1. ART×ROOM ー作品のある部屋の裏側ー
  2. #10 1対複数ー落語家さんの言..
2025-04-15 19:56

#10 1対複数ー落語家さんの言葉からー

【内容】

複数のキャンバスとの向き合い方/落語家さんの言葉から/下地作りから始まる/余った絵の具は捨てられない/マツダ スーパー油絵具/Gray of Gray/構図は作らない/バランスを取る描き方


▪️朝比奈賢 個展

「彫刻と絵画の声」

2025年4月30日〜5月12日

ギャラリーNEW新九郎

https://de-art-de-art.com/asahinaken-exhibition-info2025/


【紹介作家】

朝比奈賢

⁠https://de-art-de-art.com/artistken-asahina-japan/⁠

展覧会動画(2024年)

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サマリー

このエピソードでは、アーティストが対話を通じて作品を制作する過程について話し、落語家の言葉を交えつつ、一対一の関係性の重要性を考察しています。また、油絵の制作技法や余った絵の具を活用する独自のアプローチについても触れています。さらに、作品制作の過程や素材との対話について語られ、特に作品のバランスを取るための方法が紹介されています。作品の展示方法や見る角度による印象の違いについても言及されています。

アートと対話
ART×ROOMへようこそ。この番組では、部屋に掛けたいアートを紹介しているDE アートの活動の一つとして、作家紹介や展覧会情報をお届けしています。
前回からの続きをお送りします。
これじゃあ、描くときは、1個描き終えて、また次っていう感じなんですか?
できればそうしたいんですけれど、今回、平面はね、油絵のみなので、油絵ってちょっとやっぱり乾くのにね、色にもよるんですけれど、結構時間がかかったりするんで、こっちを乾かしている間に、こっち進めてみたいな感じでね、今10点以上かな、平行して描いてます。
その1点に向かったときに、改めてそのキャンパスと向き合って、また乾くまで待って、また違う作品と向き合っているときには、もう他のものは忘れて、その作品と、もうそのキャンパスと向き合う、対話をするっていう。
そうですね。はい、対話をするって感じですね。
対話相手がいっぱいいるじゃないですか。
そうなんです。
これどういう心境なんですか?
対話相手がいっぱいいるけど、目の前にいるときには、もう目の前のものだけに集中するっていうのはどういう心境なんだろう?
そうですね。あるお知り合いの落語家さんが話してたことが印象に残ってるんですけど、落語家さんって舞台の上に座るじゃないですか、大勢のお客さんを前に落語をやるわけですよね。
その時に落語家の人が、私とみんなの関係ではないんですって言ってたんですよ。
そうじゃなくて、私と、例えば目の前の帽子をかぶった方の一対一の関係、それから私とコートを着た後ろの方と一対一の関係みたいな感じ。
で、その一対一の関係を人数分結ぶんですよっていうようなお話をされてたんですね。
だから、みんなを前にしてみんなって捉えるのと、あの人、この人、それからあっちの人みたいな感じで一対一をたくさん結ぶっていうのと捉え方が全く違うと思うんですよね。
一対一で関係を結んでいる限りは、多分緊張しないんじゃないかなって思うんです。
全員に見慣れていると上がっちゃったりね、あんまり緊張しないです。そんなお話をされてたんですよね。
だから僕が今10個作品を前に制作してても、一つ一つの作品と対話していれば、全部一気にやらなきゃって言ったらパニックになっちゃうんですけど、
それぞれ進行具合とか全く違うから、一個一個集中してその人に向き合うっていうような、そんな気持ちで向き合ってますね。
油絵の制作技法
これスタートするときに、朝比奈さんの場合も真っ白いキャンパスじゃない気がしてるんですけれども。
下地自分で作るんで。
で、下地からいくじゃないですか。下地も白くない気がしてたんですよ。
クリーム色ですね。白入れてないので、下地自体に。
まず下地を作っていく段階で、下地を作っているときにそのキャンパスにどういう風な表現になるかみたいのは、なんとなく出てくるもんですかね。
そこまでイメージっていうのは出てこないですけれど、真っ白のキャンパスに向かうよりは、市販のキャンパスですね。
売ってきてそのままのキャンパスで真っ白い、無機質な無表情なものに向かうよりは、
自分で下地を作ったクリーム色の下地は、ややちょっとムラがあったりとか凹凸があったりするんで、そういうものがヒントになって、
なんかちょっとイメージが動き始めるっていうのは、すごく違いがあると思ってるんですよね。
じゃあ下地を作る時点で、2つと同じものはできないっていう感じですか。
それぞれ何だろう。できないですね。
そっか、じゃあそこから対話っていうと、必然的に違うものができていくっていうイメージがなんとなくありますね。
そうですね。まあその自分の作った下地っていうのは、油を染み込ませると、
その下地が、専門的なこと言うとちょっと屈折率って言うんですけど、
下地の材の屈折率が変わって、透明になる性質があるんですよ。
