令和8年度診療報酬改定では、食材料費や光熱・水道費の上昇を踏まえ、入院時の食費及び光熱水費の基準額が引き上げられます。食費は令和6年6月(30円)、令和7年4月(20円)に続き、直近で3回連続の引き上げとなります。光熱水費は平成18年の制度創設以来、基準額(総額)としては初めての引き上げとなります。
今回の改定では、食費と光熱水費の2つが見直されます。食費は入院時食事療養(Ⅰ)・(Ⅱ)及び入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)のすべてで1食当たり40円引き上げられます。光熱水費は入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)で1日当たり60円引き上げられます。この光熱水費の引き上げ額は、令和6年度介護報酬改定における多床室の居住費の引き上げ幅と同額です。
食費の基準額:全区分で1食当たり40円の引き上げ
食費の基準額は、入院時食事療養と入院時生活療養のいずれにおいても、1食当たり40円引き上げられます。対象は通常の食事療養と流動食のみの提供の両方です。
入院時食事療養(Ⅰ)の基準額は、通常の食事療養が690円から730円に、流動食のみの提供が625円から665円にそれぞれ引き上げられます。入院時食事療養(Ⅰ)は、管理栄養士等による管理のもとで適切な栄養管理が行われている場合に算定される区分です。
入院時食事療養(Ⅱ)の基準額は、通常の食事療養が556円から596円に、流動食のみの提供が510円から550円にそれぞれ引き上げられます。入院時食事療養(Ⅱ)は、(Ⅰ)の基準を満たさない場合に算定される区分です。
入院時生活療養(Ⅰ)の食費も同様に引き上げられます。通常の食事提供が604円から644円に、流動食のみの提供が550円から590円にそれぞれ変更されます。入院時生活療養は、療養病床に入院する65歳以上の患者が対象です。
入院時生活療養(Ⅱ)の食費は、470円から510円に引き上げられます。
光熱水費の基準額:1日当たり60円の引き上げ
光熱水費の基準額は、入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)ともに、1日当たり60円引き上げられます。具体的には、398円から458円に変更されます。
この光熱水費の基準額は、平成18年の入院時生活療養費制度の創設以来、総額としては据え置かれてきました。平成29年には自己負担額の引き上げが行われましたが、そのときも基準額(総額)は398円のまま維持されていました。今回の改定は、基準額そのものが引き上げられるという点で、制度創設以来初めてのことです。
引き上げ幅の60円は、令和6年度介護報酬改定における多床室の居住費基準費用額の引き上げ幅と同額に設定されています。介護保険では、家計における光熱・水道支出を勘案し、すでに60円の引き上げが実施されていました。今回の医療保険側の対応は、介護保険との均衡を図る趣旨もあります。
引き上げの背景:食材費・光熱費の高騰と医療現場の厳しい経営環境
今回の引き上げの背景には、食材料費と光熱・水道費の継続的な高騰があります。食費については、令和6年6月に30円、令和7年4月に20円と2回にわたり引き上げが実施されましたが、その後も高騰が続いています。
医療現場からは、米の価格高騰などにより1食当たり690円では限界を超えているとの声が出ていました。中医協総会でも、病院給食の委託事業者から値上げの交渉が相次いでおり、対応せざるを得ない状況にあるとの意見が示されました。実際に、全面委託の約7割、一部委託の約5割の医療機関が、委託事業者からの値上げの申し出に対応していたことが調査で明らかになっています。
光熱水費についても、近年の光熱・水道費の高騰は著しく、基準額が平成18年の創設時から据え置かれていたことが病院経営に影響を及ぼしていました。介護保険の居住費(430円)と医療保険の光熱水費(370円)の間に60円の自己負担の差が存在していたことも、見直しの根拠のひとつとなっています。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、入院時の食費が全区分で1食当たり40円、光熱水費が1日当たり60円引き上げられます。食費の引き上げは、食材料費の高騰が続く中で医療の一環としての食事の質を確保する目的で実施されます。光熱水費の引き上げは、制度創設以来初の基準額の増額であり、光熱・水道費の高騰と介護保険との均衡を踏まえた対応です。
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サマリー
令和8年度の診療報酬改定では、入院時の食費が1食あたり40円、光熱水費が1日あたり60円引き上げられます。食費は食材費高騰を受け3年連続の値上げとなり、光熱水費は平成18年の制度創設以来初めての引き上げで、介護保険制度との公平性も考慮されています。今回の改定は、物価高と長年の制度の硬直性が自己負担額に現れたものであり、質の高い医療維持のために現実的な費用見直しが不可欠であったことを示唆しています。