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2025-10-27 08:12

外科医不足が深刻化、消化器外科は10年で15%減少―中医協分科会が示す集約化とインセンティブの方向性

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令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、診療科偏在対策が議論されました。外科医、特に若手の消化器外科医の減少が深刻化しており、過去10年間で若手消化器外科医は15%減少しています。この問題に対し、分科会では手術の集約化による安全性向上と勤務環境改善、外科医への実効性あるインセンティブ措置の強化が必要との方向性が示されました。

分科会では、外科医の約半数が1-2名の小規模施設に分散している現状が明らかになりました。高度な手術の集約化により手術成績が向上し、勤務環境が改善された山口大学医学部附属病院の事例が示されました。分科会の委員からは、小規模施設から大規模施設への紹介・連携を評価する仕組みの構築、若手外科医の処遇改善、女性医師のキャリア形成支援の必要性が指摘されました。今後の診療報酬改定では、自発的な偏在是正を促すインセンティブの強化が検討される見込みです。

外科医の減少と偏在が医療提供体制を脅かしている

外科医、特に消化器外科医の減少が深刻化しています。外科の医師数の推移を見ると、一般外科・消化器外科以外の診療科では増加傾向にある一方で、一般外科・消化器外科は一貫して減少しています。

若手医師の状況はさらに深刻です。40歳未満の若手医師全体では2012年と比較し8%増加している一方で、若手外科医は7%減少、若手消化器外科医に至っては15%減少しています。日本消化器外科学会は、現在約1.9万人いる消化器外科医が2040年には40%減少すると予測しており、医療提供体制の維持が困難になる可能性があります。

この減少の背景には、長時間労働の問題があります。時間外・休日労働時間が年1,860時間換算を超える医師の割合が高い診療科は、脳神経外科が9.9%、外科が7.1%、形成外科が6.8%、産婦人科が5.9%、救急科が5.1%でした。外科系診療科は専門性の維持や修得に時間がかかり、負担感も大きいことから、若手医師が処遇に見合わないと感じる要因になっています。

外科医の偏在も深刻な課題です。外科医が1名以上いる病院と医育機関3,246施設において、所属外科医師数が1-2名となる医療機関は全体の48.7%(1,581施設)を占めています。消化器外科医師数が6名以上の医療機関は21.6%(700施設)、10名以上と集約化されている医療機関は9.1%(294施設)にとどまっています。所属外科医師数が1-2名の医療機関の多くは、年間の手術件数が100件未満であり、3-5名の医療機関でも半数以上は年間手術件数が500件に満たない状況です。

手術の集約化により安全性と勤務環境が改善した山口大学の事例

高度な手術の集約化により、手術成績の向上と勤務環境の改善が実現できることが示されています。山口大学医学部附属病院消化器外科では、各連携病院と協議・連携することで、消化器外科症例の集約化と均てん化に向けた体制を徐々に構築しました。

この取組では、病院の機能に応じてType1からType3に分類しました。Type1病院は常勤消化器外科医師数が1-2名の病院で、がん治療のサポートとしての手術や虫垂炎、痔、ヘルニア、胆石などの手術は実施しますが、がん手術は実施せずに附属病院に紹介し、術後化学療法とフォローアップを大学病院から引き受けます。Type2病院は常勤消化器外科医師数が3-5名の病院で、胃がん、大腸がんの手術は実施しますが、難度の高い食道、肝胆膵の手術は附属病院に紹介します。Type3病院は常勤消化器外科医師数が6名以上の病院で、従前どおり独自にがん治療を実施します。

この集約化により、複数の成果が得られました。がんの症例数が少なかった病院が全てのがん症例を拠点的な病院に紹介することで、これまで手術で対応できなかった症例も拠点的な病院での高度な手術で対応することができるようになりました。化学療法も大学病院に通うことなく近隣の病院で実施できるようになり、がん手術を全て拠点的な病院に集約し、より多くの化学療法やフォローアップを実施することで、病院経営も改善しました。

消化器外科領域の高度な手術について、全国の多くの病院は年間50件未満である一方、大学病院本院の多くが200件/年以上実施しています。入院における臓器別手術件数の推移を見ると、食道・腹部の手術件数が最多であり、2020年に減少したものの、2015年以降増加傾向にあります。

分科会が示した偏在是正の方向性は集約化とインセンティブ強化

分科会では、診療科偏在対策について多角的な議論が行われ、今後の方向性が示されました。委員からは、高難度手術における集約化の必要性について、一定程度の手術の集約化により安全性が担保されることが指摘された一方で、小規模な手術とのバランスのとれた集約化の在り方が必要との意見がありました。

外科医が少人数で勤務する施設から大規模施設への紹介・連携についてはインセンティブがなく、そのような取組を評価する仕組みが必要との意見がありました。外科領域の集約化や偏在是正については、急性期医療機関機能の整理の中で位置付けて議論すべきとの意見もありました。

