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  2. #118 心象工芸展と国立工芸館..
2024-10-19 58:39

#118 心象工芸展と国立工芸館に至るまで(国立工芸館工芸課長 岩井美恵子)

国立工芸館の岩井美恵子さんをゲストに国立工芸館と心象工芸展についてお聞きしました。 ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://sorosoro-art.vercel.app/ep/11⁠⁠⁠⁠⁠⁠8  番組の感想は、⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠#そろそろ美術の話を⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ でお願いいたします。

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Guest Profile 岩井美恵子(いわい・みえこ)

  • 国立工芸館工芸課長。成城大学大学院文学研究科美学美術史専攻博士課程前期修了。岐阜県現代陶芸美術館、パナソニック汐留美術館の学芸員などを経て2021年より東京国立近代美術館工芸課主任研究員、2022年から現職。

Show Notes

国立工芸館について

心象工芸展について

岩井さんが国立工芸館に至るまで


サマリー

今回のエピソードでは、心象工芸展と国立工芸館の展覧会について語られ、特に佐々木類さんと高橋健吾さんという二人の作家の作品が紹介されます。佐々木さんはガラスを使った植物の記憶を閉じ込める技法を用い、高橋さんは生と死のテーマを扱った神秘的な作品を通じて観覧者の心を打ちます。心象工芸展では、作品が空間に与える力やデザインの重要性について語られ、中川守さんの作品が特に注目されています。また、彼の作品が金沢の風景や感情をどのように表現しているかにも触れられています。 国立工芸館の工芸課長である岩井美恵子さんが、自身の美術に対する関心の始まりや日本における工芸の位置づけについて話します。彼女は自らの経歴や工芸と美術の関係性を通じて、工芸の魅力や楽しさを深く掘り下げます。このエピソードでは、岩井さんが工芸の作品制作の背景や若手作家の成長、国立工芸館の展覧会についても語ります。特に新商工芸展の魅力や工芸界のトレンドについても触れられています。 心象工芸展や国立工芸館の役割や意義についても、工芸課長の岩井美恵子さんが語ります。

心象工芸展の概要
はい、アートテラー・とにのそろそろ美術の話を。この番組は、私アートテラー・とにがアートに関わる方をゲストにお迎えして、トークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
今回は前回に引き続き、国立工芸館岩井美恵子さんをゲストにトークを続けていきたいと思います。
ということで前半お疲れ様でした。お疲れ様でした、ありがとうございました。前半には入り切らなかったぐらい、展覧会がね、入り心多いということで、後半はまずは、
その展覧会の続きのところからお話ししていきたいと思うんですが、改めて展覧会のタイトルからよろしくお願いいたします。
はい、現在開催しているのは心象工芸展という展覧会です。
はい、ざっくり言うとどの展覧会でしたか?
はい、工芸というと技術とか素材が難しいなとか、わからないなって思われがちなんですけど、
そうじゃなくて、工芸作家の作品でも絵画作品とかと同じように、作家さんの気持ちとか思い出とか記憶とかそういうものを表現されている作品がありますので、それをご紹介する展覧会です。
はい、だから工芸にこれまでちょっと興味持てなかった、でも絵画は好き、彫刻は好きっていう方にもおすすめの展覧会ですよね。
もちろん工芸が好きな人にも支える展覧会ですけれども。
ということで、前半6人の出展作家のうち3人ご紹介させていただきましたが、じゃあ後半の1人目、誰を紹介しましょう。
はい、佐々木類さんをご紹介したいと思います。ガラスの作家さんです。
ガラスだと皆さんイメージしやすいのは、こう拭いたりしてね。
拭きガラスで。
そういうのありますけれども、佐々木さんの場合は工業用のガラス、既にあるものですね。そこに植物を挟んで焼くんですよ。
ガラスは2枚必要と。
そうですね。
板状のガラスがあって、そこに植物を挟んでそれで焼く。
その焼いたものを枠の中に設置して一つの作品にするんですけれども、その時にこのガラスのところの上部、上のところにLEDを仕込むんです。
そのLEDの光がガラスにバーっと落ちてくる。
そのように見えるところまでが彼女の作品になります。
単純に植物を挟んで焼いたらどうなるんですか?植物。
植物の灰が残るのと、植物水分を含んでますから、その水分が気泡のようにして植物の灰の周りに残ったりします。
お芝菜のような感じで、焼いても守られるのかと思いきやガラスでガードされるのかと思いきや、そんなことはなく。
ガラスはそのままだけど、中の植物だけは焼けて灰になる。
灰で植物の形のまま残ります。
パッと見たら植物のシルエットがあるじゃないですか。
これは実際に本当に植物がそこにあったってことなんですね。
植物型に切り抜いたとか、植物型に加食したわけじゃなくて、本物の植物を挟んで作ったってことなんですね。
不思議な技法ですけど、こんなことをやっている人は他に?
