こんにちは、つねぞうです。
DESIGN REVIEW FM 第106回目、始めていきます。
今回は、【ものづくり系ポッドキャストの日】の企画に参加します。
ものづくり系のポッドキャスターたちが、共通のテーマについてお話ししましょうという企画です。
支部長さんがホストしてくれていまして、8月のテーマは【冷却】です。
冷却装置、現場の熱対策、おすすめの頭の冷やし方など、冷却を軸にものづくりの話をしちゃいましょう。
ということで、最初はですね、オイルコントローラーの冷媒の話、フロントがですね、そこら辺をやろうかなと思ってたんですけれども、
ちょっと専門的になりすぎるというか、あまりものづくりっぽくないと思ったので変更します。
科学系ポッドキャストの日というのも9月の頭にあるんですけれども、ちょっと無理やりこじつけで、そっちのテーマが二刀流だったんですね。
そっちのテーマに無理やりこじつけて話そうかなと思ってたネタを、ちょうど冷却関係だったので、そちらをこっちのものづくり系の方で話そうかなと思ってます。
何かというと、後戦の時の卒業研究のネタですね。
それがちょうど物を冷やすということに関する研究だったので、その話をします。
で、どんな研究だったかというと、まずタイトルですね。タイトルを発表します。
タイトルは、寒温磁性流帯によるマイクロ熱輸送システムの開発ということで、
なんじゃそりゃという感じだと思うんですけれども、ちょっと説明していきますね。
ちなみにこれ検索しても私の名前は出てきません。
ちょっと前はね、何年か前に調べたときはまだその後戦の時の論文が出てきたんですけども、
今回調べてみたら、そのサイトが消えちゃったのかわからないんですけども、私の名前は出てきてないですね。
私の後にやってた方の名前とか出てくるんで、学校とかはわかっちゃうかもしれないですけども、もう20年以上前ですからね。
このタイトルからどんな研究かわかりますでしょうか。
寒温磁性流帯の、まず磁性流帯から説明していきます。
磁性流帯とは、磁場、磁石の力に反応する特殊な液体ですね。
その液体の中にはですね、直径10nmほどの鉄などの細かい粉みたいなのがたくさん分散しているんですね。
その鉄などの粉が沈んでしまわないように海面活性剤で表面がコーティングされていて、その液体の中に安定して浮かんでいる状態です。
特徴として、常温で液体であるんですけれども、磁石を近づけるとその磁石に反応する。
多分この映像とかで見たことあると思うんですけども、磁石を近づけるとトゲトゲのスパイクパターンと呼ばれるんですけども、
そういうスパイクパターンというようなトゲトゲのハリネズミのような、そういった形になる。
あとはですね、おもちゃなどで見たことあると思うんですけども、液体の中でダンスしているような、そういうおもちゃの映像も私は見たことがあるんですけど、
そういうふうに磁石に反応する液体であると。
これは磁石と表面張力のバランスによる現象だそうですね、そのスパイクパターンというのは。
そして粒子というのはすごい細かいナノサイズなので、肉眼ではただの黒い液体にしか見えません。
どういったところに使われているかというと、さっき言ったようにおもちゃ。
磁石で形が変わるような、そういうおもちゃとか、デザイン的な鑑賞専用の、そういった製品だったり、
あとはスピーカーですね。スピーカーのコイルの隙間に入れて、熱を逃がして振動を安定させるための用途として使われたり。
あとはハードディスクですね。ハードディスクのシャフトの隙間を埋めて、そこの機密性を高めるシール代わりに使われたりしています。
その磁性流体の頭に感温というのがまた別についているんですけど、感温というのは感じる温度という感じですね。
感じる温度、温度を感じる磁性流体ということで、それは温度によって磁石への反応の強さが変わる磁性流体のことですね。
感温磁性流体はある温度を境にしてその磁石に反応する磁性の力、磁性が急に弱くなったり消えたりします。
