1. ART×ROOM ー作品のある部屋の裏側ー
  2. #05【制作過程】1000年前の桂
2025-03-14 20:02

#05【制作過程】1000年前の桂

【内容】

別の作品に着手/貴重な材/神代/1000年前の桂/商品として使えない部分こそ魅力/ベルトサンダー/譲り受けた工具/右半身と左半身のバランス


【紹介作家】

朝比奈賢

⁠https://de-art-de-art.com/artistken-asahina-japan/⁠

展覧会動画(2024年)

⁠https://www.youtube.com/watch?v=UfKxdzzx2LM&t=10s


【関連リンク】

露木木工所

https://www.yosegi-g.com/

柏木美術鋳物研究所

https://k-imono.com/

太田木工

https://ota-mokko.com/

小田原もあ(展覧会動画)

https://www.youtube.com/watch?v=KJN8uj_yEQc


【BGM】

⁠しゃろう:10℃⁠

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【制作】

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サマリー

今回のエピソードでは、朝比奈さんの個展と伝統工芸作家とのコラボによる小田原もあ展の情報が共有されます。その後、神代桂という珍しい木材を使った彫刻制作の過程や、水中に千年以上埋まっていたその特性について詳しく解説されます。製作過程では、1000年前の桂を使用して彫刻を作る際の繊細な技術と対話の様子が紹介されています。特に、木の表情を活かした右半身と、幾何学的に仕上げられた左半身の対比が特徴的です。