そうですね。なぜ彼女がこんなことをしているかなんですけど、
佐々木さんはガラスという素材を記憶を閉じ込めるというか、留めるというか、そういう素材というふうに認識をされているそうなんですね。
植物を挟んで焼き上げるというシリーズはこれまでも何度か制作されているんですけれど、
アーティストインレジデンスとかで呼ばれた先、滞在先でその土地、普段私は自分はいないけれど、
新しく行った土地の植物を取って、その土地の記憶をそこで閉じ込めるというシリーズを制作しておられました。
今回ご紹介いただいたのが新作なんですけれども、同じ閉じ込めるタイプではあるんですが、
初めて自分の身の回りの植物を定点観測して閉じ込められたんです。
つまりご自身のアトリエの周りだったり、あと例えば1月だったらご自家変えられているからご自家の周囲だったりとか、
そこで植物採集をして焼き上げて12ヶ月分ですね。1月から12月まで。
空間に入ると全部12点作品があって、それぞれにキサラギとかヤヨイとか旧歴の月の名前が書いてあるのは、
本当に実際に1月の植物を採集したということなんですね。
ですので、ご自身が活動している場所の植物を観察していると、実は他の要素もいろいろわかるということを笹木さんが教えてくださったんですけれど、
例えば、またコロナ禍の話になっちゃいますけど、コロナ禍は人が外に出ないので、それまでなかった植物とかが見えてきたり、
もしくは普段だったら10センチぐらいしか伸びてなかったのか、30センチぐらい伸びてたりとか、そういうことがあったりしたんです。
そういうことに気づいたということもあって、今回ご自身の周りの植物を採ってみて、そこでこういう植物が実はあったんだということもわかったし、
あと、この一枚一枚のガラス板にちょうどいい大きさの植物を挟んで、彼女は焼いているんです。
ちょうどよく入っているはずなんですけど、それが1月、2月の作品を見るとガラスよりちょっと一枚小さくなっちゃっているんですよね。
これは彼女は別に小さいのを挟んだのではなくて、ちゃんとガラスのサイズのものを挟んだんだけれど、これ佐々木さんの推測です。
ですが、1月、2月の植物は湯切りもあって水分を多く含みすぎているから、焼き上げたときにより多く水分を取られてギューって臓器に絞られるような感じで小さくなっているんじゃないかと、私は思っているんです。
なるほど。あともう1つ、植物が焼かれているって言ってみんなどんなイメージがあるんですか?
これ実際会場で見てくれればいいんだけど、あれですよね、植物標本みたいな形に見えてますよね。
だから本当にペタッとなっているから、あれなんですけど。そうか、じゃあ1月、2月はちょっと小さくなるんだ。
それが発見だったというふうにおっしゃってたんですけど、植物その一つの成長の記録だけじゃなくて、
先ほどさらっと申し上げましたが、1月だったら実家の周囲にも混ざっていたりして、自分がこの時何をやっていたとか、この時はこういう植物を摂る気分だったとか、
自分の思い出もここに閉じ込められるんだということをお話をされていたんですね。
それだけでもロマンチックで素敵だなと思ったんですけど、実際作品をご覧いただいて、
やっぱりこのガラスという透明感のあるものにLEDの光を通して、灰になった植物というこの素材感の組み合わせって幻想的で綺麗ですよね。
たまたまなんですけど、僕は昨日金沢に全白させてもらって、金沢21世紀美術館に行ったんですけど、
金沢21世紀美術館でも作品があって、空間の中にボンと浮かび上がる感じだったんですけど、
ちなみにあっちは写真撮影禁止だったんですけど、
こちらはついて撮りたくなる格好良いスタイリッシュな作家さんだなって、
これまでも他のところでも展示で見させてもらって、
佐々木さんの展示は、たまたま僕がそういうのしか出会ってないかもしれないですけど、
暗い空間の中に浮かび上がるパターンが多かったけど、
今回はもちろん作品自体は光っているけど、白い展示室にあるのが、
ただただスタイリッシュだけじゃなくて、僕は懐かしい感じがしたのは、
おばあちゃん家とかにある昔の窓ガラス、
曇りガラスっぽいけど、スパークみたいな感じの模様がついてるみたいな、
何の模様なんみたいな、それの最新版みたいな印象というかね。
ガラス自体の色合いですかね。
ガラスの見えているシルエット自体はすごくスタイリッシュなんだけど、
曇りガラスっぽい色合いが、
これまで暗い空間で見るとスタイリッシュが勝ってたけど、
日常的なところに展示されると、
日常的な照明のところで見ると、
単純に木を照らしている作画ではないんだなというのが、すごくよく分かりました。
温かみのある作品なんだなっていう。
多分トニーさんがおっしゃられた、もう一つの彼女のシリーズの窒光タイプ、
あれは光をガラスに閉じ込めて留めるタイプの作品なんですよね。
こっちは植物を留める作品で、
その二つが多分彼女の大きいシリーズだと思うんですけれど、
おっしゃる通り、もともと透明ガラスなんですけど、
LEDの光が上からこぼれることで、
曇りガラス感というか、それが出るのかもしれないですね。
植物が好きな人は楽しいでしょうね。
何月はこれなんだって見るのも面白いですしね。
これ旧暦の月明が作品タイプになっているんですけど、
やっぱり自分の誕生月の前で写真を撮られるのが面白いです。
そういう楽しみ方もできるんですね。
できると思います。
高橋健吾の作品
続きましては、金剛の作家さんで高橋健吾さん。
実はこの番組には1年目の時ですから、
第何回だったかな?
