2022-04-17 20:03

東海道BEER編3|クラフトビールの未来をつくる

3本5000円という贅沢なクラフトビールを完売させているビール界の風雲児、田上達史さん。

最終話では、田上さんが醸造技師を務める「東海道BEER川崎宿工場」の名を一躍有名にした、2019年の台風15号による甚大な被害を受けた鋸南町をめぐる田上さんの驚くべき行動と、クラフトビール業界の未来のために作り上げた壮大なプロジェクトをご紹介していきます。3本5000円というラグジュアリーなビールを企画した理由が、ここで明らかになります。


●協力:東海道BEER川崎宿工場

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●ナビゲーター:倉嶋かれん(東宝芸能)

●プロデューサー:富山真明(PitPa)

●制作:株式会社PitPa


ご紹介商品

東海道BEER川崎宿工場

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サマリー

田上聡さんはビールの道を諦め、東海道ビールで復活し、川崎と巨南町の被災地支援キャンペーンを成功させています。彼はクラフトビール業界の衰退を危機感じ、高級なクラフトビールを提供するプロジェクトを立ち上げました。現在、田上さんは東海道ビールの醸造技師として様々な挑戦を続けており、クラフトビールの普及を目指し、顧客の層を分厚くすることに意気込んでいます。

ビール人生の復活と被災地支援
交通事故による後遺症のため、ビールの道を一旦は諦めたものの、新たにオファーを獲得し、東海道ビールで奇跡の復活を遂げたクラフトビール業界の風雲寺、田上聡さん。
伝説の男のカムバックを聞きつけ、ファンはお店に殺到。忙しい日々が戻りつつありました。再び日が差し始めた田上さんのビール人生でしたが、お店のある川崎では空に暗雲が立ち込め、辺りは薄暗くなり始めていました。
クラフトビールにすべてを最高の一杯にかける挑戦者たち。
第3話 クラフトビールの未来をつくる
このエピソードはシーズン2東海道ビール編の最終話になります。
一夜明け、不安な思いを胸にお店に向かいます。
お店は無事被害を免れましたが、千葉県の巨南町では大きな被害が出ていました。
そこにビールの醸造所があることは知っていました。
特に付き合いもなく、近しい醸造所ではなかったのですが、巨南町が大変なことになってずっと停電していると聞いたときに、
もう停電というのはビールにとっては死なんですよね、正直言って。
小さな醸造所をやっていたので、状況はだいたい理解、理解というか想像はできるんですよね。
間違いなく困っているし、もしかしたらこれきっかけで終わりなんてこともあり得るだろうなと。
ちょっとやっぱりこういう天災でそういう被害を受けるというのはやりきれないだろうなと。
当時の最高気温は30度を超える真夏日。
田上さん、熱に弱いビールの状態が気にかかりました。
それで何とか自分にできる支援をしようと思いましたね。
電話を通じなかったんですけど、ちょっとSNSとかを通じて連絡が取れまして、
そのとき貯蔵しているビールとか発酵中のものとかは全部捨てますという連絡を受けたんですよね。
捨てるのは当然なんですよ、やっぱり。
悪くなったビールを出すっていうのは、それをしないっていうのがプロですからね。
捨てるのは当然なんですけど、アイデアが浮かんで、
この捨てるはずのビール、それを使って支援が受けられるんじゃないかなというのは、
パッとアイデアが浮かんだので、もうちょっと待ってください、捨てるのは。
僕らがうまく使いますからという、そういう話をして最初は捨てるのを待ってもらったんですよね。
オーナーに相談の上、そのビールを買い取り、店内でチャリティーキャンペーンを実施することにしたのです。
もう損してでも助けたいという気概はみんなが一致したんですよね。
それで助けようということになりまして、結局貯蔵しているビールとかを全部瓶詰めしてくれというのをお願いしたんですよね。
瓶詰めしたら劣化してしまったと、そういうことを伝えた上で、それを支援者に渡します。
結局売れない、売り物ではないということなので、巨南町への寄付をしてもらって、
500円寄付するごとに1本差し上げますよというキャンペーンに切り替えたんですよね。
それで寄付金をもらって、結局買っているのと同じようなものなんですが、
