抽象の不安

デザインの味付け
はい、始まりました。デザインの味付け。
この番組は株式会社ajike代表の目元とその仲間たちが、デザインについて雑談を交えながら話す番組です。
今日のお相手は、先週に引き続きまして、神田さんです。神田さん、よろしくお願いします。

はい、神田です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。

先週とまた同じ角度服装、髪の長さでやっております。

そうですね、マジかっこ手お願いします。許してください。

諸行無常と言いますが、諸行無常じゃないこともあると。移ろいゆくけど、全く同じ状態の時もあると。

そうですね、1週間経ったとは思えない。

1週間経ったのか経ってないのか、わからないまま始めていきたいと思います。
さて、今日のテーマは何でしょうか。

今日のテーマは、抽象にいるとみんな不安になるというテーマで話したいと思います。

抽象か具体化の抽象ですね。

そうですね、よく抽象フェーズとか、抽象的具体的っていうところの抽象っていうのを、1回テーマに取り上げたいなと思いました。

難しい話になるんじゃないの?

いやいやいや、そんなつもりは全然ないですね。
こんな状況ありますよねっていう共感を得たい、そういう回です。

そうですか。ラジオ結構ゆるくやってるのに、全問答みたいにされたら嫌やなと思って。

いやいやいや、どうなることやらわからないです。
どうなることやら。はい、わかりました。

じゃあ、なぜこのテーマにしたのか教えていただいてもよろしいでしょうか。

テーマはですね、抽象にいるとみんな不安になるっていうテーマなんですけども、
自分も今までいろんなプロジェクトをやってきて、プロジェクトの進行中にですね、お客さんを結構不安にさせてしまっているような経験もいっぱいしてきましたし、その逆もしっかりですと。
そこらへんもいろいろ経験した上でなんですけども、1個わかったな、これやなって少し思ったのは、抽象的なフェーズにとどまっているとみんなどんどん不安になってくるっていうのが結構共通なんじゃないかなと思ってまして、
これありますよねっていう、そういうテーマ設定です。
具体的なフェーズの重要性

あるあると思ってますけど、たぶんお聞きになっている方にはどういう意味ってなっていると思うので、どういうことか教えていただいてもいいですか。

そうですね。まず抽象フェーズ取り組むって、なんかかっこいいじゃないですか。

あれだよね。いわゆる上流とかっていう言葉にも置き換えられるやつだよね。

はい。なんか知的な感じしますし、なんかかっこいいですよね。
かっこいいですよね。

私そんな人生ないのに、上流とかって。

抽象フェーズやりますみたいな。

抽象フェーズやります?構えちゃうなよ。

いや、うちだいぶやってますよ。

あ、そうですか。すみません。

だいぶやってます。

優秀な方もいるんでね。

そうですね。もう少しサービス設計とかサービス開発とかに例えるとか、ここら辺の用語とかやることで言うと、
例えばサービスのビジョン作ったりとか、ユーザー体験の設計したりとか、ここら辺やるじゃないですか。
新規事業とか作っていくときも、これも絶対やらないといけないことなんで、それ自体は全然いいと思うんですね。
とても意味があることをやってると思いますし、プロジェクトメンバー、お客さんを含め、すごい大事なことをやっていると思いながら取り組んでると思うんですね。
なんですけども、抽象的なフェーズっていうのをやっていくときに、そのフェーズで何週間も過ごしていったりすると、
だんだん関係者の不安感っていうのがどんどん増大していくみたいなのを結構感じます。

