リハビリの役割と重要論点
さて今回はですね、入院中のリハビリテーションがこれからどう変わっていくのか、その最新の動きを一緒に見ていきたいと思います。
ベースになるのは、国の専門家会議中央社会保険医療協議会の入院外来医療等の調査評価分科会というところが最近まとめた検討案ですね。
はい。
これでですね、入院患者さんの回復をもっと良くしていくために何が必要かが見えてきたんです。
単に体の機能だけじゃなくて、退院した後のリアルな生活、これをしっかり支えるリハビリにシフトしていこうと。
そうですね。
高齢化も進んでますし、皆さんが長く自立した生活を送る上でも、これ結構大事な視点ですよね。
まさにおっしゃる通りです。現場の実際のデータに基づいて大きく分けて5つの重要な論点というのが示されたんですね。
ほう、5つですか。
これを今日は1つずつちょっと掘り下げていって、これがあなたやあなたの周りの方々のリハビリにどう関わってくる可能性があるのか、一緒に考えていければと思います。
はい、お願いします。じゃあ早速、まず1つ目の論点から。これはリハビリを行う専門職、療法士さんの役割についてですね。
今ってどうしてもリハビリ室での訓練が中心になりがちですけど、病棟でのもっと実際の生活場面、例えば食事とか着替えとか、そういうところにもっと関わるべきじゃないかと、そういう声があるんですね。
そうなんです。その背景にはですね、先住要件っていうルールがありまして。
先住要件。
はい、これが療法士さんがリハビリ室以外で、つまり病棟なんかで柔軟に活動するのをちょっと難しくしてるんじゃないかっていう可能性が指摘されてるんですね。
なるほど、ルールが壁になってるかもしれないと。
実際に調査結果でも、リハビリと栄養管理、それから航空ケア、この3つをちゃんと連携させてる病棟の方がですね、療法士さんが食事の解除とか排泄の解除、といったまさに生活行為により積極的に関わってる割合が高いという結果も出てるんです。
へー、連携が鍵なんですね。
そういうことになりますね。
なるほど。ということは、その専門的なリハビリの室はちゃんと保ちつつも、病棟でのいわゆる生活リハビリみたいなものももっとスニューズにできるように、ルールの見直しというか明確化が必要だと、そういうことですね。
ええ、そういう方向性が示されていますね。
うーん、そうなるとなんか病棟全体のチーム医療の在り方にも結構影響が出てきそうですね。
そうですね、役割分担とか連携の仕方が変わってくる可能性はありますね。
で、その生活への復帰を考えると、リハビリをいつ始めるかっていうのも、これは当然重量になってきますよね。
はい。
これが2つ目の論点。早く始めると評価が上がる、加算っていう仕組み自体はあるんですよね。
ええ、あります。
でも実際には、14日以内に始めた人のうち38%は最終の3日間には介入できていないっていうデータが、これちょっと驚きません?
いや、驚きますよね。約4割が最初の完全な時期には入れてないと。
ですよね。
ええ。で、その理由の一つとして挙げられているのが、やっぱり土日とか祝日の実施率の低さなんですね。
ああ、週末問題。
特に金曜日に入院された方なんかは、そこから土日を挟むと、どうしても3日以内の開始率がガクッと下がってしまう傾向があるんです。
なるほど。
そこでですね、今回の議論では、入院したらもう直後から、できればその日のうちから開始するとか、あるいは土日も含めてちゃんと継続して実施することを今の評価しますよっていう加算から一歩進んで、必須の要件としてはどうかっていう、これはかなり踏み込んだ意見を出てきてるんです。
必須要件ですか。それは大きいですね。
大きいですね。
もちろん、これを実念するとなると、今度は人員体制をどう確保するのかっていうのが、これはもう不可欠な課題になってきますけども。
いやあ、そうですよね。ただでさえ両方資産不足って言われる中で、土日も必須となると、現場のスタッフ確保って相当大変そうですけど、そのあたりはどうなんでしょう?
まさにそこが一番大きなハードルだと思います。要件化するなら、それとセットでスタッフ配置に対する何らかの手当て、例えば診療報酬上の評価とか、そういうものも一緒に考えないと、結局絵に描いた餅になってしまうという懸念はありますね。
うーん、実現にはまだ課題が多そうですね。
ええ、慎重な議論が必要だと思います。
そして、より実践的な生活に向けてという点で3つ目ですね。病院の外でのリハビリ、つまり実際の街中とかでのリハビリの必要性です。
はい。退院後の生活を考えると非常に重要ですね。
ただこれ今、施設の外でのリハビリって1日に3単位までっていう上限があるんですよね。
そうなんです。ちなみにこの単位っていうのは、多くの場合20分間のリハビリ時間を指すことが多いですね。
つまり、1時間までということになります。
1時間ですか?
