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いいゲストって何をする人?──対談を面白くする振る舞いと番組作り
2026-11-04 41:59

いいゲストって何をする人?──対談を面白くする振る舞いと番組作り

おたよりを送る

今回は、カグア!さんの「クリエイターエコノミーニュース」へのゲスト出演を振り返りながら、「いいゲストの振る舞い」と番組作りについて話します。自分たちの番組とは違い、進行も編集も相手に委ねるゲスト出演。鈴木が、普段のリスナーにも楽しんでもらうために準備したことと、収録を聞き返して感じた反省を語ります。

「WTF」、東海オンエア×QuizKnock、宇多田ヒカルの「ArtistCHRONICLE」などを例に、ゲスト・コラボ回の面白さも整理。まだ知られていない自分たちは、何を持ち込めるのか。プロレスのヒールやピケティ×サンデルの対談を手がかりに、相手の魅力を引き出す受け答えと、自分の問いを持っていくことを考えます。

さらに、雑誌が育ててきた対談・座談会・合評から、ポッドキャストの可能性へ。同じ作品への複数のコメントを編集し、まだ知らない番組に出会うきっかけを作れないか。人や文化への関心を広げる編集の役割を、バグキャストでどう引き継ぎたいのかを話しました。声の聞き分けを助ける音声編集や、「論破」と面白い対話の違いにも触れています。

【主なトピック】 オープニング――「クリエイターエコノミーニュース」に出演しました ゲストになると、何が変わるのか ゲスト回が苦手だった理由と、質問を準備した意図 ゲスト・コラボ回を三つのパターンから考える 知られていないゲストは、何を持ち込めるか プロレスのヒールに学ぶ、相手の引き立て方 ピケティ×サンデル――予定調和で終わらない対談 雑誌の対談・座談会に学ぶ番組作り 「合評」をポッドキャストでやってみたい 雑誌が担ってきた文化的な役割を引き継ぐ 出演を振り返る――伊藤が意識していたこと 誰が話しているかを伝える、音声編集の工夫 ヒール役の難しさと、編集で作る会話のバランス 論破することと、対談を面白くすること ゲスト出演を伊藤に採点してもらう? エンディング

【ゲスト出演回】 クリエイターエコノミーニュース「ゲスト回:バグキャスト(鈴木さん/伊藤さん)のお二人に番組の裏側を聞く」

【番組内で紹介した本・対談】 トマ・ピケティ/マイケル・サンデル『平等について、いま話したいこと』(岡本麻左子訳、早川書房) 小林秀雄/岡潔『人間の建設』(新潮文庫) 江﨑文武×荒井良二「一人のための音楽と百年後の絵本」(『文學界 2023年8月号』)

番組へのご感想や、面白かったゲスト回・コラボ企画についてのお便りは、概要欄のフォームからお寄せください。鈴木へのゲスト出演のお誘いも、お便りフォームまたは番組のXアカウントでお待ちしています。番組のフォローもよろしくお願いします。番組への感想・質問はこちら: https://tally.so/r/obKDNV

【バグキャストについて】

『バグキャスト』は、音楽家・鈴木とプログラマー・伊藤が、音楽、プログラミング、カルチャー、映画、最近読んだ本などについて話すポッドキャストです。

さまざまな話題がゆるやかにつながっていく、総合誌のような番組を目指しています。

【YouTubeで聴く】

https://www.youtube.com/@bugcast_podcast

【Podcastで聴く】

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【出演】

鈴木:note:https://note.com/taiga_szk X:https://x.com/suzukiatub

伊藤:

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サマリー

バグキャストの鈴木と伊藤が、カグア!の「クリエイターエコノミーニュース」へのゲスト出演を振り返り、相手に進行と編集を委ねる緊張感や、普段のリスナーにも楽しんでもらうため質問を準備した意図を語る。ゲスト回やコラボの型として、出演者同士の関係性を聞く「WTF」、東海オンエアとQuizKnockの企画融合、宇多田ヒカルを扱った「ArtistCHRONICLE」を取り上げ、まだ知られていない出演者が番組に持ち込めるものを考える。鈴木は、プロレスのヒールのようにホストの魅力を引き出しつつ、番組の企画を理解して自分の問いを持ち込む姿勢を、ピケティとサンデルの対談を例に説明する。さらに、菊池寛が育てた雑誌の座談会や、小林秀雄と岡潔の『人間の建設』、江﨑文武と荒井良二の対談から、異なる分野を組み合わせて問いを作る編集の可能性を探る。複数のポッドキャスターが同じ映画などに短いコメントを寄せ、それを編集して並べる「合評」的な企画は、作品の見方を立体化するだけでなく、未知の番組に出会う推薦の仕組みにもなり得ると話す。雑誌が担ってきた、異分野の人や知らない作品を読者につなぐ文化的役割を、ポッドキャストで引き継ぎたいという野望も示される。後半では、話者を聞き分けやすくするパンニング、ヒール役のやりすぎを編集で抑える方法、相手を言い負かす「論破」と相手の技を引き出す面白い対談の違いを議論する。最後に、鈴木のゲスト出演を伊藤が採点し、どこで相手の技を受け損ねたかを検証する企画案にも話が及ぶ。

