2025-08-27 15:54

106:【冷却】電力を使わずに磁力で熱を輸送するシステムの話【ものづくり系ポッドキャストの日】

ものづくり系ポッドキャストの日!

8月のテーマは「冷却」

高専時代の卒業研究について話してます。

「感温磁性流体によるマイクロ熱輸送システムの開発」


そしてサイエンマニアのゲストとの意外な関係も…


↓こちらのプレイリストから他の番組も聞いてみて下さい!

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■参考URL

磁性流体の実験装置(Xのポスト)

https://x.com/tsunezo_works/status/1960469846598279508?s=46&t=NHTn0pDpw9T9FalsJ26tuQ


サイエンマニア #115

ゲスト 熱を伝える流体の研究をしている「けこさん」回

https://open.spotify.com/episode/7asWYTliZiVNBbnMz5paSR?si=RuTiSkpjSBmnUnWXHpAWLw


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つねぞう

ものづくりが好き。産業機械メーカーで設計をしている。猫を飼っている。


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サマリー

このエピソードでは、「寒温磁性流帯によるマイクロ熱輸送システム」に関する研究が紹介され、磁性流帯の特性とその応用が詳しく説明されます。特に、電子機器の熱管理において電力を使わずに冷却を実現する方法に焦点が当てられています。また、この研究は高生時代の卒業研究を基にしており、現在も進行中であることが明らかにされています。

