【再】#613. 苦手な人とは言葉遣いを合わせない --- 社会言語学の教え
2026-03-25 14:11

【再】#613. 苦手な人とは言葉遣いを合わせない --- 社会言語学の教え

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に
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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語のなぜに答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語史をお茶の間におもっとうに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は2月3日金曜日です。節分ですね。いかがお過ごしでしょうか。
本日はVoicyの今週のトークテーマ、こちらに参加したいと思います。苦手な人との付き合い方というトークテーマが与えられているわけなんですけれども、
こちらに関しまして、今日のタイトルは苦手な人とは言葉遣いを合わせない社会言語学の教えです。どうぞよろしくお願いいたします。
本題に入る前に新著のお知らせです。京都大学の家入陽子先生と私堀田隆一による教著、文献学と英語史研究が開拓者より出版されています。
1月12日に一般発売となっておりまして、もっか宣伝中です。このヘルディオでも何度か取り上げてきましたし、いつい先日は609回と611回、この2回に分けまして、
教著者である家入陽子先生と私とで対談という形で、この本の紹介をさせていただきました。609回と611回ですね。こちらまだお聞きでない方はぜひお聞きください。非常にいいトークになっています。
本書の紹介にとどまらずですね、コーパスの世代の話であるとか、大変凝縮した中身の詰まったトーク、対談となっておりますので、聞いていただければ幸いです。
この本は、英語史を研究している方、あるいは研究を志す方に、過去40年ほどの英語史研究の動向、そして今後の展望を整理して示すという趣旨の本です。
関心のある方はぜひ手に取っていただければと思います。このチャプターに本書を紹介する記事へリンクを貼っておきますので、そちらより詳細をご覧ください。
以上、新聴、文献学と英語史研究のお知らせでした。
今日の本題は、苦手な人とは言葉遣いを合わせない社会言語学の教えと題しまして、Voicyの今週のトークテーマに参加する形で放送をお届けしたいと思います。
トークテーマ自体は、苦手な人との付き合い方ということで、まずこのお題に対する私の端的な答えは、苦手な人とは付き合わないということですね。これができれば一番良いということになりますね。
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ですが、このお題というのは、どうしても付き合わなければならない人で、かつその人が苦手であるというような場合を基本的には念頭に置いているんだと思うんですね。仕事であるとか、親戚家族であるとかですね、やはり簡単に付き合いをやめるわけにはどうしてもいかないという状況があります。
だけど、苦手なのでなるべく付き合いたくない。こんな状況を想定しているのかなというふうに思うんですけれども、まずはですね、やはり完全に付き合いを切るというわけにはいかないにしてもですね、付き合う頻度を少なくするように努力するであるとか、あるいは会ったり話したりするにしてもですね、なるべく短く切り上げるということで、
その苦手で不快な時間を少しでも短くするというところに努力を向けると良いのかなというのが、まず一般的な私の回答なんですけれども、まあやっぱりですね、どうしても付き合ったり話したりあったりしなければいけないことっていうのは出てきます。
そこでですね、私自身がこれをものすごく意識的にこの方法を利用しているかというとそういうわけでもないんですけれども、今回のこのトークテーマのお題を与えられてちょっと考えてみたところですね、これ今後戦略としてもう少し意識化しておいていいんじゃないかなと思ったことを今日はお話ししたいと思います。
社会言語学からの教訓なんですけれども、苦手な人とは言葉遣いを合わせないという方略ですね。
言い換えますとうまく言葉遣いを選ぶ、操作することによって嫌いであることを嫌いと言わずに、明示的に言わずに伝える。
逆利用も可能です。つまり好きな人に好きだとは直接言わずに好意があるということを伝えるという場合にも使えるのではないかと思うんですが、原理としては非常に簡単です。
近づきたくない人とは言葉遣いを違わせるということが原則で、逆に近づきたいなと思っている人とは言葉遣いを合わせるというこの単純な原理です。
ここでですねカップランドという社会言語学者による有名な研究を一つ紹介したいと思うんですね。
場所はイギリスはウェールズのカーディフという町です。この旅行代理店で働いている代理店の人ですね。
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営業さんです。営業さんがいろいろな職業、階層の人々客とですね旅行の手配について電話で会話している。その様子を録音しておいて、このカップランドという研究者が後に分析したということなんです。
