数字の重要性の認識
はい、こんにちは、りびぃです。今日も、もの技ラジオをやっていきたいと思います。
このラジオは、生産設備の現役設計者である私、りびぃが、
ものづくりや技術に関して日々感じていることや考えていること、
また、面白そうなトピックについて皆さんにお届けする番組となっております。
今日のテーマですが、数字を肌で感じることの重要性、これについてやっていきたいと思います。
私もメカ設計を始めて、今年9年目とかかな、になるんですけれども、
そんな中でいつも仕事をしていて、これ大事だなって思うのは、
設計計算とかしたときに出てくる数字とか、
あとは自分で図面を引いたときに書いていく数字、入力する寸法とか、
そういうのを肌で感じれるかどうかって、これめちゃくちゃ重要だなって思うんですよ。
例えば、重量10キロのワークがありますってなったときに、
そのワークを人で運べるかどうかって考えたときに、
その10キロってどんなもんかって肌で感じれるかとか、
なんかそんな感じですね。
最近、デジタルなんとかDXだとかって流行ってたりとか、
コロナをきっかけに在宅ワークで仕事をする設計者っていうのも、
自分もそのうちの一人なんですけれども、一定数いるかとは思うんですよ。
そういう流れの中で、やっぱり最近現場行く人って減ってきてるんじゃないかなっていうふうには思うんですよ。
なんですけど、設計したときに出てくる数字とか、自分で入力する数字か、
妥当かどうかって、やっぱりこの感覚ないときついなっていうのはありますよね。
実体験の共有
これが大事だなって気づいたきっかけっていうのが、
最初自分、大企業に勤めてたんですけど、
その大企業で設計として仕事する中で、初めて自分で図面を引いて、
その引いた図面の通りにものができて、それが取り付くところまで見るっていう、
それを全部自分で見てきたっていう経験をしてきたからですね。
どういう案件だったかっていうと、機械としては全長5、60メートルぐらいのすごい大きな機械で、
高さも40、50メートルぐらいあるような、屋外で使うような装置だったんですけれども、
基本的にはもうほとんどの、ほとんどというかもう90何パーセントの設計っていうのは、
もう自分が担当するはるか前にすでに終わっていて、
それの現地組み立てがあるからっていうので、教育の一環としてお前行ってこいっていう風に言われて、
それで先輩の設計者と一緒に現地に行ったんですよ。
そしたら、設備設計あるあるなんですけど、やっぱ現地で組み立てとかやってみると、
なんか干渉しているだとか、あとは安全の検査が入って、ここ危険だから何か対策してくださいとかって言われるとか、
これメンテナンスしにくいから何とかしてとかって、追加で仕様が置いてくるみたいな、
そういうのがあって、それを対応している中で、自分が担当することになったのが、
その装置を旋回させるためのモーター減速器のところの開口を塞ぐための足場みたいな感じ、
そういう部品を取り付けろっていう風に言われたんですね。
モーター減速器って言っても、そんなFAにあるようなちょっとちっちゃめのやつとかそんなレベルじゃなくて、
全長何十メートルの機械を旋回させるための機械ですから、
重量も何十トン何百トンっていうレベルの機械なので、それを旋回するモーター減速器ってなるとめちゃくちゃでかいんですね。
自分の身長よりもでかいぐらいのモーター減速器だったんですけど、
それが地上から何か20メートルぐらいのところについてるんですね。
地上から20メートルぐらいのところにあるので、当然手を伸ばしても梯子をかけても絶対届かないところにあるんですけれども、
そこをメンテナンスとかのためにアクセスしようと思ったら、
その機械の中に通路、ホローって呼ばれてますけれども、
ホローが引いてあって、そのホローを階段とかそういうのをたどっていきながら、
そのモーター減速器とかにアクセスしてそこでメンテナンスするっていう、
そういう設計思想の装置になってたんですね。
なんですけど、そのモーター減速器がついてるところ行ってみると、
そのモーター減速器本体とそのホロー通路のところの間に、
足がそのままスポッと入りそうな開口が開いちゃってると。
この開口があることによってつまずいちゃったりとか、
下手したらそこから落ちちゃったりする危険性があるから、
そこを塞ぐためのカバーを設計してくれって言われたんですね。
それが自分が人生で初めて自分の考えに基づいて図面引いて、
そのものが取り付くところを見たっていう、そういうものだったんですよ。
ぶっちゃけカバーって言っても構造としては取り合いでボルト入れれるところって限られてたので、
だいたいここからボルトをともじめして、そこからL字で曲げてカバーしようねっていう、
本当に単純な形状のものだったんですけど、
ただのL字板金のところにカバーするだけなんで、
強度計算って言ってもただの型持ち針で何キロ加わった時にどれぐらい戯むかって、
それが問題なさそうかっていう計算するだけなんですけど、
その戯み計算した数字がその体感としてどんなものかっていうのが全然想像がつかなかったんですね。
そのせいで板厚を何ミリにすればいいのかっていうのが全然判断つかなくて、
なんでお前こんなL字板金設計するだけでそんな時間かけてんのって先輩たちからは言われてたんですけど、
やっぱりその数字を見た時にそれが体感としてマッチしてないとやっぱりすごい難しいなってその時に感じましたね。
設計の感覚の重要性
その時は人が乗っても不具合がないようにっていう、
そういう設計思想で人の体重を何キロだと仮定してそれがどこに乗った時にどうでとかってやってたんですけれども、
例えばその計算結果が0.5ミリだった、戯みが0.5ミリでしたってなった時に、
0.5ミリで本当に問題ないのかっていうのが難しいんですよ。
もちろん材料が破綻しないかどうかっていうのは破綻は絶対しないっていうのはもう分かってたんですけど、
0.5ミリ戯むってどんなもんなのかって皆さんわかります?
