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後発医薬品調剤体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」27点を解説
2026-09-03 05:59

後発医薬品調剤体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」27点を解説

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薬局における後発医薬品の使用は、すでに定着しつつあります。一方で、その後発医薬品を中心に不安定な供給が続いています。この供給不安は、医療機関と薬局に、卸への問い合わせや薬局間の融通といった追加的な業務を生んでいます。そこで令和8年度診療報酬改定は、Ⅳ-1-④として「医薬品の安定供給に資する体制に係る評価の新設及び後発医薬品調剤体制加算の廃止」を打ち出しました。本稿は、この項目を「廃止されるもの」と「新設されるもの」に分けて解説します。

今回の見直しは、評価の軸を後発医薬品の「使用割合」から医薬品の「安定供給体制」へ切り替えるものです。第一に、後発医薬品調剤体制加算(21点・28点・30点)が廃止されます。第二に、地域支援体制加算に安定供給の評価が加わり、名称が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ変更されます。第三に、新加算の施設基準は、後発医薬品の調剤割合85%以上に加えて、他薬局への分譲実績や重要供給確保医薬品の備蓄といった具体的な取組を求めます。

改定の基本的な考え方:使用促進から供給体制の下支えへ

改定の出発点は、後発医薬品をめぐる二つの事実です。ひとつは、使用促進が目的をほぼ達したという事実です。もうひとつは、供給不安が現場の業務量を押し上げているという事実です。この二つを踏まえ、厚生労働省は評価の対象を「割合の達成」から「体制の維持」へ移しました。

後発医薬品の使用促進は、加算によるインセンティブの役割をほぼ終えました。中央社会保険医療協議会(中医協)でも、後発医薬品調剤体制加算はその役割を終えたとして廃止を求める意見が出ています。中医協資料によれば、薬局における後発医薬品の使用割合は、すでに9割を超えています。割合を引き上げるための誘導は、もはや必要性が乏しい状況にあります。

一方、後発医薬品の供給不安は、薬局の業務を確実に増やしています。在庫が切れた医薬品を入手するため、薬局は複数の卸に問い合わせを行います。それでも入手できない場合、薬局は他の薬局から医薬品を融通してもらいます。こうした作業は、患者への薬剤交付そのものには表れません。しかし、地域の医薬品供給を支える不可欠な業務です。

そこで今回の改定は、この見えにくい業務を診療報酬で下支えします。診療報酬とは、医療サービスに対して医療機関や薬局に支払われる対価です。改定は、後発医薬品の割合を達成した薬局ではなく、地域に医薬品を届け続ける体制を持つ薬局を評価します。評価の対象が変わる点こそ、Ⅳ-1-④の核心です。

廃止されるもの:後発医薬品調剤体制加算

後発医薬品調剤体制加算は、全面的に廃止されます。廃止の対象は、調剤基本料の「注7」に規定された加算1から加算3までのすべてです。改定案では、この注7が丸ごと削除されます。

現行の後発医薬品調剤体制加算は、調剤割合に応じた3段階の評価でした。加算1は、調剤割合80%以上で21点を算定できました。加算2は、調剤割合85%以上で28点を算定できました。加算3は、調剤割合90%以上で30点を算定できました。いずれも、処方箋受付ごとに調剤基本料へ上乗せする加算です。

この3段階の評価は、令和8年度改定で失われます。ただし、後発医薬品の調剤割合そのものが不要になるわけではありません。割合の要件は、次に述べる新加算の施設基準へ引き継がれます。

ここで注意すべき点があります。新加算は、後発医薬品調剤体制加算の単純な置き換えではありません。新加算は地域支援体制加算の枠組みの中に置かれるため、地域支援体制加算に係る要件を満たす薬局しか算定できません。したがって、後発医薬品の調剤割合が85%以上であっても、この枠組みに乗れない薬局は加算を算定できません。この場合、廃止分がそのまま減収となります。

新設されるもの:地域支援・医薬品供給対応体制加算1(27点)