11回目、12回目のエピソード。
この番組に数々のアーティストさんが出演していただいたんですけど、
第1号で出ていただきましたので、
高橋さんの新作が出ているということですね。
トニーさんも高橋さんよくご存知だと思いますけど、
高橋健吾さんは動物の頭蓋骨と角といいますか、
それを細かいアルミのお花で形作る作家さん。
これで有名な方だと思いますけれども、
それの最新作というか、今回製作をしてくださいました。
今回の最新作は多分今までの作品の中で一番大きいタイプのものですので、
本物の動物の頭蓋骨だとそのサイズ感に合わないということで、
鹿の頭蓋骨を元にしてそれを粘土で模刻してちょっと大きめに作って、
角に至ってはもうどの動物の角でもなくて、
毛のひらでお花をすくい上げるこの形ですね。
それをイメージした形を角としてくっつけた作品になっています。
完全オリジナルってことですね。これは元にある頭蓋骨とかあったけど。
ありましたけど、おっしゃる通り完全にオリジナルの作品です。
今までの作品はこれもよく彼がお話しされていることですけど、
東日本大震災をきっかけにして生と死ということを見つめるということが
鎮魂の意味合いとかを込めて作品に制作されてきたんですけど、
今回はその両手でお花を抱えるということをモチーフにしたように、
そこにより祈るというものを込めた作品だそうです。
非常に神秘的な作品だなと個人的には思っています。
僕も目に飛び込んできた瞬間、人知を超えたもの。
もののけ姫の世界観といいますかね。
これまで生と死ってテーマだって本人ともよく話をするし、
生と死を飛び込む人だから人知を超えたんだっていうのは衝撃的だったのと、
あとやっぱり一番がですね、これは本人に褒め言葉として言いますことを改めて言っていますけど、
高橋さんの作品ってやっぱりこの技法がすごくて、
この11回、12回でも頑張って2人でこの技法を言葉でどうにか伝えようってすごい頑張った。
高橋さん聞いてください。これが大変。
なんだけど、今回の作品を見た時に正直いい意味でですよ。
どうでもよくなりました。
すごい技法で作ってるからすごい作品とかじゃなくて、
これはどんな技法で作ってたかは一回どうでもよくなるぐらいにとんでもない作品だなっていうのが、
それは最初に岩井さんがおっしゃってた、技法はとりあえず置いといて、
心象ってっていうことをおっしゃってたじゃないですか。
それはもちろんそうだと思うけど、高橋くんのこの作品に関しては、
もはやそれからどうでもよくなるぐらい作品の力があるっていうのはすごく印象的で、
気になる人だけ技法を知ればいいんじゃないのっていうぐらいものが発動的すぎるから、
仏像のすごいのを見た時に、大仏とか見てどう作ってるか最初に出てくると思わないんだみたいなことを、
今回この作品を見た時に改めて思ったかもしれないですね。
そうですね。本当に圧倒的な、存在感とかでもないんですよね。
なんだろうな。
本当にただそこにあるというかいるだけで、こちらは圧倒的に、
この作品が自分の世界を持っていて、神々しいですよね。
3つ目の展示室の一角に設置されているんですけども、
この作品の周りにはもう何もなくて、そこだけがスポットライトが当たっているような感じで、
本当にあっち行っちゃいけないのかと思いました。
もちろん行っていいし、作品はここまで入っちゃダメっていう台はあるけれども、
心象工芸展の重要性
精神的にあの世じゃないけど、あっちの世界のような感じ、異世界のように見えちゃって。
作品そのもののパワーというか、作品が空間に与える力みたいなものが圧倒的でしたよね。
やっぱりそれは僕は高橋さんと本当に2人でお酒飲みに行くぐらいの中だから、
これを僕とした彼が作っているのかと思うとさらに、
これだけ何も知らないみたいなガクトみたいな、
人知を超えた人が作っているそうじゃないですか。
イメージはわかります。
神がかり的な人が作っている。あれをこう、
焼酎を一緒に飲む。
彼が作っているのかと思うと、より神秘的だと思いましたね。
そうなんですよね。
この作品を制作するのに1年かかりきりで作ってくれたみたいなんですけれども、
やっぱり1年かけた甲斐はあったと本人もおっしゃっておられましたし、
これだけのものを作っていくと、技術を置いておいてって言っておきながらなんなんですが、
やっぱり技術が上がるんですって。
それを本人もおっしゃっておられていて、
もう1つ今回、たかしさん作品でお話ししたいのは、
初めて彼が用途のあるものを作りました。
普通は逆ですけどね。用途のあるものを作っていて、
彼は今回初なんですね、キャリアとして。
用途のある何を作ったんですか?
工房を作ってくれたんですけれど、
元々彼は自分が用途のあるものを作る必要性を感じていないというか、
他の根本上手な人がいるからそういう人たちが作ればいいし、
作家である自分にとって今は別に必要じゃないなと思って作ってこなかったそうなんですけど、
今ちょっとお話ししてきて、大型の作品を作ったりして、
技術が上がっていくことによって、もしかしたらいろんなことが自分できるようになったかもというふうに思い立ったようで、
初めて今回工房ですけど、用途のあるものを5つと形の違うバージョンを作ってくれました。
工房ってことは展覧会で展示している時にはその形で展示してますけど、
これは蓋として外れるということですか?
そうです。
5つとも。
はい、もちろんちゃんと外れますし、
これがまたやっぱり細かい仕事が好きな人ですから、
きちんと細部にまでこだわって作ってくれているので、
当然ではあるんですけど、身と蓋のずれとかないし、
バッチリ合わせて作ってこられましたし、
高橋さんからお話し聞いたら、これを作ったことで工芸って五感かなり揺さぶられるなというのを改めて気づいたと。
もちろんこの見た目もありますし、使うものだから触るか食感もそうだし、
これ使うと思ったらおこいれるものですから、嗅覚もだし、
あと蓋物なので開けるときにアルミネスが少しカシャッと音がするんですよね。
それで聴覚を刺激されるので、すごい面白いって言ってました。
じゃあこれからこういうところにもまた新しいものを作っていくかもしれないですね。
さらにいろんなものを。
そうですね。
だからこういう用途のあるもの、蓋物とか今後どうされるんですかってお伺いしたら、
ちょっと続けていきたいと思いますとおっしゃっておられたので、また別の用途のあるものとか作ってくれるかもしれないです。
なんかもう進化が止まらないんですね、彼は本当に。
だから本当楽しみですね、またね。
こういう進化をしているのに本人自体は変わらないですもんね。
いないところで言うのもなんですけど。
中川守さんのデザイン哲学
そうですね。
そこがやっぱり彼のすごいところだなと思う。
もちろん大きさの作品とかいろんな作家さんの作品を見させてもらって、本当にどれも素晴らしかったけど、
本当に高橋くんのこれを見ただけでも金沢家があったなって思ったくらい、ちょっととんでもない作品でしたね。
ありがとうございます。高橋さんもね、喜んでいらっしゃると思いますけど。
死んだんですか?
死んじゃない、死んじゃないですよ。
あの世で喜んでらっしゃるんですか?
