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2025-12-24 04:54

【2025年最新】医療DX推進体制整備加算の見直しとマイナ保険証利用率47%突破の全容

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中央社会保険医療協議会総会(第637回)において、医療DXに関する議論が行われました。本稿では、医療DXの診療報酬上の評価、マイナ保険証とオンライン資格確認等システム、電子処方箋の3つのテーマについて解説します。

医療DXは着実に進展しています。マイナ保険証利用率は令和7年10月時点で47.26%に達し、電子処方箋の調剤結果登録割合は82.8%となりました。令和7年4月からは医療DX推進体制整備加算の要件が見直され、マイナ保険証利用率の実績要件が段階的に引き上げられています。

医療DXの診療報酬上の評価について

令和6年度診療報酬改定では、医療DXを推進するための複数の加算が新設・見直しされました。主な加算として、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算、在宅医療DX情報活用加算、訪問看護医療DX情報活用加算があります。これらの加算は、マイナ保険証の利用促進と医療情報の活用を診療報酬で評価する仕組みです。

医療情報取得加算は、オンライン資格確認により患者の診療情報を取得・活用する体制を評価します。令和6年12月以降、この加算は初診時1点、再診時1点(3月に1回)、調剤時1点(12月に1回)に統一されました。令和6年6月から11月までは、マイナ保険証利用の有無により点数が異なっていましたが、現行の健康保険証の発行終了を踏まえて見直されました。

医療DX推進体制整備加算は、オンライン資格確認により取得した診療情報を診療に活用できる体制を評価します。この加算の施設基準には、電子処方箋の発行体制、電子カルテ情報共有サービスの活用体制、マイナ保険証利用率の実績要件が含まれます。令和7年4月からは、マイナ保険証利用率に応じて加算1から加算6までの6段階に細分化されました。

令和7年4月からの医療DX推進体制整備加算の点数は、医科で加算1が12点、加算2が11点、加算3が10点、加算4が10点、加算5が9点、加算6が8点となっています。歯科と調剤についても同様に6段階の加算が設定されました。マイナ保険証利用率の実績要件は、加算1・4で45%、加算2・5で30%、加算3・6で15%です。

令和7年10月以降は、マイナ保険証利用率の実績要件がさらに引き上げられます。加算1・4は60%、加算2・5は40%、加算3・6は25%となり、令和8年3月以降はそれぞれ70%、50%、30%に引き上げられます。電子カルテ情報共有サービスの経過措置は令和8年5月31日まで延長されました。

在宅医療DX情報活用加算は、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用し、在宅医療において質の高い診療を提供した場合に算定できます。令和7年4月からは、電子処方箋の発行体制の有無により加算1(医科11点)と加算2(医科9点)の2段階となりました。訪問看護医療DX情報活用加算は50円で、訪問看護ステーションにおける診療情報の活用を評価します。

マイナ保険証とオンライン資格確認等システム

マイナ保険証の利用は着実に拡大しています。令和7年10月のレセプト件数ベース利用率は47.26%となり、令和6年1月の3.99%から大幅に上昇しました。オンライン資格確認等システムを通じて、特定健診等情報、薬剤情報、診療情報の閲覧が可能となり、質の高い医療の提供に貢献しています。

オンライン資格確認の利用件数は、令和6年11月時点で月間約2億6,665万件に達しています。施設別の内訳は、医科診療所が約1億1,521万件、薬局が約1億713万件、病院が約2,156万件、歯科診療所が約2,275万件です。マイナンバーカードによる利用は約1億464万件で、利用率は39.24%となっています。

診療情報の閲覧件数も増加傾向にあります。令和6年11月の診療情報閲覧件数は約6,094万件、特定健診等情報閲覧件数は約3,062万件、薬剤情報閲覧件数は約2,296万件でした。これらの情報は、医師や薬剤師が患者の状態を把握し、適切な診療を行うために活用されています。

