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2024-08-21 08:36

heldio #32. wisdom は wise の名詞形だった!


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サマリー

今回のエピソードでは、英語の名詞「wisdom」が形容詞「wise」に由来していることが解説されています。また、「dom」という語尾の歴史や用法についても紹介され、さまざまな例が挙げられています。

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おはようございます。英語の歴史を研究しています、慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。
wisdomとwiseの関係
今回取り上げる話題は、wisdom は wise の名詞形だった、という話です。
これは、気づいていなかった人も多いんではないかと思いますが、意味を考えれば確かに関係するなということは分かると思うんですね。
wisdom、知恵ですよね。その wis の部分、これがですね、実は wise
知恵のある賢いという、よく使われるあの形容詞なんですね。これに dom という、これ実は名詞を作る語尾なんですね。
これをつけることによって、発音やスペリングも少し変わるわけなんですけれども、wise が wisdom というふうになるということです。
この発音通り字が少し変わってしまうので、この2つの関係、派生関係にあるということが見抜けないことが多いんですが、
意味を考えれば、なるほど wisdom は wise の名詞形だったんだ、ということが分かると思うんですね。
さあ、この dom という名詞を作る語尾ということなんですが、あまり聞き覚えがないと思うんですね。
普通、名詞を作る語尾といえば、なんとかネスであるとか、なんとかションであるとか、いくつか生産性の高いものというのがありますね。
その中で dom で表されるこの dom っていうのはあまり出てこないわけですね。
実はいくつかあります。例えば、もともとおそらくよく知られているのは freedom ですよね。
これ free にそのまま dom をつけただけですから、これは非常にわかりやすい。 wise wisdom の関係よりももっとわかりやすいと思うんですね。
他にはですね boredom、退屈っていうことですね。
I'm bored っていう時の bored に dom をつけるっていうことです。
wise と free の場合は、これはもともと形容詞で、それに dom をつけることで名詞化するっていうことなんですが、実際にはこの dom を持つ単語はですね、
その前に来るのが形容詞ではなくて、それ自体が名詞っていうことも結構あるんですね。
大元をたどるとですね、これは古英語のドームと発音する単語にさかのぼります。
このドームというのは現代の dom で書かれる doom っていうことですね。これ運命とか裁き、判決ということです。
少し重々しい単語ですね。例えば doom's day っていうと裁きの日っていうことで、いわゆる最後の審判の日のこと言うんですね。
実はこれ、動詞形もあって、これは d-e-e-m の deem です。これも判決する判断するとか、みなすという少し古風な単語ですけれどもね。
これ全部関連語っていうことです。この古英語の dom という単語ですが、これはもともとやはり判決とか法令とかですね、
状態、権力、いろいろな意味を表したんですけれども、これが元になっています。これが包まって設備時になったのが、ダムっていうことですね。
何々の状態、何々の位置、何々の権力といった意味で、非常によく使われたんですね。
ところがですね、現代の英単語でこの dom を持つものというのは、ぱっと思い浮かぶものっていうのはそんなに多くないと思うんですね。
よく調べれば実は結構あるんです。先ほどの wisdom, freedom, boredom っていうのを挙げましたが、これなんかは純粋に状態を表す
抽象名詞を作るっていうことですね。他には何々の地位、地位とか位置ですね、何々の権力、何々の世界というような意味で使われるものがあります。
例えば Christendom キリスト教世界っていうことですね。それから Dukedom これ公爵の爵位、地位のことですね。
Earldom というと伯爵の爵位っていうことです。それから Kingdom これはありますね。これはまさに王国ということです。
王の権力の及ぶ世界というぐらいの意味で Kingdom ですね。それからこれも知っているかもしれません。 Martyrdom 殉教ですね。
Martyr っていうのは殉教者ですよね。これの地位と言いますかね、ということです。それから Popedom これ教皇職、とか Sheriffdom これシェリフの職位っていうことですね。
他にはですね、少し軽蔑のニュアンスを伴って、その関係する集団、その関係する社会の流儀みたいな意味で、
例えば Filmdom っていうと映画界を指します。それから Officialdom とすると官僚の世界、官界ですかね、のような使い方があります。
それでも英語の生産性に比べれば、この Dom という設備地はですね、その後の歴史で特に中英語、近代英語とで衰退していって、
その他の、なんとかネスであるとかションとか、別の名詞を作る語尾の下でですね、かなり衰退していったんですが、非常に面白いことに19世紀以降、どうも復活してきてるんですね。
臨時的に軽蔑のニュアンスを伴って、いろんな名詞につくことができる。生産性を再び高めてきた。
一度は衰退して、死にかけたものがですね、少し復活しているって気づきがあるんです。
例えばですね、ある研究者による数え上げた統計を見てみますと、1800年以降、この200年ぐらいですね、この Dom がついた単語がですね、約305ぐらい現れてるんです。
これ一気に生産性を増してきたということですね。ただ、そういった単語も臨時的に1回限り使われたり、ある特定の年だけ使われたり、ある特定の作家が使っていたりっていうふうに、一般化必ずしもしてるわけではないんですが、そのような単語がですね、たくさん挙げられています。
なぜ比較的最近になって、このように復活を遂げてきたかという問題については、これはよくわからないと言えばわからないですね。
ですが、この臨時的に言葉を作れるというような便利さが用いられて、例えば Dollar Dom とかですね、 Gangster Dom とか Girl Dom であるとか、そのような一般の辞書にはあまり乗らないだろうなっていう臨時的に使われる節字として、どうも最近人気を博してきているということなんですね。
このように一旦、死んだかのように見える節字がですね、復活するということもあるんだという非常に面白い例です。
古くから残っているものは、先ほど申し上げたように非常に少ないということですね。
この Wisdom なんかがまさにその典型的な一例ということになります。
今思い出しましたが、もう一つ皆さんが知っている可能性があるものとして、スターダムですね、スターの地ということがあります。
このように多くはないですが、Dom、中小名詞を主に作るこの設備字に注目してみると面白いかもしれません。
それではまた。
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