違いますよ。
これを意外に。
違いますよ。川口の工房で喜んでるかなと思ってね。
そうです、違いますよ。
そしてこの展の中の鳥を飾る人。
そうですね。大鳥飾っていただきますのが中川守さんです。
金沢在住の超筋の人間国宝の方です。
加賀造冠という伝統的な鹿輪の造冠というぐらいですか、掘って。
金属で掘ったところに別の金属を入れて。
重ね造冠で重ねていくタイプの、まあ難しいんですけど、それをねされている作家さんでいらっしゃいますけれども、
いつも中川さんはお話、講演とかされる時にはデザインのことをとてもおっしゃるんですよ。
皆さん人間国宝だから言っているんですけど、技術のことを聞きたがるんですけど、
中川さんご自身はこうやってこうやってって言って、簡単に説明だけ終わらせちゃうんですよ。
さらっと終わらせちゃって。
作品を作るのにはデザインがどれだけ大事かということをずっとお話をされているんですね。
私はそれがとても印象的でずっと気になっていて、
お話しする中でそのデザインにしている、その元になるところのお話を聞くと、
例えばニューヨークにお仕事で行かれた時にホテルから見えたマンハッタンの風景が、やっぱり金沢から見る風景と夕日は違うとか、
それを単純化した模様にしてデザイン化して作品に落とし込むと。
そういうことをやってらっしゃるというのをお伺いできたので、
それは元々デザイン化する前のそこのお話のところをそれぞれ作品にストーリーがあるんだったら、
それで展示したら面白いじゃないと思って、そういった作品を今回中川さんとお話しして選ばせていただきました。
例えば今おっしゃったマンハッタンの景色のやつは、見てもマンハッタンの景色だなと。
そのまま写実的というよりはデザインに落とし込んでらっしゃるじゃないですか。
これ気になったチェック柄みたいに見える作品もあるじゃないですか。
これもやっぱり何かモチーフがあると。それぞれに今回。
そうですね。これ、模様としては本当にチェックなだけなんですけど、
これ形の方であって、風呂敷包みあるじゃないですか。風呂敷で包んだ。
これが新書というよりは、その風呂敷の形を金属で表現したら、デザイン化したら、形がどうなるのかっていうのをチャレンジしたやつなんです。
象眼で表されたモチーフだけじゃなくて、形そのものが作品のデザインの部分もあるということですね。
あるということですね。これは風呂敷タイプのものですし、
これは形と模様と一緒の方ですけど、
作品名は何ですか?
あらいそ波。
描かれているというか、モチーフは明らかに波だなと思いますけども、形がもうちょっと説明できないぐらい複雑な。
壺型で上に何か板状のものが、ちょっとひねった状態で置かれているみたいな感じですかね。
口は開いている。
これは何の形なんですか?
描かれている模様と合わせてなんですけど、タイトル通り荒れた海の波の様子なんですよね。
やっぱり金沢の方ですから、海って言ったら日本海なので、特に冬なんで荒れまくっている。
その様子を象眼の模様と、形でもこのモヤっていうのとかで表していらっしゃって、これと対の作品として見ていただきたいのは、
これちょっと珍しい作品です。かなり前の92年の作品で、島の島書という作品です。
これ大小の三角がちらちらと並んでますよね。
これは瀬戸内海の海の様子。
瀬戸内芸術祭で行かれる方はよく見る景色ですね。
そうなんです。
先ほどの荒い津波のように、中川さんが普段目にされているのは荒れているんですよ。
瀬戸内海のまあなんて穏やかなことが。
宇宙海の。
そこに島々が台所を並んで穏やかにある様子っていうのが本当に素敵だったんです。
それを三角っていう非常に単純化した形で島をデザイン化したということですよね。
同じ海でもやっぱり違う。日本海と瀬戸内で違うっていうのを、こう作品に落とし込めるっていうのがさすがだなと思いました。
本当に同じような話になっちゃうけど。
そういうことが例えば絵画で画家だったらよくあると言ったら、よくあるって言い方もちょっと変ですけども。
展覧会に島の絵が描いてあって、なんでこの画家の人が描いたのって言ったら、やっぱりそういう話をされて、そうなんだって言ってみんなが納得するのに。
工芸はそんなことしないと勝手に思われてましたもんね。
同じ人間だから何かを見て感動してそれを表したいって。
それがたまたま絵画になるのか、彫刻になるのか、工芸になるのかの違いだけなんだけど、
なんとなく工芸だけは別の、感情がないとまでは言わないけど、
マシンと思ってないんだろうけど、でも何か手で動かして作ってる人って、今まではなんとなくもしかしたら思われてたかもしれないですね。
感情ももちろんあるんだろうけど、感情を捨ててひたすら何か掘り続けてると思ってるかもしれないけど、
同じ芸術家として何か感受性はやっぱり他の芸術家と全然違わないし、表現したいという気持ちも全然変わらなくて、たまたまそれがジャンルが違うだけなんだけど、
そういうふうな話を聞いてみるとまた見え方が、もちろんこの作品見て、工芸デザイン的にすごいなとか、形がすごいなって思ってもいいけど、
そこがわかんないって言って、金属の作り方がわかんない、造画がわかんないじゃなくて、単純に波が荒れてるなとかでいいんですね、楽しみ方としては。
岩井さんの美術への興味
そういうところを見ていただけるといいかなと思います。
中川さんはちょっと変わったご経歴なんですね。
そうですね。金沢美術工芸大学のデザインご出身で、その後、今で言うパナソニック、昔の松下伝子の方にデザイナーとして就職されて、3年くらいデザイン室でデザインされていたんですね。
だから知らず知らず中川さんがデザインした何かを家で使ってるかもしれないんですよね。
当時ドライヤーとかデザインしてたっておっしゃってましたけど。
やっぱりそういうのも生きてきてってことですよね。
これでちょっと6人で全員紹介しきれたと思いますけども。
ありがとうございます。
そして今パナソニックの話が出たんですけども、実は僕は岩井さんとのつながりはパナソニック塩止美術館時代からのつながりで。
そうわかっております。
イベントにも呼んでいただいたりとかしてたんですけども。
こちらこそありがとうございます。
今回ゲスト出演いただいた時にですね、いろんなゲストの方に毎回聞いてるんですけども。
いつから美術に興味を持ってましたか?
これ意外とたまにご飯行ったりとか、それを高橋さん交えてとか、なかなかこんな話聞いたことなくて。
そうですね。
ちょっと今日改めて僕も初めて聞くんですけど。
そっか。
いつから美術に興味を持ってます?
これがですね、トニーさんだから、ちょっと関係もあるからなんですけど。
本当のことをお話ししますと、小学校の高学年とか中学に入ったぐらいだったと思います。
美術館に行ってとかどういうタイミングで?