しかも地上20メートルのところにある鉄板に乗ると0.5ミリ戯みますっていう。
これどう?って悩みません?
めちゃくちゃこの時怖くて、これ強度計算上は絶対大丈夫だけど、ほんまかな?みたいなっていう風になったんですよ。
実際取り付けられてるところも見たんですけれども、職員の方ね、すごい手際よくやってくれてはいはいみたいな感じで付けてくれたんですけど、
付けた後に上司が来て、これお前請求したやつやなって言われて、乗ってみ?って言われたんですよ。
乗るの?みたいな。それはそうやろ、お前が請求したんやろっていう風に言われて、
すごい手すりとかに捕まりながら片足ずつそーっとそーっと乗ったって覚えがありますね。
この時にほんまにこの数字の感覚がないと怖っていう風に思いましたよ。
そのせいでですね、それ以降、自分のデスクのところに何枚か常に鉄板置いときたいっていう気持ちがすごい発信になってきて、
板厚3ミリの鉄板とか板厚1ミリの鉄板とか、鉄とアルミとみたいな感じで数種類今でも置いてるんですけれども、
やっぱり自分も在宅ワークで設計はしているんですけれども、
例えば板厚3ミリのサスのこの島でそれを針として使いますってなった時に、
どんなもんかみたいになった時にやっぱり触りたくなるんですよね。
ちなみに自分、金属アレルギーなんであんま触っちゃうと痒くはなっちゃうんですけど、
でもやっぱり鉄板を置いておきたいってなるんですよ。
ここでちょっと皆さんにクイズというか聞いてみたいんですけれども、
よく若手設計者の中で、設備設計者の中で、よく設計担当やってみろって言われるものの中で、
アルミフレームを使ったカバーだとか課題だとかやってみろって言われることがあるんですけど、
アルミフレームを使ってカバーだの課題だのを設計しましたと、
念のためタワミ計算してみるかって、タワミ計算しますと、
その結果アルミフレームの針として使っているところのタワミが1ミリでしたと。
ただ一応1ミリタワム程度の荷重であれば、
アルミフレームが蘇生変形することはないっていうのは計算上で分かってますと。
その時にこの1ミリタワムアルミフレームの構造、課題とかカバーっていうのを
設計として良しとするかどうか、これ皆さんどう思います?
