英語の反対語の概念
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオheldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
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ぜひフォローしていただければと思います。また、コメントやシェアの方もよろしくお願いいたします。 今回取り上げる話題は、反対語っていろいろあって面白いという話題です。
反対語と言ったり、反義語、対義語、いろいろな言い方がありますが、英語ではアントニムという言い方をしますね。
ギリシャ語由来の専門用語ですけれども、アントっていうのが、このアンチですね。それに対する、敵対するという意味ですね。
ネームっていうのは、名前とか単語ってことになります。ということで、反対の単語という意味なんですけれども、逆の類義語ですね。
同義語、類義語っていうものは、シノニムって言いますね。 今日はアントニムの話なんですけれども、日本語でも英語でもそうなんですけれども、
単語の意味における反対って、いろいろと種類があるんですね。 何をもって反対とするかっていうことでですね、理解も様々です。
例えばですね、簡単な話で黒の反対は何ですかというと、多くの人は白というわけですよね。 白黒ですから。
ところが白の反対は、ある側面を見るとですね、これ赤の方が良い。 紅白と言いますからね。
じゃあ赤の反対は何かというと、いろいろあり得てですね、赤と黒なんていうスタンダードの作品もありますし、
さらにですね、信号機を思い浮かべれば、今度は赤の反対は青になるわけですよ。 青と言っても実際の色は緑っぽいわけですが、というふうにですね、反対って何っていうのは意外と奥が深い問題なんですね。
じゃあ高いっていうのはどうでしょう。これ反対は普通低いと言いますが、値段について言う場合には普通安いということで、つまり高いの反対には日常的によく使う語彙としては2つのアントニムがあって、低いと安いということですね。
一方、低いの立場から見ると反対語は大体高いしかないですかね。というように、どちらの立場から見た反対語というのを話題にするかということで、答えが変わってくるということですね。
で、兄の反対は何なのかといったとき、これは弟である。つまり兄弟というわけですけれども、年齢の上下というところをポイントにした反義語、反対語ですよね。
ところが男女差ということを念頭に置けば、兄の反対は姉であるという言い方もできるし、はたまた年齢も男女差というのも両方意識した本当の意味での反対語は兄の反対は妹なんだということだってできるかもしれません。
また犬に対して猫っていうのは、これは反義語とかアントニムって言える関係なんだろうかと少しはてなが飛びますし、タコに対するイカというのも一緒ですね。
またハッピーという英単語の反対は、じゃあアンハッピーなのか、それともサードというべきなのかというような問題ですね。
何を基準にして反対というのかというのは、なかなか奥が深くて、意味論の話題としては格好のトピックになりますし、場合によっては哲学の領域まで踏み込むというような難しい問題にもなってくるんですね。
今回はホフマンという意味論の入門書を書いた人ですね。この著書に書かれている単語のアントニムですね。反対語がいろんなタイプがあるんだよということを紹介していきたいと思います。
様々な反対語のタイプ
主に英単語を挙げますけれども、大体の場合、日本語でも他の言語でも当てはまるようなですね、反義語、アントニムのタイプということになるかと思います。
まず一つ目なんですけれども、これが一般的に一番プロトピカルな典型的な反対語といえばこれでしょうというようなものが、形容詞に多いんですけれども、英語で言うとhigh and lowという関係ですね。それからlong and short、old and new、hot and coldのような、いわゆる程度を表す形容詞ですね。
このような程度を表す形容詞というのは、両極があってですね、その一方の極と他方の極というのに名前がついているということです。その間は無限の途中の中間点があるわけですけれども、
なので例えばveryで就職できたり、比較級は最上級にできたりというような、程度を持つ形容詞であるとか、そこから発生される名詞みたいなものが当てはまりますね。これが最も典型的なアントニムということになりますね。グレイダブルアントニムというふうに呼ばれています。
次はですね、双方的という言い方でいいんですかね、complementaryというタイプのアントニムで、これはデジタルな関係です。つまりon and off、true or false、finite and infinite、mortal or immortal、single or marriedのような関係ですね。
基本的には二律背反の一対ということです。AだったらBじゃないし、BだったらAじゃないというような、はっきりした対義語ですね、yes or noというような感じで、デジタルなものです。
これはですね、程度がない、つまりAだったらBじゃないし、BだったらAじゃないしというような、完全に両極端しかなくて、その間の途中の点がないので、veryなんかで強めたりすることはできませんし、原則として程度じゃありませんので、比較級とか最上級みたいなのが使えないということになりますね。
最初に述べたグレイダブルアントニムというのがアナログということであれば、今回のコンプリメンタリーというのはデジタルと捉えると、その違いがよくわかると思います。
ただですね、このグレイダブルアントニムとコンプリメンタリーが混ざったような、ちょっと微妙な例というのもあって、これは面白いんですが、例えばopen and shutですね、ドアが開いている閉じているというのは、閉じているのはもう閉じているしかないんですが、openの場合は程度があるわけですよ。
ちょっと開いているとか大きく開いているとかといったように、shutの方はコンプリメンタリーな感じがしますが、openの方はグレイダブルというような、この2つが対応をなしているというような例もありますね。
そして次3つ目ですが、これはアントニムそのものというよりは、antonymous groupという方が適切かと思うんですが、最初に挙げたですね、色のような感じです。
2つで対応をなしているというよりも複数のものがあってですね、2つ以上の3つ4つ、いくつかのグループをなしていて、その中である意味仲間であるということですね。
色なんかが典型で、black, white, red, blue, green のように、何と何が反対かっていうのは、なかなか微妙な問題で、場合によってblackの反対はwhiteだったりするし、whiteの反対はredだったりするし、みたいな関係で、全体として意味も挙げた5つの単語を挙げましたけれどもね、他もあるかもしれませんが、
これでお互いにアントニムになり得るようなグループを全体として形成しているっていうような、そういうものですね。
例えば、dog, cat というのもそうですし、先ほどのタコ、イカというのもそうです。反対というには、なんか妙な感じはするんですけども、グループの中で反対になることが多い、反対として見られるというか、対になることが多い、そんなペアということですね。
他には、方角なんかもそうですね。North, South, East, West というのも、これ4項目からなっていまして、典型的には軸としては、NorthといえばSouthというのが、頭に浮かぶかもしれませんが、
状況によっては、Northの反対がEastだったり、というような、反対といいますか、対になるような状況っていうのもあるかもしれません。
4つ目は、Reversitiveというもので、だいたい動詞の動作で逆転関係を表すもので、Tie、結ぶに対してUntie、解くというような感じですね。
Close、着せるに対してUnclose、脱がせるというような感じで、動作の方向と考えるといいと思うんですね。
5番目、最後ですが、これはConverseと呼ばれているもので、Husband and Wife, Parent and Child、お互いに逆方向でありながら補う関係ということですね。
反対語の例と関係性
他にはBuy and Sell、買うと売るということであるとか、Lend and Borrow、貸すと借りるのような単一の出来事を、反対の観点からお互いに見るというようなものがありますね。
様々なアントニムがあることが分かったかと思います。ではまた。