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後発医薬品使用体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の要点
2026-09-02 06:12

後発医薬品使用体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の要点

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後発医薬品の使用は、医療現場に定着しつつあります。一方で、主に後発医薬品において不安定な供給が発生し、医療機関と薬局には在庫の確保や処方の変更といった追加的な業務が生じています。本稿では、この状況を受けて令和8年度診療報酬改定で新設される「地域支援・医薬品供給対応体制加算」と「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」の内容を、届出の準備に使える形で整理します。

今回の新設は、加算の目的を「後発医薬品の使用促進」から「医薬品の安定供給」へ広げる見直しです。第一に、従来の後発医薬品使用体制加算と外来後発医薬品使用体制加算は廃止されます。第二に、新設される2つの加算は、点数と後発医薬品の数量シェア基準を廃止される加算からそのまま引き継ぎます。第三に、新設される2つの加算の施設基準には、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(以下「流通改善ガイドライン」)を踏まえた取引・配送・返品の要件が加わります。

1.新設の背景:使用促進から安定供給へ

新設の背景には、後発医薬品をめぐる評価の役割が変わったという事情があります。使用促進のインセンティブとしての役割が薄れる一方、供給不安に対応する体制を支える役割が重くなりました。

後発医薬品の使用は、着実に広がっています。薬局における後発医薬品の使用割合は9割を超えました。医療機関でも、後発医薬品使用体制加算の届出病院数は令和4年から令和6年にかけて合計で増加しています。ただし、中央社会保険医療協議会では、院内処方における後発医薬品への置換えが60%台にとどまり、薬局と比べて低いとの指摘も出ています。

一方、後発医薬品の供給状況は悪化しています。令和6年度改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度・病院調査、回答221件)では、1年前と比較した供給体制の変化について「悪化した」と答えた病院が54.8%にのぼりました。同じ調査で、後発医薬品に係る対応の業務量が「増えた」と答えた病院も57.5%を占めています。

この業務量の増加は、医療機関に具体的な負担をもたらしています。供給不安で後発医薬品の在庫がなくなると、医療機関は複数の医薬品卸に問い合わせたり、治療計画を見直したりする作業を追加で行います。先発医薬品と後発医薬品の双方を在庫として抱えるコストも、この負担に加わります。

こうした負担を支えるため、中央社会保険医療協議会は流通改善ガイドラインを踏まえた評価を検討しました。流通改善ガイドラインは、適正な在庫確保、配送、返品について流通関係者が取り組むべき事項を定めています。ただし、その認知度は低いと指摘されていました。今回の新設は、この指摘に応え、ガイドラインに沿った取組を施設基準に組み込む形で実現しました。

2.改定の全体像:2つの加算を廃止し、2つの加算を新設する

改定の全体像は、廃止と新設の対応関係で理解できます。入院と外来のそれぞれで、従来の加算が廃止され、名称を改めた新加算が設けられます。

入院では、後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・医薬品供給対応体制加算が新設されます。外来では、外来後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算が新設されます。

新旧の対応関係は、次のとおりです。

【入院】後発医薬品使用体制加算 → 地域支援・医薬品供給対応体制加算

* 加算1:87点(数量シェア90%以上)

* 加算2:82点(数量シェア85%以上90%未満)

* 加算3:77点(数量シェア75%以上85%未満)

【外来】外来後発医薬品使用体制加算 → 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算

* 加算1:8点(数量シェア90%以上)

* 加算2:7点(数量シェア85%以上90%未満)

* 加算3:5点(数量シェア75%以上85%未満)

この対応関係が示すとおり、点数は従来の加算から据え置かれます。区分ごとの後発医薬品の数量シェア基準も、従来の設定を維持します。つまり、今回の見直しの実質は、点数の増減ではなく施設基準の追加にあります。