地域支援体制加算には、医薬品の安定供給に資する体制を持つ薬局への評価が新たに設けられます。あわせて、加算の名称が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ変更されます。この名称変更は、地域支援体制加算が医薬品供給の拠点機能を担うことを明示するものです。

新設される地域支援・医薬品供給対応体制加算1は、27点です。算定できるのは、施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局です。算定の単位は、調剤基本料への加算です。ただし、特別調剤基本料Aを算定する薬局では、100分の10に相当する点数となります。また、調剤基本料の注2に規定する薬局は、算定の対象から除かれます。

告示上の施設基準は、二つの柱で構成されます。第一の柱は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有することです。第二の柱は、後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であることです。この割合は、後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合算した規格単位数量を分母として算出します。

なお、本項目に示されているのは加算1のみです。施設基準も「地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準」として示されています。加算2以降の区分や実績要件は、本項目には記載がありません。これらはⅢ-8-③「地域支援体制加算の見直し」に置かれているとみられます。届出の可否を判断する際は、Ⅲ-8-③とあわせて確認してください。

通知で示された施設基準:10項目の具体的な取組

告示の「必要な体制」は、通知でさらに具体化されます。通知が示す項目は、(1)から(10)までの10項目です。以下では、この10項目を四つの観点に整理して解説します。観点は、薬局内の在庫管理、薬局間・医療機関との連携、卸売販売業者との取引、後発医薬品に係る要件の四つです。

薬局内の在庫管理については、二つの取組が求められます((1)、(4))。第一に、医薬品の安定供給に向けた計画的な調達と在庫管理を行うことです。第二に、重要供給確保医薬品のうち内用薬と外用薬について、1か月分程度を備蓄するよう努めることです。この備蓄は「努めること」と書かれた努力義務です。ここでいう備蓄は、薬局が現に在庫を保有している状態を指します。卸売販売業者に在庫を確保させているだけでは、備蓄に該当しません。

薬局間・医療機関との連携については、三つの取組が挙げられます((2)、(3)、(8))。ひとつめは、他の保険薬局へ医薬品を分譲した実績を持つことです。この実績から、同一グループの薬局への分譲は除かれます。ふたつめは、処方箋の医薬品が入手困難な場合に適切に対応することです。通知は、在庫を持つ薬局を探し、事前に連絡して在庫を確認したうえで別紙様式を用いて患者に案内する対応を例示しています。処方医へ処方内容の変更可否を照会する対応も、例示に含まれます。みっつめは、地域の保険医療機関や薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う品目について情報共有や事前の合意に取り組むことです。この連携は「望ましい」と書かれた努力目標です。

卸売販売業者との取引については、三つの姿勢が求められます((5)、(6)、(7))。まず、個々の医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎むことです。あわせて、原則としてすべての品目を単品単価交渉とします。次に、常に適正な在庫量を維持し、頻回配送、休日夜間配送、急配について過度な依頼を慎むことです。そして、厳格な温度管理を要する医薬品や在庫調整目的の医薬品について、返品を慎むことです。これら三点は、流通改善ガイドラインの内容を診療報酬の要件へ落とし込んだものといえます。

後発医薬品に係る要件は、二つ残ります((9)、(10))。ひとつは、後発医薬品の調剤割合が85%以上であることです。この割合は、告示の施設基準ロと同じ内容です。もうひとつは、後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を薬局の内側と外側の見えやすい場所に掲示することです。いずれも、廃止される後発医薬品調剤体制加算と同趣旨の要件です。

薬局が準備すべき四つの実務対応

新加算の届出には、書類上の確認だけでは足りない準備が必要です。準備の要点は、実績の記録、備蓄品目の洗い出し、取引方法の見直し、掲示の整備の四つです。いずれも、改定施行までに着手すべき項目です。

第一に、他薬局への分譲実績を記録する仕組みを整えます。分譲の相手先が同一グループかどうかで、実績への算入可否が分かれるためです。日付、品目、相手薬局名を残す運用を、いまのうちに定着させましょう。