透明になると、浅布なんですけどね。
浅布の茶色が下から出てきて透けて見えるみたいな、そういう表情をしてくるんですね。
その透明感っていうのが、自分で作った下地の一番魅力のある性質だと思っていて、
絵を描く前に、そこに油を垂らして、透明な部分をちょっと作ってみて、
それでムラをもうちょっと出してね、そこから始めるとか、
あとは別の作品を描いている時に、余る絵の具があるんですよ。
それをほっとくと油絵ってカチカチに固まっていっちゃうんで、すごいもったいないじゃないですか。
だから、それを洗って捨てちゃうっていう手もあるんだけれど、
僕はそれが本当にできなくて、筆についた絵の具とか全部一回、新しいキャンバスに擦り付けちゃうんですね。
それは、すごく制作するっていう態度よりは適当に落書きして、
余ったものを擦り付けるみたいなね、そういう気持ちで余った絵の具を処理していくんで、
そうすると、そこにまたキャンバスの上に余った絵の具がベタベタくっついた感じになるんで、
それをまたスタート地点にして制作していくと、イメージが発展、動きやすいっていうか、そんな感じがしてます。
意図しないイメージが。
これ、余った絵の具がお皿にできないって、水彩もそうですけど、絵の具とか材料も研究してるっていうか、
中身がどういう鉱物からできてて、どういう物質で、だからこれは沈殿してこれは浮かんでとか、水彩の時に話しちゃったじゃないですか。
グレーオブグレーの魅力
そういう地球上にある貴重なものだっていう意識がやっぱり強いですかね。
はい。その貴重な素材であることと、それを作ってる絵の具会社の職人さんがいるわけですよね。
それを練ってチューブに詰めてみたいなことをやって、画材屋さんに運ばれて、それを購入してるわけですけど、
そういった全部の素材の貴重さから職人さんの労力も合わせて、余ったからって流しちゃうみたいなことはちょっと自分には難しいな、そんな気持ちですね。
描いてて絵の具が余るのって確かにすごくもったいないですもんね。
そうですね。
でも、もったいないだけでも描けないんですよね。
そうです。
だから別のに塗るっていうのは、ああそうだよなと思って。
今、制作が進んでるやつにベタって塗っちゃうとちょっと違うから。
そうなんですよね。
新しいキャンパスね。
新しいキャンパスにそれが生きてくるっていうのがいいですよね。
はい。そうですね、まるまるゼロからスタートするよりも、そういうのがあった方がきっかけになってくるんで。
だからこんなに表情が全部違う絵画になるのか。
そうかもしれないですね。
でもその中でもこの『三者の対話』っていう四角がいっぱいのやつ。
ええ。
これはちょっとモノクロでモザイク柄みたいな。
これは朝比奈さんの作品で私見たことがないタイプです。
そうですね。今まで割と点を扱ったり線を扱ったりっていうことがずっとしてきたんですけど、
今回初めてこれで面を扱ったような気持ちになっていて、
これを描き始めたきっかけっていうのは、
僕絵の具を松田のスーパーっていう銘柄の絵の具を集めていて、
全部まだ集まってるわけじゃないんですけれど、
それを集めた色に関しては自分で布の上にカラーチャートを作って、
はいはいはい。
絵の具を実際にその色を布の上に置いて、
布の上でどういう発色をするのかっていうのを表にして見るようにして、
そこの中から色を選んで色を使うようにしてるんですけれど、
今回松田のスーパーっていう絵の具の中のグレーオブグレーっていう色をこの間買ったんですね。
で、グレーオブグレーってどんな色なんだろうっていうこともあるんですけれど、
今までの僕の考え方だと、グレーなんて作れるじゃんってずっと思ってたんですよ。
黒と白混ぜればいいじゃんみたいなね。
グレーなんて、そんなグレーなんて買わなくていいじゃんっていうのが今までの考え方だったんですけど、
でもそのネーミングがグレーオブグレーってなってるから、
グレーの中のグレーっていうことですよね。
だからメーカーがこだわってグレーの中のグレーを作ったっていうことは、
どういうグレーなんだろうっていうのがちょっと気になっちゃって、
それで購入してみたんですよ。
そのグレーのグレーオブグレーを松田さんがどうやって作ってるのかはわからないけれど、
多分その黒と白のど真ん中のトーンをすごく実験を繰り返して作ってるんじゃないかなーなんて勝手にね、
いろいろ想像しながら使ってるんですけど、
グレー中のグレーに何か魅力を感じてしまって、それを活かした作品を今回作ってみたいなっていうのがこの作品の描き始めなんですよね。
で、グレーに対して白と黒を、四角をぶつけてって、
で、どういうふうにこのグレーが見えるのかなっていう。
グレーって、なんて言ったらいいのかな、
黒と白みたいにはっきりしない色ではあるんだけれど、
逆に言うと隣に来る色ですごく影響を受けて変化していく色でもあるのかなって思ってるんですね。
だからそのグレーの魅力が存分に出るようにいろんなパターンで、
グレーが黒と白に隣り合うように配置して、もうちょっとモザイクっぽいような感じになってたんですよね。
そっか、じゃあグレーオブグレーでできた発想が始まった作品だから、
今までのとはちょっとまた違う感じだったのかな。
作品制作の過程