その大量に瓶詰めしてもらったものを川崎と巨南町でアクアラインで橋でつながっていますから、
ビールを通じた支援キャンペーン
それで車で取りに行って、何百本ずつ川崎に持ってきて、皆さんに寄付と引き換えに配っていったというキャンペーンですね。
このキャンペーンは思った以上に反響を集めました。
反響がすごかったんですよ。SNSレベルが違う反響でしたね。
もう何かこういうことが起こるんだなというレベルで、
例えばそういうキャンペーンをやりますという投稿をして、
その投稿をしたその日に何人かの方が開店を待っててくれたんですよ。
もうその開店時間に合わせてじゃなくて、あらかじめ待っててくれて、
しかもそれはうちの常連さんとかじゃなくて知らない人だったんですよね。
知らない人、どこから来てくれたのかとかそういうのを聞きませんでしたけど、
待っててくれてすごい感謝をされたんですよね。
とりあえず間違いなく廃棄分はお金に買えることができましたし、
プラスその後ですよね、やっぱりそんだけいわゆるバズって、
いろいろニュースとかでも放送してもらいましたし、
寄付をする人じゃなくて、うちの店でも置かせてくれる、
そういう人がいっぱい現れたんで、もうあっという間に消えましたね。
醸造所を運営する苦しさを一一倍分かっている田上さんだからこそ、
踏み切れたプロジェクト。
多くの共感を生んだことは納得がいきますね。
高級クラフトビールの提供
やっぱり皆さんどう助けていいか分からなかったんですよね。
被害状況はありましたけど、自分ではどうすることもできない。
助けに行くこともできないんですよね。
皆さんが屋根を直せるわけでもないですから、
そういう状況でどうしたらいいか分からないけど、
何か支援したいなという気持ちはあって、
それがすごく支援しやすい形を僕が提供できたんだなと思ってますね。
巨南町を救うチャリティープロジェクトから3年の月日が経った2021年。
田上さんにはある思いが渦巻いていました。
この業界、能力のある人はすごくいるんですよ。
他の仕事をやっていたら必ず金持ちになっていたという、
そういう人たちもこのやりがいだけでやっているという。
もちろん貧乏をしているまではいきませんけど、
ちょっと能力と入ってくる、稼げるお金と
それが釣り合ってないんじゃないかなという思いが昔からあったんですよね。
それって結局、今は我々は業界を作ってきた側ですから楽しくやっていたんですけど、
これから入る若い子とか、新しく入ろうとする人たちに
希望が見せられないということにつながっていきますし、
このままだと確実に業界は衰退していくだろうなと、
そういう危機感から行動を起こしていますね。
クラフトビール業界を変えたい。
そんな強い思いから、新しいプロジェクトを立ち上げたのです。
もう簡単な話ですよ、ビールを高く売ると。
高く売るというのは、
当然業界的に良いことなんですけど、
突然じゃあうちのビールを高くしますと、20%上げますと。
そういうことを言っても、そんなことはうまくいかないので、
特別なビールを提供しますと。
間違いなく自分の名前をかけて特別なビールを作る。
だから高く買ってくださいと。
そういうことをしようと思いましたね。
やっぱりビールって地位が低いんですよね。
同じ発泡でもシャンパンは高いですよね。
シャンパンは高級料理店でも出せるお酒で、ビールは違う。
クラフトビールをシャンパンやワイン、日本酒などに匹敵する高級なお酒にシフトさせたい。
そういう思いから999本限定で最高のクラフトビールを作り上げたのです。
とりあえず私が精工を込めて作って、完璧なものを仕上げますと。
特別な材料も特別な熟成期間もないです。
ただ私が素晴らしいものを作るので、買ってくださいと。
そういうことをしたかったんですよね。
ですので、私が作ったクラフトビールは、
ピルスナーという本当にシンプルなお酒があるんですよね。
スッキリとしたもの。
そういうピルスナーで最高のものを作りますという触れ込みで開発しましたね。
こうして出来上がったのがプレミアムピルスナーアンタークチサイト2021。
この商品名には元物理の講師ならではのストーリーが詰まっていました。
アンタークチサイトというのは別名で南極石とかって言うんですよね。
南極で見つかった鉱石、要するに宝石なんですけど、
とてもきれいな鉱石なんですけど、