第二に、重要供給確保医薬品の該当品目を洗い出します。内用薬と外用薬について、1か月分程度の在庫が自局にあるかを確認します。この備蓄は努力義務ですが、体制を説明できる状態にしておくことが望まれます。なお、卸に在庫を確保させている品目は、備蓄として認められません。自局の棚にある数量を基準に点検してください。

第三に、卸売販売業者との取引方法を見直します。単品単価交渉になっていない品目があれば、交渉の単位を改めます。頻回配送や急配に依存した発注運用があれば、発注のタイミングを整理します。返品についても、温度管理品と在庫調整目的の品を除く運用へ切り替えます。

第四に、店舗内外の掲示を確認します。後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨の掲示は、薬局の内側と外側の両方に必要です。既存の掲示物が見えやすい場所にあるかを、あらためて点検しましょう。

まとめ

令和8年度診療報酬改定のⅣ-1-④は、後発医薬品に関する評価の軸を切り替えます。後発医薬品調剤体制加算(21点・28点・30点)は廃止されます。代わりに、地域支援体制加算が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ名称を変更し、加算1として27点が新設されます。その施設基準は、後発医薬品の調剤割合85%以上に加えて、分譲実績、重要供給確保医薬品の備蓄、流通改善に沿った取引を求めます。ただし、新加算は地域支援体制加算の枠組みに置かれるため、後発医薬品調剤体制加算の単純な置き換えではありません。薬局に必要な準備は、分譲実績の記録、備蓄品目の洗い出し、取引方法の見直し、掲示の点検です。使用割合を追う改定から、供給体制を守る改定へ。この転換を前提に、自局の体制を早めに点検してください。



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サマリー

2026年の診療報酬改定では、後発医薬品の普及促進から医薬品の安定供給体制の確保へと評価の軸が転換されます。これにより、後発医薬品調剤体制加算は廃止され、新たに「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が27点で新設されます。この新加算は、後発医薬品割合85%以上、重要医薬品の備蓄、他薬局への分譲実績、卸売業者との取引改善など、薬局に厳しい条件を求め、見えない供給維持の努力を評価し、薬局の組織力強化を促します。