マイナ保険証の課題も明らかになっています。令和6年度診療報酬改定の結果検証調査によると、最も多く挙げられた課題は「ITに不慣れな患者への対応による負担が増加していること」で、病院70.8%、医科診療所65.4%、歯科診療所71.8%、薬局78.6%が該当すると回答しました。「システム障害時、診療に影響が出ること」も病院56.3%、医科診療所71.9%、歯科診療所68.8%、薬局48.6%と高い割合を示しています。

「システムの導入や運用に費用負担がかかること」については、病院61.1%、医科診療所57.8%、歯科診療所58.4%、薬局44.4%が課題として挙げています。「マイナンバーカード及び電子証明書に有効期限があること」も病院53.5%、医科診療所52.1%、歯科診療所54.8%、薬局52.4%と、約半数の施設が課題と認識しています。

電子処方箋

電子処方箋は、医師・歯科医師が処方箋を電子処方箋管理サービスに送信し、薬剤師がそのサービスから処方箋を取り込んで調剤する仕組みです。この仕組みにより、薬局での処方内容の入力作業が不要になり、医療機関と薬局の間で速やかな情報共有が可能となります。重複投薬や併用禁忌のチェックも自動で行われます。

電子処方箋の導入状況は施設種別により大きく異なります。令和7年10月時点で、薬局の導入率は86.5%と高い水準に達しています。一方、医科診療所は23.3%、病院は17.3%、歯科診療所は7.0%にとどまっています。調剤結果登録割合は月間82.8%となり、処方箋の約8割について調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録されています。

電子処方箋システムを導入した薬局では、いずれの処方箋種別を受け付けた場合でも調剤結果登録を行います。紙の処方箋、引換番号付き紙処方箋、電子処方箋のいずれを受け付けた場合でも、調剤結果を登録することで、即時性の高い薬剤情報の共有が実現します。この情報は、重複投薬等チェックの参照データとしても活用されます。

電子処方箋は災害時にも有効です。令和6年能登半島地震では、被災地にいる患者にオンライン診療を実施し、電子処方箋を発行することで、患者が現地の電子処方箋対応薬局で調剤を受けられた事例がありました。道路の寸断により通院や処方箋の郵送が困難な状況でも、通信インフラが回復していれば電子処方箋を活用できます。

電子処方箋による重複投薬防止の効果も期待されています。令和6年7月のNDBデータによると、複数医療機関を受診し、用法及び用量から通常想定される処方の量を大きく超えてゾルピデム製剤の処方を受けている患者が存在します。電子処方箋サービスの重複投薬等チェック機能により、このような不適切な処方を防ぐことができる可能性があります。

まとめ

医療DXは、マイナ保険証の利用拡大、電子処方箋の普及、電子カルテ情報共有サービスの整備を通じて着実に進展しています。令和7年10月時点でマイナ保険証利用率は47.26%に達し、電子処方箋の調剤結果登録割合は82.8%となりました。

医療DX推進体制整備加算は、マイナ保険証利用率に応じた6段階の評価体系に見直されました。今後は利用率の実績要件が段階的に引き上げられ、医療機関・薬局における医療DXのさらなる推進が求められます。電子処方箋については、薬局での導入は進んでいますが、医療機関での導入促進が課題となっています。