小田原もあ展の概要
ART×ROOMへようこそ。この番組は、アートが好きで、作家さんを応援したいという気持ちから、YouTube、ブログ、インスタグラムから展覧会情報や作家情報、作品の情報などをお届けしている、DE アートの活動の一つとして始めました。
今回は、前回の作品の続きではなく、また別の作品制作についてのお話をお聞きしました。
前回の作品と今回、お話に出てくる作品は、4月30日から5月12日に、小田原ダイナシティウエスト4階ギャラリーNEW新九郎で開催される、
朝比奈賢さんの個展で展示される予定なのですが、その前に開催されるグループ展でも展示されるので、ぜひご覧いただきたいと思っています。
そちらは、小田原の伝統工芸作家の方たちと、現代美術作家との15年続くコラボ展です。
今年のタイトルは、第27回小田原もあ展「芽吹く」場所は山形有朋別邸 皆春荘です。会期は3月20日から3月30日。ちなみに24日、25日は休館です。
詳しくはブログに掲載しますので、ご興味のある方はそちらをご覧いただけると嬉しいです。
少しもあ展のことをお話しすると、「ものづくり」と「アート」の頭文字からもあ展と名付けられています。
小田原の寄木細工、木工、鋳金など、伝統工芸作家の方々も、このコラボ展では実験的な作品を制作されているので、普段見られない作品を見ることができて面白いです。
現代美術作家の方々は、平面、彫刻、レリーフなど、表現方法が様々な方が集まっていて、このコラボ展ならではの寄木の廃材や鋳金とのコラボ作品など、こちらも普段発表している作品と少し違う表現に挑戦している方が多い印象です。
皆さんがお互いに刺激を受けながら、実験と挑戦の場になっている展覧会です。
最終日の3月30日には、出展作家によるアーティストトークがあります。
時間は13時から14時半まで。
これが結構面白いのでおすすめです。
では本編へどうぞ。
この間紹介した彫刻は今ちょっと止まっちゃってて、というのは足に六角ボルトを差し込んで、それをボンドで固定してたんですね。
それを何日か待ってる間にもう一個の彫刻を小さいのを作り始めて、それでそれが結構早めに仕上がるかなと思ってたら、
思いがけず時間がかかってしまって、1ヶ月以上ずっとそれにかかりきりになっちゃって、それが予約仕上がったところなんですね、今。
あ、仕上がったんですか。
一応完成して、完成写真を小田原もあのメンバーの柏木物美術研究所の柏木さんに完成作品の写真を撮影していただいて、その写真がね、見えてます?
見えてますね。これどうなってんの?まず大きさこれどのくらいですか?
幅が16センチ、奥行きが4.5センチ、高さが36センチの作品なんですね。
へー。
これの裏側が、
あ、来た来た。
どうなってるんだろうこれ。
裏側です。
これなんか折りたたんだ、梱包用紙折りたたんだみたいな筋が見える。
はい。
木だけどね。
木だけど。
この作品をずっと1ヶ月以上折ってたんですけど。
へー。
元はまたどなたかの作品なんですか?
元はですね、これは露木木工所の倉庫に眠っていた木材なんですけれど、その眠ってた木材がこれなんです。
え、全然違う。
はい。
全然違う。
この材料が倉庫に眠っていて、これがやっぱり寄木としては使えない材料らしくて、なぜかというと、これがもう1個の写真かな。
あー、はいはいはい。
で、なぜこれが寄木に使えないかというと、この右上の皮の部分と言ったらいいのかな。皮のところと真ん中の、これも皮の部分かな。
こういうのがあると寄木の材料として使えないらしいんですね。あとちょっとひび割れが真ん中に入ってたりして。
確かに。
じゃあ、これいただきますって言って、ただこの木材っていうのはものすごく貴重な材料なんですよね。
へー。
どういう風に貴重かっていうと、名前を神代って言うんです。
神代。
神の、
そういうことか。
交代の代、代々木の代って書いて、神の代って書いて、神代っていう。
そういう種類の、
これ木の名前なんですか?
これがね、木の名前は桂なんです。
あー、はいはい。
桂の木なんだけど、それに神代桂っていう風に名前が付くんですね。神代って上に。
そうなんだ。
で、それがどういう意味かって言うと、千年以上、湖とか、そういう川とかはわかんないけど、水の中に眠ってた木なんです。
すごい。
まあ、例えばですよ。箱根で言うと、芦ノ湖っていう湖があるんですけど、芦ノ湖、行かれた方はわかると思うんですけど、周りが全部山なんですね。
はい。
なので地震とかがあると、例えば地滑りとかで山の斜面が崩れて、全部こう芦ノ湖の固定にずるってこう滑りながら沈んじゃうんですよ。
えー。
地質学的ななんて言うんですよ。そういう現象が起こって。