これって結構課題やなと思ってまして、抽象的なフェーズってやっぱり目に見えるものとかっていうのがあんまりなくて、
みなさん言葉のやり取りとか、いろんなフレームワークとかあるんですけども、そういうのを見ながら一生懸命頭の中で想像をしながらやってると思うんですけども。
そのイメージっていうのが、いまいちお客さんとあんまり会ってないんじゃないかなとか、この次どれに繋がるんだろうかとか、そういうのがわからないまま一生懸命取り組んでると、
次何になりますかとか、話が噛み合わなくなってきたりとか、そういうような状況に陥ると思うんですね。
例えばもう少し具体的な例を挙げますと、Personaとか作るじゃないですか。
サービスのPersonaを作るときとかも、例えばユーザーの属性みたいなのを洗い出したりして、マッピングして、グループ分けして、いろんな調査してみたいな感じで、
最終的にPersona作ろうみたいな感じで進んでいったりすると思うんですけども、これがパッと1週間で具体的にPersona作れましたみたいなところまでいけると、
特にそういう不安感っていうのはないと思うんですけども、具体のPersonaを出すために何週間も過ごしてたりすると、あれこれ大丈夫かなみたいな。
いつ出てくんねんみたいな、そんな状況になっていくと思うんですね。
それをすごい空気化って感じたりするんですよ。どうですか、ぬもさんわかりますか。
首絞めてないというか、首絞めてる部分はあるのかもしれないんですけども、でもこれみんな思ってると思うんで。
これはでもこうやったらいいんじゃないかっていうのも今からセットで話すんで。
プロジェクト推進の視点

わお。具体の解決策がある話でしたね。

そうですね。

でも本当そうだよね。いつまでPersona作ってんのやろなーってなった時、もしくはそういう疑問を戦法の頭の中に思い浮かべてしまった時は、炎上傾向が高まりますよね。

この具体的なPersonaを出す前の段階で、すごい議論もできるじゃないですか。
いっぱい時間使おうと思ったら使えると思いますし、それ自体に意味がないとは全然思わないんですけれども、何週間か過ごしてみて、最初からこれ話しとけばよかったなみたいな。
今までのこの数週間、あれ?みたいな。そんなこともあったりすると思うんですよね。
自分が大事だなってすごく思うのは、ある程度方向性を出した段階で、だんだんみんな順番にやろうとするのがあんまり良くないと思うんですよ。
この抽象的なものから具体的に結びつく時に、だんだん具体的にしていこうとするっていうのがあんまり良くないと思うんですよ。
自分がすごい大事だなって思うのは、ある程度抽象的な段階でも、次のステップではもう一回ジャンプして具体的なものを出してみるっていうのがすごい良いと思うんですね。
なんでこの、よく抽象と具体を行き来するみたいなことを言いますけれども、まだ具体的なものっていうのがどういうものを作られるかわかんないですけれども、
そこはちょっと仮説を立てて、今の段階から考えうる一番具体的なものっていうのをポンと出してみると。
そうすると、この具体のものを見ながらお客さんと話ができるんで、どこら辺がずれてるのかとか、どこら辺が検討が足りないのかとか、そういうことが見えやすくなると思うんですね。
それがなく、まずは本当に抽象的な部分、次にもう少し具体的になった部分、またその次にもうちょっと具体的になった部分っていうのを段階を経てやろうとしてると、

あれ、これでいつまで続くんだろうかみたいな、そういうような状況に陥るっていうことなんじゃないかなと、自分の中では整理をしてます。どうですか。

いやいや、どうですか、確かに。
どうですかってオープンな質問来たら。

どう思いますか。

いやいや、どう思いますか。もっと聞いてほしいです。どう思いますか。
でも言ってることはすごいわかります。このあと回答編ってこれからあるんですよね。

そうですね。

そこまで聞いてから私のコメントも差し挟もうかなと思ってまして。

作り手が何を気にしないといけないのかみたいなところも話したいなというふうに思うんですけども、やっぱり自分たちデザイン作るみたいなところを主戦場にしているんで、それはもうすごい強みだと思うんですね。
画面のデザインに限らず、さっき言ったこのペルソナとかっていうのも含めてなんですけども、やっぱりこのペルソナ作る段階でもできるだけ具体的な絵を出すっていうのが一番早い解決策というか、このような不安を取り除く解決策だなというふうに思ってまして。
それをどこまで具体的なものを出せるかっていうところと、それの仮説の精度っていうところが、やっぱり腕の見せどころだなというふうに思います。
なんで作り手が気にするところ、プロジェクトを進行するディレクターとかでもいいんですけども、スケジュールを作るときとか、デザイナーさんに何作ってもらうかみたいなところをオーダーするときっていうのは、一旦この議論したものっていうのを素材として、どこまで具体的なものを出せるかっていうところも意識して進行していくっていうのがすごい大事で。
それができれば、まあまあ上手くプロジェクト、お客さんともいい議論みたいなのができやすいんじゃないかなっていうふうに思ってます。