冷却テーマの導入
こんにちは、つねぞうです。
DESIGN REVIEW FM 第106回目、始めていきます。
今回は、【ものづくり系ポッドキャストの日】の企画に参加します。
ものづくり系のポッドキャスターたちが、共通のテーマについてお話ししましょうという企画です。
支部長さんがホストしてくれていまして、8月のテーマは【冷却】です。
冷却装置、現場の熱対策、おすすめの頭の冷やし方など、冷却を軸にものづくりの話をしちゃいましょう。
ということで、最初はですね、オイルコントローラーの冷媒の話、フロントがですね、そこら辺をやろうかなと思ってたんですけれども、
ちょっと専門的になりすぎるというか、あまりものづくりっぽくないと思ったので変更します。
科学系ポッドキャストの日というのも9月の頭にあるんですけれども、ちょっと無理やりこじつけで、そっちのテーマが二刀流だったんですね。
そっちのテーマに無理やりこじつけて話そうかなと思ってたネタを、ちょうど冷却関係だったので、そちらをこっちのものづくり系の方で話そうかなと思ってます。
何かというと、後戦の時の卒業研究のネタですね。
それがちょうど物を冷やすということに関する研究だったので、その話をします。
で、どんな研究だったかというと、まずタイトルですね。タイトルを発表します。
タイトルは、寒温磁性流帯によるマイクロ熱輸送システムの開発ということで、
なんじゃそりゃという感じだと思うんですけれども、ちょっと説明していきますね。
ちなみにこれ検索しても私の名前は出てきません。
ちょっと前はね、何年か前に調べたときはまだその後戦の時の論文が出てきたんですけども、
今回調べてみたら、そのサイトが消えちゃったのかわからないんですけども、私の名前は出てきてないですね。
私の後にやってた方の名前とか出てくるんで、学校とかはわかっちゃうかもしれないですけども、もう20年以上前ですからね。
このタイトルからどんな研究かわかりますでしょうか。
寒温磁性流帯の、まず磁性流帯から説明していきます。
磁性流帯とは、磁場、磁石の力に反応する特殊な液体ですね。
その液体の中にはですね、直径10nmほどの鉄などの細かい粉みたいなのがたくさん分散しているんですね。
その鉄などの粉が沈んでしまわないように海面活性剤で表面がコーティングされていて、その液体の中に安定して浮かんでいる状態です。
特徴として、常温で液体であるんですけれども、磁石を近づけるとその磁石に反応する。
多分この映像とかで見たことあると思うんですけども、磁石を近づけるとトゲトゲのスパイクパターンと呼ばれるんですけども、
そういうスパイクパターンというようなトゲトゲのハリネズミのような、そういった形になる。
あとはですね、おもちゃなどで見たことあると思うんですけども、液体の中でダンスしているような、そういうおもちゃの映像も私は見たことがあるんですけど、
そういうふうに磁石に反応する液体であると。
これは磁石と表面張力のバランスによる現象だそうですね、そのスパイクパターンというのは。
そして粒子というのはすごい細かいナノサイズなので、肉眼ではただの黒い液体にしか見えません。
どういったところに使われているかというと、さっき言ったようにおもちゃ。
磁石で形が変わるような、そういうおもちゃとか、デザイン的な鑑賞専用の、そういった製品だったり、
あとはスピーカーですね。スピーカーのコイルの隙間に入れて、熱を逃がして振動を安定させるための用途として使われたり。
あとはハードディスクですね。ハードディスクのシャフトの隙間を埋めて、そこの機密性を高めるシール代わりに使われたりしています。
その磁性流体の頭に感温というのがまた別についているんですけど、感温というのは感じる温度という感じですね。
感じる温度、温度を感じる磁性流体ということで、それは温度によって磁石への反応の強さが変わる磁性流体のことですね。
感温磁性流体はある温度を境にしてその磁石に反応する磁性の力、磁性が急に弱くなったり消えたりします。
これは距離温度と呼ばれる性質に関係していまして、距離温度とは鉄などが磁石としての性質を失う温度のことですね。
なので感温磁性流体ではこの性質を利用して温度を変えることで磁石に引き寄せられるかどうかというのを制御できます。
マイクロ熱輸送システムの構造
つまり温度スイッチ付きの磁性流体とも言えるようなものですね。
この感温磁性流体、温度によってその磁石に引き寄せられる力が変わるという性質を利用した小さい熱輸送システムを作りましょうという研究でした。
どうすればこの感温磁性流体を使って熱を輸送するシステムが作れるのか。
その前にどんな場所で使うことを想定しているか話をしておきます。
主にノートパソコンやスマホなどの電子デバイスですね。
その中で使うことを想定しています。
なので小さいマイクロな熱輸送システムが必要ですよと。
当時私が高生の5年生で卒研をやったのが2004年ですからスマホはなかったですね。
いわゆる柄系と呼ばれる携帯電話はありました。
確かカメラは100万画素くらいでカラーにはなっていましたね。
カラーにはなっていて100万画素くらいのカメラが付いていて
着メロも和音は過ぎてもうちょっと音楽らしい着メロだったかもしれませんね。
そういう柄系とかノートパソコンとかさまざまな電子機器の中にはコンピューターが入っていますよね。
コンピューター、CPU。
CPUは計算をすると発熱しますよね。
ノートパソコンであれば風を送るファンが内蔵されていて
その風の力で冷却するということをやってまして
使っているときに計算をして熱くなってくるとファンがバーッと回り出すと
結構うるさい音がしますよね。
ただスマホとか携帯電話みたいなもっと小さい電子機器では
そういうファンを仕込むことができません。
スペース的な問題で仕込むことができないので
何かしらの形で熱を逃がさないといけないと。
あとはファンを回すためのモーターに使う電力も余計にかかってしまいますよね。
小さい電子機器ではそういう電力もなるべく節約したいので
電力を使わない、そういうデバイスに適応できるような
電力を使わずにCPUの熱を奪って外まで。
