2025-06-06 10:02

heldio #321. 古英語を音読 マタイ伝「岩の上に家を建てる」

#英語史 #英語教育 #英語学習 #古英語 #古英語音読 #聖書
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サマリー

このエピソードでは、古英語での音読を通じて、マタイ伝の「岩の上に家を建てる」部分を取り上げ、古英語と現代英語の違いについて考察しています。また、聖書の異なる英語訳を比較しながら、古英語の発音や文法の復元についての疑問も探っています。

古英語の音読とその背景
おはようございます。英語の歴史を研究しています堀田隆一です。 このチャンネル、英語の語源が身につくラジオ、通称heldioでは、英語の先生もネイティブスピーカーも、辞書も答えてくれなかった英語に関する素朴な疑問に、英語史の観点からお答えしていきます。
毎朝6時更新です。ぜひフォローして、新しい英語の見方を養っていただければと思います。 今回取り上げる話題は、古英語をちょっとだけ音読
マタイ伝「岩の上に家を建てる」偶和より では早速音読です
マタイ伝「岩の上に家を建てる」偶和より
ということで、いきなり読み上げましたけれども、こちらは古英語訳の新約聖書よりですね、マタイ伝7章24節から27節
岩の上に家を建てる偶和ですね。 こちらを古英語の発音で読み上げてみました。
古英語というものを初めて聞くという人もですね、多いかと思うんですけれども こんなに現代語と掛け離れているのかと驚いたかもしれません。
これぐらい発音であるとか、もちろんその背後にある文法語彙ですね そういったものが異なっているということなんですね
この千年ぐらい前の英語だと考えてもらえばいいんですが、この千年間の間に相当な変化を遂げた言語です。英語というのはですね。
ですので、ちょっと聞いただけではですね、これがまさか同じ言語であるとは予想もしない、想像もできないという、それがまあ普通の感覚だと思うんですね。
私も最初にこの古英語を触れた時にですね、同じような印象を持ちました。 そもそも意味がわからないということかと思いますので、古英語より数世紀後、1611年に出ました
近帝英訳聖書、The Authorized Version、あるいはKing James Bibleと呼ばれる、近代英語で書かれた、最も権威のある英語で訳された聖書ですね。
こちらと比べたいと思うんですね。この近帝英訳聖書、これとてですね、400年ほど前の英語なんで、今から見ると少し古めかしい感じがしますが、これは読み上げると大体わかります。
ではこの1611年バージョンですね、こちらで対応する歌詞を読み上げてみます。
ということでですね、これであれば、まあ現代の英語にほどほど近い、というような感じになりますね。
ということでですね、これであれば、まあ現代の英語にほどほど近い、ということで理解できるのではないかと思います。
これが近代英語版ということですが、ここから600年程度遡ったものが冒頭に読み上げた古英語版の聖書の発音ということですね。
ここで念のためにですね、日本語訳、交互訳ですけれども、対応するこのマタイの福音書、7章24節から27節、これも読み上げておきたいと思うんですね。
これはまあ日本語で理解のためです。
それで私のこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても倒れることはない。
岩を土台としているからである。
また私のこれらの言葉を聞いても行わないものを、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。
雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである。
発音復元の疑問
ということになりますね。これはイエスが述べた言葉ということなんですけれども、
この内容としては同じものがですね、古英語版になると冒頭で読み上げたような、ほとんどの人にとって沈分寒分の言葉になってしまうということですね。
これはもちろん現在のネイティブスピーカー、英語の母語話者が聞いたところで沈分寒分です。
それぐらいに大きく変わってしまった、そういう言語が英語なんだということになりますね。
ここで先に読み上げた古英語の文、これを文法的に解説して読み解くということは今回はしません。
今回は音読、古英語というのはこういう発音なんだということを示すためにですね、ちらっと読み上げたということなんですが、一つここで大きな疑問が湧くと思うんですね。
そもそも1000年前です。録音機器がありません。
文字としては残っているけれども、これがどうやって当時の発音で読まれたかっていうことは、いかにして復元するのか。
現代の学者がですね、本当に先ほど私が読み上げたような発音が本当の古英語の発音なのかという疑問が湧くと思うんですね。
これは私自身も疑問に思っています。つまり100%この発音だったに違いないという自信はですね、研究者とて学者とてですね、100%はわからないですね。
録音が残ってませんから。しかし比較言語学という分野ですね、それからまた音声学という分野の知見を借りますと、
文字として残っている、ローマ字として書き落とされているものを基盤にしてですね、およその発音を復元することができるとして、そこそこの確信と自信を持ってということです。
100%とは言いませんが、かなり高い精度でこうであっただろうという発音、少なくともその近似的な発音を復元するということは可能なんですね。
そしてそのように復元されたものについて、多くの研究者が支持している。
個々の単語の発音であるとか語尾の発音といった細かなところはですね、いろいろ議論が続いていて、まだ確定していない、みんなが合意を得るに至っていないというところもあったりしますが、
おおむねこのように読まれていたのではないかというところはですね、だいたい合意している。それに基づいて先ほども私版の小英語発音でありますが、読み上げてみたという次第です。
こうした学問的な知見によりますと、かなり細かいところまで実はわかっていまして、例えばRの音ですね。英語のRの音というのは、例えば word というように、特にアメリカ発音だと word というように、いわゆる下を巻く発音になったりしますよね。
Rという音がはっきりと聞こえるわけではなくて、こもったような word という音になる。ところが小英語時代にはこのRは、いわゆるラ、リ、ル、レ、ロというベラン名のこのRですね。これだったということがおよそわかっています。
なので word に相当する単語、これはスペリンが変わっていなくてWORDなんですが、これそのまま読むんですね。ただし、下は震わせてベラン名調ですね。つまり、ウォールドゥ、ウォールドゥなんていう読みになります。
今回読み上げました小英語版の新約聖書マタイデンより7章、24節から27節という小英語版で読み上げたわけなんですが、これは耳で聞くだけではなくて、やはり書かれたものがありますので、それと付き合わせて改めて聞いてもらうといいと思うんですね。リンクを貼っておりますので、そちらから参照してください。ではまた。
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