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令和8年度改定|小児の高額な検査・薬剤を包括から外す2つの見直しを解説
2026-07-07 06:01

令和8年度改定|小児の高額な検査・薬剤を包括から外す2つの見直しを解説

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小児医療では、造血器腫瘍のゲノム検査やRSウイルスの予防薬など、高額な検査・薬剤を用いる場面がある。こうした高額な項目の多くは、入院料や小児科外来診療料に「包括」されてきた。包括されると、その費用が個別に評価されず、医療機関の持ち出しになりやすい。本メルマガでは、この課題に対応した令和8年度診療報酬改定の見直しを解説する。

今回の見直しは、高額な検査・薬剤を包括の対象から除外し、別に算定できるようにする2点からなる。第一に、造血器腫瘍等を対象とするがんゲノムプロファイリング検査を、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外する。第二に、抗RSウイルス薬「ニルセビマブ」の投与当日を、小児科外来診療料の算定対象から除外する。いずれも、高額な項目を出来高で算定できるようにし、必要な医療を提供しやすくする点で共通する。

がんゲノムプロファイリング検査を入院料の包括から除外

がんゲノムプロファイリング検査のうち造血器腫瘍等を対象とするものは、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外され、別に算定できるようになった。この見直しの理由は、検査料が高額でありながら、入院中に実施する必要性が特に高いためである。

がんゲノムプロファイリング検査とは、腫瘍の多数の遺伝子を一度に調べ、治療方針の決定に役立てる検査である。この検査は、白血病やリンパ腫といった造血器腫瘍を含む小児がんで用いられる。検査料は高額で、専門家会議による結果の検討に対する「評価提供料」も伴う。

こうした高額な検査は、従来、これらの入院料に「包括」されていた。包括とは、複数の医療サービスをまとめて一つの点数で評価する仕組みである。包括された項目は、実施しても入院料と別に算定できない。そのため、高額な検査を行うほど医療機関の負担が大きくなっていた。

今回の改定では、造血器腫瘍又は類縁疾患を対象とする場合に限り、この検査を包括対象から除外した。除外の対象となる入院料は、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、小児入院医療管理料の5つである。これらの病棟では、当該検査に係る検査料と評価提供料を、入院料と別に算定できるようになった。

抗RSウイルス薬ニルセビマブを小児科外来診療料から除外

抗RSウイルス薬「ニルセビマブ」の投与当日は、小児科外来診療料の算定対象から除外された。これは、従来から同様に扱われてきた「パリビズマブ」と足並みをそろえる見直しである。

小児科外来診療料とは、小児科の外来診療を包括的に評価する点数である。この点数は、検査や処置、投薬などをまとめて1日単位で算定する。ただし、高額な薬剤を用いる日には、包括では費用をまかないきれない場合がある。

高額な薬剤を用いる日を包括の対象外とする扱いは、従来から「パリビズマブ」で行われてきた。パリビズマブは、RSウイルス感染症を予防する抗体製剤である。RSウイルスは、早産児や基礎疾患のある乳幼児で重症化しやすい呼吸器感染症を起こす。こうした高額な予防薬を投与する当日は、小児科外来診療料の対象から除外し、薬剤を別に算定できるようにしてきた。

このパリビズマブと同じRSウイルス予防薬として、令和6年5月に「ニルセビマブ」が薬価収載された。ニルセビマブは、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤に分類される。今回の改定では、このニルセビマブの投与当日も、パリビズマブと同様に小児科外来診療料の算定対象から除外した。あわせて、施設基準で定める対象薬剤も、「抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤」へと整理された。

2つの見直しに共通する考え方

2つの見直しは、高額な項目を包括から切り出し、出来高で算定できるようにする点で共通する。出来高とは、個々の医療サービスごとに算定する仕組みである。この仕組みなら、高額な検査・薬剤の費用が、そのまま診療報酬に反映される。

この考え方の背景には、包括評価と費用のバランスがある。包括評価は、日常的な医療をまとめて評価し、算定を簡素にする利点がある。一方で、高額な項目まで包括に含めると、その費用が評価されず、必要な医療の提供が妨げられかねない。そこで今回の改定は、必要性が高く高額な項目を包括から除外し、両者のバランスを整えた。

まとめ

令和8年度診療報酬改定は、小児医療の高額な検査・薬剤を包括から除外する2つの見直しを行った。第一に、造血器腫瘍等を対象とするがんゲノムプロファイリング検査を、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外した。第二に、抗RSウイルス薬ニルセビマブの投与当日を、小児科外来診療料の算定対象から除外した。いずれも、高額な項目を出来高で算定できるようにし、必要な小児医療を提供しやすくする見直しである。



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サマリー

日本の小児医療において、高額な検査や薬剤が定額の診療報酬(包括)に含まれることで医療機関の負担となっていた構造的な問題に対し、令和8年度の診療報酬改定で重要な見直しが行われました。具体的には、造血器腫瘍に対するがんゲノムプロファイリング検査と、RSウイルス予防薬ニルセビマブの投与が包括の対象から除外され、個別に費用を算定できる「出来高」に変更されます。これにより、高額な医療が必要な子どもたちに対し、病院が経営上のジレンマなく最適な医療を提供できるようになります。