ゲスト出演で変わる緊張感
はい、こんにちは。バグキャストです。この番組は音楽家の鈴木とプログラマーの伊藤が、社会や文化について気になったことを調べたり、
面白がったりしながら話すポッドキャストです。今回は第37回です。
いやいや、伊藤さん。
何でしょう、大河さん。
先日、カグア!さんのポッドキャスト「クリエイターエコノミーニュース」に、僕たち二人でゲストとして呼んでいただきました。
はい、ありがとうございます。
ありがとうございます。「クリエイターエコノミーニュース」という番組は、ポッドキャストや音声配信、音声AIなど、
音声業界のニュースを紹介している番組ですね。
今回はバグキャストを始めたきっかけや、普段の台本・編集の話など、番組作りの裏側について聞いていただいたという次第ですね。
出演回のリンクを概要欄に載せておきますので、ぜひお聞きください。
今日はその出演を振り返りながら、ゲストとして番組に出ることや、いいゲストの振る舞いって何だろう、
みたいな話をしていきたいなということでございます。今回のテーマは「いいゲストとは?
ゲスト出演から考える番組作り」みたいな感じですね。
「クリエイターエコノミーニュース」への出演は、僕、すごく新鮮な経験だったんですよ。
普段のバグキャストだと、自分で台本を作って、収録したものを自分で編集してるじゃないですか。
そうだね。
だから、本番でうまく話せなかったりしても、適当に脱線しても、いくらでも自分で編集してフォローできるんですよ。
その安心感がすごいあるんですけど、でもゲストになるとそうはいかないじゃないですか。
進行も相手に任せるし、編集も相手に任せるし、そういう委ねる部分が多くなってくるっていうことですよね。
なるほど。
同じようにマイクの前で話していても、感覚が違うなっていうのをすごい思ったんですけど。
そこにめっちゃいい緊張感があって、良かったんですよね。伊藤さんどうですか? あの回、ゲスト回を振り返って。
そうだね。趣味でやってたポッドキャストだったんだけども、ちゃんとポッドキャストを長く続けてて、
影響力もある人にゲストで呼んでもらうってことで、そういう緊張感があったね。「お邪魔します」みたいな感じはあったけど。
喋るときは、俺は普段は大河に編集を委ねてるから、収録の形式そのものの緊張感みたいなのはあんまりなかったかな。
だから、つまりいつも君はあの緊張感でやってるってことだよね。どうなるか分からない。
俺が何言い出すかも分からないし、編集するのも俺だからね。
俺の気持ちが分かったんじゃない?
確かにそういうことかもしれないですね。そういうことがありましたと。
今回出演してみて、他の番組にも行ってみたいなって思いましたね、僕は。
聞かれることも会話の進み方も違うので、いろんな人と話してみたいなと。
というわけで、これを聞いてるポッドキャスターの皆さんに、鈴木をぜひゲストに呼んでいただこうと思ってます。
映画とか本の紹介、あるいは音楽の話だったら、企画に合わせてしっかり話せると思うんで。
なるほど。
ぜひ面白い回を作れたら幸いです。お誘いは概要欄のお便りフォームや、Xのバグキャストのアカウントの方にお願いします。
ちなみに、声かけいただいてまして。
あ、そうなんだ。
本当に[聞き取り不明]はまだ詰めてないので、今詳しくは話せないんですけど、
そういう声かけはもうすでにいただいているって感じですね。
なるほど。
はい、ということでございます。
ゲスト回の三つのパターン
ただですよ。今日考えたいのは、僕もともとラジオのリスナーとしては、ゲスト回って好きじゃなかったんですよ。
自分の聞いてるラジオにゲストが来ました、みたいな回が好きじゃなかった。
そう。っていうのも、そのパーソナリティの話が好きで聞いてるのに、ゲストが来るとそのパーソナリティが聞き役になっちゃうじゃん。
何でゲストにお話を持っていかれるんだろう。
邪魔だなと。
そうそう。っていうのを思ってたから、今回は自分からも質問、実は準備してたんですよ。
今回、ゲストに出演するにあたって。
そう。質問準備しとこうと思って。相手の話も引き出した方が、
普段のリスナーの方にも楽しんでもらえるんじゃないかなって思ったんですよ。
なるほどね。吉田さんにも喋ってもらおう。
そうそうそう。
話を振りたかったわけです。
そうなんですよ。っていうのを準備して。俺、急に質問しだしたでしょ。
うん、しだした。
そのときどう思った?
準備してんなって思いましたね。
そう、戦う準備をしていってるんでね、俺は実は。
あとさ、「以前、実はお会いしたことあるんですよ」みたいな話も急に言い出す、みたいなさ。
そうだね。
ただ、お話を聞いてもらう、質問を受けるっていう側になっちゃうと、普段のリスナーの人が。
だって僕たちのことは全然知らないわけじゃないですか。
「クリエイターエコノミーニュース」のリスナーの方は、そのいつもの回が好きで聞いてるのに、「こいつら何?
」って絶対思うはずだから、っていうのを思ったんですよね。
だから吉田さんの話も何か引き出さないとっていうので、そういうふうに考えてたんですよね。
ただ実は、そこに反省もありまして。僕が用意したのは、聞いてもらうのが一番いいんですけど、
Spotifyの収益化プログラムで日本が対象外になっているっていうニュースについて、吉田さんに投げてみた。