違いますね。
世代がバレるんですけれど、私が当時大好きだったアイドルがチェッカーズと言いまして、藤文さんが大好きだったんですよ。
思い出しました。
そうですか。
僕も藤文さんのトークショーをやるってなった時に井上芝に連絡が来ましたもんね。
はい。
なんとかならないかみたいな関係者として。
そうですそうです。
それが原因?そこからどう?それが何なのか?
藤文さんがまずお好きで。
藤文さんが当時の明星だったと思うんですけど、アイドル雑誌ですね。
そこで自分は美術というかアートが好きだと。
そこでね、覚えてるんです。シャガールが好きだっておっしゃってたんですよ。
紙面で。
小学校5,6年の私は知らないわけですよ。中学生かなかったけど。
で、シャガール調べるんですよね。
美術への関心の始まり
そしたら、なんだか淡い色合いの絵で人とか牛とかが空飛んでたんですよ。
で、変な絵と思ったんですけど、柔らかいじゃないですか。
で、それがこちらを拒絶してなくて興味深かったんですよね。
で、そこから美術というかいうものに関心を持ち始めた。
で、きっかけは藤文さんのシャガールです。
じゃあ藤文さんが言ってなかった。逆に藤文さんが違うもの、落語が好きって言ったら落語がいなかったかもしれないし。
そうです。
でも待ってください。藤文さんがシャガールが好きだとなったとしたら、
絵を描いてペインターとかそっちの美術の方に行ったら、より文屋さんに会えるかもしれないじゃないですか。
そっち側のやる側にはいかなかったんですか?そっからの道筋として。
それはあれですね。日本の美術教育、義務教育における美術教育においては、私は完全な敗北者だったので。
どういうことですか。
つまり、鑑賞教育はないじゃないですか。小中学校。全部描いたり作ったりでしょ。
あれは、他の成績はそこそこ悪くなかったんですけど、美術の成績だけが低い数字なんですよね。
僕もそのタイプでした。
そうすると、諦めるじゃないですか。そちらは。
確かに。
見てて非常に気持ちいいのに、作って自分が落ち込むんだったら、あえて落ち込まなくてもいいじゃないですか。
見る線でいいかな。
そうですよね。
工芸の道への移行
譜美谷さんが好きだからって言って、自分もチェンカーズになりたいかって言ったら、そうじゃないかもね。
見る側が楽しいようですよね。
見てれば、聞いてればいいですよ。譜美谷さんを。
それで仕上がるかなって、美術館を持って。
そのまま、美術の専門の仕事をやりたいなってなっていったものなんですか?
ならないですよね。
そうなんですか。
他の人たちよりは、美術館に行ったりするのは好きな方だったと思います。高校生とかね。
大学受験の時に、私は2種類。経済学部をまず受けて、
あともう一つは自分の趣味だから、美術師が勉強できるところと思って受けたんです。
経済学部は別に経済が興味あったんじゃなくて、就職に有利と聞いたので。
っていうつもりで受けてたんですけど、経済学部が駄目で、受かったのが美術師の学校だったからっていうので入ったぐらいだったんです。
その時は、今それこそ工芸のスペシャリストとしてお話を伺いましたけど、
その時は工芸じゃない、まだ絵画にしか興味ないというか、そっちですから。
その時にも工芸とか芽生えていたんですか?
ないですよ。シャガールから始まってますから、基本的に西洋近代美術が大好きで。
絵画の方ですね。
彫刻もちょっと入りますけど、基本は絵画ですよね、近代。
だから大学のゼミも一番倍率高いのに、西洋美術のゼミ入りましたし。
卒論もそういう感じのものがあったんですか?
はい。何年か前に久しぶりに解剖で、トビでやってましたけど、エゴンシールだったんですよね。
それもフミヤさんのシール好きな方ですか?
それは違う。その頃には多分、大学に入った時点でフミヤさんよりも美術の知識は抜いてます。
大学の頃は妙上のフミヤさんの発言で決めたわけじゃないんですか?
もうね、妙上もなくなっちゃってました。
そうなんですか、シールで。
大学でも勉強して、もう学芸員になりたいなってなって、最初は絵画とかそっちでやってたんですか?
学芸員になりたいなと思ったことは実はなくて、なれるわけがないと思ってたので選択肢から外していたんです。
ポストがそもそもないので、何かイベント系、メディアの事業部さんとか、編集関係とか、そういうので美術に携われたらいいなと思ってましたけれども、そんなに考えておらず、
大学にもそろそろ出なくちゃいけないってなって、どうしようかなという頃に、たまたま私が一つ目に勤めたところがあるんです。
準備室、これから立ち上げますってところだったんですけど、新卒の子を探してるんだけどどう?って声をかけていただいて、そこに行って学芸員人生が始まった感じですね。
そこは名前出して大丈夫ですか?
大丈夫ですよ。岐阜県にあります、岐阜県現代陶芸美術館という。
そこで自然的に工芸になるんだ。
そうなんです。
でもその時には多少陶芸とかに興味もあったんですか?それともよくわからない状態で入ったんですか?
タジミの美術館にお声掛けいただいたのも、エゴシーレをやっているとウイン工房も絡んでくるんですよね。
ウイン工房はもちろん焼き物とか工芸をやってますから、その美術館、現代陶芸美術館が日本のものだけではなくて海外のものを対象にする。
近代以降という縛りがあるところで、ウイン工房がわかるんだったら、ヨーロッパのモダンデザインの歴史がわかるでしょということだったんです。
そこにもちろん工芸作品、クラフトも入ってきますから、そこ担当ということでお声掛けをいただいて入りました。
工芸の魅力と関係性
そこで学んでいくんですか?結構いろんなことを。
だから日本の工芸といいますか、それに関しても実地でやってた感じですかね。
何年くらいいたんですか?
起伏の美術館は結局10年いましたね。
その後がパナソニックさんで。
パナソニックさんでも基本的には工芸の。
工芸とデザインを担当してやってました。
多分、僕と岩井さんの歴史を語ると絶対触れなきゃいけない事件があるから。
そうですね。大きな私はショックでした。衝撃でした。
自分からお話されますか?
