機械設計者の未解決問題
こんにちは、つねそうです。
デザインリビューFM第14回目、始めていきます。
このデザインリビューFMは、世の中の様々なもの、
主に工業製品や、それに関わる出来事について、
私の主観で勝手にデザインリビューをしていこう、という番組です。
前回は、技術的な情報発信って難しいね、という話と、
MECT2023に行ってきた感想について話してみました。
今回は、科学系ポッドキャストの日に参加します。
こちら、科学系ポッドキャストの日はですね、
共通のテーマについて、様々な番組で語るという企画です。
この企画、今月で1周年ということですね。
去年の2022年の11月に、ユネスコ世界科学デーに合わせて、
今月のホストであるサンエントークのレンさんが始められたそうです。
概要欄の方に、特設ホームページのリンクを貼ってありますので、
そちらでその参加番組のまとめやプレイリストがありますので、
ぜひ覗いてみてください。
私は先月も参加しましたこの企画。
テーマはスポーツだったんですけれども、
バイオミミクリについて話してますので、
ぜひそちらも聞いてみていただけると幸いです。
さて、11月のテーマ、未解決ということでですね、
第2について話そうかなと考えてたんですけれども、
機械設計者、私は産業機械の設計者なので、
機械設計者の未解決問題について話してみようと思っております。
では本編をどうぞ。
はい、本編です。
早速ですけれども、機械設計者の未解決問題とは何か、
それはズバリですね、設計ミスをなくす、
設計ミスをゼロにするということですね。
これはもう永遠のテーマですね。
設計ミスしようとしてやっている人は基本的にいないと思います。
しかしそれでも起きてしまうのが設計ミスですね。
この未解決問題を解決しようと、
人々は様々な解決策を考えてきました。
例えばね、FMEA、フェイラーモード&エフェクトアナライシスとかね、
それから派生してDRBFM、デザインレビューベースドオンフェイラーモード、
あとちょっと違うけどFTAですね、フォルトツリーアナライシス。
それぞれ詳しい説明はここではしないんですが、
最初の2つ、FMEAとDRBFMというのは、
設計ミスをゼロにする試み
実際にものを作る前の設計段階でミスの原因となるものを取り除こうという方法ですね。
デザインレビューのやり方。
3つ目のFTAは、設計ミスだけじゃないんですけど、
ある製品で問題が起きたときに、それが起きた原因が何なのか論理的に分析する方法。
なぜなぜ分析と呼ばれるものとちょっと近いですかね。
その設計ミスとか問題が起きた原因を明らかにすることで、
それを次の設計に生かしましょうというのがFTAです。
この設計ミス、すなわち失敗をプラスに変えようという考え方に失敗学というものがあります。
これを提唱したのは失敗学のすすめという本を書かれた
畠村陽太郎・東大名誉教授ですね。
失敗学と命名したのは橘隆さんだそうですね。
この失敗学によると失敗の原因というのは、大きく次の5つに分類されるそうです。
1つ目が人類が未だ知らなかったことが出現したことが原因。
2つ目が自分が未熟でその知識を知らなかったことが原因。
3つ目、自分がよく考えなかったことが原因。
4つ目、自分の考える段階では知り得なかったことが原因。
最後5つ目、自分の組織以外の別組織の判断ミスが原因の5つです。
それぞれの要因について設計ミスに絡めて考えていく前に、
ちょっと最初に戻りますけど、未解決問題である設計ミスをゼロにするの、設計。
そもそも設計って何ですかって話をちょっと最初にしておこうかなと思います。
実際の設計という本がありまして、
この本の中で設計とは何かという話がされていて、
ちょっとそれをご紹介したいんですけど、
この実際の設計という本がですね、改定前と改定後はあって、
今回は改定前の方から引っ張ってきています。
この実際の設計という本の改定前後の比較もちょっとしてみたいんですけど、
それはまた他の機会にということで、話を戻しますね。
実際の設計という本によると、設計とは何か。
設計とは新しいものを作るときに作ろうとするものについての全ての知識を、
または情報をあらかじめ作り出すこと。
もうちょっと紙を砕くと、
何か新しいものを作るときに、
どうやって作りますか。
機能は何を持たせますか。
実現するための機構は、材質は、寸法はどうする。
加工法はどうします。
組み立てられるか、運べるか、分解できるか。
メンテナンスはどうするか。
ソフトはどうなっているか、などなどですね。
これら全てのことが決まっていなければ、ものを作ることができない。
これを決めることが設計だと書いてあります。
まさしくそうですね。
失敗学と設計の関係
ここで、さっきの5つの失敗の原因に戻ると、
この設計とは何かを踏まえて見てみます。
一つ目がですね、
人類が未だ知らなかったことが出現したことが原因。
設計というのは、新しいものについて、
作りたいものについて全てを決める必要があるのに、
人類が知らなかったことが出てくる。
これは防ぎようがないですよね。
どうしても防ぐことができないのが未知のこと。
新しいことに挑戦しようと思えば、
必ず失敗してしまうということですね。
イーロンマスクのスペースXもですね、
人類がやろうとしていない、やらなかったことに、
今、成し遂げています。
そのためにはもう、何度も何度もですね、
ゲット失敗して、原因を調べて、改良して、
また失敗して繰り返すというですね、
反復型のアプローチを取ることで、
人類がですね、今まで作ることができなかった、
ゲットを作り出しています。
次に二つ目、三つ目ですけれども、
自分が未熟でその知識を知らなかったことが原因。