なお、保険薬局についても、別の改定項目として後発医薬品調剤体制加算の廃止と新たな評価の新設が示されています。本稿が扱うのは、保険医療機関を対象とする加算です。

3.入院の加算:地域支援・医薬品供給対応体制加算

入院の加算は、入院初日に限り算定します。届出を行った保険医療機関に入院している患者のうち、入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち当該加算を算定できるものを現に算定している患者が対象です。区分に応じて、87点、82点、77点を所定点数に加算します。

施設基準の第一は、後発医薬品の採用を組織的に決定する体制です。病院では、薬剤部門が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて薬事委員会等が採用を決定します。有床診療所では、薬剤部門または薬剤師が同じ情報を収集・評価し、その結果を踏まえて採用を決定します。

施設基準の第二は、後発医薬品の数量シェアです。後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合算した規格単位数量に占める、後発医薬品の規格単位数量の割合で判定します。加算1は90%以上、加算2は85%以上90%未満、加算3は75%以上85%未満が基準です。なお、告示には下限のみが「九割以上」「八割五分以上」「七割五分以上」と示されており、上限を含む区分は通知で示されます。

施設基準の第三は、供給不足時に対応する体制です。医薬品の供給が不足した場合に、治療計画等の見直しを行うなど、処方等の変更に適切に対応できる体制を整備します。

施設基準の第四は、患者への掲示です。後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を、入院受付、外来受付、支払窓口の見やすい場所に掲示します。あわせて、供給不足時の対応体制、供給状況により投与する薬剤が変更となる可能性、変更する場合には患者に十分説明することも掲示します。これらの掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載します。自ら管理するホームページ等を有しない場合は、掲載を要しません。

施設基準の第五は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制です。この体制の具体的な内容は、流通改善ガイドラインを踏まえた4項目として通知に示されます。詳細は第5章で説明します。

4.外来の加算:地域支援・外来医薬品供給対応体制加算

外来の加算は、1処方につき算定します。届出を行った保険医療機関において投薬を行った場合に、区分に応じて8点、7点、5点を所定点数に加算します。施設基準では「診療所であること」と「当該保険医療機関において調剤した」後発医薬品の割合が定められており、対象は診療所の院内処方に限られます。

施設基準の第一は、後発医薬品の採用を決定する体制です。診療所において、薬剤部門または薬剤師が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて採用を決定します。

施設基準の第二は、後発医薬品の数量シェアです。判定の方法は入院の加算と同じです。加算1は90%以上、加算2は85%以上90%未満、加算3は75%以上85%未満が基準です。

施設基準の第三は、供給不足時に対応する体制です。医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して適切に対応できる体制を整備します。

施設基準の第四は、患者への掲示です。後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を、受付と支払窓口の見やすい場所に掲示します。あわせて、供給不足時の対応体制、投与薬剤が変更となる可能性、変更時の説明についても掲示します。これらの掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載します。

施設基準の第五は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制です。この要件の内容は、入院の加算と共通します。

5.新たに加わる要件:流通改善ガイドラインを踏まえた4項目

流通改善ガイドラインを踏まえた要件は、今回の新設にあたって施設基準(通知)に位置付けられました。入院と外来のいずれの加算でも、内容は共通します。医療機関が医薬品卸売販売業者との関係で守るべき行動を、4項目で定めています。

第一は、価格交渉に関する要件です。個々の医薬品の価値と流通コストを無視した値引き交渉を慎みます。あわせて、原則としてすべての品目について単品単価交渉とします。

第二は、配送に関する要件です。医薬品の流通の効率化と安定供給の確保のため、卸売販売業者への過度な依頼を慎みます。対象となるのは、頻回配送、休日夜間配送、急配です。

第三は、返品に関する要件です。厳格な温度管理を要する医薬品と、在庫調整を目的とした医薬品等については、卸売販売業者への返品を慎みます。

第四は、地域連携に関する要件です。平時から地域の保険医療機関、保険薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意等に取り組みます。ただし、この項目は「望ましい」とされており、必須の要件ではありません。