番組を続けるには収益も大事だと思うので、日本のポッドキャスターにはどんな道があるのか、みたいなふうに、業界を追ってるカグア!
さん、吉田さんに聞いてみたかったんですよね。
吉田さんは、日本では広告収入に頼るのが難しいので、リスナーが月額などで支えるメンバーシップが現実的だってお答えしてましたね。
そこでその応答を受けて、僕はその仕組みをどう育てたらいいかって聞かないといけないじゃないですか。
うん。筋としてはね。
そう、筋としては。でも、mixiとかニコニコ動画みたいな、
日本独自の面白いネット文化がポッドキャストにも生まれるのかっていうふうに、自分がしたい話の方に行っちゃってるんですよ。
なるほど。
これをうまく返せてないなって、すごい思ったんですよね。これさ、どう思った? 俺の一連のやり取りを、君、横で聞いてたわけですけど。
そうだね。ずれたようにも見えるし、どっちにも思いがあって、どっちの話もできたなっていう気持ちだけどね。
まあね、そうだね。だから、もちろんゲストとして呼ばれてるから、自分の話しないの意味不明じゃないですか。
呼ばれてるのに話さないって。でもとはいえ、質問しすぎて相手が聞きたかった話から離れてもいけないじゃないですか。
そのバランスをどう取ったらいいのかなみたいなふうに、結構考えましたね、聞きながら。
いろんなYouTubeとかポッドキャストの事例を調べてみたんですよ。
そうすると、ゲスト回には大体三パターンあるなっていうのが見えてきた。
その事例を聞きながら、そのパターンを見ていきたいんですけども。まず第一に、出演者の関係性そのものを聞くパターン。
例えば、アメリカのポッドキャスト「WTF」で、マーク・マロンがルイ・C.K.を迎えた回っていうのがあって。
マロンはコメディアンで、同業者などに仕事や人生について聞く対談番組なんですよ。
ルイもコメディアンで、脚本・監督・主演を務めたテレビドラマでも知られている人なんですね。
この二人は若い頃からコメディアン同士で友人だったと。
一方のルイの成功に対するマロンの嫉妬などから、この二人、疎遠になっていってしまう。
その二人が番組でお互いの気持ちを話し合うみたいな回なんです。
マロンも当事者なので、質問することが自分の弱さをさらけ出すことにもなってるみたいな。
過去の話と、今二人がどう向き合うかが重なって、対話自体が出来事化してってるみたいな感じですね。
リアリティショーっぽさがあるね。
そうだね。でも結構、二人の実存が現れてるっていう。
僕も聞いたんだけど、いかんせんやっぱり英語だから、ほとんど字幕を追っちゃうんですよね。
だから本当の意味でこの回の面白さはよく分かんないけど、二人の本音を話しながら、でもコメディアンとして冗談というか、
笑いも交えつつ。要するに、出演者の関係性そのものを聞くパターンっていうのがあるなと思った感じですね。
もう一つは、お互いの企画や得意分野を混ぜるパターン。
東海オンエアとQuizKnockが共演した「正解したら罰ゲームを受けることができるクイズ大会」っていうのがありまして。
これYouTubeなんですけど、クイズを得意とするQuizKnockと、
罰ゲームを企画の面白さにしてきた東海オンエアがコラボしている。
正解すると罰ゲームを受けるルールになってて、クイズが得意でも答えるのをためらってしまうみたいな。
それぞれの得意分野を合わせた結果、いつもの振る舞いが通用しなくなるみたいな、そのずれが面白いコラボでしたね。
お互いが持っている企画、定番回みたいなものを。
うまく混ぜてね。
そう、コラボしていくっていうふうな回ですね。
なるほど。
っていうのが、このお互いの企画や得意分野を混ぜていくパターンです。
コラボ企画って感じだね。
そうそうそう。
三つ目が、知っている人の知らなかった一面を知るパターン。
Spotifyの「ArtistCHRONICLE」っていう番組がありまして、宇多田ヒカルさんを特集したシリーズがあるんですね。
ホストはジェーン・スーさんと、音楽ジャーナリストの柴那典さんですね。
最初の三回で関係者のコメントを交えながら、宇多田ヒカルの25年の活動を振り返り、
第4回のアフタートークに宇多田さん本人がゲストとして登場するという構成になってました。
作品や活動を知っていても、本人がそれをどう捉えているかまでは分からないから、そこを対話で聞くことで、
知っていた曲や活動の見え方が変わってくるみたいな。
聞き手が積み重ねた関心や準備が、ゲストの話を深くしていくみたいな構成になってますね。
有名人の知らなかった一面を知るみたいなパターンってありますよね。
大体、このゲストとかコラボって、この三つのパターンだなって思いました。でも、ただですよ。
知られていないゲストの持ち込み方
ただ、これらをそのまま自分たちの参考にできるかっていうと、難しいんですよね。
というのも、例えば特に二人の関係の変化とか、意外な一面の面白さって、リスナーがその人を知っていることを前提にしてるじゃん。
意外だと感じるには、もともとのイメージが必要になってくるみたいな。
自分たちを知ってもらうために出演するときには、そこに頼れないってことなんですよ。
知ってる前提にはできないってことだね。
そうそうそう。そもそも俺のことなんか誰も知らないのに、俺の意外な一面とかを出してもしょうがないわけじゃないですか。
