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2026-01-01 15:15

医療に市場原理が通用しない7つの理由|UCLA津川友介准教授が解説する医療経済学

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日本では社会保障費の増加に伴い、医療制度への批判的な意見が増えています。「医療を規制緩和すれば効率化するのではないか」という主張がその代表例です。しかし、医療経済学の研究成果は、この考えに明確な反論を示しています。

UCLA准教授で医療政策学者の津川友介氏は、noteの記事「なぜ医療に市場原理は通用しないのか?」で、医療に市場原理が通用しない理由を体系的に解説しています。津川氏によれば、医療保険では「モラルハザード」と「逆選択」、医療サービスでは「情報の非対称性」「不完全競争」「緊急性と予測不能性」「医療保険による市場のゆがみ」「外部効果」の計7つの要因が市場原理の機能を阻害します。本稿では、この記事の内容を紹介しながら、医療における市場の失敗について解説します。

先進国はなぜ医療を規制するのか

津川氏は記事の冒頭で、先進国における医療規制の普遍性を指摘しています。規制が最も緩いとされるアメリカでさえ、医療は強い規制のもとで管理されています。医療が規制されていないのは、医療保険も医療機関も整備されていない発展途上国のみであり、先進国はすべて医療に規制を導入してきた歴史があります。

この背景には、医療では市場原理が機能しないという経済学的な事実があります。津川氏は「医療経済学は医療における市場の失敗(Market failure)を学ぶ学問だと言っても過言ではありません」と述べています(津川友介「なぜ医療に市場原理は通用しないのか?」note、2025年12月22日)。医療を規制緩和すると、患者の医療費は高騰し、医療へのアクセスは悪化するというのが経済学の示す結論です。

医療保険に市場原理が通用しない2つの理由

医療保険で市場原理が機能しない理由は、モラルハザードと逆選択の2つです。これらは医療経済学における最重要概念とされています。

モラルハザードとは、医療保険によって患者の自己負担額が本来の価格より低くなるため、需要が経済学的に最適な水準を超えてしまう現象です。津川氏の別記事「モラルハザードとは、コンビニ受診のことである」によれば、これは道徳的な問題ではなく、合理的な人間であれば当然起こる行動パターンの変化です。日本でいう「コンビニ受診」が、経済学でいうモラルハザードに該当します。

逆選択とは、不健康な人ほどカバーの手厚い医療保険を購入し、健康な人ほど安価なプランを選ぶ現象です。津川氏の記事「医療経済学の「逆選択」ってなに?」では、ハーバード大学の医療保険プランで実際に起きた「逆選択の死のスパイラル」の事例が紹介されています。1995年から1998年にかけて、高価で手厚いプランは高リスクの人ばかりになり保険料が高騰、最終的に市場から撤退に追い込まれました。

医療サービスに市場原理が通用しない5つの理由

医療サービスにおいても、市場原理は機能しません。津川氏は5つの理由を挙げています。

第一の理由は、情報の非対称性です。患者は病院に行く前に自分がどのような検査や治療を必要としているか分からず、医療費がいくらかかるかも把握できません。医師からMRIが必要と言われれば、その判断の妥当性を評価することは困難です。テレビを購入する際には価格や機能を比較検討できますが、医療サービスではそれが難しいのです。

第二の理由は、不完全な競争市場です。大都市圏を除けば、同じ機能を持つ病院が地域に1つしかないことは珍しくありません。選択肢が限られた状態では、競争原理は働きません。アメリカでは医療機関の統合が進んだ結果、医療の質は改善せず医療費だけが高騰するという現象が認められています。

第三の理由は、多くの病気の緊急性と予測不能性です。胸痛で病院を受診したところ急性心筋梗塞と診断された場合、その段階で隣町の評判の良い病院に移ることは難しいのが実情です。痛みや呼吸苦などの症状があれば、冷静な判断すら困難になります。このような状況では、病院側が価格を吊り上げても患者は「ノー」と言えません。

第四の理由は、医療保険による市場のゆがみです。自由市場では売り手の価格と買い手の支払意思額が均衡しますが、医療保険があると患者は3割負担で済むため、保険がない場合より多くの医療サービスを希望します。自由市場を導入しても、取引量は経済学的な最適水準を超えてしまいます。