医師偏在の是正については、ペナルティとインセンティブの両方の考え方がありますが、自発的な偏在是正にはインセンティブの強化が有効との意見がありました。休日加算等の評価はあるものの、施設要件により届出医療機関や診療科が限られており、より実効性のあるインセンティブ措置が必要との意見がありました。

実際に、大学病院を含む一部の病院では、全国的に減少している消化器外科医など外科医の診療体制を維持するため、外科医等への処遇改善を実施しています。広島大学病院では、若手外科医を対象に「未来の外科医療支援手当」として月額10万円、年額120万円を増額する待遇改善を実施しました。津山中央病院では、時間外緊急手術や呼び出し等に対してインセンティブを付与する取組を実施しています。

消化器外科でも若手医師では女性比率があがっており、出産・育児に関する問題があるため、女性医師のキャリア形成や柔軟な働き方の保証も偏在是正の視点で必要との意見がありました。また、高度な手術をほとんど実施していない病院があり、こういった手術は集約化する必要があるため、山口大学病院の例も参考にしながら、役割分担と集約化を進めてはどうかとの意見がありました。

手術の休日・時間外・深夜加算1における「緊急呼び出し当番の翌日が休日」要件については、慎重な検討が必要との意見がありました。手術の休日・時間外・深夜加算1においてチーム制を採用している場合、診療があった緊急呼び出し当番の翌日は休日対応となりますが、緊急呼び出し当番における診療の有無は予見することができないため、通常、緊急呼び出し当番の翌日は休日として扱われることになると考えられます。この要件を満たさなくて良いということにすると連日勤務になり、加算の趣旨である働き方改革にならないことが懸念されるため、算定要件の取扱いと加算の評価については慎重に判断する必要があるとの意見がありました。

まとめ

外科医、特に消化器外科医の減少は深刻化しており、若手消化器外科医は過去10年間で15%減少しています。外科医の約半数が1-2名の小規模施設に分散している一方で、高度な手術の集約化により手術成績が向上し、勤務環境が改善された山口大学医学部附属病院の事例が示されました。分科会では、小規模施設から大規模施設への紹介・連携を評価する仕組みの構築、若手外科医の処遇改善、女性医師のキャリア形成支援の必要性が指摘され、自発的な偏在是正を促すインセンティブの強化が有効との方向性が示されました。



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サマリー

日本における外科医の不足が深刻化しており、特に消化器外科医の数が減少しています。中医協の分科会では、手術の集約化およびインセンティブの強化について議論されており、医師の負担軽減と医療の質向上を目指しています。

