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2024-02-11 15:29

#1 勉強から学びの時代へ

コロナ以降の社会の変化から勉強と学びについて整理して教育のこれからについて考えていきます。

1."勉強"と"学び"の違い
2.勉強から学びの時代へ
3.学びは個人的で創発的
4.学びの実践
5.教育の価値が多様化する

話し手:中沢草太(Flourishing代表)

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サマリー

メタバ塾では、勉強よりも生徒の自己探求と人と共生する力を重視しています。そして、情報の共有や価値観の多様化により、教育の価値も変化しています。学びを生む関係を重視し、より良い人生を歩んでいくためのサポートを提供しています。

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こんにちは、ことなりラジオにようこそ。Flourishingの中澤 聡太です。
このポッドキャストは、教育や子育てなど、子供に関わる機会がある人に向けて、今までとは違った視点で子供と向き合うきっかけを作り、一人一人のことなりを楽しみ、時に慈しんでもらいたい、そんな番組です。
今回のテーマは、勉強から学びの時代へ、という内容でお話ししていきます。
最初に、勉強と学びの違いは何かを整理していき、なぜ学びの時代なのか、私がどのように実践しているかなどをお話しして、勉強と学びについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
勉強と学びの違い
勉強と学びの違い。日常の中で勉強と学びを区別して使うことはないかもしれないので、最初に整理しておきましょう。
勉強は合目的的な行為で、外発的な動機があります。 合目的的とは、何かの目的のためにやること、という意味です。
受験や資格のための勉強、科目学習などがあり、遠くの目的地に行くための手段、という感じです。
対して、学びは個人的な行為で、内発的な動機があります。 必ずしも目的がなく主体的な探求であり、一人一人気づきや発見が異なります。
何をどう学ぶのか予測不可能な側面があるので、勉強よりも範囲が広く、子供は遊びの中で学びを得ることが多いです。
遠くの目的地に行く手段である勉強とは異なり、学びは目的地はなく散策する感じで、気がついたら遠くに来ていた、ということもあります。
私はこうした性質を意識して、普段から勉強と学びを使い分けるようにしています。 この違いを踏まえて、これからの時代になぜ勉強より学びが重要になるのかを考えていきましょう。
勉強から学びの時代へ
2019年あるいは2020年、時代を2つに分けてしまうような大きな出来事がありました。 皆さんご存知のコロナウイルスです。
2020年以降、コロナウイルスをきっかけに世界の変化が加速してきました。 経済や社会情勢を始め、デジタル化のトレンドやAIの進歩によって、仕事だけでなく生活や社会の在り方を変えてしまい、
1週間後のことも予測できない不確実性の高い時代に突入しました。
2020年から2022年まででコロナ禍といえる状況も終わり、その間に多くの革新的なテクノロジーが生まれ、アフターコロナになった2023年に少しずつそれらが顔を出し、
2024年からそうしたテクノロジーがより私たちに身近な形で実装されることになります。
これから社会について考えるとき、2020年まではコロナ以前、ビフォアコロナ、2023年からはコロナ以後、アフターコロナに分けて考えるのが適切といえます。
そして教育も例外ではなく、そうした変化の波にさらされています。 情報の流れるスピードが信じられないほど速くなったおかげで、知識と情報が陳腐化するのも驚くほど速くなりました。
昨日まで世界一だったものが、今日には全く別のものが世界一になっていたり、人類が今まで遭遇したことのない問題が次々と現れ、正解が存在しない、もしくは複数の正解が存在しているのが現状です。
ビフォアコロナは子どもに対して、教師や大人は正解が存在している知識、教科書的な知識を一方的に伝えることが多かったり、
それは社会の変化がゆっくりだったり、ネットやコンピューターが十分に活用されていない、情報の流動性が低い時代での話になります。
これからは大人が言ったことをその場でチャットGPTに、これって本当?と質問して、大人イコール正しいというベールを脱がされることも増えるでしょう。
私が実際に子どもと接している中でも、学校の先生に対する不信感や大人の偏見などに疑問を抱く子が増えてきたと感じています。
知識量の多さでも、性比の判断速度でも、大人よりAIの方が優れている中で、私たちは子どもに対して何ができるのかを考えなければいけません。