そうですね。
トニーさんも活動を始められていたので、内来会とか多分来ていただいてたので、なんかちらっとご挨拶程度をしてたかと思うんです。
でもそのぐらい、あまりお話深くはしていないぐらいだったんですけれども。
2016年に私が担当というか企画してやった展覧会があるんですが、それについて開幕して少しした頃に、
某有名美術雑誌。
名前出して大丈夫ですね。
大丈夫ですか?
大丈夫ですよ。
芸術新聴さんという雑誌で、アンテナがについて書かれてるよって教えてくれた人がいて、
よかった、広報を取り上げてもらえたのかしらと思って見てみたら、丸々1ページ、悪口が書かれていて、
それを書いた人がトニーって書いてあったんですよね。
あれ?このトニーっていう人、内談会にたまにいらっしゃる方かしら?どうしたのかしら、あの方。
僕、普段イノさんって2人でやってる連載だから、イノさんも書いてるはずなんですけどね。
たぶんこの番組でも何回か登場してるチクチク美術部っていうね、批判的に、批評する、批判したわけではなくて、チクチク本音を言うというやつで、
たぶんその本音を言ったんでしょうね、その連載に対して。
その連載の肝は、構成チェックしてもらわないんですよね。結構ゲリラ的に載せるので、
だからこれ載せますよっていう連絡もいってないから、たぶん風の噂的な感じででしたよって話しちゃったんですよね。
それで見てみたらね。
だからといって、その後にすぐ、何書いてるんだと言われたわけじゃないですもんね。
そこから僕も何も知らないし、だから別にわざわざ編集部に文句言ったことも何もないと思うみたいな。
たぶんそこから2年後ぐらいですね。
マイセン動物園っていう、マイセンの作品の中でも動物をモチーフにしたものの展覧会を岩井さんが担当されて、
それのトークイベントとして呼んでいただいたんですよね。
その時は別に何もなくというか、展覧会を盛り上げるトークをぜひお願いしますみたいな。
僕は友達に鳥博士がいるから、立ったら鳥博士と一緒に、鳥の絵も作品も多いしって言ったら、
それ面白そうですねって言って、すごくわきあいあいと進んでいって、いざ当日を迎えたら岩井さんが、
僕もいろんな美術館に呼んでいただいてトークショーとかやると、
大体学芸員さんが紹介してくれてから、じゃあ始めてくださいなんですけど、
その時に昔の芸術心調をなぜか持っている岩井さんがいて、あれはなんだと思って、
そこから脳みそをフル回転に出したら、もしやみたいな。
今からこの話をするアートペラートークという人間は、過去にこんなことをしでかしたんです。
ケチョンケチョンに言った、極悪人ですみたいな感じの言うだけ言って、さあ後は盛り上げたまえみたいな感じの会場もポカーンとしてるし。
いやーでもとても盛り上がった。いいイベントでした。
面倒見したら面白かったよ。
ありがとうございます。
だから会うたびにこの話になってあるじゃないですか。
だってこれを今言うなよかもしれないけど、
昨日楽しく岩井さんに金沢のお店に連れて行っていただいて、2人で楽しく飲んで、夜遅くまで飲んで、じゃあ明日よろしくお願いしますって言って、
今日朝公立工芸館に来た第一声が、昨日あんなに楽しく飲んだけど、あの後家帰って思い出したけど、そういえば楽しく飲んでる場合じゃなかったみたいな。
ひどいことをしたんですこの人は。しかも職員さん3人ぐらい新しい人捕まえて、呼んできてまでわざわざこの話をしましたからね。
そうなんですよね。あのことがあってから、とにーさんと楽しい思い出でどんどん上書きしていっちゃってたから、すっかり忘れてたんですよ、芸神の件は。
で、昨日もご飯食べ終わって家帰って、楽しかったな、明日もまたとにーさんとおしゃべりしようと思って寝ようかなって。
なんだっけ、なんか引っかかって、ちょっとやだって思い出しちゃった。
消えないんですね、過去って。
たまたまですけど、2日ぐらい前にネットニュースを見せて、真田博之さんが将軍で笑み印象を持ってあげて、あんなに盛り上がってるのに、
はずきレオナの件を出されてて、あんなに医療をやっても結局こんなことを掘り起こされるんだ。かわいそうだな、真田さんって思ったけど。
それに比べたら大したことないけど、やっぱり過去に1回やったことは当時からしたら忘れられないんでしょうね。
本当に忘れてたんですよ、なんか思い出しちゃった。
そんなことがありましたね。
また今後もよろしくお願いします。
それも含めてそこから色々と何度もお話させていただいたりとかして楽しくやってきてますけども、
今も工芸がメインになったり、工芸にシフトして絵画とかに戻りたいなってないんですか?
ないかな。趣味でもちろん見るのは楽しいですし、きれいだなと思うし、いいんですけれど、
仕事としてやるには、まずヨーロッパの美術は多分私はできないなと思う。
キリスト教がわからないので、身についてるわけじゃないからわからないから難しいなっていうのと、
あと消極的な意味だけではなくて、工芸やっぱり面白いなってさすがに思ってますので。
その工芸、いろんなジャンルがある中で、工芸っていうジャンルの魅力というか、ここが楽しくてやってるっていうのは、岩井さんの中でありますか?