外というのはデバイスの外側ですね。
外装あたり、空気と触れるところにあるヒートシンクのようなもののイメージですかね。
そこまで熱を運ぶシステム、マイクロ熱輸送システムを作ろうぜという研究でした。
どんなシステムなのか、なかなか言葉だけではわかりにくいと思うので
当時の実験装置の写真をイニシエのCD-ROMから発掘しましたので
その写真を貼ったXのポストのリンクを概要欄に置いておきますので
見れる方はその写真を見ながら聞いてみてほしいなと思うんですけども
音声だけでもなんとなくわかるように話してみますね。
装置の概要としてはパイプを楕円状につなげたものを用意して
その中に磁性流帯を入れます。
その楕円状につなげたパイプの左右の丸いところ
くるっと180度向きを変える丸いところは銅のパイプで作っていて
直線部分はアクリルで作っています。
まずそのくるっと回るところの左側の方は
針金状のケーブル状のヒーターをぐるぐる巻いてあります。
ここが発熱したCPUのイメージですね。
そして反対側楕円の右側の丸いところは
ここはアクリルで箱状に囲っていまして
この中に冷たい液体を流して冷却すると。
ここがヒートシンクで冷却される場所というイメージですね。
そして写真を見ている方じゃないとわからないんですけれども
何本か青いケーブルがつながっていると思います。
これは熱電対ですね。
熱電対をいろんな場所に仕掛けることで
各箇所の中の磁性流帯の温度を測定するものですね。
こういった構造になってまして
左側のヒーターで温められて
磁性を失った磁性流帯が流れて
右側まで来ると冷やされて磁性が復活するというサイクルで
ぐるぐるこの回路の中で熱を運ぶというわけです。
それだけでどうやって磁性流帯が流れるのと思ったあなたはさすがですね。
一つ大事な要素をまだ説明していませんでした。
それは磁石ですね。磁石。
この写真の中にも磁石が写ってないんですよ。
冷却システムの仕組み
モーターなどの電力の力を使わずに
磁石、磁石の力で磁性流帯を循環させるのです。
じゃあどこに磁石を置くかというと
ちょうど右側の冷却が終わった場所ですね。
冷却が終わったあたりに磁石を置きます。
そうすると熱くなって磁性を失った磁性流帯が
冷やされて磁性が復活したところ
磁性が復活したタイミングで磁石に引き寄せられますので
そこでグッと引っ張る力が与えられるわけですね。
磁石の吸引力によって磁性流帯を引っ張って
その力でぐるぐる回路の中を循環させると。
そしてそれで循環させることで熱を輸送するという仕組みですね。
この研究は私の台で確か始めたと思います。
もともと担当していた先生の中の構想はあったと思うんですけども
私ともう一人同期と二人で担当したんですけども
この実験装置を作るところから始めました。
なので1年目の成果としては
装置を作って磁性流帯がちゃんと循環するよねという確認くらいだったと思います。
冷却効率とかそこまでいかなかったんですね。
あと磁性流帯って真っ黒なんですよね。
なのでその真っ黒な液体が流れているかどうか
本当に流れているのっていうのを確認するのも大変でした。
流量計とか仕込むことも当時はできなくて
国工の世界でどうしたかというと
白いビーズみたいなもの
白くて小さい粒々のビーズみたいなものを磁性流帯に混ぜたんですね。
その白いビーズが動くのを観察して
じゃあ磁性流帯も流れているよね。
その白いビーズが大体その何秒で何ミリ移動したから
その管路の中の流量としてはこれぐらいだよねという感じで観察しました。
というところぐらいまで論文を書いてたしかおしまいだったと思います。
研究の続きと現状
そんな研究をしてたんですけども
ここからがちょっと胸圧展開なんですが
この研究って今でも続けられてるんですよ。
それを2年ぐらい前に偶然知りました。
その偶然知ったきっかけっていうのが
科学系ポッドキャスターでサイエントークなどの番組を配信しているレンさんなんですね。
このレンさんはですねサイエントークの他に
サイエンマニアっていうあらゆる分野の専門家を招いて
サイエンスっぽいディープなマニアな話を届けるポッドキャストというものも配信されているんですが
その第115回と116回、2023年ぐらいですね。
その2つの回のゲストが熱を伝える流体について研究されているケコさんという方ですね。
ケコさんという方がゲストで
この方がお話ししていた研究がまさにそれなんですよ。
私がやっていた研究と同じだったんですね。
あまりにも同じものだったので
いやこれはもしかしてと思ってケコさんのXのアカウントを見に行きまして
研究者の方なので論文にたどり着いたんですね。
その論文を見てみるとその論文に名前を連ねている教授がまさに
私が高生時代に担当して指導してくれていた先生だったんですね。
あ、同じ先生じゃんと。
これかなり熱い展開ですよね。
その先生、私が高生に入った頃はまだ助手で
卒業をやる5年生ぐらいかな。
5年生ぐらいになった頃に博士を取られて
助教授になったタイミングだったと思います。
今だと準教授ですかね。
だったんですが、その後高生から東北の方の大学に移られたとは聞いてました。
今は関東の大学の方で教授をされているようですね。
それをサイエンマニアを聞いて、あっと思って
けこさんのアカウントを見に行って
DMを送ったりはしていないですけども
気持ち悪がられると思うのでしませんけども
Xはこっそりフォローさせていただいております。
このけこさんがゲストの回のサイエンマニアのリンクも概要欄に貼っておきます。
今日私がお話ししたよりも分かりやすく
そして面白く研究を紹介してくれていますので
ぜひそちらを聞いてみてください。
ということで、今日はですね
モノづき理系ポッドキャストの日
テーマは冷却ということで
高生時代の卒業研究
寒温磁性流体を用いたマイクロ熱輸送システムの研究について話してみました。
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完全に
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