デザインレビュー番組の紹介
はい、こんにちは、ツネゾウです。
Design Review FM、第3回目、始めていきたいと思います。
よろしくお願いします。
このDesign Review FMは、
世の中の様々なもの、
主に工業製品や、それに関わる出来事について、
私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこう、という番組です。
何でこんな設計をしているんだろう、とか、
こういう設計にした方がいいんじゃないか、という話を無責任にしていきますので、
気軽に聞いていただければ幸いです。
前回は、
工作機械メーカーで働くということについて、
お話しさせていただきました。
私、工作機械メーカーで働いているんですけれども、
そこでの経験ですね。
そういった話をしました。
今回は、最近買って読んだ本なんですけれども、
歯車屋の見た世界、というですね、
面白い本があったので、
その感想を話していければなと思います。
では本編をどうぞ。
はい、では本編です。
「歯車屋の見た世界」の感想
歯車屋の見た世界、
という本の感想をちょっとお話しできればなと思います。
この本、もともと日経オートモーティブという雑誌を前後買っているんですけど、
その中に広告が出ていて、気になっていたんですよね。
面白そうだなと思ったんですけど、
値段も値段でなかなか買えずにいたんですけど、
ある時、上司のつけのを見たらこの本があって、
ちょっと中を見せてもらったときに、
これは面白そうだなと思って、自分も買ってみました。
この歯車屋の世界なんですけど、
歯車の世界的経緯、久保藍蔵さんという方はですね、
モーターファンイラストレーテッドで連載していた内容をまとめたものだそうです。
この久保藍蔵さんという方はですね、
京都大学で長く教授を務めた後、
今は京都大学の名誉教授をしていらっしゃるんですけど、
自動車だけじゃなく船舶だったり、発電所だったり、
あらゆる分野の歯車に詳しい方らしいですね。
帯を見てみると、歯車を全方位から解説と書いてて、
歯車の歴史だったり、加工方法とか、種類とか、
どういった問題があるかという内容ですね。
いろんな解説をしてくれている本です。
例えば、回転するものの周りについた突起物がお互いに引っかかって、
その回転運動だったり、動力を伝えるという歯車の原型みたいな機構はですね、
紀元前4世紀のアリストテレスの時代にはあったそうです。
その後、その動速、一定の速度で滑らかに運動を伝えるために、
サイクロイド曲線というものを歯車に利用する理論を完成させたのは、
17世紀のピード・ラ・イールという人だそうですね。
そういった歯車の歴史というところから、いろんな話が始まっていきます。
ちなみに、サイクロイド曲線というのは皆さんご存知ですかね。
例えば、テーブルの上に円筒の筒を置いたとして、
それを真横から見ているとします。
その円筒の断面の一点にマジックで丸いポッチをポンと置いて、
その円筒をコロコロと転がした時に、
そのマジックで書いた一点が描く軌跡、曲線をサイクロイド曲線と言いますね。
その後、サイクロイド曲線を使った歯車の後に、
インボリュート曲線というものが出てくるんですね。
これもその同じピード・ラ・イールという方が考えたそうなんですけど、
今歯車の歯の形に主に使われているのがこのインボリュート曲線というものらしいです。
ここで詳しい説明は割愛します。
さっきお話ししたように、歯車の加工方法だったり、
歯車の転移の話、歯スーパー歯車とかですね、
いろんなかなり専門的な内容も多くて、
とても勉強になりました。
歯車の設計について
あと、その山歯歯車の形、
その山の形、Vみたいな形をしている歯車の形が、
自動車メーカーのシトロエンのエンブレムの形になっているよ、
といううんちくも書いてあったりしますね。
いつまでも本の内容を説明してもきりがないんですけども、
さっきもちょっと話したんですけど、
なんでこの本を読んでみようかな、興味を持った理由ですね。
私、産業機械の設計を十数年やっているんですけども、
正直なことを言うと歯車の図面を書いたことはありません。
一枚もですね。
歯車が組み込まれた装置とか、
歯車を使った減速機というものの
メーカーと打ち合わせをして納入証書を取り交わして、
実際製品に取り入れたということはあるんですけども、
本当に歯車単体の図面を書いたことはないんですね。
図面を書いたことがないというと、
ないということは設計をしたことがないということなんですけど、
その歯車の設計をしたことがないんですよ。
たぶんおそらくその社内の設計者の中でも、
本当にもう数えられるぐらいの人数しか今、
歯車の図面を書いたことがある人はいないんじゃないかなと思います。
ロストテクノロジーになりつつあるんですね。
そこをすごい危惧してて、心配してて、
昔であればその工作機械の主軸、
ギアで減速した主軸でゴリゴリゴリゴリ、
加工してるんですけど、
今は本当にビルドインモーターで直接回すっていうのが
主流なイメージがあって、
あとそのテーブルとか回転軸もですね、
歯車じゃなくてDDモーターの設計が多いんじゃないかなと。
最近はですね、
シンプルな方向にいってるんですけども、
最近の工作機械っていうのは高速・高精度がやっぱり
さらに求められてて、
ギアだと回転数を上げられないと、
あとは振動の原因だったり、
だんだん使っていくうちに摩耗してバッククラッシュが出てっていう
歯車はなかなか敬遠されてるのかなっていう印象があります。
ただその歯車にはコンパクトな設計にできるという利点もあってですね、
使いどころによってはDDモーターに置き換えられない
っていうところもあるんじゃないかなと思ってて、
当然今現状使われているユニットもあって、
そういう設計をブラックボックスのまま使い続けるのは
非常にまずいなと思ったんですね。
いざその設計を見直さなきゃいけないって時に、
その歯車について知っておかなきゃいけないなっていう気持ちがずっとあって、
そういう思いがあって、
これを見た時にこれだと思って購入しました。
正直なところ、
これを読んだら歯車の設計ができるようになるって本じゃないんですよね。
実際の設計の仕方とか、
そういったところは書いてないので、
これを読んだらできるってわけじゃないんですけど、
何に気をつけるべきか、どういう問題があるかとか、
どういった選択肢があるかっていう、
その設計の第一歩という、
その取っ掛かりになるんじゃないかなと思います。
またその8800円ってちょっと少し値が張るんですけど、
その値段分の価値はあるんじゃないかなと思いますので、
このラジオを聞いて興味を持ってくれた方は、
ぜひ手に取っていただければなと思います。
ということで、今日はこの辺で終わりにしたいと思います。
聞いていただいた方ありがとうございました。
またお会いしましょう。さよなら。