1. 英語史つぶやきチャンネル
  2. heldio #31. なぜ know の k ..
2024-08-20 09:23

heldio #31. なぜ know の k は読まないの?


---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767
00:02
おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる素朴な疑問は、なぜ know の k は読まないの、という話題です。
これは、いわゆる黙字、黙っている字ですね。書いてあるのに発音されないという黙字、英語では silent letter というふうに呼んでいますが、英語にはこの手の黙字が非常に多くあるんですよね。
その中でも、最も典型的なものの一つというのが、kn で始まる語ですね。
結構あるんですが、この k は決して発音されないということなんですね。
例えば、この know の、この知っているを意味する know っていうのもそうですし、 knockdown なんていうの、knock もそうですね。それから knob、ドアノブの knob なんていうのもありますし、
それから編む、編み物をするという knit っていうのもありますね。それから生地を表す night っていうのもそうですし、 knife もそうですね。それから肘を表す knee っていうのもそうですし、こねる、 knead なんていうのもそうですね。
結構あります。この kn で始まって、決してこの k は読まないということですよね。
読まないのであれば、何で書いてあるのかということになりますけれども、この謎はですね、英語書を紐解くと分かります。
実は300年ぐらい前までにはですね、kn と、まあ現代のように綴ってしっかりこの k が発音されていたんです。
したがって知っているという単語は know というふうに、はっきり k の音が出てたんですね。
knife も、くないふ、というように発音されていたというわけです。
ところがですね、今から300年ぐらい前、17世紀末から18世紀初頭にかけてですね、この k の音がだんだん弱まって、最終的には消えてしまうということが起こったんですね。
know で実演してみますと、最初は know だったわけですね。
この誤答の k の部分が弱まって、fknow みたいになります。
その次、さらに弱まって、歯行のシーンのようになりますね。
つまり息だけの音になっちゃいます。
この息だけの音がさらに弱まると、結局無くなって no no no ということです。
k の音っていうのは結構硬い音でですね、しっかりと保たれることが多いんですが、
とかくこの n の前の位置ですと、若干からされやすくてですね、結果として先ほどのように
03:08
know, fknow, fknow, know というふうになくなってしまうということが起こったんですね。
ですが、1700年ぐらいのことなんですが、すでにつづり字はほぼ固まっていました。
つまり kn と句が発音された時代のつづり字で、標準的なつづり字が確定していたので、
その後発音の変化が起こったからといってですね、スペリングはそれについていくようなことはなかった。
つまり k はしっかりと残ってしまったということなんですね。
このようにして、現代は発音されないこの k がつづり字に残っているのは、
300年以上前にはしっかりと発音されており、その頃の発音を表すつづりが今でも用いられているという、
この辺りにスペリングと発音のギャップの謎があるということになります。
この、「知っている」という非常によく使われる動詞 know だったのが know となったわけなんですが、
この関連語もやはり同じように k は読まれませんね。
例えばこの know の名詞形である knowledge というのも、お尻に rich という名詞語尾がついただけですから、
当然 know の部分は変わらずに k は書いてあっても読まないということになります。
ところが、一つ面白い単語がありまして、
know の関連語なんですが、この k が発音するという単語が実は存在します。
それは何かというと、今の名詞形の knowledge と関係するんですが、頭に ac ですね。
これをつけると acknowledge という、認めるという動詞があります。
ここではきっちり acknowledge というふうに k が読まれるんです。
もちろんその名詞形である acknowledgment というのもそうなんですが、
これはなぜかと考えると面白くてですね、
今まで kn の文字で始まる単語に関しては k が絶対に消えたということを言ったんですが、
もう少し厳密に言うとですね、 kn で始まる単語というよりは、
kn で始まる音節において、その最初の k が落ちるということが起こったんですね。
この acknowledge の場合ですね、ac とありますよね。
これ実は古い英語の on なんです。
on の n が結局落ちて、a だけを o だけ、a だけになってしまった、
母音だけになってしまったということで、
on たす know というような語形性だったんですね。
古い英語からありまして on known なんて言ったんです。
これ on というのはちょっとした瀬戸字ですので、意味を少し添えるというか変化させる、
06:05
強めるって言ったぐらいで、結局認めるっていうのは知るっていうことですから、意味は似てるわけですよね。
もともと on known というものだったんですね。
一方で knowledge、先ほどの知るに対して知識という名詞ですね。
この knowledge に相当する単語も割と早い段階に英語では表れていて、
しかも名詞語尾をついて名詞になったにもかかわらず、
これがそのままですね、動詞としてもまた使われるようになったという変な単語なんですね。
そこで on とこの knowledge を組み合わせて
on knowledge、on knowledge みたいな形で認めるという意味になっていた。
ところが on の n が落ちてしまうんですね。
そうすると on knowledge で最終的には on knowledge となります。
そしてこの on knowledge の部分、本当は on knowledge ということなんですが、
分析の仕方として ack プラス knowledge という部分のように、
その k の音がですね、前半の a に引き付けられて、
ack という窃盗字であるかのように解釈したわけです。
これはですね、例えば accept とか acquire とか、
ack という窃盗日らしいものというか、ごとにあられるものってありますよね。
あんなものからの類推だと思われるんですが、
ack プラス knowledge というふうに音説の切り分けもそこになったんです。
ですので kn という繋がりは音説内部にはない。
k と n の間に区切り目があるってことです。
ということなので、この kn で始まる音説にはなってないので k は落ちなかったということですね。
結果として今でも no の関連語なんですね。
語源的に言えば明らかに no とか knowledge の関連語なんですが、
acknowledge においては k は落ちていないということになります。
さあ、ついでにですね、あまり数は多くないんですが、
gn で始まる単語っていうのもいくつかあるんですね。
例えば gnar, gnash, gnat, gnaw, gnome なんていうのを聞いた限りでは g などどこにも現れないんですが、
スペリングで書くと、例えば gnat なんていうのは g n a t ですね。
gnash っていうのは g n a s h っていうふうに g が入って g n なんですね。
これも kn と同じように結果として落ちてしまったんですが、
必ずしも kn とすべてが連動しているわけではなくて、
また別と考えた方が良い音の変化だったようなんですね。
ですが、結果としては同じで、ある時までは gn としっかり g を発音していたんだけれども、それが消えてしまった。
09:08
ところがつづり字の方はそんな発音変化についていくわけでもなく、
すでに定まってしまっていた標準的なつづり字 gn のまま残ったということですね。
それではまた。
09:23

コメント

スクロール