6.届出に向けた実務対応

届出に向けた実務対応は、3つの確認作業に整理できます。数量シェアの確認、掲示物の更新、購入・返品ルールの点検です。

第一に、後発医薬品の数量シェアを確認します。基準値は従来と変わらないため、現に後発医薬品使用体制加算または外来後発医薬品使用体制加算を届け出ている医療機関は、同じ区分に該当する可能性が高いといえます。ただし、加算そのものは新設であり、改めて届出が必要になると見込まれます。届出手続や経過措置の取扱いは、今後の告示・通知で確認してください。

第二に、掲示物を更新します。掲示すべき事項の内容は令和6年度改定から引き継がれますが、加算の名称が変わります。院内掲示とウェブサイトの記載を、あわせて点検してください。

第三に、購入・返品ルールを点検します。値引き交渉の方法、卸売販売業者への配送依頼、返品の運用について、流通改善ガイドラインに沿った取扱いになっているかを確認します。この点検は、事務部門と薬剤部門の双方が関わる作業になります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、後発医薬品使用体制加算と外来後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・医薬品供給対応体制加算と地域支援・外来医薬品供給対応体制加算が新設されます。新加算は、点数と後発医薬品の数量シェア基準を従来の加算から引き継ぎます。一方、施設基準には流通改善ガイドラインを踏まえた価格交渉、配送、返品、地域連携の要件が加わります。届出を予定する医療機関は、数量シェアの確認に加え、掲示物の更新と購入・返品ルールの点検を進めてください。



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サマリー

日本の医療現場では後発医薬品の普及が進む一方で、供給不安が深刻化し、医療機関の業務負担が増大しています。これを受け、令和8年度診療報酬改定では、後発医薬品使用体制加算が廃止され、医薬品の安定供給を目的とした新たな加算が新設されます。新加算は点数や数量シェア基準を維持しつつ、流通改善ガイドラインに基づく価格交渉や配送、返品に関する医療機関の行動規範を施設基準に組み込むことで、医薬品の物流インフラ保護と効率的な分配を目指します。