素材に聞いてるから、素材と対話してるから。
そうですね、その素材がどんな表情を出すのかな、みたいなことを作品の上で実験してしまおうっていうような作品ですね、これは。
これはどのぐらいの大きさなんだろう?
これ20号ですね。
これ20号か。
この同時性っていうのはどのぐらいの大きさなんですか?
これは4号です。
わかんないね、やっぱり写真だとどんな大きさかが。
これだから会場で見たいですね、本当。
『温かな混沌』。
『温かな混沌』も4号です。
そうなんだ。
この2つ大きいと思ってました。
本当ですか?
なるほど。意外とちっちゃいですよ、これ。
そうなんだ。
じゃあこの表紙のは一部なんですか?それとも表紙の…
これ一部ですね。
一部なんだ。どっちかなと思ったんですよ。
これも4号で。
そうなんだ。
しかもちょっと今、写真で送ったときはこの位置で展示しようかなと思ってたんですけど、写真送ってカタログになってから横位置になっちゃいました。
じゃあちょっと変化してるのに。
はい、変化してますね。ちょっと手を加えたり、いろいろ。
縦と横決めるときって、書いてるときに変わったりとかします?
書いてから変わったりするし、あとは展示してからも変えたりもしますね。
じゃあサインとかはいつ入れるんですか?
作品の展示と印象
サインは入れてからも横と縦変えたりしちゃうんで。
一応展示する前に裏側にやります。
あー裏側にね。
これ本当に横と縦とあとは点と地決めるときって決まってるものも多分あると思うんですけど、
どっちでも見れるときっていうのもあるじゃないですか。
そのときって何が決め手になりますか?
決め手はないのかな。
絵を描いてるときに画面の中に、別に僕は構図を作ったりはしないんですね。
画面に抜点作って交わったところに何か置いてとか、そういうことは一切しないんですけれど、
描いてる最中に必ずキャンバスを回転させていくんですね。
縦から描いたり横から描いたりひっくり返したりしながら、
どういうふうに回転させてもバランスが取れてるように一応作ってるんで、
逆に言うとどこに飾ってもバランスが取れる。
縦と横はバランスが取れない場合はあるんですけれど、
一応その回転させながら描いてるんで、最終的にこれかなぐらいの感じで決定打はないんですよね。
そうなんですね。
どの作品も回転させてるんですか?
そうですね。構図作ってない代わりにバランスは取りたいと思っているので。
バランスを取るために回転しながら描いている。
そうですね。どこからの方向でもちょっと偏りがないなっていうバランスを見るようにはしてますね。
抽象外なんでね。
バランスを取るために回転させるっていつぐらいから?
いつからだろう。思い出せないけど割と初期の頃からそんな感じだったかな。
よく黒板に線引くとこの人右上がりとかこの人右下がりみたいなそういうのあるじゃないですか。
ありますね。
あれって黒板ひっくり返せば、なんて癖って言うんですか。
一目瞭然でそのどっちに上がってるっていうのを本人も確認できますよね。
それと一緒でなんかこうちょっと一方向だけで描いてると右上がり右下がりとか当然出てくるし、
それを鏡に映したりとか上下逆さにすれば癖っていうのが結構すぐわかるんで。
その確認のためですね。
鏡に映すこともあります。
そうなんだ。そうするとなんかどっちかに偏ってるなっていうのがわかって修正したりするんですか。
しますします。
それがないとちょっと落ち着かないかなやっぱり画面が。
画面が落ち着かない感じっていうのはどんな感じなんだろう。
やっぱり別にまっすぐの線引く必要はないんだけど黒板でまっすぐ線を引いてるつもりなのになんか上がったり下がったりしちゃうわけじゃないですか。
そういうなんかこう癖が出ちゃうというのかな。
それを聞いたらますます点地決めるの大変そうですね。
そうですね。
そうか。
飾る人の好みで結構点と地が変わったりするのかな。
この間あるマンションにちょっと作品を置いて収めたんですけど。
それは横位置、本来横位置のものなんだけどちょっと場所の関係もあってね。
そこでは縦位置に変えちゃいましたね。
僕もそれでいいと思ってるし。
飾ってくださった方もじゃあオレンジっぽいのを右にしようかなとかね。
ご自身で判断されてバランスと取られてたんでその場所に応じて。
だから飾る人によって縦横に変えちゃう場合も出てきますよね。
すごいバランスを取るっていうのが結構重視されているとは知らなかったですね。
ピカソとかってすごいゲルニカとかの絵の中にものすごい構図が組み立てられてるんですよね。
過去の偉大な伝統的な芸術家の構図を全部学んで
それをゲルニカっていう巨大な絵の中に集約して構図を作って描いてるらしいんですけれど。
画面の中を区切っていってここにこれを配置してみたいなことではなく
バランスを取る方法としてそういう方法があるかなって思ってます。
よく言う黄金比とかそういうのが。
そうですね。そういうことではないバランスの取り方と言ったらいいのかな。
次回は続きをお送りします。
制作過程はYouTubeやブログで見ることができます。
そして実物を見、ぜひ会場にお越しください。
作品とのいい出会いを。
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