そもそもバグキャストを知らない人は、バグキャストの企画を持ち込んでも新鮮に感じないはずだよね、みたいな。
パターンを大別してみて、どれも参考にならないなって思ったってことですね。
なるほど。
せっかく大別したのに。
これが有名人の人とか、このパターンをよく知っておけばいいんだと思うんですよね。
なるほどね。
でも俺は、これ駄目じゃんって思った。
じゃあどうしたらいいんだろうってことで、こっから考えたんですよ。そもそもゲストとしてやるべきことって何なのか。
それはまず第一には、その回を面白くするってことじゃん。
せっかく呼んでもらって。
そう。
面白い方が聞いてもらえるしね。
そうそう。それがなかったら、もう呼んでもらえないし、みたいなさ。
あわよくば、面白くした結果、自分たちを知ってもらうって、この二つだと思うんですよ。
名前だけでも覚えて帰ってくださいって。
そうそうそう。これをするためにはどうしたらいいかなって思ったんですよ。
こっから先、もう完全にわけ分かんないことを僕、言い出しますよ。
一つは、ゲストの面白さを出すんじゃなくて、ホストの面白さを引き出せばいいんじゃないかなって思った。
はいはいはい。
僕が出ることによって、っていうこと。その番組のリスナーは、いつもの出演者を楽しみに聞いてるはずじゃないですか。
だからそうした方がいいんじゃないのか。知らねえやつが出ていって、俺が自分語りしても意味分かんないと思うんですよ。
なるほど。
そのときに参考になったのが、プロレスのヒール。つまり、悪役の立ち回りをした方がいいんじゃないか。
観客に「こいつをやっつけてほしい」と思わせて、対戦相手への応援を生み出すみたいな。
すごいね。そこまで行ったんだ。
そう。「泣いた赤鬼」方式みたいな感じですね。
極端。
いや、でも僕、プロレスのヒールってすごい好きなんですよ。
分かりますよ。
例えば僕が好きなのは、アメリカの名レスラー、リック・フレアー。リック・フレアーは本当に小憎らしいんですよ。
豪華な衣装を着て、金や成功を誇示するみたいなスタイル。めっちゃ傲慢なわけ、普段の振る舞いは。
だけど相手に攻め込まれると、大きく取り乱したり、ひざまずいて許しを請うような姿を見せたりするんですよ。
あれだけ偉そうだった人が慌てるから、反撃する相手がめっちゃ強く見えるみたいな。
なるほどね。
そのやられ方がフレアーの見せ場になってるんですよ。相手をすごく引き出してるの、良さを。
このスタイルでいろんなレスラーを輝かせるんだよね、フレアーは。一つのスタイルだなと思ったってことですね、ヒール役としての。
これ結構、最高峰みたいなイメージなんだけど。ゲストに呼ばれてきて、何か投げかける。
相手に打ち負かされて、俺が、っていう面白さみたいな。
もう一つは、これ僕がやったことに近いんですけど、番組の企画を正確に理解して準備していくみたいな。
例えば映画や本の紹介なら、自分にもできることがかなりあるはずで、何を選んでどこを面白がるかに、その人らしさが出るから。
まず紹介の内容を楽しんでもらって、そこから話している人にも興味を持ってもらえるみたいなやり方ですね。
ゲストとして出るからには、出る先の番組がどういう番組なのかって、ちゃんと理解しとかないといけないよなって思うんですよね。
何を求められて呼ばれているのかな。
そうそうそう。
その上でゲスト自身、僕自身が、何か問いとか質問をちゃんと持ち込んでいくみたいなスタイル。
ピケティとサンデルの対談から学ぶ問い
これで僕、参考にしたいのが、経済学者のトマ・ピケティと哲学者のマイケル・サンデルの対談本。
『平等について、いま話したいこと』っていう本があるんですよ。2025年に出版されてる本ですね。
この対談自体は2024年5月に、フランスのパリ経済学校で行われているものですね。
ピケティが所属する研究教育機関で行われたってことです。
つまり、アメリカのサンデルとしては相手の拠点に出向く、いわばアウェーの対談だったんですよ。
なるほど。
二人とも不平等っていうものを問題にしているわけ。世の中にある不平等。
ただ、教育の拡充や制度改革を重視するピケティに対して、サンデルは「教育の機会が平等になれば、
それで公正な社会になるのか」って食い下がるパートがあるの。
なるほど。
つまりサンデルの主張は、「成功しなかった人が、能力や努力の足りない人として見下される問題は残りませんか」。
自分が大事だと考える尊厳の論点を、経済学者にぶつけているわけ。経済学者に哲学者が問いをぶつけているんですよ。
僕はこのサンデルの姿勢が、すげえいいなと思ったんですよ。
というのも、知識人同士の対談企画って、大体お互いの合意できることを話し合って、
「ここまで合意できますね」っていうところで終わったりするのがすごく多いわけ。つまり、めっちゃ予定調和なんですよ。
なるほど。
それに対して、経済学者に対して、尊厳の問題を哲学者としてぶつけていってるわけ。ピケティがうまく答えられてないの。
だからこの振る舞い、つまり相手のホームに出向いていって、合意できることの確認だけで終わらず、
相手にも考えてもらいたい問いをぶつけてるんですよね、サンデルは。
そのサンデルのアウェーの戦いを引き受けてる姿勢っていうのに、僕、ちょっと感動したんですよね。
なるほど。刺激的なんだね。
そうそうそう。自分はフランスに行って、相手のホームだと。
