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2026-01-05 05:53

令和8年度費用対効果評価制度改革の骨子案を解説|3つの改革ポイントと今後の展望

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第639回、令和7年12月26日開催)において、「令和8年度費用対効果評価制度改革の骨子(案)」が議論されました。2019年の制度導入から6年が経過し、72品目が評価対象となり53品目が評価を終了した実績を踏まえ、制度の透明性・公平性の向上と更なる活用に向けた見直しが示されています。

今回の改革は、制度検証の結果、分析方法の見直し、分析体制の充実の3つを柱としています。特に注目すべきは、追加的有用性が示されない品目に対する価格調整範囲の拡大です。本稿では、骨子案の内容を解説し、医療機関や製薬企業への影響を考察します。

費用対効果評価制度の検証結果

費用対効果評価専門部会において、これまでの運用状況が客観的に検証されました。

制度導入後の新規収載数は、医薬品が年間50品目前後、医療機器が25品目前後で推移しています。2025年9月1日までに費用対効果評価に指定された67品目の予測市場規模(ピーク時)は、中央値156億円/年でした。この数値は、25パーセンタイル117億円/年、75パーセンタイル249億円/年と分布しており、市場規模の大きい品目が対象となっていることがわかります。

評価終了した49品目のうち、実際に分析が実施されたのは39品目でした。このうち公的分析が実施されず企業分析が受け入れられたものが2品目あり、費用対効果評価専門組織の決定に対して製造販売業者から不服申立てがあったものは20品目に上りました。価格調整が行われた38品目では、価格全体に対する調整額の割合が中央値-4.29%となっています。

今後は令和8年9月に中医協での検証報告の議論を行い、関係業界からの意見も踏まえた技術的な議論を継続します。

分析方法に関する見直し

分析プロセスと価格調整方法について、複数の重要な見直しが示されました。

品目指定手続きの簡素化として、費用対効果評価終了後に新たな知見が得られた品目の再指定について、薬価算定組織等での手続きを不要とします。費用対効果評価専門組織からの提案を中医協総会で直接承認する方式に変更されます。

比較対照技術の設定方法も明確化されました。臨床的に幅広く用いられているもののうち治療効果がより高いものを1つ選定することが原則となります。一意的に決められない場合は、費用対効果の観点から相対的に安価なものを選択することもあり得ますが、他の考慮要素を踏まえて決定します。

用語の明確化として、「追加的有用性」を「比較技術に対する健康アウトカム指標での改善」と表現することになりました。これは薬価算定における「有用性」との混同を防ぐための措置です。

介護費用の取扱いについては、レケンビの事例で指摘された技術的・学術的な課題を踏まえ、諸外国の状況も参考にしながら引き続き研究を進めます。

価格調整の対象範囲の見直し

価格調整方法について、制度の更なる活用に向けた重要な変更が示されました。

価格引き上げの条件が変更されます。従来の「薬理作用等が比較対照技術と著しく異なること」という要件は、「比較対照技術と異なり、臨床上有用な新規の作用機序を有すること」に改められます。医療機器についても同様に、「基本構造や作用原理が著しく異なる」から「臨床上有用な新規の機序を有する」に変更されます。

追加的有用性が示されずICERの区分が「費用増加」となった品目の価格調整方法も見直されます。現行の有用性系加算部分に価格調整係数を乗じる方法ではなく、例えば比較対照技術の1日薬価を評価対象技術の1日薬価で除した比を価格に乗じる方法を含め、政策決定の透明性や説明責任を高める方向で見直しが図られます。価格調整後の下限は、価格全体の85%(調整額15%)を基本に引き続き議論されます。

なお、令和8年4月以降に評価結果が中医協に報告された品目については、令和8年9月の検証報告の議論終了後に具体的な方法を定めた上で価格調整を実施します。

分析体制の充実

公的分析を担う体制の強化が課題として挙げられました。

現在は立命館大学と慶應義塾大学の2大学が公的分析班として分析を担当しています。対象品目の増加が予想される中、体制の充実が必要です。

公的分析結果の学術的な取扱いとして、国立保健医療科学院がホームページで公開している分析結果を論文形式で公的刊行物に掲載する取組を継続します。厚生労働省は関係学会等への制度周知、人材育成、分析体制への支援を通じて、公的分析班の人材確保と組織充実を図ります。

国際的な知見の取り入れも推進されます。海外の評価実施機関における実務経験や研究機会を通じて、国際標準となっている知見をより早期に導入するための支援が検討されます。

評価結果の活用促進

費用対効果評価の結果を医療現場で活用するための取組も進められます。

厚生労働省と国立保健医療科学院は、関係学会や関係機関に対して必要な情報提供を行います。各学会における診療ガイドラインへの経済性評価の反映を促進し、診療現場での普及を目指します。

まとめ

令和8年度費用対効果評価制度改革の骨子案は、6年間の運用実績に基づく制度の最適化を目指しています。72品目の評価対象指定と53品目の評価終了という実績を踏まえ、制度の透明性・公平性の向上、分析プロセスの効率化、分析体制の充実が図られます。特に追加的有用性のない品目への価格調整範囲拡大は、費用対効果評価制度の更なる活用に向けた重要な一歩となります。令和8年9月の検証報告を経て、具体的な運用方法が確定する予定です。