第五の理由は、外部効果です。感染症の治療を例にとると、患者を治療すれば本人だけでなく周囲の人々も病気に感染するリスクが減ります。このような正の外部効果がある場合、自由市場に任せると取引量は社会的に最適な水準を下回ってしまいます。

アメリカのオバマケアに見る「規制された市場」

津川氏は、アメリカのオバマケアを「規制された市場」の例として紹介しています。アメリカでは民間保険会社と民間医療機関が強大な力を持っていたため、日本のような社会保険制度の導入は政治的に不可能でした。そこでオバマケアでは、市場の失敗を最小限にとどめるための規制を整備する方法が採られました。

この事例は、医療には市場原理が通用しないため、何らかの規制が必要であるという経済学の知見を裏付けています。医療は規制がないよりもあった方がうまく機能し、経済学的に最適な状態に近づくと考えられています。

まとめ

医療に市場原理が通用しない理由は、医療保険の2つの要因と医療サービスの5つの要因、計7つに整理できます。モラルハザード、逆選択、情報の非対称性、不完全競争、緊急性と予測不能性、医療保険による市場のゆがみ、外部効果です。これらの要因により、医療を規制緩和しても効率は改善せず、むしろ医療費の高騰とアクセスの悪化を招きます。津川氏の記事は、医療経済学の視点から医療制度を理解するための基礎を提供しています。

参考文献

* 津川友介「なぜ医療に市場原理は通用しないのか?」note、2025年12月22日

* 津川友介「モラルハザードとは、コンビニ受診のことである」note、2024年10月16日

* 津川友介「医療経済学の「逆選択」ってなに?」note、2024年11月12日



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サマリー

今回のエピソードでは、UCLAの塚場智淳教授の視点から、医療に市場原理が通用しない7つの理由を探ります。主な理由としてモラルハザードや逆選択、情報の非対称性が挙げられ、医療費の高騰や格差の拡大につながるメカニズムが明らかにされます。市場原理が通用しない理由には、外部効果やモラルハザード、逆選択などの7つの要因があります。これらの要因を踏まえると、医療は単なる商品ではなく、生存に不可欠なものであり、適切な規制が経済的に効率的な結果をもたらすことが重要だと考えられます。