この話をして、合意おそらくされないだろうってことも分かった上で、これぶつけてるんですよ。
つまり、俺の言い方で言うと、急にサンデルが叫び出してるのに近いんですよ。
はいはいはい。
わけ分かんないと思うんだけど、普通に読んでいくと。「だって不平等って経済の問題じゃないの?」みたいな。「いや、そうじゃない。
尊厳の問題なんだ」っていうふうに変えてるんでね。これがいいんですよ。
こういうことをしないと、予定調和になっちゃうと思うんですよね。
確かに、いいゲストって感じだね。
いいゲストって感じはするんですよ。
まとめると、話を。ヒール役、悪役になる、負け戦を演じる。「泣いた赤鬼」。
それもでもさ、負けるまでがセットだもんね。
「負ける」ってさ、意味分かんないっちゃ意味分かんないじゃないですか。
相手の技を引き出すような問いかけをして、それを受けて「ああ、なるほどね」って納得してみせるとか、受け止めてみせるっていうのが、
ここで言うヒール役で。
なるほど。
例えばさ、ひろゆきとかってさ、俺、あの人が駄目なのは、それができないことなんだよね。
つまり相手の技を引き出して、負け戦ができないんだよね。だから最近の対談とか、知識人の喋りって総合格闘技化してるじゃん。
つまり自分の技をばーっと出し続けていくみたいな、スピード勝負みたいになってんだよね。
でもさ、本当は面白い対談とかって、プロレスのはずなんですよ。自分が技をかけ続けてたら、それ、つまんなくなるわけ。
相手の良さを引き出した上で、それを上回る、あるいは自分がそのままやられるみたいな。
やられるさまが痛快であるっていう構造を作らないといけないんですよ。っていうのが、ヒール的な役割を引き受けるってことですね。
もう一つは、ちゃんと正確に企画を理解して、自分の問いも持ち込んでいくみたいなことっていうのが大事なんじゃないかなってことですね。
ここまでゲストとして呼ばれたら何をしたらいいか、みたいなことを考えてきたんですけども。
雑誌の座談会と異分野の組み合わせ
今、僕が見てきた事例って、基本的にはポッドキャストとかYouTubeじゃないですか。
本当はもっと参考になるのがあると思ってて、それが雑誌文化。
かつて雑誌がやってた企画とかって、すごい参考になると僕は思うんですよ、実はポッドキャスト番組を作るにあたって。
例えば総合誌とか文芸誌が続けてきた対談とか座談会ですね。
こういうのは、誰かと誰かを会わせて、何について話してもらうのかみたいなことのセッティングを、すごいたくさんやってるんですよ、
雑誌って。ここでは要は、人の組み合わせと共有する問いを編集者が考え、読者に届けようとするっていう仕組みなんですけど。
例えば「文藝春秋」を創刊した作家の菊池寛という人がいて、その座談会を雑誌の読み物として育てた人ですね。
この人がやった企画で有名なのが、1927年に「徳富蘇峰氏座談会」っていうのがあります。
徳富蘇峰っていうのは人で、雑誌「国民之友」とか、新聞「國民新聞」を創刊したジャーナリスト兼評論家ですね。
その蘇峰を芥川龍之介ら作家が囲んで話を聞く。
つまり、専門家が一人で説明する文章とは違って、質問する人を連れてくると。
読者もその結果、会話が足がかりになって、その話に入っていけるっていう構成になってるんですよ。
知識や思想をやり取りとして読ませる形式を作ってるの。これがすごい、初めなんですよ。
この形式を生み出してたんだ。
つまり、座談会とか対談っていうコンテンツを作った人だよね、菊池寛は。
それの媒体として雑誌をやったってことですね。
例えば分野を超えた対談の企画として有名なのは、批評家の小林秀雄と数学者の岡潔による『人間の建設』ってやつですね。
もともとは1965年の「新潮」に掲載されたもので、数学と詩の関係、あと情緒、美的な感動などへ話が広がっていくみたいな。
つまり、ある種すごく詩的なものとか情緒とか、美を感じる感性みたいなものを小林が背負ってて、それと数学の話を、
二人が対談することでつなげてるわけ。
なるほど。
これいいんですよ、すごく。
面白いね。
ここで参考になるのは、組み合わせからどんな問いが生まれてくるか、みたいな感じですね。
音楽家とプログラマーっていうふうに、この番組であえて言ってるのも、そこが面白いはずだからなんだよね、みたいなことですね。
最近の例では、「文學界」っていう雑誌の2023年8月号に、絵本作家・荒井良二と音楽家・江﨑文武の対談っていうのがありまして。
江﨑さんが荒井さんの絵本に感銘を受けて作詞を依頼した、共同制作の話がこの対談の話題の中心なんですよ。
荒井さんは、絵より先にまず文章を考えると。一方、江﨑さんにとっては、先にある歌詞に曲をつけるのは初めての経験だったと。
それぞれの制作の手順の違いから、言葉と音楽の関係が見えてくるみたいな。これもすごくいい対談でしたね。
実はこういうのに、ポッドキャスト番組を作るヒントとかすげえある気がするって、僕は思ってます。
合評をポッドキャストで実現する
文芸誌に「合評」っていう形式があって、これどっかでやってみたいんですけども。
合評ってどういうことかというと、複数の人が同じ作品を読んで意見を交わすってものなんですよ。
例えば「群像」の創作合評だと、ある人が良いと思った部分を、別の人は物足りないと感じる。
その理由から、作品だけでなく、評する人が何を大切にしているのかが見えてくるみたいなことですね。
