2025-04-03 09:51

heldio #257. fox に対してメギツネは vixen

#英語史 #英語教育 #英語学習 #接尾辞 #女性接尾辞 #子音
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サマリー

英語におけるキツネのオスとメスの呼称の違いについて考察しています。特に、オスのキツネである「fox」に対し、メスのキツネが「vixen」と呼ばれる理由や、音変化に関する歴史を探っています。

キツネの呼称の違い
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。 このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、
fox に対してメギツネは vixen という話題です。
fox というのは、キツネ一般に表しますが、あえてですね、 オスメスを分けて表現したい場合には、オギツネ、オスのキツネのことを指すんですね。
ではそれに対するメギツネは何というかというと、兄弟のようにvixen という単語になるんですね。あまり見かけないかもしれませんが、vixen ということです。
vix の部分は、fox と、遠いですが関係あるだろうな、ということはなんとなくわかりますし、語尾の en の部分ですね。
これもメスを表す、いわゆる女性語尾なんだなということが、なんとなくわかるかもしれませんが、
fox の fo の部分がですね、メギツネでは vi となっていて、つまり死因も変わっているし、
母音も変わっているということで、なかなか想像はつかないっていうことですね。 なので完全に覚えてしまうしかないわけなんですが、fox に対して vixen となっている不思議についてです。
まず、女性語尾の en というのなんですけれども、これは、古英語の時代にはですね、en というよりは in と綴られて、in という形だったんですね。
これは、例えば現代も同じゲルマン語の仲間であるドイツ語なんかでは、in と綴ってですね、student 学生に対して女子学生、studentin
などにも見られますが、本来のゲルマン語的な女性語尾なんですね。この in というのが、古英語ではついた。
この女性語尾の in これ、i が含まれていますね。i という音。この影響で、fox のですね、この最初の要素の母音がですね、
i ミューテーションとか、i ウムラウトという音変化によって、i に近い音になっていくんですね。
その結果、古英語ではですね、すでに fixen という形になっていました。
fox に対して fixen ということですね。 さあ、ところがですね、まだこの時代には、古英語では
語頭、fixen という風に f が残っています。 fixen のように v にはまだなっていないんですね。
じゃあ、これがどうして濁ったかっていうところが、なかなか面白い問題なんですけれども、
時代としては、古英語の末期から、おそらくメインは中英語期だと思うんですが、この時代にですね、イングランドの南部、
イングランドの南部の方言で、こうした語頭の f の音が濁るという、まあ一種の鉛ですね、が生じました。
音の変化が生じて、f が z になるということですね。 そしてこのイングランド南部方言あたりがメインだったんですが、少しずつ
西の方にも広がっていってですね、分布が広がったと。 この f の音が、本来の f が v として発音される。
まあ主に語頭でですね。 そういう変化がだんだんと広がっていったんですね。
中英語では、例えば father に相当する単語ですね。 これは本来的には f で始まっていまして、
基本的にはですね、北部方言、東部方言では father、father なんて言われたんですが、その南部、それから南西部あたりの方言では
father、father っていうに v で発音されたっていうことなんですね。
で同じように、つまり fixen、fixen という目狐を表す単語もですね、これらの方言では vixen、vixen と発音されていたと思いますし、
それから、オスの狐、狐一般を表す fox だって同じ条件ですから vox、vox というに発音されていたはずなんです。
この中英語の南部、そして南西部あたりですね。 さあ、後に中英語後期から、そして近代語記にかけて標準形ですね。
単語の標準形が定まってくるという時に、この一般あるいはオスの狐に関しては、 後英語以来ずっと続いてきて、そして中部、北部、東部あたりでは一般的だった
f の形ですね。これが標準形として受け入れられたと。 ところがどういうわけか、この女性系である
vixen の方はですね、v と鉛った、つまり南部、南西部の鉛の状態で標準語に入ってきたということですね。 こちらの方が勝ってしまったということなんですね。
気づいてみたら、お狐は fox、f で始まり、女狐は vixen というふうに v で始まるというちぐはぐなことになってしまったと。
つまりペアで考えて標準形を決めたというわけではないということなんですね。
バラバラ別々になってしまったというのが、一種の悲劇。 現在となってはちぐはぐになっているということなんですね。
つまり南部あるいは南西部の鉛った発音、v のように濁ったシーンですね。 これが標準語に採用されるというのは、実は非常に珍しいことなんです。
ケースとしては非常に稀なケースで、たまたま vixen が取られてしまったということなんですが、これ実は現在でも
南西部を中心に、この v で発音される地域っていうのが、あそこそこ残っています。 中戦の時代よりは分布は狭くなったんですが、南西部に閉じ込められた形なんですけれども、現在でも
稀なケースの例
例えばイングランの南西部ではですね finger のことを vinger というふうに v で
発音するということが行われていますし、これ実はですね fv だけの話ではなくて ss という s と z の音ですね。
これについても言えて、例えばですね イングランの南西部のサマーセットなんかでは、自分のこの主語のことをですね
サマーゼットというふうに生って言うというような、ちょっとしたこう 方言ネタとしてよく知られているわけなんですけれども
ですから現代でもですね、誤答の f を z と発音している地域があるということですね。
すをず、f をずというふうに発音している地域があって、 中英語の時代にはもっと広く南部全域に広がっていたということですね。
その時代に由来する、なまった v の音がですね、近代語気以降にどういうわけか非常に稀なケースなんですけれども、標準語に受け入れられたという、その少ない例の一つが vixen っていうことなんですね。
他にどういう例があるかと言いますと、例は少ないと言ったんですが、分かっているところで言いますと vat なんていうのもありますね。
v a t という、バットです。 これプラスチック製、ステンレス製だったりしますが、長方形の平らな皿、これ料理に使ったり写真の現像処理に使ったりする、日本語でもバットと言っている、あれです。
vat なんですね。 これ実は、小英語に遡る単語で、小英語では fat っていう発音だったんですね。 f で綴っていました。
これが南部で中英語の時代に、v となまって、これがどういうわけか標準語に受け入れられたということですね。
その他の地域ではずっと f だったわけですが、小英語時代からずっと f だったんですが、南部鉛の v のものが標準形として受け入れられたという数少ない、もう一つの例です。
さらにもう一つ挙げますと、これはですね vein っていう単語です。 vein
v a n e これは風光系、家の屋根の上なんかにある風見鳥ですね。
あれも本来はですね、小英語では fana というふうに f を持ってたんですね。 それが南部鉛の v に化けて、それがどういうわけか標準形に採用されたということです。
というわけで、非常にレアな中英語の方言に由来する鉛った形、v の音ですね。
これで入ってきたのが vixen であり that であり vein だということなんですね。
私が知っている限り、おそらくこの3語のみというレアケースを紹介しました。 それではまた。
09:51

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