タワミが1ミリですよ。
1ミリって言ってもどういうケースの1ミリやねんとか、
そういうのもあるんですけれども、
1ミリって聞くと設計に疎いとか、あんまり製造上に関わってない人ほど、
1ミリなんてもうビビったるもんやん、大したことないやんっていう感覚だと思うんですよ。
感覚ね。
なんですけど、実際この1ミリたわんでるアルミフレームっていうのを体感してほしいです。
課題とかカバーに使ってるアルミフレームが1ミリたわんでると、
設計における感覚の重要性
例えばちょっと位置をずらすとか、そういうことをしただけでガタガタになるんですよ。
旗から見てて、そんなガタガタで大丈夫かっていうレベルでガタガタなんですよ。
この1ミリのタワミの感覚分かんないっていう方は、ぜひ体感してほしいです。
これ1ミリはやばいなってなりますから。
いくら強度計算上は大丈夫です。
絶対蘇生返球しませんからって言われても、1ミリたわむと、やっぱり使う側としては、
その機械を使う側としては怖いですね。
そのレベルなんで、やっぱりこういう感覚って大事かなっていうふうに思います。
あとは冒頭に述べた重量についてもなんですけれども、
例えば20キロのものって人は持てるんだろうかとか、
ジブとかの設計とかで、人が手で持って何かするっていうやつとかよく設計しますけれども、
20キロって人が持てるんだろうかとか、
あとは台車を設計しますと、その台車の重量が全部合わせると200キロですと、
200キロ持ってるものを台車で押すことって人間できるんだろうかとか、
そこの感覚ってやっぱり大事かなっていうふうに思います。
重いものを扱うときって、だいたい人間って腰をやるんですよ、腰。
腰痛めると本当、仕事どころか日常生活もきついぐらいになるんで、
ぎっくり腰の人とかってもう何にも動けないみたいな感じになってるじゃないですか。
あんな感じになるので、腰はちょっと気を使ってあげないといけないっていう。
こういう数十キロのものを設計するときに、
基本的には設計者としては、人が持ち上げて作業できるようにはしたいなっていうふうには思うんですよ。
そうじゃないと、例えば玉がけをしないといけないとかってなったら、
その玉がけの免許を持ってないといけないとかね。
あとはラクラクハンドを使うんだったら、それのコストをかかったりとか、
あとはロボットで搬送しますってなったら、そのロボットの手首の軸も作らないといけないし、
じゃあどうやって掴むのか、吸着するのかとか、またロボットどこに置くのかとか、
そういうことも考えないといけないので、設計のハードルも上がるし、コストもかかるじゃないですか。
なんですけれども、やっぱり作業員の安全衛生っていうのは考えないといけないというので、
その辺になってきたときも、この数字を見たときに、肌感としてどうかっていうのはすごい大事になってきますね。
一応、厚生労働省の資料で、人間ってどれぐらいの重量物扱えるんだろうっていう、
おおよその目安っていうのが載ってたりしてます。
これによると、満18歳以上の男性であれば体重のおおむね40%以下、女性であれば24%以下であれば人力で扱えるだろうっていうふうにされてます。
なので、例えば体重60キロの男性であれば24キロまで、体重50キロの女性であれば12キロまでっていう感じですかね。
ただこれ満18歳以上とは書いてるんですけれども、
例えば50歳の方とかがこういう重量物扱えるかっていうと厳しいんじゃないかなって思うんですよ。
普通に現場に行くと50歳60歳の方とか平気でいますから、
そういう方の安全衛生も考慮するとなると、そこにもうちょっと安全率かけておいた方がいいんじゃないかなっていうのは個人的な感覚です。
自分の場合で置き換えちゃうと、自分は週に何回かジム行ってますし、ジムでデッドリフトとかやってますけれども、
それで50キロ60キロとかはやってたりしてますけれども、
その感覚で設計したらあかんしなっていうのはあるんで、
なのでその一般人の感覚でその数字と肌感っていうのの擦り合わせっていうのは設計者として大事かなと思います。
著書の紹介とお知らせ
はい、ということで今日の話は以上となります。
私は普段ものづくりのススメというブログYouTubeを運営してまして、
そこでも機械設計として役立つ情報等を日々発信しております。
普通にネットでものづくりのススメって調べると一番上に出てきますので、
よかったらそちらの方も見てみてください。
あとはお知らせなんですけれども、12月の1日に私の本が出版されることになっています。
題名がこれで差がつくソリッドワークスモデリング実践テクニックという本になります。
こちらはもうすでにAmazonで予約の受付をしているので、
この放送を聞き終わったらすぐAmazonのサイトに行ってポチッとしていただけると嬉しいです。
皆さんの日々の仕事に実践的に役立つテクニックっていうのもふんだんに盛り込みましたので、
きっとこの本は皆さんのお役に立てると思っています。
あとは現在全国の書店で書籍のフェアをやってまして、
こちら日刊工場新聞社さん企画で有名インフルエンサーの渋長さんとのコラボレーションで、
渋長&リビベストセレクション2024という技術書のおすすめの企画をやらせていただいています。
純駆動さんとかそういう大きな書店さんに行くと割とやっているという情報がありますので、
もし皆さんお近くにそういう書店がありましたらぜひ足を運んでみて、
書店に行ってそのおすすめされている本の中でもし皆さんの気になるものがありましたら、
ぜひ手に取って読んでみていただけたら嬉しいと思っています。
それではまた次回の放送でお会いいたしましょう。リビでした。バイバイ。