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サマリー

令和8年度の費用対効果評価制度改革が進行中で、薬価の設定方法が見直されています。新たなルールにより、効果的で新規な治療の証明が求められ、評価基準や分析体制の透明性が強化される見込みです。

費用対効果評価制度の改革
新しい高価な薬の値段が日本ではどう決まるか考えたことはありますか? 実はですね、その価値を費用対効果で評価する仕組みがあって、今それが大きく変わろうとしてるんです。
今回専門家の解説記事をお預かりしましたが、テーマはこの費用対効果評価制度の改革案ですね。
2026年度の導入に向けて、一体何がどう変わるのか、私たちの医療にどう関わってくるのか、深く掘り下げていきましょう。
はい、まずあの簡単な背景からお話しますと、この制度自体は2019年に始めています。
これまで6年間で72品目が対象になりました。 対象になるのはピーク時の市場規模予測が、中央値で年間156億円にもなるような影響の大きな薬や医療機器なんですね。
かなり大きなものに絞られるわけですね。 この6年間の実績を踏まえて、制度の透明性とか公平性を高めるための見直しが、今まさに進められているという状況です。
なるほど。資料を読んでいて一番気になったのが、価格の調整ルールなんです。 価格が上がる場合と下がる場合、両方ともルールが厳しくなると。これは具体的にどういうことなんでしょうか。
そこが今回の改革の確信の一つですね。 まず価格が上がる条件。これまでは薬理作用が著しく異なるというだけで良かったのが、
今後は臨床上有用な新規の作用機材を有することが求められるようになります。 つまり単に仕組みがちょっと違うというだけでは不十分で、治療として明確に新しいと言えないと、高い価格は認められにくくなるというわけです。
なるほど。ハードルが上がるんですね。では、より重要だと書かれていた価格の引き下げの方はどうですか。
こちらはさらに一歩踏み込んでいます。 既存の薬より優れていると証明できないのに高価な薬。
専門的には追加的な有用性が示されない薬ということになりますが、こうした薬に対して価格を最大で15%引き下げるという案が議論されています。
15%は大きいですね。メッセージなんです。 あーなるほど。
研究開発の方向性を本当に画期的な薬へとシフトさせたい。そういう狙いがあるんですね。
価格のルールが厳しくなるのはわかりました。でも、その価格を決めるための評価そのものが公平でなければ意味がないですよね。
評価方法と分析体制の強化
その評価のプロセス自体にも何か変更があるんでしょうか。
ええ、良い点に気づかれましたね。それが第2の柱、分析方法の明確化。
分析方法。
はい。例えば、比較対象となる薬の選び方が曖昧だという批判が以前からありましたが、
今後は原則として臨床で広く使われているより効果の高い技術を一つ選ぶと明確化されました。
まずは評価の土台をしっかり固めるということですね。
用語の整理もされるんですよね。追加的有用性という言葉、正直ちょっとわかりにくいなと思っていたんですが。
そうですよね。ええ、これは健康アウトカム指標での改善。
健康アウトカム指標。
はい。つまり、なんとなく効きそうだという曖昧な評価ではなくて、この薬を使ったことで患者さんが自力で歩ける日数が平均30日増えましたといった生活の質、QOLの具体的な改善を数字で示してくださいということなんです。
記事の中にアルツハイマー病の新薬レケンビの名前が出てきましたが、これはどういう文脈だったんですか?
レケンビの事例ですね。あれは評価の際に、介護する家族の負担が減るという価値をどう金額に換算するかが非常に大きな課題となりました。
なるほど。介護費用ですか。
ええ。今回の改革でも、そうした複雑な要素をどう評価に組み込むかについては、引き続き研究を進めることになっています。
データで測れるものと、測りにくい価値のバランス、これは本当に難しい問題です。
評価方法がそれだけ科学的で厳密になるということは、批評化する側の体制も相当しっかりしていないと対応できないですよね。
まさにおっしゃる通りです。それが第3の柱、分析体制の強化につながります。
体制の強化。
はい。現在、公的な分析を担っているのは、実は2つの大学だけなんです。
でも対象品目は今後も増えていきますから、分析チームの充実は急務なんですね。
そしてもう一つ重要なのが、評価して終わりではないということです。
と言いますと?
その評価結果を、学会などを通じて、実際の診療ガイドラインに反映させていくことを目指しているんです。
ああ、現場につなげるんですね。
ええ。費用対効果のデータが、医師がどの治療法を選ぶかという判断材料の一つになる、そんな未来像が描かれているんですよ。
なるほど。全体像が見えてきました。これは単なる薬の値段のルール変更という、そういう話ではないんですね。
そうなんです。
革新的な新薬の開発を後押ししつつ、私たちの国民みなこ県制度という社会インフラを持続可能なものにする。
この2つの非常に大きな目標のバランスを取るための壮大な試みだと、そういうことなんですね。
まさにその通りです。最後に、あなたにもぜひ考えていただきたい問いがあります。
はい。
この制度改革は、データに基づいて医療の価値を定義しようとする試みです。
では、もし非常に高価だけれども、既存薬に対する改善効果はほんのわずかという新薬が登場したとき、社会としてその費用を価値あるものと判断すべきでしょうか。
今回の改革は、その答えの出ない問いに対して一つの方向性を示そうとしているのかもしれません。
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