医療経済学の原則
こんにちは。ザ・ディープダイブへようこそ。 さて、増え続ける医療費のニュース、よく聞きますよね。
そういう時、もっと市場原理を導入して非効率な部分をなくすべきだっていう意見、 あなたも耳にしたことがありませんか?
ええ、ありますね。 一見すると、すごく説得力があるように聞こえるんですよね。
競争が生まれれば、サービスは良くなって、価格は下がる。 まあ、それが市場の原則ですから。
でも、もし医療が、私たちが普段買い物をするテレビとか自動車とは根本的に違うものだとしたら、
今回はですね、UCLAの塚場智之淳教授の分析をもとに、なぜ医療に市場原理は通用しないのか、というこの問いを皆さんと一緒に深く、そして具体的に掘り下げていきたいと思います。
今回の目的は、なぜ先進国が例外なく医療に何らかの規制を設けているのか、その経済学的な根拠を7つの理由として解き明かすことです。
このテーマは、現代社会を考える上では避けては通れない非常に重要な論点だと思います。
というのも、これってイデオロギーとか個人の心情の話では全くなくてですね、医療経済学という学問が、もう長年の研究の末にたどり着いた結論だからなんです。
なるほど、学問的な結論なんですね。
塚場智淳教授も指摘している通り、医療経済学は医療における市場の失敗を学ぶ学問だと言ってもいいくらいで。
市場の失敗ですか。
はい。つまり、なぜ市場がうまく機能しないのか、折り替えすることがこの分野の出発点なんですね。
これから、安易な規制緩和がなぜ期待通りの効率化につながらないのか、むしろ医療費の高騰とか格差の拡大を招いてしまうのか、そのメカニズムを一つ一つ見ていきましょう。
モラルハザードと逆選択
では、この問題をじっくりひもたえていきましょうか。
まずは、医療制度全体の土台になっている医療保険からですね。
民間の保険会社が自由に競争すれば、良い保険が安く手に入りそうなものですが、そう単純ではないと。最初のキーワードはモラルハザード。
モラルハザードっていうのは、保険があることで自己負担が軽くなりますよね。
はい、なりますね。
そのために人々が必要以上の医療サービスを受けてしまう現象のことなんです。
ここで大事なのは、これ言葉が示すような道徳の欠如みたいな話じゃないっていう点なんです。
倫理的な問題ではない。
そうなんです。これは経済合理的な行動の結果なんですね。
例えば、塚橋の記事にもある日本のコンビニ受診。
コンビニ受診。
もし風邪をひいて診察代が全額自己負担で1万円かかるとしたらどうでしょう。
いやー、家で寝ますね、たぶん。
ですよね。でも自己負担が3割の3000円だったら、万が一肺炎だったら怖いし、念のため見てもらおうかなって考える。
あー考えます。それは合理的ですね、個人としては。
ええ。でも社会全開で見ると、これが医療資源の無駄遣いにつながっちゃうわけです。
なるほど。でもそれって本当に問題と一括にしてしまっていいんでしょうか。
と言いますと?
軽い症状でも病院に行くことで、重大な病気の早期発見につながるケースだってあるかもしれない。
結果的にそれが社会全体の医療費を抑えるなんていう考え方もできませんかね。
あー非常に良いご指摘ですね。確かに個々のケースでは早期発見のメリットは間違いなく存在します。
ただ経済学が問題にするのはシステム全体のコストと便益のバランスなんです。
バランスですか?
はい。無数の念のための受診が積み重なって、本当に重症な患者さんを見るべきお医者さんや看護師さんの時間が奪われたり、
医療費全体が膨れ上がったりする。そのコストが早期発見のメリットを上回ってしまう可能性があるわけです。
うーん、なるほど。
だからこそ、多くの国の医療制度では自己負担額をゼロにはしないで、ある程度の負担を求めることで、このモラルハザードを抑制しようとしてるんですね。
よくわかりました。個人の合理的な行動が社会全体では非効率を生むと。
そうです。
そして、保険におけるもう一つの大きな問題が逆選択。
ええ。
すみません、ちょっと混乱するんですけど、保険会社は営利企業なんですから、リスクの高い人を見抜いて保険料を調整するのが仕事じゃないんですか?
なぜそれが死のスパイラルとまで言われるような事態に。
そこがまさにこの問題の核心なんです。
逆選択が起きる根本的な原因は、保険会社よりも加入者本人の方が自分の健康状態をよく知っている、という情報の非対称性にあります。
ああ、情報の非対称性。
将来、病気になるリスクが高いと自分でわかっている人ほど、手厚い保証の高価な保険に入りたがりますよね。
そりゃそうですね。
逆に、健康に自信がある人は、どうせ病院に行かないし、って最低限の安い保険で済ませようとする。