読書会とは違う?
それに近いと思ってくれてもいいかもしれないですね。
なるほどな。
これをポッドキャストでやってみるのがいいんじゃないかと思いますね。
例えば、一つの映画について、いろいろなポッドキャストからコメントをもらうってことです。僕らの番組で紹介する。
同じ場面でも、ある人は音楽に注目していて、別の人は人物のショットが気になっているみたいな感じで。
そのコメントを聞き比べながら、僕らも感想を話していくみたいな。こうすると映画の見方が立体的になるよね。
評価が分かれる理由も考えられるから、映画が好きな人からしたら面白いと思うんですよ。
参加した人たちがどこを面白がり、何に引っかかったのかを並べていくと、作品の受け取られ方を見渡すことができるみたいな。
一緒に見に行った友達と、映画を見終わった後にカフェで「どうだった?」みたいな話をするのに近いのかな。
いや、それはさ、読書会じゃん。そうじゃなくて、もっとこっちはレコメンドシステムみたいなふうになってるはず。
つまり、リスナーが別のポッドキャスターを知るきっかけになるじゃん、これって。「この人の視点、面白いな」みたいな。
その人の番組も聞きに行けるじゃないですか。
共通の作品について話すことで、番組紹介だけでは伝わりにくい関心や話し方が分かってくるってことですね。
つまり、合評が次に聞く番組を見つけるレコメンドシステムの代わりになれるっていうことは、僕、結構重要だと思う。
なるほど。
作品について議論を作りながら、番組同士やリスナーをつなぐ企画になっていくってことですね。
さっきさ、読書会とか、友達と作品を見た後に話すのに近いって言ったじゃないですか。
それと違うのは、割と自由に作品についてのコメントを話していただくってことですね。
つまり、読書会だとしたら相手の言ったことについて受けないといけなかったりするじゃないですか。そういうことは関係ないんですよ。
とにかく例えば、僕がいろんなポッドキャスターさん、A、B、C、D、E、F、Gぐらいに話を聞くと。
ある人はショットのことを話してる、ある人は音楽のことを話してる、みたいなふうにして。
これ全員集めて一つの回にするのって、かなり不可能に近いじゃない。でもとにかく、コメント5分とか10分くらい取っていくと。
それを並べて構成するってことですよ。
なるほど。もらうだけもらってってことなんですね。
そうそう。だからコミュニケーションのハードルがかなり低いんですよ。
なるほど。
何かの番組に出ていって、四人ぐらいである作品について話すってなると、コミュニケーションコストがすごくかかってて。
例えば自己紹介したりとか、相手の話をちょっと受けたりするパートがあったりとか。
そうだね。
それを受けたから、ちょっと自分が用意した話をやめたりとかっていうことがあるじゃないですか。
そういうコストがかからないってことですね。
なるほどな。
重要なのは、それを受けるホスト側だよね。ただ単に並べただけだと意味ないから。
うまくつなげていくっていうのを、このホスト側の番組の作り手、編集者が担わなきゃいけないってことだよね。
でもこれ、結構可能性あると思うんですよ。これさ、実は別に、コンテンツはやりやすいけど、コンテンツじゃなくてもいいじゃん。
社会問題についても、本当はいけるはずだよね。
うん。題があれば何でもできる。
そうそう。だからこれ、汎用性も高いはずなんですよ。
だから、やりたい。やりたいんだけど、人がいない。
うーん。
つまり、もう俺には吉田さんしかいないんですよ。
現状ね。
そうそうそう。どうすか、みたいな。だからいつか、みたいな話ですね。というか誰かがやってくれたらいいと思うんですよね。
そこに我々が出すとかでいいわけですね。
そう。それもいいし、みたいなふうに思いましたね。
雑誌の文化的役割を番組へ
だから結論、結論も何もないんだけど、考えてきた上で、この回のなんとなく言いたいことをまとめると、
雑誌が担ってた役割っていうのがあって、文化的価値みたいな部分も含めて、これを僕ら取りに行きたいんですよね、ってことですね。
紙の雑誌の市場は長く縮小傾向にあります。
でも雑誌が担ってきた文化的な価値そのものが、魅力を失ったわけではないんじゃないかと僕は思ってます。
違う分野の人を会わせる。一つの作品について複数の視点から考える。まだ知られていない書き手や作品を紹介する。
雑誌はこうした企画を通じて、読者の関心を広げてきたんですよ。
目当ての記事の隣に、知らなかった人の対談が載っていて、読んでみたらそれも面白かった、みたいな。
なるほど。
だから、編集によって次の関心を作っていくってことですね。
つまり、雑誌ってニーズを新たに生み出すみたいなことをすごいやってて、これすごくクリエイティブなんですよ。
その役割の一部は、今、ウェブメディアやnoteとかに引き継がれてますね。僕らの番組もそこを取っていきたい。
なるほど。
っていうふうに、ちょっと思ってます。野望ですけどね。
ゲスト回をどう面白くするか考えていたら、番組そのものをどういう場所にしたいかっていうふうに、話が展開しちゃったんですけども。
対談とか批評を通じて、人や文化への関心を広げていく。雑誌が培ってきたその仕事を、僕らもポッドキャストで引き継いでいく。
その価値を取っていくっていうのは、結構いい戦略なんじゃないかなと思いましたということでございます。
