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2024-12-18 16:42

73:産業機械のメカ設計者が考える電線のこと

産業機械のメカ設計者が設計時に考える電線のこと。電線を無視してメカ設計をすることはできないのです。


サマリー

産業機械のメカ設計において、電線の重要性が強調されており、センサーやモーターを効果的に接続するための配線設計が求められています。特に、部品の配置や電線の中継方法、リモートIOを利用した省配線の流れは、今後の設計に大きな影響を与えます。また、電線の選定や配置、保護方法は重要な要素として挙げられています。さらに、3D CADモデリングの活用は、配線経路や電線の長さを正確に算出するのに役立つことが強調されています。


■参考リンク

リモートIOとは

https://emb.macnica.co.jp/articles/6804/


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つねぞう

ものづくりが好き。産業機械メーカーで設計をしている。猫を飼っている。


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サマリー

産業機械のメカ設計において、電線の重要性が強調されており、センサーやモーターを効果的に接続するための配線設計が求められています。特に、部品の配置や電線の中継方法、リモートIOを利用した省配線の流れは、今後の設計に大きな影響を与えます。また、電線の選定や配置、保護方法は重要な要素として挙げられています。さらに、3D CADモデリングの活用は、配線経路や電線の長さを正確に算出するのに役立つことが強調されています。