小児医療における「定額制」のジレンマ
あのちょっと想像してみて欲しいんですけど、ある大工さんが定額で家を建てる契約をあなたと結んだとしますよね?
はい。よくある定額プランですね。
ええ。でも途中で安全基準が変わってしまって、家族の命を守るためには、どうしても超高額な特殊な耐震用の光剤を使わなきゃいけなくなったと。
なるほど。でも契約は定額のままということですか?
そうなんです。だからその何百万円もの追加費用は全部大工さんの自腹になっちゃうんですよ。
それはきついですね。使わなければ命に関わるのに、使えば大赤字になってしまう。
はい。で実はつい最近まで、日本の小児医療の現場でもこれと全く同じ不可能に近いジレンマが起きていたんです。
今日はですね、令和8年度の診療報酬改定に関する専門資料を深掘りして、この問題にどうメスが入ったのか一緒に見ていきたいと思います。
今の大工さんの例え、今の医療現場が抱える構造的な問題をすごく正確に表していると思います。
包括と出来高:高額医療への対応
本当ですか?
定額払い、専門用語で包括と呼ぶんですが、これって本来は計算の手間を省いたり、医療費全体を一定に保つための便利なシステムなんですよ。
パッケージ料金みたいなものですよね。
そうです。でも医療技術が進んで、さっきの高額な光剤にあたる最新の検査とか薬が次々出てくると、病院側が費用を自己負担して疲弊してしまうという矛盾が起きていたんです。
そこで今回の改定資料の出番というわけですね。
はい。今回の資料では、そうした高額だけど絶対に不可欠な項目を定額のパッケージから外して、使った分だけしがらわれる、でき高、つまり個別算定に変更するという2つの重要な見直しを解説しています。
見直し1:がんゲノムプロファイリング検査の包括除外
その構造的な矛盾が一番深刻だったのが、小児ICUとかのまさに命に関わる最前線だったんですよね。
ええ。資料にある最初の見直しが、増血器腫瘍に対するガンゲノムプロファイリング検査なんですが。
ゲノムプロファイリングですね。
はい。これ、腫瘍のたくさんの遺伝子を一度に調べて、最適な治療方針を決めるものすごく高度な検査なんです。機械自体が高いのはもちろん、専門家会議がその膨大なデータを読み解くための評価提供料という人的コストもかなりかかります。
人の力も必要になるから、どうしても高額になるわけですよね。
そうなんです。でも、信じがたいことに、これまでは、小児の入院管理料とかICUといった定額パッケージの中に、この何十万円もする検査費用が丸ごと組み込まれていたんですよ。
え?ちょっと待ってください。それってつまり、目の前の子供を救うために最新の最適な検査をすればするほど、病院側は完全に赤字になる仕組みだったってことですか?
はい。まさにおっしゃる通りです。
いや、それはちょっと。
必要な医療を提供しようと頑張るほど病院が罰せられるような、そんな状態でした。でも今回、この検査が包括から除外されて、出来高になったんです。
ああ、よかった。それなら、病院側も経営上のジレンマに悩むことなく、純粋に患者、つまりあなたのお子さんにとって、ベストな選択ができるようになりますね。
本当に大きな一歩だと思います。
見直し2:RSウイルス予防薬の包括除外
なるほど。でも、この低学生のジレンマって、そういう高度な小児がん治療みたいな特殊なケースだけで起きていたわけじゃないんですよね?
そうなんです。実は私たちがよく知る、もっと身近な小児科外来でも同じ問題が起きていて、それが資料にある第2の見直しですね。
RSウイルスの予防薬の話ですね。
はい。新しく登場したRSウイルス予防薬のニルセビマブという薬なんですが、これも非常に高額でして、今回、小児科外来診療料という1日単位の低額パッケージから除外されることになりました。
医療費抑制と最先端医療のバランス
でも、そこで一つ素朴な疑問なんですが。
はい、何でしょう。
そうやって高額な新しい検査とか薬が出る度に、全部低額から外して個別払いにしちゃったら、そもそも医療費を抑えるために低学生を導入した意味がなくなっちゃいませんか?
国の医療費が再現なく膨れ上がる気がするんですけど。
まさにそこが国が直面している最大のジレンマなんですよ。
やっぱりそうですよね。
ただ、国も闇雲に例外を作っているわけではないんです。
この予防薬の対応で面白いのは、単にニルセビマブという特定の薬を例外リストに入れたわけじゃないというところです。
と言いますと。
ルールの対象を、コ-RSウイルス、ヒトモノクローナル抗体製剤という大きなカテゴリーとして再定義したんですよ。
あー、なるほど。つまりバータリ的な対応じゃなくて、ちゃんと未来での備えをしているってことですか?
その通りです。
モノクローナル抗体という大きな枠組みを作っておけば、数年後にまた似たような新薬が登場した時も、いちいちルールを書き直さずにシステムが自動的に対応できるわけですね。
ええ。単なる例外処理ではなくて、医療技術の進歩に合わせて、精度の骨格そのものをアップデートしようとする、そういう意図が資料から読み取れます。
医療制度の革新と未来への問い
全体を俯瞰してみると、これって単なる会計ルールの変更じゃないですよね。
事務手続やコストを抑える低額性のメリットと、どれだけ高額でも必要な最先端医療を届けるための個別払いのバランスをどうやって取り直すかっていう。
はい。まさに壮大な挑戦だと思います。
固定された医療制度という枠組みと、必進月歩で進化してどんどん高額化していく医療技術との間で起きる摩擦をいかに調整していくか。
うんうん。
それこそが今回の会計の最大の革新だと言えますね。
いやー深いですね。では最後に、これを聞いているあなたに一つ考えてみてほしいことがあります。
はい。
医療技術がこれからさらに進化して、奇跡的だけど莫大なコストがかかる治療法が次々と生まれる未来において、果たして今の低額性というシステムはそのまま維持できるのでしょうか。
難しい問いですね。
ええ。それとも私たちは今、最先端の医療を享受するために全てが個別払いに戻っていくという大きな歴史の転換点に立っているのでしょうか。
次に病院の会計窓口に立つとき、少しだけこのシステムの裏側を想像してみてください。
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