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サマリー

2025年の医療DXの進展状況とマイナ保険証の利用率の急増が取り上げられています。また、電子処方箋の導入状況における不均衡やその潜在能力が強調されています。

医療DXのマイナ保険証の普及
さて、今回は日本の医療DXをテーマに共有してもらったレポートをちょっと深掘っていきましょう。
はい、よろしくお願いします。
この資料で、まず目に飛び込んできたのが、マイナ保険証の利用率なんですけど、
2025年10月時点で47.26%。いや、これ1年ちょっと前は4%弱だったっていうじゃないですか。
そうなんです。
一体どうしてここまで一気に普及したんでしょう。なんか普通の伸び率じゃないですよね。
あの、その急増の裏にはですね、非常に直接的な仕組みがあるんですよ。
ほう。
それは診療報酬、つまり医療機関に入るお金ですね。
あー、なるほど、お金ですか。
2025年の4月から、医療DX推進体制整備加算という制度が変わりまして、
マイナ保険証の利用率に応じて、医療機関への点数が6段階で変動するようになったんです。
なるほど、じゃあもう利用率が低いとお金が減って、高いと増えると。
まさしく。
これはもう医療機関からすれば、やらないっていう選択肢は事実上ないというか、結構強引なやり方にも見えますね。
おっしゃる通りです。利用率が45%以上なら最高点、15%未満なら最低点と、明確に差がつくんです。
うわー。
しかもこの基準は、2025年の10月、それから2026年の3月と。
どんどん厳しくなっていくんですね。
そうなんです。つまりこれは単なるデジタル化の話っていうよりは、
国の政策が飴と鞭を使って、半場強制的に現場を変えようとしている、その構造そのものが革新なんですね。
確かにインセンティブとしては強力ですけど、一方でそのお金で釣るみたいなやり方って、本来の目的であるより良い医療のためっていう理念から、なんかずれてしまう危険性もありませんか?
ええ。
現場の負担も相当なものだと資料にはありますし。
まさにそこが問題で、ITに不慣れな患者さんへの対応で負担が増えているという声が一番多いんです。
まあ、やっぱり。
はい。病院の7割以上、薬局だと8割近くがこれを課題だと感じています。
電子処方箋の導入と課題
8割ですか。
ええ。他にもシステム障害のリスクとかコストの問題もあって、トップダウンで進めた歪みが現場スタッフの負担っていう形で、こう現れちゃってるわけです。
なるほど。マイナ保険証はある種無理やり使わせていることで、現場に負担がかかるっていう構図が見えてきましたけど、もう一方の柱、電子処方箋。
はい。
こちらでも同じようなことが起きてるんでしょうか。資料を見ると、なんかまた違った種類のねじれがあるように見えるんですが。
ええ。これは非常に面白い非対称性が見られるんです。
と言いますと。
薬局側の導入率はなんと86.5%と驚異的に高い。
すごいですね。
なのに処方箋を出す側の病院は17.3%、診療所は23.3%と導入が全く追いついていない。
そんなに差があるんですか。
そうなんです。薬局は受け取る準備万端なのに、肝心の処方箋がデジタルで来ないっていう、まあそういう状況なんですね。
でもポテンシャルはすごく大きいんですよね。重複投薬とか飲み合わせのチェックが自動でできるっていうのは、患者にとっては測り知れないメリットですし。
その通りです。それ以上にこの資料で僕がハッとしたのが、2024年ののと半島地震の事例です。
ああ、あれは本当に象徴的でしたね。
ですよね。普段は面倒だとか分かりにくいって言われる技術が、非常事態には文字通り命長。
道路が寸断された被災地の患者さんが、オンライン診療で発行された電子処方箋を手に、現地の薬局で薬理を受け取れた。
うわあ、それはすごい。
デジタルがその物理的な障壁を越えて命をつないだっていう感動的なケースです。
なるほど。じゃあまとめると、マイナ保険省は強力なインセンティブで普及は進んでいる。でもその裏で、現場が患者サポートという新たな業務に疲弊していると。
そして電子処方箋は命を救うほどの可能性を秘めているのに、発行する側の導入が遅れて足踏みしている。
それが今の日本の医療DXのリアルな姿ってことなんですね。
まさにそういうことです。国は精度というハードウェアをものすごいスピードで普及させていますが、それを使う人、つまりソフトウェアの部分が全く追いついていない。
この資料はそのギャップを見事に描き出しています。そこでですね、あなたに一つ考えてみてほしい問いがあるんです。
このデジタル化がさらに進んで、もう当たり前になったとき、次に問われるのはテクノロジーそのものじゃない。
それを使う患者さんと医療従事者のその心の負担を社会としてどう軽くしていくかという視点ではないでしょうか。
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