薬局の裏側で起きている劇的な変化
病院で処方箋をもらって、薬局に行く。 これって、あの、お金を入れたら確実に出てくる自動販売機みたいに、
なんか当たり前のシステムだと思っていませんか? ああ、かしなりそうですよね。処方箋っていうチケットを渡せば、必要なものが必ず出てくる。
私たちはそう信じて疑わないというか。 そうなんですよ。でも、あなたが待合室でスマホを見ている間、その自動販売機の裏側では今、とんでもないパニックが起きているんです。
ええ、まさにパニック状態と言っていいですね。 今回の深掘りでは、2026年の診療報酬改定に関する資料を読み解きながら、
あなたの身近な薬局で起きている劇的な変化をお届けします。 ただの小売店から地域の防衛基地へ、その変革の裏側ですね。
はい。まず大きな背景からお話しますと、これまで国はジェネリック医薬品、つまり抗発薬ですね。これを普及させることに全力を注いできました。
後発医薬品普及から供給不安への転換
ええ、ジェネリックよく聞きますよね。 はい。そのために抗発医薬品調剤体制加算っていうボーナス点数があったんですが、実は現在、ジェネリックの利用率ってすでに9割を超えているんですよ。
9割?えっとすごい、もう大成功じゃないですか。 じゃあ何がパニックになっているんですか。
普及という役割はもう終えたとして、このボーナスは全廃されることになったんです。
ただ、今現場をパニックに陥れている本当の理由は、薬の深刻な供給不安なんですよね。
供給不安、つまり薬自体が手に入らないってことですか? そうなんです。薬局は在庫を確保するために、もう複数の卸業者に電話をかけまくったり、近隣の他薬局と薬を融通しあったり。
うわぁ、それって患者さんからは全く見えない追加業務ですね。 完全にサバイバル業務に追われている状態です。
つまり、ジェネリック普及っていうRPGのメインクエストをようやくクリアしたと思ったら、いきなり消えた薬を探せっていう過酷なサバイバルゲームに放り込まれたようなものですね。
はは、まさにその通りです。そこで、2026年の改定では、その見えにくいサバイバル業務を下支えするために、新しい評価が新設されます。
ほう、新しい加算ですね。
新設される「地域支援・医薬品供給対応体制加算」
はい、地域支援・医薬品供給対応体制加算1というものです。点数は27点ですね。
27点。医療の点数って1.10円だから、処方箋1枚につき270円のボーナス?
一見小さく見えますけど、毎月何百人も患者さんが来ることを考えたら、薬局にとっては死活問題ですよね。
へぇ、本当に。ただ、この270円のボーナスを得るための条件がものすごく厳しいんですよ。
どんな条件があるんですか?
まず、ジェネリックの割合を85%以上に保つのは大前提でして、それに加えて重要医薬品の1ヶ月分備蓄が求められます。
重要医薬品って、抗生物質とか解熱鎮痛剤みたいな、すぐ必要な薬のことですよね。
新加算の厳しい条件とその意図
そうです。さらに、同一グループ外の多薬局への分状実績の記録とか、卸業者への過度な品解配送の依頼を自粛するとか、全部で10もの具体的な取り組みが必要になるんです。
ちょっと待ってください。薬が足りなくて困ってるなら、むしろ卸業者に早く持ってきてって何度も配送を頼むべきじゃないですか?
なんで配送や返品を制限するんですか?
ああ、そこがこの新制度の肝なんですよ。薬局が足りないからって、あれを1箱、これを3箱って、いつけあべ式に注文すると卸業者の物流トラックがパンクしてしまうんです。
ああ、なるほど。
ええ。返品を減らして配送回数を絞ることで、疲弊している物流も全体の負担を減らす。つまり国は、自分たちの在庫だけじゃなく、サプライチェーン全体を安定させる行動を求めているわけです。
なるほどな。全体最適のためなんですね。でもこれって裏を返せば、一生懸命あちこちに電話をかけて在庫をかき集めているような小規模な薬局にとっては、厳しすぎるペナリティになりませんか?
備蓄スペースもないし、配送をまとめる資金力もない小さな薬局は、どれだけ汗を流してもこの270円をもらえず、ただの減少になりますよね。
はい。そこは非常に痛いところですが、決して国の見落としではないんです。むしろ意図的なメッセージだと捉えるべきですね。
意図的ですか?
小規模薬局への影響と国の戦略
ええ。国はこれからの絶え間ない供給危機を乗り越えるために、組織力のない単独の小さな薬局に対して、統合やグループ化、地域での強い連携を促しているんです。
体力のない薬局は、もはや地域の供給インフラとして維持できないというシビアな宣告ってことですね。
その通りです。単なる小売店ではなく、崩壊寸前のサプライチェーンを裏側で必死につなぎ止める地域医療のインフラへと進化しているんです。
いやー、薬局の裏側でそんな亀裂な生存競争が起きていたとは驚きです。これを知ると、リスナーのあなたが次に処方箋を出すとき、カウンターの向こう側にいる薬剤師の見方が大きく変わるはずです。
そうですね。現場の負担は増える一方ですけど、彼らがその物流のショックを裏側で吸収してくれているからこそ、私たちは当たり前のように薬を受け取れているんですよね。
薬局の価値と未来への問い
ええ。今日は薬局が生き残りをかけて組織力を身につけようとしている話をしてきましたが、最後に一つリスナーのあなたに考えてみてほしいことがあります。
はい。
今後、薬の供給不足が日常化する社会において、私たちが支払う医療費は、薬というものの値段から、いざというときに薬をかき集めてくれるネットワークへの投資へと意味合いを変えていくはずです。
ええ、本当にその通りですね。
次にあなたが薬局で在庫切れですという案内を受けたとき、その裏で鳴り響く薬剤師たちの電話の音に、私たちは一体いくらの価値を見出すべきなのでしょうか。ぜひ次に薬局のドアを開けるときに考えてみてください。
05:59

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