#1972. タラのブローチとアーダーの聖杯 --- 『ケルズの書』と並ぶアイル
2026-10-23 17:28

#1972. タラのブローチとアーダーの聖杯 --- 『ケルズの書』と並ぶアイル

【今日のひとこと】

いずれも,アイルランド・キリスト教が様々な文化の影響を受けて最も輝いていた,8世紀を中心とする時期の産物.古英語期のラテン語の影響を考える上でも間接的に関わってくる至宝✨

【ハッシュタグ】

#heldio #hel活 #アイルランド #旅hel #旅helダブリン #ケルズの書 #島嶼キリスト教 #古英語

【参照URL】

https://www.museum.ie/en-ie/museums/archaeology


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- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜの著者の堀田隆一です。
去る6月10日、NHK出版新書、英語史で説く英文法の謎、なぜ3単元のSをつけるのかが発売されました。
発売前増殺がかかりまして、今第2釣りが全国つつ裏裏の書店に並んでおります。大変ご好評いただいております。ありがとうございます。
英語の語源がミニツクラジオヘルディオ。英語史をお茶の間におもっとうに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は2026年10月23日金曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日は9月にダブリンに滞在していた時のメモ、思い出を元に旅へるダブリン編をお届けしたいと思います。
英語史にも間接的にかかわってくる話題です。
アイルランドの誇る宝物、四宝として以前、ケルズの書を紹介したと思うんですね。豪華、壮麗な中世の写本ですけれども、それと並ぶ宝といっていいんではないでしょうか。
アイルランドの誇るもう2つの四宝、こちら博物館で見てまいりましたのでご紹介したいと思います。それは何かと言いますと、タラのブローチとアーダーの聖杯と呼ばれているものなんですね。
ケルズの書と並んでおおよそですね、制作された時代は一緒、同じ文化的歴史的背景の下に生まれた、合わせて3つの宝ということになりますね。
こちらについてお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ダブリンの宝と言いますと、以前、トリニティカリッジを訪れまして、アイルランドの四宝、The Bookof Kells、ケルズの書を取り上げました。
本当に感動して鳥肌が立ったわけなんですが、今回はある意味その続編ですね。
ケルズの書と共に味わいたい四宝、2つ見てきました。
場所はですね、トリニティカリッジではなく、同じくダブリン中心部にあるんですけれども、キルデアストリートに面したアイルランド国立博物館の考古学館というところですね。
03:11
この博物館の目玉と言っていいと思うんですね。
今日ご紹介するのが、タラのブローチ、タラブローチと言うのと、アーダの聖杯、アーダチャリス、この2つですね。
ブローチと聖杯です。
どちらもですね、小さなものと言えば小さなものですね。
展示ケースがありまして、その前でしばらくですね、それぞれを眺めていたわけなんですけれども、これがアイルランドの宝、代表する宝の2つということなんですよね。
まずはタラブローチからいきましょう。
これはですね、街灯、マントですね。
マントを胸元で留めるための装飾ブローチなんですね。
紀元700年前後の作とされています。
今から1300年ほど前ということになりますね。
19世紀半ばにアイルランド東部のミーズ州の海岸近くで見つかったものということです。
タラと聞きますと、これアイルランドのタラの丘ですね。
これ思い浮かべると思うんですが、古代アイルランドのハイキングですね。
女王が座したとされる由緒ある聖地、これがタラの丘なんですが、実はですね、タラブローチと名前はついているんですが、タラの丘とは直接関係がないようなんですよ。
これはちょっと興ざめですね。
発見後にいかにも由緒ありげな名前をつけて売り出そうという動機で命名されたものが定着してしまったということで、
タラから出土したものではないという落ち、引っ掛けがあったりするわけなんですけれどもね。
いわばブランディングというんでしょうか。
