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2024-07-25 15:54

52:【CAE】サロゲートモデルとは何ぞや?【機械学習】

最近注目らしい新たな設計解析手法である「サロゲートモデル」について話してみました

■参考リンク
サロゲートモデルとは?
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/it/article-330
マツダ技報No.38
https://www2.mazda.com/ja/technology/gihou/2021/wbbook/html5m.html#page=151

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つねぞう
ものづくりが好き。産業機械メーカーで設計をしている。猫を飼っている。

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00:06
こんにちは、爪蔵です。
デザインリビューFM第52回目、始めていきましょう。
このデザインリビューFMは、世の中の様々なもの、主に工業製品について、私の主観で勝手にデザインリビューをしていこうという番組です。
今回はですね、最近注目を集めているらしい解析手法、サロゲートモデルについて調べてみましたので、ざっくり紹介したいと思います。
では本編をどうぞ。
はい、本編です。
新しい設計の解析手法、サロゲートモデル。
調べるきっかけはですね、前回の51話でですね、少しお話ししましたけれども、
技術史の第二次試験の問題で、これが出題されたからですね。
改めてその問題文を読んでみようと思うんですけれども、
令和6年度の技術史第二次試験、機械部門の選択科目は機械設計ですね。
機械設計の選択2-2-1番、いわゆる2枚問題ってやつですね。
これの2-2-1で出てきました。
問題文はですね、あなたは設計部門の開発リーダーとしてコストや納期を考慮した上で、
キャイとサロゲートモデル、かっこ局面、応答局面ですね。応答局面を用いて、
機械部品、もしくは機械構造や機構等の最適設計を進めることになった。
関係者と調整しながら業務を進めるとして下記の問いに答えよう。
1、設計対象を具体的に一つ挙げ、用いたサンプル手法、サロゲートモデルを用いる理由とその利点、
対象とする機械部品の特徴等を踏まえて、機械設計の立場から設計変数、目的関数、制約条件等を明らかにし、
その理由を述べよう。
2、用いるサロゲートモデルの特徴を明らかにした上で、最適設計を進める手順をまとめ、
留意すべき点や工夫を要する点を具体的に述べよう。
3、デザインレビューに加え、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法を述べよう。
恥ずかしながら、私はこの問題で初めてサロゲートモデルという言葉を聞きました。
この問題に答えるつもりで、サロゲートモデルについていろいろと調べてみたので、お話ししていこうと思うのですが、
03:08
そもそも、サロゲートモデルとは何者なのかというところですが、
市場のニーズの変化が大きい昨今、短くなった製品ライフサイクルの中で注目されているのがサロゲートモデルです。
サロゲートモデルとは、機械学習を用いて、
機械、CFD、コンピューテーショナルフルードダイナミクス、計算流帯力学などの数値シミュレーションを代替することで、
計算の手間やコストを削減しましょうという解析の手法です。
サロゲートというのは代理という意味なので、その意味通り、莫大な計算コストが必要になる、
例えば、スーパーコンピューターを使わなければいけないような複雑な、そして時間のかかる、
そういった物理モデルを計算する代替する存在として、サロゲートというモデルが活用されていると。
サロゲートモデルは、機械の入力と出力のデータを学習することで予想するモデルを構築します。
そのモデルが一度構築できてさえすれば、あとはその入力データを与えてあげれば、
時間のかかるシミュレーションを実行しなくても、高速で予想される結果が導き出されるというわけです。
機械などでシミュレーションする場合と比較して、その計算の速度というものは、100倍から1000倍にも達すると言われています。
ものすごく単純に説明してみると、大学の材料力学で習った針のたわみの式というものがありますよね。
型持ち針のたわみの式を覚えていますか、皆さん。
そう、3EI分のPL3乗ですね。
Pは先端にかかる荷重、Lはその針の長さ、Eはその材料のヤング率、Iは断面二次モーメントですね。
このたわみの式というものを用いれば、機械でシミュレーションをしなくてもその針のたわみの量というものを計算できますよね。
このサルゲートモデルというのは、この針、単純な型持ち針よりももっと複雑な形状のもの、複雑な条件のものを解くためのたわみの式みたいなものを機械学習で作ってくれる。
そんな理解でいいんじゃないかなと思っています。
この技術史の問題では、設計対象を具体的に一つ挙げてとあるんですけれども、
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私は使った経験がなかったので、ちょっと調べてみたところ、2021年の松田記法のほうで実例が紹介されていましたので、
これを元に具体的な内容を見ていきましょう。
お題目は、車両機能と材料特性をつなぐバルチスケール解析技術の研究ということで、
自動車のEV化、省エネに伴って車体の軽量化というものが求められています。
その実現のためには、マルチマテリアル化の検討が進められています。