その滑り方と、固定の環境がうまくいくと、その滑って水の中に潜っちゃった木が酸素に触れないで、ずっと泥の中に埋まるらしいんですね。
そうすると酸素と触れないと全然腐らないらしいんですよ、木っていうのは。
そうなんだ。
だからベネチアで水上に街並みがたくさんできてますけど、結局あれ土台は木の杭なんですよ。
そのベネチアの街並みの土台になってる木の杭っていうのは腐らないんです。
それはなぜかというと、この人類と同じように酸素が遮断された状態で水の中に埋まってるかららしいんですね。
化石とかと一緒ですよ、いろんな生物の化石とかも。
酸素に触れなければ腐らないで残るっていうのはあるんですけどね。
で、千年以上そうして埋まってたものが造成工事とかでたまたま引き上げられる時があるらしいんですよ。
そういう時に木が上がったって言って、材木屋さんが飛びついてすごく高値で取引されるらしいんですね。
だからこの木は生きてる桂や伐採した桂と違ってずっと泥の中の水の下の泥の中に眠ってたんで芯の芯まで焦げちゃっていたらいいのかな。
すごく濃い茶色で染まっちゃってる木材なんです。
なので木目がすごく美しく出るっていう風に言われていて、貴重な自然に濃く染まった木材として
寄木に重宝されているような材料らしいんですよ。
なのですごく貴重な材をいただいて、結構虫食っちゃったりとか腐っちゃってたりっていうケースもあるらしいんですけれど、
この部分をいただけたのでこれをちょっと活かして彫刻作りたいなって思ったんです。
制作過程の詳細
神代桂っていうものの存在っていうのは朝比奈さん知ってたんですか?
前から神代神代って職人さんが口にしてたんで、私自身は耳にはしてましたけど、今回彫刻で初めて本格的に扱った感じですね。
なんか手触りというか彫ったりとかする中で他の木とちょっと違う感じってなんかあるんですか?
あんまり香りはしなかったかな削ってて。
他の木は結構香る?
はい、結構香りますね。これは全然なかったな。
そうなんだ。
だから何だろうね、千年以上水の底に眠ってたっていうことを古代の人なのか職人さんたちなのか、
その千年という時間の流れを神の時代っていう風に名付けたっていうそのネーミングセンスっていうのはね、素晴らしいなと思って。
あとロマンがあるっていうか。
そんな感じでちょっと扱いましたけど。
これこう見て、ここからどうやって起こしていこうっていうのは始まりどこから始まったんですか?
始まりはやっぱり寄せ木として使えないっていうこの皮の部分ですよね。
逆に寄木として使えない部分が皮肌っていうのかな。
皮肌が魅力になるんじゃないかなっていう風に彫刻としては。
なるのかなっていう風に考えたので、まずはここは残そうっていうことを思いましたね。
ここのねゴツゴツした部分。
それでじゃあここを残してここをどう見せるかって言った時に、ちょっと僕としては皮が見えるところの側面が板の厚みが見えちゃってるじゃないですか。
ここをちょっと見えないようにしようかなって思ったんですよね。
削って直接皮の肌が浮き上がったような感じに見せたいなっていう風に思ったんです。
それでその日に最初に削った状態がこれです。
さっき厚みがあったところを全部裏側を削っていって、この革の部分がポンって目に入るようにまずは削ってきました。
確かに皮肌のところが浮き出るような感じで、浮き出る分その他が引っ込むっていうか、視界からはそんなに入らない感じになってますね。
仰る通りで視界に入らないように、木の厚みが視界に入らないようにすることでちょっと強調するって言ったらいいのかな、皮肌の部分を。
これ色がちょっと変わってます?
これね、ずっと削ってたら夕方になっちゃったんで。
あ、そうなんだ。
光の加減ですね。
そっか、光の加減か。
色変わってます。
さっきは白く見えた、今度黒く見えるからなんでだろうと思う。
もともと結構黒いんですけどね、光が直射日光を当てて写真撮ってたんで明るく見えただけです。
これ削るのどのくらいかかります?
これ…
結構削ってますよね。
結構削りましたね。
グラインダーとあとは回転するサンダーみたいなやつと両方使いながら段々段々削っていって。
お昼から夕方にかけてかな。
半日?4時間?
うん、4、5時間くらいですね。
彫刻の製作過程
結構かかりますね、4、5時間。
ここでまた立ち止まって少し考えるんですか?
はい。これでどうしようかなって思った時に、今この写真だとちょっと見づらいんですけど、
この木の皮の部分の一番地面側って言ったらいいんですかね、そこもちょっとね皮の表情が出てるんですよ。
そこも残したかったんで、3カ所かな。
木のど真ん中と上の角、右上の角と右下の角の部分が木の皮が出てるんで、それを残して。