なるほど。
はい、ここから雑談、入っていきたいわけですけど。どうですか、ここまで話を聞いて。
そうだね。ゲスト回について考えるってことは、人と人が絡んだときにどう面白くできるか、っていう話になってたってことだよね。
僕の印象では、さっき大別する三つの話を聞いたときに、僕らは宇多田ヒカルパターンかなって思って聞いてたんですよ。
というのも、有名人ではないけども、最近ポッドキャストを始めた二人組の男性という、そういう印象を背負って番組に呼ばれて。
軽く吉田さんから、プログラマーと音楽家ですみたいなことを紹介もしてもらって。
そのパーソナルを背負ったまま、そういうやつらは何を喋るのか、みたいなことの役割を感じながら喋ってたかな、当日は。
だからやっぱり、自分が喋ってるときに気をつけたのは、俺と大河が喋ると、吉田さんの喋る隙間がなくなるなっていうのは思ってたので。
少なくとも、バグキャストと「クリエイターエコノミーニュース」のゲスト回だから、我々が喋るときはどっちかが喋る。
それに吉田さんがリアクションしてくれるみたいな構造を取ってたかな、というぐらいの気をつけ方だったけど。
やっぱり問いかけがあって、吉田さんの思いがあってっていう部分は、私も聞き直したんですけど、面白かったね。
そうだね。だからさ、伊藤が今言ってるのは、とはいえ僕らも属性を背負ってる人間だから、何か裏側みたいなことを話しても、
それは聞きどころが生まれるだろうって話だよね。それは確かにそうだと思う。
そういうのを期待して、たぶん構成してくれてるはずだよね。本当に道端にいたおじさん?
道端にいたおじさんっていう属性もあるから、何とも言えないけど。
でも、プログラマーだからとか、音楽家ならではのみたいな企画としてくれてるから、構成としてはそうしてくれてて。
そうだね。
でも、そこに呼ばれてる身として、ただ呼ばれて話すだけじゃないものを、やっぱり持ち込んでいきたいよねっていう話なんだよね。
そうそうそう。
そうだね。
音声編集とヒール役のバランス
っていうふうに思いましたね。ちなみにほら、伊藤にちょっと仕掛けたり、俺はしてるんですよ、やっぱり。
「伊藤をたぶらかしてこの番組は始めたんです」みたいな。
っていう、ちょっとここの対立構図を作っていくっていうのは面白いと思うんだよね。
確かに。
だから伊藤は、普通に話しながら俺の異常性みたいなことを話すってことじゃん。それがちゃんと面白い。
そこは良かったんだと思うんだよね。自画自賛になっちゃうけど。
これもゲスト回の反省みたいになっちゃうけど、どっちが喋ってるか分からなくなるかも、っていう問題があるじゃないですか。
我々は三人とも男だし、吉田さんの声はみんな分かるけど、我々の声はどっちかどっちか分からない。
だけどトーンとか喋ってる内容とかで、割と対比できてたから、個人的にはそんなに聞きづらくなかったなという印象で。
それは偉いぞって思って聞き直してましたね。
これ、ちょっとすごくテクニカルな話になるけど、ポッドキャストを聞いてると、
どっちが話してるか分からない問題ってあるじゃないですか。これ、長く聞いてると聞き分けられるようになるんだけどね。
一個テクニックがあって、「パンを振る」っていうのがあります。要するにステレオ化するってことですね。
例えば僕たち二人が話すときには、伊藤の声を左側に寄せる、若干ね。
俺の声を右側に寄せるっていうふうにすると、実はイヤホンとかヘッドホンで聞くと、すぐ聞き分けられるようになる。
実は、バグキャストも微妙に振ってるんですよね。
番組によっては、完全に左右で割ってる番組があったりするんだけど、そこまでやるとちょっと聞き取りづらくなるんでね、
スピーカーで聞くと。だからそれは望ましくないんじゃないかなと僕は思ってて、多少振ってるんですよ。
そうすることでちょっと聞こえ方が変わるんで、悩んでる人がいたら、このテクニック使ってみてほしい。
なるほど。
特に二人で話すっていう形式が多いから、それをちょっとやるといいんじゃないかなと思いますね。
そこにも技術がね。
そう。編集するソフトでパンを振れないってないと思うから、ちょっとこれは試しにやってみてほしいですね。
っていう、あんまりでもテクニカルなことを話しちゃいましたけど。これはちょっとあると思った。
聞き取りやすさとかね、そういうのは結構大事だもんね。
そうね。でも、話者が分からないっていうのは、僕らの会話はほぼなかったと思う。
「伊藤さんどうですか」「鈴木さん」「じゃあ鈴木話します」みたいなふうに言ってるし。
あと、あれ分かんなくなるのって、かなり入り乱れるときなんでね。話者が頻繁に交代するみたいな。
そうなるとすごく聞き取りづらくなるよね。これさ、面白いのが、関西のラジオ番組って五、六人でやるっていう番組、すごく多いんですよ。
そうなんだ。
これ、関東にはない文化なんだよね。好きな芸人さんが関西のローカル番組でやってるラジオとか聞くと、それが分かる。
五、六人でやるんですよ。
ごちゃごちゃになる?
ごちゃごちゃになる。例えば、芸人さんとアイドル複数人でやるっていうスタイルね。
はいはいはい。
関西の番組を聞いてると結構分かんなくなるんですよ、誰が喋ってるか。でも、あんまりそんなこと気にしなくても面白いんだと思う、実は。
確かにね。聞き取れた方がいいとはいえ、聞き取れなくてもおもろいものはおもろいか。