旅行代理店に電話で問い合わせをしてくる人々というのはお客さんですね。様々な階層だったり職業だったりします。例えば学校の先生だったり秘書さんだったりそれから掃除屋さんだったりとかですね様々です。上から下までというところですね。
そしてこの分析の結果わかったことは、この代理店の営業さんは客の話し方に合わせて話す傾向があるということを突き止めたんですね。具体的に注目したのは非常に微妙な発音です。
母音に挟めれたtなんですけれども、これは文字通りtというふうにtで発音される場合もあれば、実は濁って優勢化してd、dとして発音されることがあります。標準的、規範的な発音では文字通りtで発音されます。
例えば校舎という意味のlaterですね。しかし一部ですね、この母音に挟めれたtをdで発音する人がいたり、あるいは同じ話者でも時と場合によってdで発音したりするというケースがあります。この場合ladderになります。
校舎の意味のlaterをですねladderと発音すると、もともとdであるはしごを意味する単語ladderと全く合一してしまいますね。ladderladderというふうに区別がなくなります。
アメリカ英語などではこの傾向が顕著ですね。他には例えば書き手、作家の意味でのwriterですね。これtがdに分けたらriderとなって、バイク乗りのriderと同じ発音になるというようなことです。
さて、このcardiffにおいては母音間のtですね。これは比較的社会階級の高い人は標準通りにtで発音する傾向が高いんですけれども、社会階級の比較的低い人々は優勢化したdを用いるということが多いんですね。
また、個人によっても両方の発音を使う。ある場合にはtだけれども別の場合にはd。その相対頻度というのがですね、個人によって異なっているというような事情があります。
そしてこの旅行代理店の営業さんは中流階級に属していて、75%は規範通りのtで発音するけれども、25%はdで発音するといった特徴の持ち主だということなんですね。
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まずこれが前提となります。この営業さんが客と話すときに、dの比率が高い客と話すときは、自分自身も営業さん自身も高くなる。そしてdの比率が低い客と話すときは、自分の本来のパーセンテージよりも低い割合でdを使う。
つまり客のd使用率に近づけて自分もd使用率というのを操作しているということなんですね。これがどこまで意識的無意識的なのかっていうのは微妙なラインなんですけれども、相手の話し方に合わせるということで仲間意識を作り出し、そしてそれ当然営業にとっては得ですよね。
契約成立に漕ぎつけやすいということで、ある意味では有能な営業さんというのは、この技を意識的あるいは無意識的に身につけていると言えるのかもしれません。この相手の話し方に合わせるというのは、広く社会言語学ではアコモデーションっていうふうに言ってます。アコモデーション理論なんて言ったりするんですけれども、
このカプランドの分析では、tの発音という極めて細かい点に注目したんですが、これは発音のみならず使う語彙であるとか、会話のテンポであるとか、話の長さ、文法、非言語的な行動に至るまで様々なアコモデーション、つまり相手に合わせるとか歩み寄るということはですね、観察される。
つまり仲間になりたかったら、あるいは仲間に引き込みたかったら、相手と同じ言葉遣いをするっていうことが重要なんだということになります。
逆もまたしんなりです。
相手と距離を置きたい場合には、なるべく互いの発音なり語彙なりテンポなりっていうことをずらすということですね。
波長が合わないように持っていく。そうするとやはりぎこちなくなりますし、お互い快適でなくなるということなんですね。
つまり苦手な人、距離を置きたいなという人とどうしても話さなければいけないとき、相手のテンポとあえて異なったずらし方、テンポだけではありません。発音、語彙、その他諸々の言語に関する行動ですが、なるべく相手とずらすようにする。
それによって距離を取りたいんだよっていうメッセージを案に伝えるってことですね。
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もちろん相手がその点に鈍かったら逆にどんどん押してくるかもしれませんので、うまくいくかは分かりません。必ずしも成功する方法ではないかもしれませんが、試してみる価値はあるかもしれません。
端的な話ですね。例えばため口で話しかけてきたら、こちらから常に敬語で返す。これを続けていくと、少なくとも波長が合っていないという事実を作り出すことはできるわけですね。苦手な人とは言葉遣いを合わせない。社会言語学からの教訓です。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
今日述べた方略はですね、多分に理論的かもしれません。実践的に本当にうまくいくのかっていうことはですね、分からないんですけれども、試して実験してみる価値はあるかもしれないなと思いましてお話ししてみました。
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それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように。ほったりうちがお届けしました。また明日。
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