1000年以上前の宝物に19世紀のマーケティングの跡が残っているっていうのはね、ちょっと面白い話だと思いますが、今ではタラブローチと呼んではいます。
肝心のブローチそのものなんですけれども、銀をベースに金銭細工が施されていますね。
さらに琥珀ガラスなどで飾られているということで、全体としては小さな円、メダルのような中にですね、本当に細かい文様です。
渦巻文様、組紐文様、そして動物文様がぎっしりと詰め込まれているということですね。
そして身につけた時には、裏に回って誰にも見えないはずの裏面にもですね、精緻な装飾が施されているということで、見えないところにこそ手間をかけているということですね。
06:04
おしゃれの極地と言っていいわけですね。
周りにはですね、同じようなブローチが各地から出土したいろいろなものが飾られていましたが、とりわけ芸術的に価値が高いということで評価されているのが、このタラブローチというものなんですね。
さあ続いてアーダーチャリス、アーダーの聖杯と呼ばれている宝なんですが、これもですね、すぐタラブローチの側にありまして展示されていましたね。
こちらも8世紀の作とされています。ミサで用いる聖杯チャリスですね。
19世紀後半にアイルランド、今度は西部のリメリックですね、のアーダーという村から発見されたと。畑仕事をしていた少年が偶然掘り当てたという話が伝わっています。
こちらも銀の器がベースとなっていまして、金銭細工、そして七宝の装飾が配されているという点でですね、作り込み方はブローチの方と同じということになりますね。
そして聖杯ですので、8の周りにラテン語で文字が刻まれている、キリスト教の聖具ということなんでね、ラテン語が刻まれているわけなんですけれども。
このアーダーチャリスの見どころはですね、器の形そのものは簡素で単性なんですが、やはり細部には、これ虫眼鏡で見ないと細かいところ分からないというぐらいの細部に勢が尽くされているということなんですよね。
全体はすっきりしている。でも近づいてみると細部がものすごいということなんですよね。
このあたりはやはり3つの宝、ケルズの書を含めて3つの宝に共通しますね。
とにかく繊細で細かい。よくこんな小さな細かい作業を達成することができたなという点ではですね、
当時の美術感といいますか、美的感覚というものはそういうものだったんだろうなということですね。
この3つ、時代的にも、そして衣装、デザイン的にも、やはり同じ文脈で出来上がったということでですね、合わせて鑑賞したい宝物なんですね。
まず文様やモチーフですね。これはケルト的なもの、もちろんベースになっています。
そこにアングロサクソン的なもの、組紐文様であるとか、動物の衣装ということですね。
09:00
そして地中海世界から入ってきた、もちろんキリスト教がテーマになっていることが多いわけですよね。
そして繊細な技術そのものもですね、キリスト教的な地中海から入ってきたもの。
これがですね、融合しているというところがポイントなんですね。
ブローチにも聖杯にも、そしてケルズの書にも見られる。
融合文化だったっていうことなんですね。
これがアイルランドの8世紀を中心とするキリスト教文化が最も輝いた時代の産物ということですね。
アイルランドキリスト教という独特な背景の下に生まれた融合型文化、融合型芸術と言っていいと思います。
ケルズの書は写本ですので、用筆のフォリオの上で、この繊細な美的感覚が展開していた。
今回見たブローチやチャリス、聖杯は銀をベースとした、もともと金属の上にさらに金属で繊細な文様などが彫り込まれているということでですね。
素材は用筆紙と銀とで異なりますが、その上に展開している技、衣装というのはですね、完全に一致しているんですね。
できた時代もおおよそですね、700年代、8世紀を中心とする時代ということで、完全に同じ流れを組んでいるということですね。
これらの宝物、英語史にとってもですね、間接的な意味でやはり重要なんですね。
あくまで間接的ではあるんですけれども、ポイントはですね、アイルランドのキリスト教の伝統が、実はアイルランドの中に閉じこもっていなかったというところなんです。
アイルランド系の修道士たちは、スコットランドの小島、アイオナ島を拠点として、さらにブリテン島北部、ノーサンブリアの沖合にあるリンディスファンへと進出していきました。
つまりスコットランドへ進出していったわけですね。
そしてノーサンブリアを中心とするブリテン島北部は、このアイルランドキリスト教の影響下にあったということなんですね。
つまりアイルランドのみならず、アイルランドプラススコットランド、この辺りが、いわば当初部キリスト教徒、当初キリスト教文化とまとめて良いと思うんですけれども、