その通りだね。プロジェクトマネージャーとかプロダクトマネージャー、ディレクターって呼ばれる人にとってものすごくヒントになる意見ですよね。いいなと思って聞いてます。その通りだと思いますよ。
同じような状況に陥っちゃってるプロジェクトのメンバーというか、プロジェクトの世の中にめっちゃいっぱいあるんじゃないかなって思うんですよ。
プロマネ力みたいなふうにも聞こえるしね、今の話はね。

うめもすさんの話で言うと、1個ポーンと具体のものを出すのすごい上手いじゃないですか。

ありがとうございます。

それは本当にそう思うんですけども。

どういうことですか。

ゴール見せるみたいな。とりあえず作りたいのってこういうものですよねみたいなって。

仮説構築力とか、ゴールを想像する力とかそういうものだと思うんですけども。

あれがあんまりできないですね。
あんまりできないというか、もちろんすごい人がいるんですけども。
今の段階からどうなるかはわかんないけれども、最終的に出来上がるのってこういうのじゃないですかみたいなのを提示してあげる。
っていうところのアイデア力とかっていうのはすごい難しいですけどもすごい大事で。

そうじゃなくて皆さんなんか結構一歩一歩前に進んでいこうとする。

それがあんまり良くないですね。
ゴールに旗を置いて、逆算で進めていくみたいなのができたらすごいんだと思うんですけど。

確かに。

自分個人でもすごい結構意識してますし、一緒に仕事するメンバーとかにもそういうような観点でフィードバックを最近はするようにしてます。

いいフィードバックですね。
今の話を結構具体的な形でビジュアル化したような昔映画バズってたんですけど、
比較の図でジュニアデザイナーと熟練したデザイナーの図を比較して考え方のプロセスですね。
ジュニアの方は一個行って詰まって戻ってみたいな一本線をずっとやって最終ゴールにたどり着く。
シニアの方たちは結構ゴールをパッと見せて思いついてて、そこに対しての成立するかみたいなのを逆算して道筋を潰していってここに到達するよみたいな図があったんですけど、ご存知ですか?
不安を和らげる具体性の重要性

これは見たことあるかもしれないですけど、わからないですね。でもまさにそういうことかなと思います。

そうですね。私はオッサンですけど、オッサンってやっぱり失敗したり経験してるんで、こうやったら失敗するとかっていうのが大体経験してるから身についてるじゃないですか。
そうならないための最終ゴールはここだみたいな。なんか訓練してきたんですかね。こう出したらいいよみたいな。こういうの出したら話が進むとか不安感が消えるとか。

いやそうですね。それはあると思うんですけども、経験してできて後からそうなっていったのもあると思うんですけれども、やっぱりまずはこのゴールを出そうとするかみたいなところがすごい重要で。

なるほど。

梅本さんとかと一緒に仕事してたので言うと、梅本さんはもう完全にそういう思考ですよね。
まずこれを出そうとする。ヒアリングの最初のゴリエン、最初はオッケーしてきたら最終こんなっちゃうみたいなことを出すみたいな。そんなタイプですよね、梅本さんは。
思い込みが激しいタイプですね。

確かに確かに。その言い入れてみようと思いますよ。

あこまで行くかどうかはさておきですけども、たぶん進める進行の質というか議論の質みたいなのは絶対そのほうが高いんですよ。

潰せるからね。
そうなんですよ。何を見ながら話すかとか何をテーマに話すかみたいなのがやっぱりすごい大事だと思うんですけども、何がゴール、間違ってたとしても具体的には見ながら話すほうが絶対早いしいいものになります。

その通りだと思うし、もしそこで悩んでる方とかがいらっしゃったらどういうアドバイスがいいのかなと。これもよく言われることですけど、クリエイターの方って自分が作るものを結構好きですよね。
自分の性格と同格化させるというか、出したものを否定されると自分が否定されてるように感じるみたいなことって結構あるんじゃないかなと。

なるほど。何か間違ったものを出しちゃったら否定されちゃうんじゃないかなと。

そうそうそうそう。自分はあんまそういうものなくて、何か出したアイディアとか出したものがダメだったらどんどん叩いてほしいなみたいな思うんで、そっちのほうが早いって思っちゃうから。