その結果、何が起きるか。手厚いプランには、保険金を請求する可能性の高い人ばっかり集まっちゃうんです。
偏るわけですね。
そうです。すると、その保険プランの収支は悪化して、保険会社は翌年の保険料を値上げせざるを得ません。
ああ、なるほど。値上げされると…。
そうなんです。値上げされた保険料を見て、そのプランに残っていた比較的健康な人たちが高すぎる、って言って脱退しちゃうんです。
で、さらに安いプランに移ってしまう。
うわあ。
結果、その手厚いプランには、さらにリスクの高い人だけが残ることになって、収支はもっと悪化する。
この悪循環こそが、逆選択の死のスパイラルです。
医療サービスの非効率
死のスパイラル。
ええ。津川氏が紹介しているハーバード大学の事例は象徴的でしたね。1995年、大学が教職員に複数の保険プランを提示したんですが、最も手厚いプランに高リスクの人が集中して、保険料が高騰してしまった。
はい。
毎年、比較的健康な人がどんどん脱退していった結果、わずか3年でその保険プラン自体が市場から撤退せざるを得なくなったんです。
選択の自由が結果的に最も良い選択肢を破壊してしまったと。
まさにそういうわけです。何とも皮肉な話ですよね。
いや、本当に。保険の仕組みだけでもこれほど根深い問題があるとは。
では次に、私たちが実際に病院で受ける医療サービスそのものに目を向けてみましょう。こちらも通常の市場とは大きく異なる点が5つあるそうですね。
ええ。まず最も根本的なのが、さっきも少し触れましたけど、情報の非対称性です。
サービスの売り手であるお医者さんと買い手である患者さんの間にある知識の差が他の市場とはもう比較にならないほど大きいんです。
確かに。
例えば、あなたが最新のテレビを買うなら、ネットで性能とか価格を徹底的に比較できますよね。
ええ、できますね。
でも、腹痛で病院に行って、お医者さんから精密検査のためにMRIが必要ですって言われたとき、その判断が本当に妥当なのか、もっと安い別の検査はないのか、患者が自力で判断するなんてことはまず不可能です。
まさにそうですね。お医者さんは診断を下す専門家であると同時に、医療サービスっていう商品を進める営業担当でもあるみたいな、ちょっと歪んだ構造になってますよね。
おっしゃる通りです。患者側にはそれを断るだけの情報も力もない。
そして、たとえ患者が専門知識を持っていたとしても、次の問題が立ちはだかるんです。それが不完全な競争市場です。
と言いなすと、知識があっても、そもそも選べる病院が近くになければ競争は生まれないということですか。
ご冥策です。特に地方都市とか過疎地を想像してみてください。その地域である特定の高度な手術ができる病院が一つしかなかったら。
もうそこに行くしかないですね。
ですよね。そこは事実上の独占状態です。患者に選択肢はなくて、病院側は価格やサービス内容で競争する必要が全くない。
これはアメリカで顕著な問題になっていて、近年病院グループの巨大化とか統合が進んだ結果、市場が過線化して、医療の質は上がらないまま医療費だけが高騰した、なんていう研究結果がいくつも報告されています。
市場原理を働かせようとした結果、逆に競争が失われる。これもまた皮肉な状況ですね。
ええ。
なるほど。情報がなく選択肢もない。これだけでも厳しい状況ですけど、さらに事態を悪化させる要因がありますね。緊急性と予測不能性。
いや、本当にそうですね。今自分が深夜に救急車で運ばれる姿を想像しちゃいましたけど、激しい胸の痛みで意識が朦朧とする中で、
お医者さんから、急性心筋梗塞です。一刻を争いますって告げられる。その時、治療費の値段なんてもう一瞬たりとも頭に浮かばないですよね。
ちょっと待ってください。他の病院の見積もりを取ってからなんて言えるはずがない。
絶対に言えないですね。
人の弱みにつけ込むって言うと言葉は悪いですけど、構造的にそうなってしまうんです。
ええ、本当に。それはもう市場での取引というよりは、命を助けてもらうための懇願に近いですよね。価格交渉力はゼロどころかマイナスです。
まさに。
そしてこうした一連のやり取りの背景には、常に医療保険の存在があると。これが4つ目の市場の歪みにつながるわけですね。
その通りです。自由な市場では、価格が需要と供給を調整する見えざる手として機能しますよね。
はい。しかし医療では、例えば自己負担が3割だとすると、患者は1万円の医療サービスの価値を自分にとっては3000円のものとして感じてしまう。
ああ、なるほど。
なので、保険がなければ受けなかったであろう高価な治療とか検査も比較的安易に受け入れてしまう。
ふむ。
なので、医療サービス市場に無理やり競争原理を導入したとしても、この保険制度が存在する限り、取引されるサービスの量は経済学的に最も効率的な水準を常に超えてしまうという構造的な歪みからは逃れられないんです。