これが一つですね、あったわけです。
前回、ケルズの書を紹介するときにも触れたリンディスファンゴスフェルズ、リンディスファン福音書なんですが、
12:06
ラテン語で書かれていますが、その行間に小英語のグロス、メモ書きがあるという点で、小英語の非常に重要な資料となっているお話をしたんですが、
これが書き込まれているリンディスファンゴスフェルズ、この写本もですね、同じ当初キリスト教文化の芸術的伝統にのっとっているということなんですよね。
そこで英語史と間接的ではありますが、接続するということになります。
一般にですね、アングロサクソン人のキリスト教家というと、597年に南のケントにやってきたオーガスティンですね、聖オーガスティンですね、ローマから派遣された伝道団の話がよく知られているんですね。
これはもちろん非常に重要なんですけれども、この南から上がってきたキリスト教と、北からというか西からと言いますかね、
アイルランド系列の流れを組むキリスト教、この2つの流れがアングロサクソンのキリスト教文化っていうのを支えていたというところが重要ですよね。
そしてキリスト教とともにたくさんのラテン語が公英語に釈用されてきたという事情があります。
そして直接ラテン語が釈用されただけではなく、ラテン語にインスピレーションを得て、公英語が公英語側で自分で英単語を増語したと。
あくまで背後にあるインスピレーションはラテン語なんだけれどもという、こういう間接的な意味でのラテン語の影響を含めると、公英語はですね、やはりラテン語の影響は相当強かったということなんですね。
実はこの辺りの話につきましては、モッカ、ゆっくりと誠読中のボー&ケイブル、ヘルディオヘルワコアリスナーのたくさんと一緒に誠読会を開いて、このヘルディオでシリーズとしてお届けしているあの超誠読会で
ですね、まさにですね、先日までじっくりと読み進めていた箇所とぴったり符号をするんですね。
そして、ボー&ケイブルのA History of the English Language 第6版の第60節、ラテンインフルエンス of the Second Periodであるとか、第62節、The
Earlier Influence of Christianity on the Vocabulary、そして第64節、Influence of the Benedictine
Reform on English、そして第65節、The Application ofNative Words to New Conceptsあたりが、
今回の話と符号します。小さなブローチと聖杯を眺めながら、千数百年前の当初世界の芸術的な熱量のようなものがめぐりめぐって、ですけれどもね、間接的にではありますが、現代の英語の語彙にも刻み込まれている
15:17
部分がある。このあたりが英語史との接点。
ということでですね、お話しいたしました。
皆さん、もしダブリンを訪れる機会がありましたら、トリニティカレッジのケルズの書と合わせて、この国立博物館に掲げられていますブローチと聖杯、こちらも合わせて拝んでみてください。
そしてそれを英語史の目線から眺めるとですね、また違った輝きを感じることができるのではないでしょうか。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
タラのブローチとアーダーの聖杯、ケルズの書と並ぶアイルランドキリスト教の司法ということでですね、私も今思い出しながら写真なども見ながらですね、語ってみたわけなんですが、やっぱり宝物っていうのは素晴ら
しいですね。
ただでさえ素晴らしい。
それを英語史と結びつけるとまたまた価値が出てくるようにも思います。
さあ最後に絶賛発売中の新刊書、なぜ三単元目撃マップ企画についてお知らせです。
全国のリアル書店で本書を見つけましたら、町と書店の名前を添えてなぜ三単元が置いてありましたよとお知らせください。
私がGoogleマップ上にピンを立てていきます。
日本地図をなぜ三単元で埋め尽くす、英語史をお茶の間に広めていくというのが企画の趣旨です。
独立された方におかれましてはAmazonレビューなど各種のプラットフォームで本書のご感想もお寄せいただけますと書者として大変嬉しいです。
それでは今日も皆さんにとって良い一日になりますように、英語史研究者のホッタルユイチがお届けしました。
また明日!
17:28

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