または自分がよく考えなかったことが原因。
これはですね、一人の設計者の知識というものにはやっぱり限りがあります。
またその抜けがないように考える、設計するというのも、
非常に難しくてですね、限界があります。
この二つの失敗の原因をどうにか解決しようと考えられた方法が、
最初に紹介したFMEAでありDRBFMであると。
過去の失敗に学ぶことだというのもありますね。
それらを使用したデザインレビューを行うことで、
自分一人の知識に頼らない、
自分が考えていなかったことを明らかにするというところから、
なるべく失敗をなくそうと。
例えばですね、自分一人で考えるんじゃなくて、
上司だったりその他部署、営業から調達、組み立て、
サービス、メンテナンスをする人、
時にはユーザーにまでですね、そういう話を聞いて、
設計を見てもらって、設計の悪いところを見つけてもらうということがですね、
非常に大事になってくるわけです。
ただ残念ながらですね、これも人間が関わってくる以上完全ではないんですね。
いくらこういうデザインレビューを行ったとしても、
限りなく設計ミスの可能性をゼロに近づけることができるかもしれませんが、
やっぱゼロにはならないんですね。
解決できないんですよ。
4つ目ですね。自分の考える段階では知り得なかったことが原因。
設計をする段階で知り得なかった条件だったり、
仕様、製品の仕様が出てきてしまったことで、
未解決問題としての設計ミス
結果的に設計ミスになってしまう。
これはもう防ぎようがないですね。
ちょっと極端なことを言うと、地上で使われると思って設計したのに、
実際は宇宙で使われてしまったためにうまく動かなかったと。
ちょっと極端ですけども、そういうことが起きたときに、
設計ミスと言われるのかどうかは微妙なところですけど、
後足しじゃんけんには勝てません。
最後にですね、最後の5つ目。
自分の組織以外の別組織の判断ミスが原因。
例えば、ある部品を加工するときに間違えて加工されてしまったとか、
組み立てるときに間違った向きで部品を付けられてしまった。
これは別の組織部門のミスが原因ではあるんですけども、
これも設計ミスに含まれてしまうこともあります。
例えば加工に間違いが起きないような、
分かりやすい図面を描いてないからだとか、
分かりづらい組み図になっているからだとか、
そもそも間違った向きで付かないような部品にしておくべきじゃないかと。
例えば、ある四角い部品があって、
そこに穴が4つ開いていたとしたときに、
穴のピッチをずらしてあげることでひっくり返して付かないようにするとか、
そういう工夫をしていないからだということが言われることもあります。
そういう工夫を設計者がしたとしても完璧ではないですね。
このように失敗学における5つの失敗の原因について、
設計ミスを起こす原因として考えてみましたが、
ゼロにすることはできないんですね。
未解決です。
じゃあどうしたらいいんだよと皆さんは思っているでしょう。
設計ミスをゼロにする方法
実は一つだけ解決策があるんです。
それは、ミスや失敗を改善のチャンスと考えることです。
これはトヨタの失敗学という本に書いてあったことなんですけれども、
トヨタに失敗という言葉はないと。
もちろん現場には不良やミス、トラブルというのは日常茶飯事です。
リコールを出してしまうこともある。
それでもトヨタの現場では失敗という言葉は聞かれない。
なぜか、トヨタでは不良やミスはそのまま放置するものではなく、
改善のチャンスと考えているからだと。
機械設計者の未解決問題である設計ミスをゼロにする、
これを解決する手段はトヨタのようにですね、
これはトヨタと言っているけど、どこの会社でもそうだと思うんですけどね、
失敗したまま放っていくことはなかなかないと思うんですけども、
その設計ミスが起きたときに、これは機械を良くするチャンスだと。
前向きに捉えることで、それは設計ミスではなく、改善のチャンスに変わると。
設計ミスのまま残さないことで設計ミスがゼロになるというところで、
解決できるんじゃないでしょうか。
というところで、今後の機械設計者の未解決問題というところの話を締めてみようかなと思います。
ということで、今日は科学系ポッドキャストの日、
10月のテーマ、11月のテーマ、未解決ということで、
機械設計者の未解決問題である設計ミスをゼロにするということについて考えてみました。
最後はちょっと強引だったかなと思っております。
今日はですね、10月の29日に収録しているんですけれども、
昨日、#技術士のすすめ という技術士の春山さんがやられている運動があって、
それのリアルセミナーというのが赤坂であったので、それに参加してきました。
講師の方が4名ですね、技術士を取るメリットについてお話ししていただきました。
非常に参考になるお話が多くてですね、がんばると思いましたね。
今年、別の回でも話しましたけど、二次試験を受けまして、
それの合格発表はですね、あさっての10月31日にいよいよあるんですね。
どうすることもできないんですけれども、ドキドキです。
その技術士のすすめのリアルセミナーの後に、懇親会というか飲み会があったんですけれども、
その中でね、トンネルのシールドマシンに関わっている技術者の方もいて、
そこでそのトンネルの穴を開けた後に、壁を作っていく作業があるんですけれども、
その作業についての話を聞けたりね、そういう方法も今あるんだというお話が聞けました。
そういうお話が聞けるっていうのも、その社内だけじゃなく、
その社外、他の会社の技術者の方とつながる利点かなと思います。
また参加したいですね、そういう会があればね。
ということで、今日はこの辺でおしまいにしたいと思います。さようなら。