社会の変化が早く、正解のない問題が増えていき、知識や情報がすぐに陳腐化して過去のものとなってしまい、予測不可能性が高く、AIの方が大人より白色な時代。
こうした背景から、目的と正解がある勉強よりも、個人的で探究的な学びが価値を持つようになると考えています。
学びの個人的な側面と創発的な側面
学びをどう実践するのかを話す前に、学びとは一体何なのか、その特徴である学びの個人的な側面と創発的な側面から深掘りしていきましょう。
学びは個人的で創発的。 私は学びについて話すとき、内容や方法より、学びは個人的で創発的な側面が大切だと説明しています。
個人的とは主体性が不可欠で、同じ内容でも一人一人学ぶことが違うという意味です。 同じ話をしたとしても、学習者によって何を学び取るのか異なります。
まさにこの番組を聞いた皆さんが何を考え、どんな気づきを得るのか、一人一人違うことが個人的ということです。
他に個人的な側面として、何に興味を持ち、いつ何を学ぶかは人それぞれであること、個人によって情報処理や理解の仕方が異なること、
主体性が必要なこと、感情が学習の成果に影響を与えることなどがあります。 個人的というと何かほつんと孤独なイメージかもしれませんが、どちらかというと先生や教室、
周りの環境などとダイナミクスな相互対応をしています。 それが2つ目の創発的ということです。
創発は作るに発すると書くのですが、辞書的な意味はシステム内で予期しないパターンが自然発生すること、
多次観的でない典型の振る舞いのことを指します。 学びにおいて創発的とは、授業内容や指導の枠組みを超えて、学習者の内面や学習者同士で自然発生的に生まれる学びや理解のことです。
創発的な側面としては、段階的ではない予測不可能な学びが生まれること、 教師や教材、教室などと相互対応があること、
学習環境が柔軟で開かれていること、 探求、実験、失敗の繰り返しがあることなどです。
学びは勉強のように1たす1が必ずしも2である必要がなく、 数字そのものに興味を持ったり、計算式の美しさに感動したりする自由さがあります。
これらを踏まえると、教師と生徒は学びを作る立場において対等な関係である必要があります。
一方的に知識や情報を伝えるのではなく、 双方向で授業を作り合う関係こそが学びを生むわけです。
こうした教育の在り方を関与の教育として、 理論化している学者、教育者としてパウロフレイデやベルフックスがいます。
次に例として、私が実際の授業の中で学びを作り合うために実践していることをお話ししていきます。
学びの実践
私は不登校の子供を対象にしたオンライン家庭教師サービスのメタバ塾というものを提供しています。
メタバースやゲームを通してコミュニケーションやサイエンスを学んだり、時にはゲーム作りをして創造性と自立性を伸ばすサポートをする、そんなサービスです。
メタバースやゲーム作りなどはあくまで手段であって、遊びの中で生まれる学びを尊重しています。
また、不登校の子の場合には勉強に挫折感があり、不安や恐怖心から学習そのものを回避する傾向もよく見られます。
なので、恐怖心を解消するために、講師と生徒は対等であること、どんな関心や発想でも尊重することを授業を通して伝えていき、勉強ではなく学びを作り合う関係を構築していきます。
ここで、僕と君は対等だよ、どんな考えも受け入れるよ、などのメッセージを言葉にすると途端にうさんくさくなるので、雑談の中や一緒にゲームをする中で姿勢で伝えていく必要があります。
中学校などにお呼びいただき授業や講座をすることもあるのですが、その際はオープンクエスチョンで子どもたちの回答をもとに授業を進めたり、
セコ紹介で自分の弱さ、例えば、昨日ゲームしすぎて寝不足なんだよね、など自己解除するようにしています。
話をメタバジックに戻すと、授業を生徒と一緒に作り上げることを重視して、授業内容そのものを選んでもらったり、手順や方法を伝えた後は自由にさせて、予想外の展開や発想を一緒に面白がって、時に笑い転げて学びを作りあっていきます。
たとえ同じ内容でも一人一人理解の仕方や情報処理が異なるので、個別性にはしっかり配慮しながら進めていく必要があります。
これが1対1のオンライン家庭教師という形にした理由です。
完全に自由で具体例がないと手を動かせないこの場合には、サンプルとなる例を用意したり、途中まで一緒に進めるなどの対応をして、
少し文章や話が長かったり、抽象的だと何言ってるかわかんないとなぎありになるこの場合には、こちらも理解してるかなと内心では手探りであることを正直に伝えて、
わからないことは悪いことじゃないから、どこから見失ったか、どこまでできたかを一緒に確認していこうと大量にしています。
この内容と教え方なら絶対に理解できるという正解はないので、生徒と一緒に学びを作り合うことを大切にしています。