お話の最初に申し上げたかな、やっぱり自分たちの身の回りになんだかあるんですよね。
身近であるということ、だから生活に取り入れやすいというか、そういうところと、
あとやっぱり素材がキーポイントにはなってくるんですけど、その素材も多分素材の段階で私たち触ってみたりすると面白かったりするので、
上手にできるかどうかは別にして、制作をして作る喜びっていうのが味わえるものじゃないかなと思ってます。
あと作家さんもちょっと他の、画家とか彫刻家とか、一緒くたりの中で、その中にもいろんな人がいるけど、
工芸の作家さんと会うときに、それこそ岩井さんとの関係性でいうと、岩井さんがパラソニックでやった幕を設下するっていう展覧会の時に、
最初アメトークのようにひな壇に並べて、作家さんトークしたいって言って、結局コロナ禍だったんで、
当日は画期的にオンライントーク、走りでやってました。
ああいう時にも思うんですけど、いろんな仕事柄、いろんなジャンルのアーティストさんと喋るけど、工芸の作家さんが一番トーク上手いというか、
やっぱり作品が、今回の新商工芸の時にはそうじゃない人もいるのかもしれないけど、
工芸の作品制作について
なんか基本的に偶然できちゃったらないじゃないですか。
やっぱりその絵画とかみたいに、ゾーンに入ってなんか気づいたらできてましたみたいな。
作品どうして作ったのか、自分でもわかんないんですけどとか、この辺の色とかどうやって作ったんですかとか言っても、
よくわかんないこともあるじゃないですか。
工芸の作家さんは、たまたまできるってことがほぼないから、作品の紹介を聞いたらちゃんとここがこうで、こうやってこうでっていう理論を立ててというか、
そこは他のジャンルと違うから、喋ってても楽しい。
他のジャンルとしても楽しいけど、工芸の方はなんかちょっと特殊な気がするんですけど、それはあります?作家さんと喋る。
私は反対に、いわゆる現代アートの方とはそんなに付き合いがないので、比較というかそれは難しいんですけれど、
作品として制作されていらっしゃる方ももちろんたくさんいるんだけれど、いわゆる生業として制作している人も工芸の場合もたくさんいるんですよね。
だから、より近所のお兄さんとかお姉さんとか、そういう感覚はあるような感じがします。
町内会の会場が回ってきたとか、そういう話をしているので。
作品自体が生活と密着しているだけじゃなくて、作家さん自体が生活としても周りと密着している可能性もあるんだ。
というのが私はちょっと面白いなと思って話はよくしてますけれど。
でも工芸の学芸員さんって大変だ。他の学芸員さんももちろん大変だと思うんですけど、工芸ってジャンルが広いじゃないですか。
そうなると見ていくものもたくさんあって、絵画専門とか版画専門だったらそこもたくさんあるんだけど、
特に工芸の場合は、いわゆる基本のジャンルがあるじゃないですか。工芸の中でも焼き物専門ですってわけじゃないから。
普段どうやって見て回ったりとか、新しい作家さん発掘とかはどうするんですか。
それは他の美術の方たちとも同じで、ギャラリー回りするとか、大学とか、いわゆる教育機関の卒典とか、
そういうところを見に行くとか、そういうことをとにかく足で稼ぐしかないかなとは思ってます。
そういう時に岩井さんの中で、この人面白いなっていう時の大事にしてる部分ってあったりしますか。
雑に作っていないこと。そこは私が工芸作品を見る時には大事にしていて、細部にまで際回してほしいんですよ。
パッと見がもしかしたら下手に見えたとしても、下手に描くことを目的にしてやってるんだったらそれでよくって、
ただ最後のここの爪のところがちょっと甘くなって、形がちょっといびつになっているとか、
もうちょっとここ削ればよかったのに削れてないとか、そういうのはもうちょっと違うかなって思っちゃうかな。
じゃあ結構やっぱり人間が出ちゃう?
出ると思います。
人間性が見えちゃう部分をダイレクトにわかっちゃう。
わかりますよね。その時にやっぱり最後まで自分の作品として責任を持ってやってないものっていうのは違うかなって。
いくらスタイリッシュに見えてかっこよく見えても、手抜いてるなんてバレちゃう。岩井さん出るまでこれはやってるなみたいな。
そうなると、もうごめんなさいって思うかもしれない。
それはどのジャンルでもなくはないことだけど、絵画とかでも、あんなに昔はいい作品だったのに、中々手抜いてるなってなったりすることあるじゃないですか。
工芸もやっぱりそういう作家、急にあれ、この人変わったなって時もあると思うんですよ。
手を抜くっていう方向の人もいるのかもしれないけど、若手にしては面白いな、勢いがあるな、このまま行ったらバーンとすごいの作りそうだなっていう人が、なぜかこのタイミングで変にスタイリッシュに走り出したりすると、
あなたがそっちに行くのはもうちょっとやってからでしょ。ここで行っちゃうと、どうにもならない、なんとなくおしゃれっぽく見える、でも造形力もない、表現力もない、ただの色味が派手だからインスタ映えはしそうなだけのものだよとか、そういうのはたまに見かけちゃったりするかもしれない。
あれはあとありません。例えば絵画の場合は、絵画だけじゃないかもしれないですけど、卒典、僕も行けたら行くようにするんですけど、まぐれあたりって言い方変かもしれないけど、面白い発想で、これは面白いって目に引くことってあるじゃないですか。
たぶん工芸って、まぐれあたりでできるもんじゃないじゃないですか。技術が止まらないじゃないですか。だから若手でいきなりバンとブレイクってすごく難しいと思うんですよ。他のジャンルに比べたら。だから多分技を磨いてようやく出てくるから、若手が若手じゃないみたいなのは工芸あるあるじゃないですか。
そうなると、卒典で見るときに、僕は工芸の作家さんそんなに見慣れてないからあれですけど、工芸の若手の作家さんというか、卒典ではどういうところを見るんですか。技術がまだそこまで出てない。やりながら多分わかるんだろうけど。そこはどこで見るんですか。
若手作家とトレンド
まずやっぱり丁寧に作っているか。そういう状況でも。それでもまず丁寧に作っているかどうかっていうのと、あとこれはあくまで一つの基準なんですけれど、大きいものもしくはすっごい細かすぎるもののどっちかに取り組んでいる人。どっちも手間なんですよね。時間もかかるし、それにちゃんと果敢に挑戦しようという意思があるものっていうのは気にするようにはします。
やっぱりチャレンジ精神じゃないけど、そういうところは見てます?