メカ設計と電線の重要性
こんにちは、ツネゾーです。
Design Review.fm第73回目、始めていきましょう。
このDesign Review.fmは、世の中の様々なもの、主に工業製品について、私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
私はですね、メカの設計者をしています。
メカ設計者が設計する部品というよりは、異物で作る大きな部品だったり、シャフトなどの削り出しの部品、歯車だったり、板金で作る外装カバー部品だったり、ブラケットだったり、
あとはそのメーカーから購入してくるもの、直動ガイドやボールネジ、あとはベアリングコンベアとか、シリンダーとか、名前を挙げるとね、キリがありません。
そしてその現在の機械というのは、PLCとかそういうコンピューターで制御して動作させることが当たり前ですので、昔であればそういう人間が目で判断していたものをコンピューターで自動で判断できるようにしてあげなければいけないと。
そのためには機械の中にはいろんなセンサーが入っています。またその機械を動作させるもの、ボールネジを回すのもサーボモーターですし、最近使用が増えている電動シリンダー、IAIさんなどのエアシリンダーを置き換えるような電動シリンダーというものも中身はボールネジとモーターですね。
そういうセンサーやモーターを使うために必要なもの、何で動いているかというと、それはもちろん電気ですね。その電気をそういうセンサーやモーターへ送り届ける道となるのが電線ですね。ケーブル、電線です。
なので現在の産業機械、工作機械というものの中には電線が張り巡らされています。なので私のようなメカ設計者だとしても、それらセンサーやモーターにつながるような電線を無視して設計することはできないんですね。
機械の構想設計の段階から電線も考慮してあげないと、結果無理な配線になってしまったり、それによって断線してしまうなどトラブルの原因になってしまいます。
会社によって異なると思うんですけれども、弊社はですね、私のようなメカの設計者と電線とか制御盤の設計をする電気設計者、そしてそのPLCだったりNCのプログラムというものを設計するソフト設計者がいて、そこは完全に分業となっています。
デバイスのリストアップと配線
ただ分業されているからといって、分業されているからこそそのメカ設計者というものも電気やソフトのことをある程度知っておかないと自分の設計が進められない。当たり前ですけどね。ただそこには当然限界があるので、それぞれメカと電気とソフト、それぞれ情報交換しながら打ち合わせもしながら設計を進めていきます。
では具体的にですね、メカ設計を進める上で電線についてどんなことを考えているか、今日はそんなお話をしていこうと思います。ここからが本編ですね。ある機械の設計をするにあたって、その進め方に沿って話していこうと思います。
その装置ですね、設計する機械や装置によって異なるかもしれませんけれども、工作機械のような産業機械ではそのメカ設計者がまずその構造をね、機械、装置の構造を考えるところからその設計が始まることが多いと思います。
例えばそのある土台となるベースがあって、その上に直動ガイドが2本走っていますと。その直動ガイドの上にまた1つプレートのような部品があって、それが動きますよという装置にしましょう。その動くものを動かすのはボールネジとサーボモーターで動かすとします。
そしてその動くところのプレートの上にはエアーシリンダーが1個あって、何かを動作させるようになっていると。そのエアーシリンダーを動作させるためのソレノイドとかそういったものもそのプレートの上に一緒に乗っかっていて動いていると。そういう装置を、ちょっと簡単な装置ですけれども、そういう簡単な装置を想像してみてください。
まずそのメカ的な要素を配置してみましたというところですね。メカ的な要素を今話したようにちょっと配置してみた後にまず考えること。それはどんなデバイスがあるか。ここでデバイスっていうのは電気を接続する、電線を接続する必要がある部品のことをデバイスと呼ぶこととします。
下の方から、土台の方からリストアップしてみると、まずそのサーボモーターがありますのでサーボモーターの動力線と信号線が必要ですね。そしてまあリニアスケールがもしあればそのスケールの線も必要となります。そしてその上に乗っかっている動くところ。動くところにはエアーシリンダーとソレノイドがありましたね。
ソレノイドの電線がまず必要となります。カタソルかリオソルかリオソルにしましょうか。リオソルだとするとAポートとBポート2本電線が必要ですね。そしてそのエアーシリンダーにはシリンダーのアドバンスとリトラクトの位置を見ないといけないのでオートスイッチが2つ必要です。なのでさらに2本電線が必要となります。
ということで以上でデバイスをリストアップして電線をリストアップしました。動力線が1本信号線が1本そしてソレノイドの線が2本とエアーシリンダーのオートスイッチが2本ということですね。
電線がリストアップされました。その後考えるのはどこで電線を中継するかですね。今設計している装置ユニットはある大きな機械の一部であるとしましょう。とある工場でそのユニットをサブ組みしてそこで動作確認してから本体に運んで本体にドッキングするものとしましょう。
なのでそのユニットに乗っている電線たちというものをメインの制御盤まで繋がないといけないんですけども例えばそのオートスイッチについて電線というのは長くても3メートルぐらいしかないのでどこかで中継してあげないといけないんですね。制御盤まで繋ごうと思うには何か延長してあげる必要があります。
そしてそのサブ組みしてユニット化するというところでは1回その中継箱のようなもので電線を受けてその電線をフレキなんかでまとめて本体にドッキングした後にメインの制御盤までフレキに入れたまま持っていくとそういう方が配線しやすいのでその電線の中継というのは大体必要になりますね。
近接スイッチとかだと一見無駄と思うような中継を作ることもあります。
例えばオモロンの近接スイッチにはスイッチからその電線が300ミリだけ出ているようなものがあります。
300ミリの先にはM12コネクタがあるんですけどもその300ミリの先にM12コネクタで電線を延長するとそういうことをよくやります。
なぜその300ミリという短い長さで中継するのか。
それはですね壊れたときに交換しやすいようにということですね。
センサーの電線というのはその配線経路の途中っていうのをタイラップなどでバシバシ固定することが多いんですけども
リモートIOと省配線の流れ
近接センサーから中継箱のようなところまで電線を持っていこうとしたときにそれがその3メートルとか5メートルとか離れた場所があるときに