そういう訓練って結局自分否定されるみたいな訓練に近いかもしれないのでつらいかもしれないですけど。
それやっておくと結構これがゴールなんじゃないかみたいな出すの怖くなくなってくるような気はしますけどね。

いやーそうですね。でもそれは自分もよく言うんですけど、出した人が偉いからっていう話ですよね。
そうだね。一番準定上げた人が。
間違ってたとしてもみんな想像できてないんだから、間違ってたとしてもその具体的なやつをポンって出したのが偉いから、それで話が前に進むから。
これはできることが偉いし、そこに対して勇気を持ってほしいなって感じはします。

確かに。

すげえ偉そうですけど。

偉そうやぞ。

めちゃくちゃ偉そうなこと言いましたね。
我々偉そうやぞ。あかんぞ我々。
謙虚に取り組んでるつもりなんですけど。

もう老害ですよ、これは。

また老害話。

また老害してますよ。飽きません。
金田さん飽きません。

いやいやいやいや。説教するつもりは全くないんですけどね。
ないですか。すみません。聞きましょう。
ないですないです。聞きましょう。いやもう今話したことです。
あ、そうですか。
みんなを勇気づけたいですよ。
そうね。中小フェーズってみんな不安になるから、なるべく具体なものを早く出した方がいいよって。
そうです。中小はすごい大事だし、かっこいいし、もうそれが絶対にやらないといけないんですけども、
そこからジャンプ、どんだけできるかっていうので、その後の進行の質が全然変わってきますよっていうところですね。
プロのデザイナーのクリエイティブ

なるほど。じゃあ作り手がその時は気にした方がいいのはどういうことなんですか。

そうですね。ちょっとまとめ的な感じで言いますと、
頭の中で想像しているものっていうのは、かなりお客さん、相手とイメージっていうのはずれてる場合がすごく多いんですね。
なので作り手の方はその段階でできるだけ具体的なものを出すっていう努力をすべきで、
そこがやっぱり腕の見せ所なんじゃないかなというふうには思います。
なのでそういうところを意識して作ってほしいですし、
なんかイメージがずれてそうだなとか、なんか不安そうな顔をされてるなとか、
そういうふうに感じたときは一気にこの具体的なものっていうのを作ってみて、
それ見ながら話すっていうのが一個の解決策になるんじゃないかなと思うんで、
そういうところを気にしながら進めていくのがいいんじゃないかなと思っています。

いいアドバイスです。結構しゃべったんで、じゃあ一旦ここは締めときましょうかね。
ということで、今日は抽象にいるとみんな不安になるから、
しっかり具体なものを早めに出していこうというのがポイントのお話でしたかね。
はい、ということで今日も聞いていただきましてありがとうございました。
編集後期、お疲れ様でした。
続編みたいな話ですけど、
今日の話はデザイナー、プロとして能気がある中でやる人たちの
Tipsっていう感じが私は受けておりました。
何を言ってるかというと、
そうそうそう、アーティストとは違うなっていう話で、
この前神田さんとしゃべったんじゃないですか、
サカナクションの山口さん、怪獣っていう曲出されたじゃないですか。
神田さんと話なかったっけ?
うん、最近。
要は自分が作るものに対してなかなか合算を出さない。
もうこだわってこだわって、
能気をずらしてでも出さないっていう凄さを見たっていうことで、
やっぱり自分が納得するまで、
みたいなものづくりを高められる人ってすごいなっていう話ですね。
ほんまやね。
それは一部の人しか慣れない、
アーティストっていう側面もあるかもしれないし、
プロのデザイナーでそれってあんまり聞かないもん。
客さんがあるものでやっぱり課題解決だから、
いつまでにこれをやらなきゃっていうのが結構前提にありそうだ。
その期限の中でどこまで物事を高められるかっていうのはクリエイティブ。
佐藤柏さんとかもそういうやり方やってるような印象はあんまりないです。
そうですね、アート志向とデザイン志向は違うよみたいなのが
4、5年前に流行ったと思うんですけど、
その話と似てる。
でもやっぱりアート志向でやってる人はすげーリスペクトしちゃうよなっていう。
自分だとやっぱりこの辺で切り上げますよ。
出さなまずいみたいな。
風邪ひきます、我々は。
今日は東京寒いみたいです。
3月20日近くなのに。
雪も降ってるということで、
体調には気をつけてください。
以上です。ありがとうございました。