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2024-08-19 08:00

heldio #30. editor が先で edit が後にできた


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おはようございます。英語の歴史を研究しています。慶応義塾大学の堀田隆一です。
このチャンネルでは、英語の先生もネイティブスピーカーも辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして新しい英語の見方を養っていただければと思います。
今回取り上げる話題は、editor が先で edit が後にできた、という話題です。
これは何のことかと言いますと、A単語の非常に多くの単語において、edit みたいな動詞、編集する。
これが先にあって、これをする人だから、ここに OR とか ER とか、こういうのを付けて、editor となる。編集者ですよね。
この順番が普通だと思うんですね。英語の新しい単語を生み出す際に、まず元の動詞があって、それに行為者語尾を付けるというのが典型なわけです。
例えば、elevator に対して elevator というのも OR ですが、今の順番ですね。動詞、そしてその行為者名詞ということですし、
lie、liar っていうのは、これは語尾が AR になるんですが、これも同じですね。
lie が先にあって、嘘をつくですね。で、liar、嘘をつく人。圧倒的に多いのは実は ER なわけですけれども、これなんかもう無数に例が上がりますね。
例えば drive だから driver なんだと。write だから writer なんだという具合に、当然の順序で新しい語が、行為者名詞が作られるということだと思うんですね。
ところが、中には逆にできてしまうというものがあります。つまり、先に行為者名詞が OR とか AR とか ER が付いた状態で、まず先に現れてですね。
そこから、じゃあこの行為者語尾を引き算すると、取り除いてしまうと動詞になるだろうという、逆の発想で作られたものっていうのが結構あるんですね。
この editor、これがまさにそうで、先にまず編集者という意味の editor が現れているんです。その後に OR を抜いた形で動詞ができるという、普通とは逆の形で作られるということですね。
これは逆性、逆に成立するという造語法ですね。逆性と言われています。この点の単語はいろいろと調べてみるとあるものでですね、ER とか ING とか名詞こびであるとか、何らかの特定のものが付いたものですね。
それが先に歴史上生じていて、そこから語尾なんかを引き算することで、新しい典型的な動詞になるんですが、動詞が生まれるということですね。
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例えばですね、いくつか挙げてみましょうね。先に air conditioner ができました。そして動詞として air condition っていうのができたという順番。それから baby sitter が先に生まれて、ER を取り除いて babysit。
ベビーシッターをする、こもりをするという動詞ですね。これが生まれているんです。それから beggar ものごいですね。これは AR 語尾なんですが、これを取り除いて beg ものごいする、こうという動詞ができました。
それから brainwashing、洗脳です。ここから ING を取り除いて brainwash という動詞ができた。 bulldozer ですね。ER を取って bulldoze。脅すとか威圧するということですね。bulldozer のように攻め入るという感じですかね。
それから burglar、強盗です。そして burgle という強盗する、押し入るという動詞が生まれました。それから commentator が先にできて commentate という動詞が後にできた。
それから通勤する人といえば commuter が先にできて commute、通勤するというものが生まれた。diagnosis という名詞が先で diagnose、診断するという動詞が生まれているということなんですね。結構あるんです。もう少しいたしますと enthusiasm。ここから逆成されたのが enthuse という、熱狂させるという動詞ですね。
それから peddler ですね。これは行商人ですね。それから peddle、行商する。 sightseeing、ING ついた形が先なんですが sightsee、観光するという意味になっている。
テレビジョンからテレヴァイズが生まれ、タイプライターからタイプライトという動詞が生まれたという具合に非常に多くの例があるんですね。これはもちろん逆でない、普通の順序でできるものですね。
動詞があって、それに ER つけたり OR、AR つけたり ING をつけたりするというごくごく普通の順序で作られるものが、当然圧倒数を占めるということですね。非常に多いので、このペアといいますか、動詞にそして ER っていう、このペアがあまりに多すぎるので、先に ER がつく単語が出たとしても、必ずやそれに対応する ER を取り除いた、
動詞があるに違いないという発想ですね。そこから生まれてくるということは、逆性に対して正しい順番、普通の順番というものが、こっちのが圧倒的に多いからこそ、逆に言うと逆性という語形性の余地が生まれるということでもあると思うんですね。
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このような語形性、少なくはないわけなんですけれども、これを英語の用語で逆性というのは Back Formation っていうんですね。わかりやすいですね。バック、後ろにフォーメーションするっていうことで、この用語ですね、逆性という言語学用語なんですが、これは初めて使われたのが Oxford English Dictionary ですね。
この編集士官を務めていた、マリーという辞書編参課ですね。これが先ほど述べましたが、バーグル、バーグラーから ER を取り除いて、バーグルとしたですね、このバーグルの語源を解説するのに用いたのが最初ということです。
このバーグラーからバーグルができる現象をですね、言語学用語として、このマリーはバックフォーメーションと名付けたんですね。これが1888年のことです。
この後、1911年にですね、このバックフォーメーションという用語、これ名詞ですが、ここから逆性されて、バックフォームという動詞ができました。つまり、これは1911年のことなんですけれども、順番としてはバックフォーメーションが先で、バックフォームが後ということなので、
The word backform was backformed from backformationということになります。ではまた。
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