それが常温では液体なんですよ。
東海道ビールの挑戦
南極で見つかった時は当然宝石のような形をしているんですが、
それが当然手に取るとかそういうレベルじゃなくて、
普通の日本の鉱石のような形をしているんです。
こういう自然石で常温で液体になるというのは、
氷というのも一応分類としてはそうなんですけど、
氷、それから水銀、これはもう大昔からあったわけですけど、
南極石、そのアンタークチサイトというのは
南極石のような形をしているんです。
これはもう大昔からあったわけですけど、
南極石、そのアンタークチサイトというのは
日本人が発見したんですけど、そんなに歴史があるものじゃないですよね。
氷、水銀に続いて3例目として発見されたものですね。
ということで、そのタイトルに込めたのは
飲む鉱石と言いますかね。
こういうゴージャスな、高価なイメージというか、
そういうイメージにぴったりな名前が付けられたと思いますね。
はっきり言いますけど、自然科学とかそういう分野に関しては
もう莫大な知識を持っていますからね。
理科教師としての強みが生きたなというところですね。
万王寺して発売したアンタークチサイトは
3本セットで5000円という価格設定ながら、
初回999セットは完売。
その後発表した第2弾も完売と、大成功を収めています。
やっぱり作ってみて、すごいプレッシャーがかかるんですよ。
普段の倍近い値段で売ってますので、
もう一切手は抜けないし、
不安の要素は一つもないものを作り上げたわけですよね。
自分としてはそういうのはすごく楽しかったんですよ。
第2弾も発売しましたけど、
やっぱりそんだけ高いと批判も起きますよね、生安価なものを作ると。
それでも特別なものを作るっていう、
そういう状況はすごく自分の成長にもなりましたし、
そういうもの、特別なものを作りたいって人が現れて作ってくれたら、
やっぱり楽しいですよね、飲み手としても。
クラフトビール一杯に賭け、様々な挑戦を続ける
東海道ビールの醸造技師、田上聡さん。
最後に今後の抱負を伺いました。
腕を磨き続けるとかは当然ですね。
今作っているビールも、自分の中では完成したという実感は、
今だけじゃなくてずっと持ち続けているんですけど、
その中でもなお欠けているものが、
こうなれば改善できるっていうこと柄がちょいちょい見つかるんですよ。
改善されていくんですよね。
つまり完成でも、これで一番てっぺんだと思っていてもその上があるんですよね。
そういう作業を続けていくっていうのは当然、
ビール職人としてやっていかなきゃいけないことですよね。
でもプラス、やっぱり一番思うのは、
クラフトビール界のパイを広げるというか、
受け止める顧客の層を分厚くしていかなきゃいけないなというのはありますね。
今クラフトビールブームとか言われたりしますけど、
クラフトビールの普及
それでも業界にいる実感としては、
一般の人にはまだ認知されていないという、そういう実感です。
ちょっとそこら辺を広げられたらなぁとは思いますね。
それではアンタークチサイトを特別にご用意いただいたので、
飲んでみたいと思います。
5000円ってすごい。
美味しい。
えー。
一口飲んだ後に、いろんな香りとかいろんな味がどんどん出てくるので、
一気に3口くらい飲んでしまったんですけど、
ずっと鼻に抜ける香りがどんどん変わっていくんですよ。
なので、本当にずっと飲めちゃうというか、
クラフトビールを飲んだことない方とか、
ちょっと苦手だなって思う方でも、
すごい飲みやすいビールだなって思いました、飲んでて。
あ、あとすごい泡が長いですね。
うわ、すごい。
うわー、これはなんか、5000円の価値があります。はい。
田上さんのことをいろいろ調べたりとか、
遊び心がある方なのかなって思いました。
もともと物理の講師をされてて、そこからビールの世界にっていうのが、
私ももともと普通に大学生として過ごしていたので、
何かやりたいことを見つけてそこに全力で突き進むっていう姿勢が素敵だなと、
私ももともと頑張らなきゃなと思いましたね。
クラフトビールに全てを最高の一杯にかける挑戦者たち。
今日はここまで。
また次回この番組でビールの美味しい物語を堪能しましょう。
お相手は倉島佳蓮でした。
今回番組内で登場したビールは、
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