導入:後発医薬品の供給危機と医療現場の現状
いつも聞いてくれているあなた、こんにちは。 今回の深掘りなんですけど、ある専門記事をベースに、私たちの生活の裏側を覗いていこうかなと。
はい。 テーマが、令和8年度診療報酬改定っていうすごくお堅い書類なんですけど、実はここから読み取れるのが、日本の医療インフラの裏で起きている
ジェネリック医薬品の供給危機っていうかなりリアルな問題なんですよね。
ええ、そうですね。全体像から見ると、これって単なる制度の変更っていうよりは、あの、医療現場の悲鳴に対する緊急処置みたいなものなんですよ。
ああ、緊急処置。だって処方箋を出せば、自動販売機みたいにいつもの薬が当たり前に出てくるじゃないですか。
でもその完璧なシステムの裏では、今ものすごい煙が上がってるってことですよね。
その通りです。今回の資料にある調査結果が、まさにその限界を物語ってますね。
私、あの資料を見て一番驚いたのが、薬局でのジェネリック医薬品の使用割合なんですよ。もうすでに9割を超えてるんですよね。
はい、かなり高い水準です。
国がずっと掲げてた普及っていう目標は、もう完全に達成してるじゃないですか。これで一件落着とはいかないんですか?
それがですね、普及率9割っていう数字だけを見れば大成功なんですけど、ここでパラドックスが起きてるんですよ。
パラドックスですか?
肝心の薬が安定して手に入らないんです。令和6年度の特別調査だと、実に54.8%の病院が1年前と比べて供給体制が悪化したって回答してるんです。
普及の目標は達成したのに、肝心の薬が手に入らなくて現場がパニックになってる状態ってことですよね。
まさにそういうことです。
実際、在庫を探し回るためにあちこちの問屋さんに連絡したり、薬がないからって代替品の処方を検討したりで、57.5%の病院で業務量が増加してるってありましたよね。
はい、現場の負担はかなり深刻です。
これって巡り巡って聞いているあなたが、いつもの薬局で薬がもらえなくなるっていうものすごく身近な危機ですよね。
だからこそ国も動かざるを得なかったわけです。
制度改定の背景と概要:目的のパラダイムシフト
今回の改定で従来の後発医薬品使用体制加算という制度が廃止されまして、新たに地域支援医薬品供給対応体制加算というのが新設されました。
要するに国の目標がジェネリックの普及から限られた医薬品の安定供給へとパラダイムシフトしたってことですね。
なるほど。ただここからがすごく不思議というか、突っ込みどころだと思うんですけど。
新制度の名前は応用支出変わったじゃないですか。
でも病院に入ってくる加算点数は入院で87点、82点、77点って全く同じですよね。
そうですね。点数は末置きです。
しかもジェネリックを何パーセント使わなければいけないかっていうシェアの基準も90%以上とか、これ以前の制度を完全に引き継いでますよね。
はい、その通りです。
見かけ上の変化と真の狙い:流通改善ガイドライン
点数も達成基準も全く同じなら、実質何も変わってないんじゃないですか。
ただ看板を掛け替えただけですよね。
まあ看板の掛け替えに見えるのも無理はないですよね。数字の部分は全く同じですから。
でもですね、この制度の窯は点数とかシェア率にはないんですよ。
違うんですか。
はい。新たに追加された流通改善ガイドラインの遵守っていう要件に真の狙いが隠されてるんです。
流通改善、つまり薬を運ぶプロセスを変えろってことですか。
そうなんです。医療機関が医薬品の卸売業者に対して守るべき4つのルールが追加されまして、
新たな要件:医薬品卸売業者との関係性
例えば個々の価値を無視した値引き交渉の禁止とか、温度管理品の返品制限なんかがあるんですけど、
最大のポイントはですね、頻快な配送とか、休日とか夜間の給配ですね、そういった過度な配送依頼を自粛することなんです。
なるほど。ちょっと整理させてください。
つまり病院側は薬の卸売業者さんを24時間営業の都合の良いコンビニみたいに扱うのはやめなさいっていうルールが追加されたってことですか。
というかむしろコンビニよりも過酷な状況なんですよ。
そうなんですか。
はい。なぜなら薬自体の絶対量が不足してるからです。
在庫が少ない中で各病院が今すぐ少しでも持ってきてって要求すると、
問屋さんはわずかな薬をかき集めて、1日に何度も車を走らせることになるんです。
あーなるほど。単に問屋さんが大変だから休ませてあげようって話じゃなくて、
そんな無茶な配送を繰り返してたら、もう物流もそのものが崩壊してしまうってことですね。
医療現場の実務対応と患者への影響
そのメカニズムに気づくことがすごく重要で、卸売業者を過度な要求から保護して配送ルートを整理しないと、
限られた薬を効率よく本当に必要なところへ公平に分配できないんですよ。
だからこそ国は流通業者の保護を必須条件にしたんですね。
はいそういうことです。
いやー点数っていうお金の基準は変えずに、物流っていう裏側のインフラを守るためのルールをがっちりねじ込んだわけですね。
そうなりますね。
そうなると病院側は今後事務部門と薬剤部門が連携して、購入とか返品のルールを厳格化したりとか。
ええ。
供給不足で薬が変わるかもしれませんみたいな院内の掲示物を更新したりって、かなり実務的な対応に追われることになりますね。
そうですね。
医療機関と流通業者がどうやって限られた資源をやりくりしていくか、双方が歩み寄らなければならない新しいフェーズに入ったと言えますね。
なるほど。
これまではいつでもすぐに薬がもらえるのが日本の医療の当たり前でしたけど、
でも病院が無理な給配を頼めなくなって限られた薬を計画的にやりくりするようになれば、ここで一つあなた自身にも考えてみてほしいことがあるんです。
はい。
もし物流網を守るために即日納品が難しくなったとしたら、将来的に私たちは今日すぐに薬をもらうために患者側が全額自己負担で特急手配料みたいなものを払う時代が来るんでしょうか。
そうですね。
日本の医療の便利さの代償を一体誰が払うことになるのか、ぜひ次に薬局へ行った時に少し想像してみてください。
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