ただ、相手を意図的に傷つけたり、不快にする行動や発言が目立つ場合には、大人として咎める場合もあります。
学びの場が柔軟で自由であることは尊重しますが、極端な言い方をすると、自分が満足するための道具として他者を扱うような態度は徐々しないよう心がけています。
特にオンラインで直接顔が見えない分、細やかな対応が難しい場合もあるので、そうした際は他の支援機関を提案することも必要だと考えています。
メタバ塾の教育方針
あとは授業の開始時にチェックインというものを行い、今の気分やその日にあったことなどを共有してから授業を開始しています。
そうすることで、寝不足や気分が落ち込んでいるときに内容を変更するなど柔軟な対応ができるようになります。
ネガティブな状態を隠さなくてもいいんだと感じてもらい、自分の気持ちを言葉にすることに少しずつ慣れてもらうという目的もあります。
自分の内面を言語化するのが得意でない子に対しては、講師から夜更かしした後悔や失敗したことを共有して弱みを見せたり、
嬉しさ、悲しさなどの感情表現を積極的に言葉にすることを心がけています。
メタバ塾では科目学習や受験対策などの勉強よりも、生徒の子が自分で考え探求し、人と共生する力を身につけられる学びを重視することで、これからの時代により良い人生を歩んでいくためのサポートを行っています。
注意してほしいのが、科目学習を含む勉強や学歴の価値がないということを言いたいわけではありません。
この点については次の教育の価値が多様化するでお話ししたいと思います。
教育の価値が多様化する。インターネットやSNSの誕生によって世界中の情報が繋がり、誰もが見たい時に見たいものに触れられるようになった結果、どんどん価値観が多様化してきました。
一つの転換点は、柄系からスマホへの移行で、携帯できる電話ではなく、ポケットサイズのコンピューターになったことです。
これにより、昨日やっていたテレビの話題でみんなが盛り上がることはなく、共通の趣味を持っている狭い友人と、YouTubeやアニメの話をするようになりました。
そしてAIが人の好みをより細かく分析できるようになっていき、この傾向がさらに深まっていくのは明らかです。
2010年代はあらゆる疑問や関心を調べられるGoogleの方が親よりも自分について詳しいと冗談で言われていたのですが、2024年以降は親よりGoogleよりAIの方が詳しくなるかもしれません。
マスという概念が徐々に失われていることを感じている人も多いでしょう。
共通の話題がなくなるだけなら私も、価値観が高度に多様化していくと、人の数だけ考え方・正しさが生まれるようになります。
そうなれば親御さんや子供自身が教育に求めるものも当然多様になっていきます。
正解のない問題や予測不能な社会を生き抜くために自ら考え探求していく能力を重視する人、人類が未だ成し得ていない偉大な発見や挑戦を重視する人、
教育の価値の変化
科目学習や学歴の価値がむしろ上がっていくと考える人、様々な考え方が生まれてくるでしょう。
どれも間違っていないのと同時に正解でもありません。
複数の正しさが同時に存在する社会、それが価値観が多様化していくということです。
子供は何を学びたいか主体的に選択していくようになるかもしれないですし、そうした自立性が社会から養成されるような時代になる可能性もあります。
AIをうまく教育に組み込めれば、従来のカリキュラムをより探求的に学びに近い形で実現できるようになるかもしれません。
これからの社会で教育にどんな価値を求めるかは一人一人が考えていかなければいけません。
ただ、これまでビフォーコロナの日本は教育に対して学歴主義、詰め込み主義的な傾向があったので、あえて問いを残したいと思います。
AIによる効率化でホワイトカラーの仕事が20から40%必要なくなるとされています。
学歴が入社パスとなっていたような大手企業がAIで効率化された上で今まで通りの規模で、今まで通りの人材を新卒採用するのでしょうか。
日本は簡単に人を解雇できないので、効率化によって社内で人材が余っている状態で企業はどうするでしょうか。
様々な革新的テクノロジーが社会に実装されることで、これからの産業構造はどのように変化するでしょうか。
子供が将来社会に出る時にはどのような時代になっているのでしょうか。
ぜひ考えてみてください。
そうした答えのない問いを大人も突きつけられている大変な時代だと言えます。
私も自分なりの答えを出すために日々学んでいる最中です。
学びをこうした形で発信していくので、また皆さんも一緒に考えてくださると嬉しいです。
番組に対する感想や話してほしいテーマなどがありましたら、ぜひ概要欄のリンクから教えてください。
それではまたお会いしましょう。
バイバイ。
15:29

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