外科医不足の現状
こんにちは、ザ・ディープダイブです。さて今回は、日本の医療が直面しているちょっと深刻な課題を取り上げます。
外科医、特の消化器外科のお医者さんが減っていて、しかも地域によって偏りがある偏在の問題ですね。
これ中医協、つまり国の医療制度を話し合う専門家会議の分科会の資料を元に詳しく見ていきたいと思います。
はい、よろしくお願いします。
何度も40歳未満の若手の消化器外科医、この10年でなんと15%も減ってしまったと。
そうなんです。これはかなり大きな数字でして。
15%ですか。一体どうしてこんなことに。
背景にはですね、やはり外科系の特に脳神経外科とか、心臓血管外科なんかでよく言われますけど、年に1860時間を超えるようなかなり長い労働時間。これがまず指摘されていますね。
長時間労働。
はい、それに加えて専門性を身につけるまでに時間がかかるというその負担感。これも若手がちょっと敬遠してしまう理由の一つと考えられますね。
なるほど、それだけじゃないんですよね。その偏在という問題も大きいと。
その通りです。外科医の先生がいる病院のなんと半分近く48.7%でしたか。そこでは常勤の外科医が1人か、あるいは2人しかいないという状況なんです。
半分近くで1人か2人、それはちょっと不安になりますね。
そうですよね。一方でたくさんの手術をこなせるような、例えば消化器機械が10人以上いるような比較的大きな施設というのは全体のわずか9.1%に過ぎないんです。
手術の集約化
うーん、かなり偏ってしまっているわけですね。
一部の病院に医師が集中してしまっているという実情があります。
それで何か対策は考えられているんでしょうか。
はい、大きく2つの方向性が議論されています。一つが手術の集約化ですね。
集約化ですか。もう少し詳しく教えていただけますか。
はい。山口大学の付属病院の取り組みが参考になるんですが、ここでは病院の規模、つまり常勤の消化器外科医の先生の数に応じて役割分担を決めたんです。
ほう、役割分担。
例えば医師が1人か2人しかいない病院、タイプ1と呼ばれていますが、そこではがんのような難しい手術は基本的には大学病院なんかに紹介すると。
なるほど。
その代わり、術後の化学療法とか経過観察とかそういった地域でのケアをしっかり担う。
ふむふむ。
で、もう少し規模の大きい、医師が3人から5人ぐらいの病院、タイプ2ですね。
そこは胃がんとか大腸がんの手術はやるけれども、さらに難易度の高い食道がんとか肝炭水の手術とかは、より大きな拠点病院に紹介するみたいな。
なるほど。それぞれの規模でできること任せることを決めたわけですね。
そういうことです。
それでその結果というのはどうだったんですか?
これがですね、非常に興味深い結果が出てまして、拠点となる病院では、これまでちょっとマンパワー的に難しかったような高度な手術もできるようになったと。
おお。
一方で患者さんにとっては、手術後の化学療法なんかをわざわざ遠くの病院まで行かなくても、地元の身近な病院で続けられるようになった。
それは患者さんにとっても良いことですね。
ええ。さらに病院経営の面でも改善が見られたという報告もあるんです。
経営改善まで。
はい。つまり手術の質と安全性を高めつつ、医師の負担ももしかしたら軽減できるかもしれない、そういう可能性が見えてきたわけです。
それはすごく良い流れに聞こえますね。ただ、その集約化だけだと、お医者さん自体の数が増えるわけではないですよね。
まさにおっしゃる通りで。そこがもう一つの柱につながるんですが、インセンティブの強化です。
インセンティブの強化
インセンティブ、やる気を引き出す仕組みということですか?
そうですね。外科医の先生やあるいは病院に対して、そういう連携とか偏在性性に前道に取り組んでもらうための、いわばご褒美のような仕組みを強化しようと。
罰則ではなく、プラスの評価で促すと。
そういう考え方です。具体的には、例えば、小規模な病院から大規模な病院へ患者さんを紹介したり、連携したりすることを診療報酬、つまり医療機関への支払いで評価するとか。
なるほど。
あとは、やはり若手の下階の先生方の待遇改善、これは欠かせません。
具体的な動きもあるんですか?
はい、すでに出てきています。例えば、広島大学病院では、若手の下階に月額10万円の手当を支給したり、あと、津山中央病院というところでは、時間外の緊急手術に対して手当をつけたり、といった事例が報告されていますね。
手当はわかりやすいインセンティブですね。
ええ。それからもう一つ、最近は若手の先生方、女性の医師も増えていますから。
そうですね。
ですから、出産とか育児をしながらでもキャリアを続けられるような、そういう支援策とか柔軟な働き方をどう保障していくか、これも偏在を解消していく上で、すごく重要な視点だと議論されています。
働き方改革とも密接に関わってきますね。ただ、何でもかんでも集約すれば良いというわけでもなさそうな気もしますが。
ええ。そこが非常に難しいバランスでして、分解でもやはり高度な手術の集約化は必要だという認識は共有されているんですが。
はい。
例えば、虫つい炎、いわゆる猛蝶の手術みたいな、比較的身近な手術まですごく遠くの大きな病院でしか受けられなくなってしまうと、それはそれで地域住民にとっては困るだろうと。
確かにそうですね。
ええ。この専門性と利便性のバランスをどう取るか、これが大きな課題とされています。
あとは、休日とか時間外の手術に対する加算、つまり報酬を上乗せすることも議論されてはいるんですが、これも安易に見とれると、結局長時間労働を冗長しかねない、働き方改革の趣旨に反するんじゃないかということで、かなり慎重な検討が必要だという意見が出ていますね。
なるほど。ということは、全体としては、その集約化とインセンティブ強化を両輪として進めつつも、地域の実情に合わせてそのバランスを慎重に考えていくという方向性なんでしょうか。
そういうことになると思います。下界不足とそれから偏在という非常に根が深くて難しい問題に対して、まあこれらの策を組み合わせて何とか対応していこうと、そういう模索がまさに今始まった段階と言えるかもしれませんね。
今回は日本の下界不足と偏在という深刻な問題、そしてその対策として議論されている集約化とインセンティブ強化について見てきました。
若手の先生方が減り続けているという現状は本当にこう待ったなしという感じがしますね。
ええ、この議論は本当に将来あなたやあるいはあなたのご家族が質の高い下界医療を必要なときにちゃんと受けられるかどうかということにも直接関わってくる非常に重要な話なんです。
そうですね。
特にもしあなたが地方にお住まいの場合、この集約化という流れが進むことで、もしかしたはいざ手術を受けるとなったときに受診する病院が今とは変わるという可能性も十分にあるわけですから。
最後に少しあなたにも考えてみてほしいのですが、手術の集約化で確かに高度な医療の質は保たれるのかもしれない。
でももし、これまで近所の病院で受けられていたような手術が車で何時間もかかるような遠くの病院でしか受けられなくなるとしたら、この利便性と専門性のバランス、あなたならどう考えますか?
対偶改善とか体制整備ももちろんすごく大事なんですけど、もしかしたらそれだけでは根本的な解決にはならないのかもしれませんね。
もっと若い人たちが下界になりたいと心からそう思えるような仕事そのものの魅力とかやりがいとか、そういうものをどうやって育てて伝えていくか、それもこの問題のもっと奥にある本質的な課題なのかもしれないなぁと、そんな気もしますね。
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