その近接センサーを交換しなければいけないよっていう場合にその3メートルっていう配線の途中のそのタイラップを全部切って線を全部外して交換しなければいけないということは起きてしまいます。
でもその300ミリの先端だけ出ているようなものを使えば
もしその近接センサーを交換しなければいけないようなときにその配線を全部外さなくていいんですね。
その先端の300ミリだけ交換すればいいと。
これは一例ですけれどもこういう組み立て性とかメンテナンス性というものあとコストなどを考慮しながら電線を中継するところを決めていきます。
そのユニットのメインの中継箱中継するところ
中継箱だったりもしくはそのIOリンクのようなリモートIOを使うことが最近多いですね。
リモートIOにはVALVのIOリンクとかP&FのASIモジュールとかそういうのがありますね。
最近そのリモートIOを使うことが増えているんですけれどもなぜ増えているかというと中継箱というものをなくせるとか省配線ができるとかっていうのが理由ですね。
近頃のその産業機械工作機械っていうのは自動化の流れPXの流れによってセンサーの数がもうどんどん増えていますね。
なのでこの省配線できるっていうリモートIOの特徴っていうのは非常に魅力的です。
インダクティブセンサーとか温度センサーとか10オンオフっていうその従来のIOのような信号だけではなくちょっとアナログっぽい通信をしたいことが増えているので
IOリンクっていうのは一般的に使われるようになってきています。
IOリンクはそのマスターとスレーブがスター型の接続なのでそれぞれその20mという制約があって
なかなかその機械のすべてのIOをIOリンクにできないという場合もあって
その時はその今まで通りの中継箱も併用するとそういう場合もあります。
電線の選定と設計
今まで通りの中継箱っていうのは箱があってその中に端子台があって
その箱からはコネクタが入っているようなそういう中継箱にしたり
あとハーティングとかイルメのごっついコネクタで中継したりっていうのもしますね。
そのあたりその電気設計者と相談しながらどんな中継をユニットとして持つかというのは決めていきます。
電子線の中継が決まったら次に考えるのは固定と稼働部の設計ですね。
電子線が動かない部分っていうのはダクトに入れたりあとはサドルで止めたりタイラップで止めたりということをします。
電子線が動く部分っていうのは何か考えてあげる必要があって
だらーんとUの字に電子線を垂らしてその動作するストロークを吸収させてあげたり
またケーブルガイドというちょっと言葉で説明するのは難しいんですけれども
電子線を中に入れてある程度その動きを制限させつつ動かすような
電子線を守るようなそういう部品があるんですけれども
イグスとか椿とかいろいろメーカーはあるんですが
そういうケーブルガイドに入れてあげるそういうことを検討します。
そのためには使う電子線の太さそして経路というものをはっきり決めてあげなければいけません。
とりあえずそのメカだけで最初検討する段階では
過去の類似の機械だったり類似のデバイスの電子線から仮で電子線の太さを想定しておいたり
買い物であればカタログを見てそのカタログに電子線の太さが書いてますので
そういうところからリストアップしたりしています。
その後その電気設計者が設計に合流すればその電流地位などから
必要な洗剤というものを選択してくれますのでそれで正式に決まります。
そしてその洗剤の種類とか太さによって曲げ半径が違いますので
そういう曲げ半径も動作させる部分だったり固定する部分で考慮していますし
あとはこの電線の保護のために何本かまとめてフレキに入れる場合もあるんですけども
そのフレキに入れるのであればそのフレキの充填率からフレキのサイズが決まって
その曲げ半径が決まってそこから固定方法だったりケーブルガイドのサイズとか
その中の仕切りみたいなものを決めていくわけです。
あとそのダクトに電子線を入れるときも動力線と信号線が一緒にならないように
ノイズが信号線に乗ってしまうので動力と信号を分けるように工夫したり
ダクトを分けたり別のところを通すようにそういう配線経路を決めたりしていきます。
そしてその配線経路というのは3D CADでモデリングします。
面倒と思うかもしれませんが私も正直面倒と思います。
でも全て配線もモデリングした方がいいです。
ちゃんとモデリングすることによってダクトの大きさが足りないとか
曲げ半径が適切でないとか
その電線の固定だったりに抜けがあるとか
そういうのをいろいろ防ぐことができますし
最終的にその電線長さを電気設計者に連絡しなきゃいけないんですけども
3D CADの活用
その電線長さというのも作成したモデルを測定するだけで
結構正確に算出することができます。
その電線長さをね機械を作った後にちょっと長すぎたとか
短すぎたという場合は修正しなきゃいけないんですけども
そういう修正というのをある程度少なくすることができますね。
あとはその3Dモデルというのがそのまま配線の指示書として使えます。
実際その電気配線というのを
組み立ての現場で作業者が配線してくれるんですけど
その配線の経路をどうしたらいいかとか
どこに何をつないだらいいかとかそういう指示書を作るんですけど
その指示書としてその3Dモデルというのが使えますね。
あとその忘れがちなのがアースですね。
アース線を機械の土台のベースとかにつなぐんですけども
そのアース線をつなぐタップというのもちょっと忘れがちなので
電線を書いておくとモデリングしておけば
タップを忘れることもなくなります。
という感じである程度そのメカから電気設計者に
電線長さとか必要なものというのを情報を渡して
電気設計者がIOとか信号について設計して
その情報をソフト設計者に渡すと。
それぞれ電気ソフトの方でも設計を進めてもらい
そこからソフト的にそのLSやSOLの番号を
変えてほしいという場合もあったり
そういうフィードバックがあります。
センサーがノーマルオープンじゃなくて
ノーマルクローズであるべきじゃないかとか
そういう話をメカ、電気ソフトみんな集まって
デザインレビューしながら
その装置の設計の仕様を固めていくという流れになります。
ということでメカ設計者が機械を設計するとき
考える電線のことはこんな感じでしょうか。
ということで今週はここまでです。
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ではお疲れ様でした。
ご安全に。
16:42

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