そうすると背後の面をグラインダーで削っていった時に、今度背後にちょっと美しい局面が出てきたんですよね。
それがいいなっていうふうにちょっと思い始めて、それで裏側がこんな感じか。
本当だ。スルッと手で撫でられる感じ。
そういう局面が木の皮の部分の裏側にちょっと現れてきたので、なんとなくこの局面の繋がりっていうのを大事にしようかなって思ったんですよね。
この木の右半身って言ったらいいのかな、正面から木の皮を見て、右半身はこういう局面的な状態になってるんですけど、
左半身は今また最初のいただいた角材のままの状態なんですよね。
右半身は局面的な表情になってきたけど、左半身どうしようかなって思った時に、今度は左半身を直線的に扱おうと思って、今度はこれですね。
また全然違う。
右半身が皮の表情でちょっと斜めに後ろにセットバックするような感じだったんで、
左半身をベルトサンダーっていう機械ですごい大きな音がするやすりなんですけど、
それで面を作ってちょっと気化学的な形で斜面に隠って折り紙がパタンって折れるみたいな感じで、
右側の有機的に皮の表情と対比するような形で、左側はちょっと気化学的な直線的な扱いで、
左上と左下をベルトサンダーで削っていったんですよね。
三角に見えますもんね、その面が。
セットバックするような感じで、これで右と左のバランスをどういう風にとっていこうかなっていうところを、
ここからスタート地点っていうのかな、して考え進めてきましたね。
右と左で逆に、発想的には逆になっている感じですかね。
有機的な形と無機質っていうか、幾何学的な形とそれが一緒の一体に見えているっていう状態。
そうですね。それでこの斜めに削る作業っていうのが、
今、わさわさ音がしていますけど。
見えますね、見えます。
これベルトサンダーを稼働させているところで、ベルトを回転させて、そこに木材を置いていくんだ。
そういうことか。木材の方をベルトサンダーに当てていくっていう感じなんですね。
はい、当てていく感じですね。
ベルトサンダーが固定されていて、両手で持って作業していると結構な大きさがありますね、この彫刻も。
そうですね。こんな感じで当ててどんどん斜面を作っていった感じですね。
切るっていうよりは削りながら、ここの斜面を作っていくっていう感じなんだ。
そうですね。この部分に関しては削りながらやってきましたね。
その後は、今度はこれ。
できました。
電気彫刻刀っていうんですかね。
初めて見ました、電気彫刻刀。
電動彫刻刀っていうのかな。
この辺の機材全部いただいたものなんですけど、さっきのベルトサンダーは太田木工の太田さんからいただいた。
これは知り合いの方がずっと趣味で会社員されながら家具とか作ってたりした方がいたんですけど、
もうちょっと引退してなかなかできなくなっちゃったんでって言っていただいたものなんですよね。
結構僕の工具はいただいたものだらけで、そういうのを活用してやってますね。
いっぱいいろんな工具がありますもんね。宝の山みたいになってますよね。
じゃあいろんな人の歴史がここに。
そうですね。それなくしては今回の彫刻はできなかったかな。
一番歴史深いのこの神代桂。
そうですね。
それを何回か削っていくっていうのはやっぱり勇気がいるっていうか、貴重なものですからね。
下手なことはできないんで、バーって削んないでね。ゆっくりゆっくり様子見ながら削っていく感じかな。
これはやっぱり木との対話はどんな感じになっていくんですかね。
やっぱりバランスが大事で、最初に木の皮の表情の裏側を局面的に削ったっていうことから、
じゃあそれに対して左側をちょっと幾何学的な斜面みたいな折り紙みたいな扱いにしてってっていうのを
どんどんどんどん全体を見ながら広げていくって言ったらいいのかな。
全身がそういうコンセプトで、彫刻の全身がそういうコンセプトで耳まとえるような感じで少しずつ進めていくって言ったらいいのかな。
今裏側を削ってた感じですよね。
はい、そうですね。
それで裏側が、これ右半身と左半身が裏側なんで逆転してるんですけど、
左半身がさっき言った直面的な滑らかに角度が変化していくような流れていくような表情なんですけど、
右半身はカクカクさせて幾何学の多面体みたいな表情にだんだんだんだん成長させていくって言ったらいいのかな。
今回は製作過程第2弾の最初の回でした。
製作の詳細
次回は続きをお送りします。
製作過程はYouTubeの動画で見ることができます。
写真はブログに掲載していますのでぜひご覧ください。
最後まで聞いていただきありがとうございました。
作品とのいい出会いを。
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