ええ。ところが調査をしてみると、実際に屋外でリハビリを行った患者さんのうち、なんと45%、半分近くの方がこの1日3単位、つまり1時間という上限を超えて実施していたということがわかったんです。
えっと、半分近くがもう足りない、もっとやりたいって感じてるってことですか。それはちょっと無視できない数字ですね。
そうなんですよ。現場の実態として上限がネックになっている可能性があると。
ですから、例えば公共交通機関に乗る練習とか、スーパーで買い物をする練習とか、そういう社会復帰に本当に必要な訓練の機会をもっと確保するために、この3単位っていう上限を見直すべきではないかという意見が出ているわけです。
退院時指導と書類簡素化
なるほど。これもやっぱり生活を見据えた動きってことですね。
まさにその通りです。
それに還元して4つ目です。退院時の指導に関する話。退院時リハビリテーション指導料っていうのがありますよね。
はい。
退院後の生活での注意点なんかを指導した場合に算定できるものですけど、これを算定した人のうち33%、つまり3人に1人が入院中にはリハビリそのものも受けていなかったっていうデータが出たそうですね。
そうなんです。これについては結構意見が分かれているところなんですね。
どういうふうにですか。
一つは、それは本来の趣旨とは違うだろうと。入院中にちゃんとリハビリを受けた人に対して退院後の注意点を指導する、その場合に算定すべきものだという原則論に立ち返るべきだという考え方ですね。
うんうん。
もう一つは、いや待てよと。特に短期の入院だった高齢者の方とかにとっては、入院中にリハビリはできなかったとしても、退院後の生活指導とか、あるいは退院してからリハビリを始めることの重要性を伝える、すごく良い機会じゃないかと。
あーなるほど。
だから一律に算定できませんとするのは、ちょっと慎重に議論すべきじゃないかという意見もあるんです。
制度の立て付けと現場での柔軟な運用の必要性との間で、ちょっと議論があるという状況ですね。
うーん、これは悩ましい問題ですね。どっちの言い分もわかる気がします。
そうですね。落としどころが難しいかもしれません。
そして最後、五つ目の論点。これは多くの現場の方がもしかしたら、うんうんって頷いているかもしれない。書類の煩雑さの問題です。
あー、出ましたね。これはもうずっと言われている課題ですけども。
リハビリに関連する計画層っていうのが複数あってですね、しかもそれぞれ作成するタイミングとか評価する頻度とかがバラバラで、非常に複雑になっていると。
はー。
特に問題視されているのが、目標設定等支援管理料っていう、これは主に患者さんの意向を踏まえてリハビリの目標を設定するのを支えるための書類なんですけど、
これとリハビリテーション総合実施計画書、これはまあより具体的な訓練内容とかを記す計画書ですね。
この二つの書類で記載する内容がかなり重複してるじゃないかという指摘があるんです。
目的が違うはずなのに書くことが同じになっちゃってるのは確かに非効率的ですね。
そうなんです。もともとの成り立ちとか精度ができた背景が違うので、結果的になんか似たようなことを2度書くような形になってしまっている部分があると。
そこでもちろん必要な記載事項っていうのはちゃんと残しつつも、書類の統合なんかも含めて、もっと簡素化していくべきだという方向性が示されました。
それは現場にとっては朗報かもしれないですね。
事務的な負担を減らして、その時間をもっと直接的な患者さんへのケアに充てられるようにすべきだということですね。
ということでここまで入院リハビリに関する5つの重要な論点を見てきました。
療法士さんの役割の拡大、それから早期開始の徹底、屋外リハビリの制限緩和、退院時の指導のあり方、そして最後の書類の簡素化。
どれも患者さんにとってより質の高い回復とスムーズな社会生活への復帰を目指す上で、避けては通れない課題という感じがしますね。
そうですね。これらの議論全体を通してやっぱり強く感じるのは、リハビリテーションの焦点、ゴールがですね、単に病院の中で体の機能をどれだけ回復させるかということだけじゃなくて、
退院した後のその人らしい生活をいかに具体的にサポートしていくかという点によりはっきりと移行しつつあるんだなということでしょうね。
うーん、生活への視点。
これはあの医療費の適正化とか医療の持続可能性っていう観点からも非常に重要な流れだと思います。
なるほど。
さて、今日取り上げてきたこれらの変化の可能性の中でですね、もし仮に一つだけすぐに実現するとしたら、あなたご自身やあるいはあなたの身近な方の療養生活にとって最も大きなインパクト、影響を与える可能性があるのはどれだと感じますか?
うーん、どれだろう。少し立ち止まって考えてみるのも面白いかもしれませんね。