そのマルチマテリアルの材料として、軽量で高性能な材料として、
繊維強化樹脂、具体的にはCFRP、炭素繊維の樹脂を検討しましょう。
現状、このCFRPの材料と車体の構造、別々のモデルというものはあるんですけれども、
それぞれのモデルをつなぐ方法が確立されていません。
この構造と材料の最適化問題というものを解きたいのですが、
計算コストがかかってしまうので、このサルゲートモデルに置き換えたいという話です。
設計変数、インプットとして、この材料のCFRPの樹脂の剛性、
その中のカーボンの繊維の剛性、それぞれの相互作用など、
部品モデル、形状として、ある意味針と考えて、
断面の高さだったり幅だったり、板厚ですね。
そういったものを設計変数、インプットとして与えますよと。
そして目的関数、アウトプットとしては、車体のねじり変形したときの剛性、
あとは下側のフロアの振動モードというものをアウトプットとして評価しましょうと。
これらの解析結果から、オート曲線を用いた多目的最適化の計算を行って、
設計空間の中での車体ねじりの剛性とフロア振動モードの最適化の集合を示すパレード界、
パレードの曲線を算出するということですね。
縦軸にフロアの振動モード、横軸に車体ねじり剛性をとった2次元のグラフがあって、
09:08
そこにその最適化の線を示すパレード界というものがあるということですね。
あと制約条件としては重量でしょうね。
もともと軽量化したいという目的があるので、
重量を増やさずに、これら2つの振動モードとねじり剛性というものを良くしましょうというのが、
解析の内容です。
手順としてはそのサロゲートモデルの先ほど言ったような設計変数を決めて、目的関数を決めて、
制約条件などをしっかり設定してあげて、
そのサロゲートモデルを用いた最適計算を行いましょうと。
行った後に実際にその実機での妥当性確認というものを行いますと。
この行った結果として、その部品の質量効率として同じ重量を使ったとして、
車体のねじり剛性としては約25%向上、
フロアの振動モードとしては約13%向上できることが可能であるということが分かったそうです。
そしてこのサロゲートモデルによる最適化には、
イタリアのエステコ社というところのモードフロンティアという
多目的ロバスト設計最適化の支援ツールというものがあるそうで、
それを使ってさっきのパレード界というものを導き出したそうですね。
このエステコ社のモードフロンティアというページを見てみると、
他にも自動車のボンネット、人と事故で人が衝突したときの変形する量、
エネルギーの吸収量とその形状ですね、剛性の最適化とか、
自動車業界で使われることが多いようですね。
書いてあったんですけど、機械学習のための教師データというものを集めるのが大変らしくて、
このボンネットの形状の件では、ミニバンとかSUV、セダンなどですね、
29車種の教師データというものを使ったそうです。
当然その図面データは残っているんですけども、
当時解析したデータというものはやっぱり消されちゃっているみたいで、
10年以上前のものもあるので、解析データというものは量々食いますからね、
量々食っちゃうんで、やっぱり消されちゃっているそうなんですね。
12:03
なので使った全データの70%ぐらいはやっぱり機械の再計算が必要だったそうです。
まさか10年後に解析データを使うとは思っていなかったということですね。
また最初は6車種のデータを使って解析を行っていたそうなんですけども、
精度が十分でなかったので、最終的には29車種までデータを増やしたということですね。
あとはその教師データとして、当初このCADのスクリーンショットの画像、
CADの画面で見たボンネットのスクリーンショットの画像を使っていたそうなんですけども、
精度がなかなか上がらなくて、精度が40%程度にしか上がらなかったと。
そこでそれをGIF画像、そのボンネットの裏と表の差分画像を作って、
その差分画像を教師データとして与えたところ、10%精度が向上したそうで、
教師データとしてどういう形でデータを与えるかというものも非常に重要だというところで、
このあたりが設計の手順を進める上での留意点、工夫点というところで書けそうですね。
あとは技術士問題、技術士の問題に沿っていうと、最後は関係者との調整ということになるんですけども、
サロゲートモデル機械学習を使うことができる、いわゆるAI技術者というものと、
設計変数とかについて事前にちゃんと打ち合わせをしておきましょうとか、
あとは結局最終的には妥当性確認で検証が必要となるので、
そのための根回しを検証部隊との事前の内容の確認だったり、
生産本部の場所を借りてやるのであれば、そういった生産本部との場所の打ち合わせだったり、
検証用の部品の手配だったり、そういった根回しをしておきましょうとか、
そういうことを書けばいいのかなと思っています。
ということで、これで次サロゲートモデルの問題が出ても、
なんとなく回答を書くことができるかなと思います。
クロージングです。
今回はサロゲートモデルとは何ぞやという話をしてみました。
15:01
サロゲートモデルを作るのも大変そうなので、
自動車のようにある程度形の決まっているような設計対象であれば有効なのかなと思うんですけども、
結構一品一様の設計に対してはあまり使えるものじゃないのかなと、
使うのが難しいのかなという印象です。
ということで、今週はここまでです。
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ではお疲れ様でした。
ご安全に。
15:54

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