これは距離温度と呼ばれる性質に関係していまして、距離温度とは鉄などが磁石としての性質を失う温度のことですね。
なので感温磁性流体ではこの性質を利用して温度を変えることで磁石に引き寄せられるかどうかというのを制御できます。
つまり温度スイッチ付きの磁性流体とも言えるようなものですね。
この感温磁性流体、温度によってその磁石に引き寄せられる力が変わるという性質を利用した小さい熱輸送システムを作りましょうという研究でした。
どうすればこの感温磁性流体を使って熱を輸送するシステムが作れるのか。
その前にどんな場所で使うことを想定しているか話をしておきます。
主にノートパソコンやスマホなどの電子デバイスですね。
その中で使うことを想定しています。
なので小さいマイクロな熱輸送システムが必要ですよと。
当時私が高生の5年生で卒研をやったのが2004年ですからスマホはなかったですね。
いわゆる柄系と呼ばれる携帯電話はありました。
確かカメラは100万画素くらいでカラーにはなっていましたね。
カラーにはなっていて100万画素くらいのカメラが付いていて
着メロも和音は過ぎてもうちょっと音楽らしい着メロだったかもしれませんね。
そういう柄系とかノートパソコンとかさまざまな電子機器の中にはコンピューターが入っていますよね。
コンピューター、CPU。
CPUは計算をすると発熱しますよね。
ノートパソコンであれば風を送るファンが内蔵されていて
その風の力で冷却するということをやってまして
使っているときに計算をして熱くなってくるとファンがバーッと回り出すと
結構うるさい音がしますよね。
ただスマホとか携帯電話みたいなもっと小さい電子機器では
そういうファンを仕込むことができません。
スペース的な問題で仕込むことができないので
何かしらの形で熱を逃がさないといけないと。
あとはファンを回すためのモーターに使う電力も余計にかかってしまいますよね。
小さい電子機器ではそういう電力もなるべく節約したいので
電力を使わない、そういうデバイスに適応できるような
電力を使わずにCPUの熱を奪って外まで。
外というのはデバイスの外側ですね。
外装あたり、空気と触れるところにあるヒートシンクのようなもののイメージですかね。
そこまで熱を運ぶシステム、マイクロ熱輸送システムを作ろうぜという研究でした。
どんなシステムなのか、なかなか言葉だけではわかりにくいと思うので
当時の実験装置の写真をイニシエのCD-ROMから発掘しましたので
その写真を貼ったXのポストのリンクを概要欄に置いておきますので
見れる方はその写真を見ながら聞いてみてほしいなと思うんですけども
音声だけでもなんとなくわかるように話してみますね。
装置の概要としてはパイプを楕円状につなげたものを用意して
その中に磁性流帯を入れます。
その楕円状につなげたパイプの左右の丸いところ
くるっと180度向きを変える丸いところは銅のパイプで作っていて
直線部分はアクリルで作っています。
まずそのくるっと回るところの左側の方は
針金状のケーブル状のヒーターをぐるぐる巻いてあります。
ここが発熱したCPUのイメージですね。
そして反対側楕円の右側の丸いところは
ここはアクリルで箱状に囲っていまして
この中に冷たい液体を流して冷却すると。
ここがヒートシンクで冷却される場所というイメージですね。
そして写真を見ている方じゃないとわからないんですけれども
何本か青いケーブルがつながっていると思います。
これは熱電対ですね。
熱電対をいろんな場所に仕掛けることで
各箇所の中の磁性流帯の温度を測定するものですね。
こういった構造になってまして
左側のヒーターで温められて
磁性を失った磁性流帯が流れて
右側まで来ると冷やされて磁性が復活するというサイクルで
ぐるぐるこの回路の中で熱を運ぶというわけです。
それだけでどうやって磁性流帯が流れるのと思ったあなたはさすがですね。
一つ大事な要素をまだ説明していませんでした。
それは磁石ですね。磁石。
この写真の中にも磁石が写ってないんですよ。