保険というセーフティーネットの存在自体が純粋な市場メカニズムを成立させなくなっていると。
はい。
そして、最後の5つ目の理由が外部効果。これは取引をしている当事者以外にも影響が及ぶということですよね。
医療における市場原理の限界
ええ。特に医療においては性の外部効果が非常に重要なんです。
性の外部効果。
最も分かりやすい例は、感染症の治療とか予防接種ですね。
ああ、なるほど。
あなたがインフルエンザの予防接種を受けるとしましょう。その費用を払うのはあなた自身で。利益、つまりインフルエンザにかかりにくくなるっていうのも主にあなた自身が受けます。
ええ。
でもそれだけじゃないんですよね。あなたが接種することで、あなたの家族とか同僚、社会全体が感染症にかかるリスクも下がる。社会全体が利益を得るわけです。
そうなると、1つ重要な問いが浮かび上がってきますね。もし、これを完全に個人の判断、つまり市場に任せたらどうなるんでしょう?
いい問いですね。個人は自分が支払う費用と、自分が直接得る利益を天秤にかけて接種を受けるかどうかを決めます。
はい。
でもその意思決定には、社会全体の利益っていうのは考慮されませんよね。
確かに。
結果として、社会全体にとって最適な数よりも予防接種を受ける人が少なくなってしまうんです。
ああ、そうか。
だからこそ、多くの国では予防接種に補助金を出すとか、そういう公的な介入をすることで、この外部効果の問題を解決しようとしているわけです。
これは、個人の自由な選択に任せると、社会全体が損をする典型的な例ですね。
なるほど。モラルハザード、逆選択、情報の非対称性、不完全競争、緊急性、保険による歪み、そして外部効果。
規制と医療制度の成功指標
ここまで7つの理由を見てきて、医療という分野がいかに特殊で、単純な市場原理が通用しないかが本当によくわかりました。
ええ。
では、こうした数々の市場の失敗に対して、現実の世界ではどう対応しているんでしょうか。
使わしのソースでは、アメリカのオバマケアが挙げられていましたね。
はい。アメリカは先進国の中でも特に市場原理を重視する国ですけど、そのアメリカでさえ、医療を完全な自由市場には委ねていないんです。
オバマケア、アフォーダブルケア・アクトは、まさにこれらの市場の失敗を規制によって生成しようとする試みだったんですね。
はい。
アメリカでは、歴史的に民間保険会社の力が強くて、日本のような公的なミナ保険制度の導入は政治的に困難だったという背景があります。
そこでオバマケアが取ったのは、民間保険市場は維持しつつも、例えば、起用歴を理由に保険加入を拒否しちゃいけないというルールを設けたり、国民に保険加入を義務付けたりして、逆選択の問題に対処しようとしたわけです。
つまり、これまで見てきた市場の失敗という病気に対して、規制という処方箋を出したと?
まさにその通りです。この事例が示しているのは、医療には規制が全くない純粋な市場よりも、適切に設計された規制があった方が、むしろ経済学的に見て効率的でより良い結果を生む、という医療経済学の重要な知見なんです。
はあ、なるほど。
これら7つの理由をすべてつなぎ合わせてみると、1つの大きな結論が見れてきます。
それは、医療とは、私たちが買い物をするような商品ではなくて、生存に不可欠な必要とするものである、ということです。
この、消費者が持つ知識、選択の自由、交渉力の根本的な欠力こそが、医療を他の市場と全く異なるものにしている、その確信部分なんですね。
市場に任せれば暗示解決という考え方が、医療という分野の本質を捉え損ねていることが、経済学の視点から非常によく分かりました。
単なる政策論争ではなく、学問的な根拠に基づいた議論だったんですね。
ええ。そして、今回の分析を踏まえて、最後に1つ、あなたに考えていただきたい問いがあります。
はい。
今回、医療においては、経済的な効率性だけを追求することが、社会にとって最適な答えではない、ということが見えてきましたよね。
ええ、見えてきました。
では、もし効率性という物差しが絶対ではないとしたら、私たちは、医療制度の成功を図るために、一体何を最も重要な指標とすべきなんでしょうか?
病気にならずに健康でいられる期間、つまり健康寿命の長さでしょうか?
それとも、所得とか地域にかかわらず、誰もが必要な時に安心して医療を受けられるアクセスの公平性でしょうか?
あれは、世界最先端の医療技術が開発されて使えることでしょうか?
これらの目標は時として互いに対立します。
私たちの社会は、どの物差しを最も大切にすべきなのか、ぜひあなた自身の考えをめぐらせてみてください。
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