見ます。
逆になんかやっぱりいますか?どこのジャニーンもいるけど、これ真似とるなみたいな、あれっぽいなみたいな。
たまにね。
やっぱりありますか。
あります。ありますし、だいたいそういうのってっぽいなって終わって、そこに自分らしさっていうのはあんまり加わってなくて、それ以降別にその人の名前追いかけることはないとか。
でも絵画とかはなんとなくトレンドみたいなものが、実践とか行くと、今これ流行ってるもんなってわかるけど、工芸って今、ちなみにトレンド的なものってあるじゃないですか、全体的に。
若者が真似てるとかじゃなくて、最近こういうのが作家さんがこうなってきたなとか、工芸界トレンドみたいな。
素材で言うと、うるしがちょっと人気が出てきたんじゃないかなと思います。
うるしで作る彫刻ばっかり大きい作品とか、そういう作品を作る人が増えて、それが評価されることも増えてきたので、素材的に言うとそうなんですけれど、
あとは、汚い漢字って言うとちょっと言葉が違うんですけれど、わかりやすいところで言うと、和子絶花でもご指揮いただいた桑田九朗さんっているじゃないですか。
桑田さんのような漢字、あれもパッと見て綺麗に整えられてはいないじゃないですか。
ああいう感じの作品を作る人たちが増えているかなと思います。
ちょっと前は、逆にスタイリッシュに作っていくかみたいな。
すっきりさせたね。
その次の世代は真逆になっている感じですよね。
桑田さんが受け入れられたことで、ああいうの大丈夫なんだって思ったのかわからないですけど、
だから言うと桑田さんに似ているんじゃなくて、ああいう感情をそれほど制御しないような、そぎ落としすぎないような、そういう作品が多いかな。
全体的に後継を目指す作家さんは増えてきているなと思いますか?
前半で盛り上がってきているって話でしたけど。
減ってきていないということと、話を聞くと海外からの留学生が学校が多いんですって。
学びに来ているんですかね。
海外の工芸家に来る人が中国の方とか、韓国の方とか、アジアが多いんですけど、そういうところから留学生が増えてきているということなので、
日本の工芸ができた作品が海外に行ったらすごいねって言っている。
これがある程度浸透してきているんだと思うんです。
それに対して向こうの学生たちが自分たちが向こうで学んで、これが自分のところでできるようにしようとしているんじゃないかな。
あとあれはどうですか。男女比的な。今回の新書工芸というのはちょうど半々ですね。
女性の作家さんももちろん増えてきています。
ただ、例えば手中出品とか何かの賞の受賞ってなった時に、まだまだ男性が多かったり、もしくはそれを選ぶ側、審査員の側が男性がまだ圧倒的に多いんですよね。
これは他の絵画とかのジャンルとかを比べると、ちょっとまだ。
弱いです。弱いので、この間も一つ、審査で呼ばれたときに、
ダンジョンの座っているのが私が一人だけ女性で、あとは男性が6、7人いるんですよ。
へえ。
これじゃダメじゃないですかって言ってみましたけど、届いたかな。
こちらだけで言ったら神の前見込みですよね。
本当にそんな感じなんですよ。
そうなんですよ。だから選ぶ側にも女性を入れなきゃいけないし、もちろん選ばれる側にも女性が入ってきてほしいんだけれど、
作る側はだいぶ女性の方たちが頑張ってきているから、本当に選ばれるようになってくるといいなと思いますけど。
国立工芸館、こっち来てからは女性の職員が増えたんじゃないですか?
職員は増えましたけど、もともと男性少なくて、今も少ないかなと思います。
そうですね。一世代前の工芸館のスタッフは男性多かったですけど。
ですよね、一時。だからちょっとずつ変わってきているのかもしれないですね。
でもそれを変えるのが、いわゆる岩井さんが変えていくんだなって思うと、なおさらチクチク美術部の一件は水に流していただかない。
そうなんです。大丈夫なんですよ。かなり前だから忘れかけているんですよ。
それがふとした時に思い出しちゃうから、自分でもびっくりしちゃうんですよ。
あの罪は色と償っていこうと思いますので、何かあったらいつでも呼んでください。
ありがとうございます。
新商工芸展の紹介
ということで楽しくお話しもらってまいりましたけども、最後改めて、更新の展覧会の告知をよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。現在金沢市にある国立工芸館で開催中の展覧会です。
新商工芸展というタイトルです。出品作家6名おりますが、工芸の展覧会なんですけれども、その技術とかもちろん見ていただいていいんですけど、
そこだけじゃなくて、作家さんがその作品に込めた思いとか思い出とか、そういったものを楽しんでいただける展覧会になっていると思います。
また今回は照明デザイナー、プロの方にも入っていただいて、私がパナソニック時代にお世話になっていた本当のプロなんですけど、
展示室の見え方、作品の色の出方、全く違うと思います。そこもちょっと楽しみにご覧いただけるといいかなと思います。
ここに来ないとってことですね。ブロックとかホームページだけじゃダメですね。
ぜひ見ていただきたいと思います。そしてこの回配信10月19日ですので、10月25日にイベントがありますので、最後もう1回言っておきますか、この告知も。
ありがとうございます。10月25日が国立工芸館の移転開館記念日なんですね。この日に普段は近くに寄ることができない、金子純の作品のそばまで寄って見ることができます。
ガラスの向こうの気になるアレというイベント名なんですが、この気になるアレのそばにご覧いただいて、写真も一緒に撮っていただけたりしますので、この機会にぜひこちらも楽しんでいただければと思います。
10月25日金曜日ですので、ぜひぜひ皆さん来ていただければと思います。
ということで、そろそろ収録終わりますけど、収録いかがだったでしょうか。
ごめんなさいね。トニーさんなので、いつも居酒屋で話してるような感じになっちゃって。ちょっと気をつけて、ちょっとシュッとしたつもりではありますけど、すみません。居酒屋ノリになっちゃってたらごめんなさい。
でも酒ないですもんね、今この場には。シラフでやってるんですよ、今日は。珍しく。2人ともにここに酒がない状態で今日やりましたからね。
はい、頑張りました。
たぶん今後もいろんな手長い仕込みがあると思うので、またその時にはこの番組、よかったら遊びに来ていただきたいと思います。
ありがとうございます。ぜひぜひよろしくお願いいたします。
はい、ということで岩井さんどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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