりやすいルールの一つですね。
質の合理があるということはもう一つ量の合理があるわけです。
必要以上のことを言わないでください。
でも少なすぎてもダメです。
難しいですね。いい塩梅ってことですね。
ちょうどいい量話してねっていう。
例えばですけど、デパートとかに誰かと一緒に行って、はぐれちゃったと。
どこにいるのって聞いたときに、2本って答えたら、それはちょっと情報量としてはオーバーすぎるというか、アバウトすぎる。
足りなすぎるんですかね。
足りなすぎる。
でも逆に例えばですけど、子供が火事ですって消防署に電話をかけたときに、その消防署の人が、その電話はどこにあるのって聞いて、壁ですって言ったら、これは情報としてはスペシフィックすぎて薄いわけですよね。
みたいに、多すぎず少なすぎず、ちょうどいい塩梅の量を提供しなさいっていうのがルール②。
で、ルール③は関係ない話をしないでくださいっていう関係性の合理。
これはわかる気がしますよね。関係ない話急にされたら、お前なんやねんってなるから。
今その話じゃないからってよく戻されるやつですね。
っていうのはしないようにしましょう。
あと④が妖体の合理って呼ばれてまして、妖体の合理はなるべくわかりやすく伝えましょうっていう。
回り道とか回りくどい言い方はやめてっていうことですかね。
っていうのがこの四つの合理があって、基本的にはこれを守ってお話を進めているということですね。
ところが人間この四つのルールをあえて意図的に破るときがある。
それはなんで破るかっていうと、意図的に破ることによって相手に刺してっていうために破ることがあるんですよ。
それが破られてるってことはさ、そういうことなんだよみたいな。それすらもその合理が働いてそうな感じがしちゃいます。
あえて破るからわかってっていう時があるわけですね。
それがさっきのもち子さんの例なんですよ。
今日飲みに行かないって言われて、明日仕事があって、明日朝一で会社で会議があっていう時っていうのは、
明らかにこの関係性の合理に違反してるわけですね。
まあ関係ないですもんね。
まあ今日飲みに行くかどうかと、朝朝一で会議があるかどうかっていうことは別に直接的な因果関係も関わりもないですよね。
だから関係性の合理に違反するわけですよ。
こういう違反した事例が出てくると、私はそれを聞いて、待て待て待てって脳の中で計算を始めるわけですね。
もち子さんは協調的な会話のパートナーであるはずだと。
もち子はいい人間のはずだと。
そういうふうに前提に立つわけですよ。
その前提に立つと、この明日の会議っていうのは何かしら今飲み会の誘い、今私が聞いた行かないっていうのに関係があることとして言ってるはずだよね。
関係な話題をしてくるわけではないだろうから、ってことはこの飲みに行くかどうかに関わる話をしてるんだと計算が拾ってくれるんですね。
頭の中で勝手にそういう計算を始めるわけです。この合理に基づいて。
ありがたいことです。
そうするとわざわざ朝一で会議があるっていうことは早く起きる必要があるってことだよね。早く起きる必要があるってことは夜遅くまでは飲めないってことだよね。
つまり行けないでしょっていうふうに受け取った側がその今言った合理と協調の原理に照らし合わせて計算をするわけですよね。
もち子もそれを期待して言ってるとは思いましたね。
そうですね。もち子さんの方でもあえて破るっていうことをするときにこれを意識して破るってことをするわけですね。
このようにルールをあえてさっきの合理ですよね。あえて破ることで相手に計算してもらって裏のメッセージを伝えるっていうのを会話の願意とか推移なんて言い方しますね。
カンバーセーショナルインプリカチャーなんていうふうに言語学の世界では呼ばれています。
単純に言うとこれなんでこんなことするかっていうと角を立てないためですよね。
そうですね。
やっぱり行かないって聞かれて直接行きませんって答えるのはすごくぶっきらぼうだし、相手のメンツを潰してしまうのでそういうのを角を立てないためにうまくカンバーセーショナルインプリカチャーを使ってあえて会話のルールを破ることで限界の意味を喪失するっていう結構クリエイティブなことを人間やってる。
そうですね。ある種大前提のいい人でいたいと言いましょうか。これでいけませんって言っちゃうのはちょっとそこを破っちゃう感じもしますもんね。
そうですね。なのでそういう部分も含めてうまくこの会話のルール結構シンプルなルールじゃないですか。この4つのルールっていうのは。
もちろんこれが全てではないっていうふうに言われてるんですけど、でも結構な数のこうした直接的には答えになってないのが実は答えになってるっていう現象ってこの4つのルールとそれのどれかの違反で説明できるっていうのが結構このグライス先生の理論の美しいところで。
結構これはもう今の雇用論研究の祖というか大元というかになってるような研究ですので、今日ちょっとご紹介してみたいなと思って持ってきました。
ありがとうございます。このコーナーでは皆さんが日常で感じた言葉の違和感や発見を募集しております。
街中で聞こえた変な会話や職場の謎ルールあるいは見つけてしまいましたという報告でも構いません。
なたが確保した生きたサンプルをぜひ持ち込までお知らせください。優秀な報告書はKさんが分析して当番組のアーカイブに永久保存しちゃいます。
報告フォームは番組の概要欄にてご確認ください。皆さんの動向をお待ちしております。
さてそろそろ101号室の明かりを消す時間です。
もちかさん今夜のグライスの氷の話いかがでしたか。
そうですね。結構馴染みのあるやりとりかなというふうに思いました。
結構言いすぎ言わなさすぎっていう量のところもわかりやすいかなというふうに思っていて。
嘘をつかないとかっていうところも破ったからには理由があるんじゃないかっていう裏を書く感覚って多分皆さんあるのかなとは思っているんですけどそれを改めてルールと言いましょうか。
落とし込んでいるっていうところで感覚だったところをうまく体系化してくれているっていうこの合理というのはもう結構古いものなんですよね。
かなり古いですね。1975年に出た論文が最初でそこから脈々と。
もう50年くらいこれだけテクノロジーだなんだと世界が変化している中で人間の変わらない部分を見たと言いましょうか。
そんな感覚がして非常に面白くわかりやすい内容だったなぁと感じました。
ありがとうございます。これねもう日常で生活すると本当に至るところで出会うので。
例えばですけど芸人さんのコントとかそういうのも結構これ破ってるよねみたいなのがあったりとか。
そうですね確かにそういう言葉遊び系のお笑いとかだとありますね。
あとは面白いエクストリームなケースだとシュレックっていう映画があるじゃないですか。
あれの中でピノキオが嘘をつかなきゃいけないけど嘘をつけないっていうシーンがあるんですよ。
ピノキオってご存知だと思いますけど嘘つくと鼻伸びてばれちゃうんで。
なのでなんとかしてこの妖体の氷を駆使して破り続けて回りくどく。
それを嘘だというのは嘘じゃないんだけどみたいな面倒くさい言い方をするっていう非常に面白いシーンがあったりとかすごく日常にあふれてるんですよね。
なのでぜひリスナーの皆さんもその辺ちょっと気にかけて生きていただけるとまた違う眼鏡で日常の会話が見えてきて面白いんじゃないかなと思います。
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