どうですか、他に何か。
あと、やっぱりそのヒール役っていうのを、すごく今回ね。
伊藤どう思う? 俺ってやっぱヒールじゃない? 俺、ヒールで輝くと思わない?
そうなんだよ。俺は大河の良さみたいなものを例えるときには、「頑固者」っていう表現をよく使うんですよ。
真っすぐ人間っていう言い方も、融通が利かないみたいな言い方もできると思うんだけど。
そういう特徴がその場において意味をなしていく。
それをどう思うか、いいと思う人、悪いと思う人がいて、その中で話が盛り上がっていくのが、
大河がいるときの面白さだよなって思ってたんだけど。それをヒール役だっていうイメージで捉えてもいいなと思ったね。
あえて突っ込む、あえて引っかくみたいなことをして、みんなが「何だ?」っていう、そのリアクションも楽しむ場にしていくみたいな。
そう。だからさ、例えば僕が論理で思いっきり人にぶつかると、相手をねじ伏せちゃうっていうことがあり得るじゃない。
それって良くないんだよね。だから、そのキャラクターが出てきたなっていうふうに、
ある程度僕のこの振る舞いを記号的に捉えてくれないと、きついところがあるんだよね、本当は。
それは、ヒールがまた騒いでんなっていうふうにすると、ちょうどいいんだと思うんだよね、っていうのは思いますね。
でも、そこがヒール役の難しさでさ。本当に悪そうじゃないとさ、おもろくないじゃん。
まあね。だけど本当に悪かったら駄目じゃん。
そうだね。そこはもう完全にプロレスの興行みたいな話に入ってくるけど、そこまではしなくてもいいわけじゃん。
でも、ホストの人に対して、ちょっと普段と違うような質問とか疑問をぶつけて、「何とかじゃないですか?
」みたいなふうに、ちょっと僕が感情的に振る舞う。
それに対しての受け答えを受けて、俺が何か納得したりするっていうような構造を作ればいいんだと思うんだよね。
それ、気をつけてるの? 普段。
普段は気をつけてないね。
伊藤には別に関係なくぶつけて。
何かをぶつけてもらって、「いやいや、俺はこう思うな」って言ったときに、「ああ、そうなんだ」じゃなくて、「いや、
でもさ」になるじゃん。
でも、編集の段階ではそれは意識してる。俺が何か言う、伊藤がそれに対して相対化するようなことを言う。
「いや、そうじゃなくてさ」っていう、この第三の俺の発言あるじゃん。ここは切ってたりするわけ。
つまり俺が、伊藤の相対化を受けてジタバタするシーンって、話がややこしくなるだけだから。
どっちの意見がいいか、別に聞いてくれる人が考えてくれる話だから、要らないんだよね。
そこまででってことね。
そうそうそう。っていうのはあるね。
だけど、ほら、別に伊藤は俺のこと知ってるから、俺がジタバタしてても、「また何か言ってるな」はあるけど。
他の人は真剣に受け取っちゃったりするかもしれないじゃん。「良くなかったのかな」みたいな、自分が。
そんなの考えさせるのも良くないわけでね。だから、それは思うね。
楽しんでもらうラインっていうことですね。
だから「うん、そっか、そういうことだったんですね」、俺がちゃんと納得する振る舞いっていうのをやる、みたいな。
つまり、論破された感を出すってことだね。すごく分かりやすく言うと。
そういうことだね。それでも聞いてくれる人は、そこから考えてくれるんだと思うんだよね。
論破ではなく相手の技を引き出す対談
僕は最近のテレビとか、ネット、ウェブメディアでやってる議論番組みたいなの、つまんねえなって思うのは、
ちゃんと相手の技を引き出すっていうことをみんなやらないんだよね。
どっちが相手を言い負かすか、みたいになってる。
そうそうそう。ちなみにプロレスの本当の話をすると、日本のプロレスって、ヒールとか、良いとか悪いとかないプロレスってあるんですよ。
これはこれですごい面白いの。ちゃんと実存でぶつかり合うみたいな、二人のスタイルだ。
これはさっき言ったサンデルとピケティの対談みたいな感じ。
アメリカンプロレスは、良いやつと悪いやつが戦い合って、悪いやつがずるして勝つのも、それが面白いみたいな。
分かりやすい見せ方だね。
日本はもうちょっとハイコンテクストなもの。その人の人生とか、実存同士がぶつかる。
なるほど。
これはこれで面白いわけ。これはこれでいいんだけど、それは企画をちゃんと理解して、本当に議論するみたいなことだよね。
うん。よく知ってる人たちはより楽しめる。
そうそうそう。
最近の討論番組とかのつまんないのは、総合格闘技化だね。つまり競技として、自分、早口で[聞き取り不明]、的確に言うみたいな。
すごい速度で話すみたいな。これを競ってるじゃん。
相手に何もさせない。
そうそうそう。でもさ、相手の話を受けて自分がやられるっていうパートを作らないと、本当は面白くないんだよね、議論って。
でも論破とか相手を言い負かせるってことを考えたら、これをやった方がいいわけ。
というのは、ばんばん話す、次々と質問する、質問に対して質問で返すとか。こういう議論で勝つテクニックってあって。
テクニックで勝とうとするところがあるのは、ちょっと聞いてて面白くないよね。
だから、総合格闘技の話を出しちゃったら、俺、総合格闘技を下げてるみたいに聞こえると良くないんだけど、
僕は競技としての競技は大好きなんですよ。勝ち負けを決める競技。
でも話したりするとか、対談とかゲスト回って、それじゃ、競技じゃ駄目で。
もっと本当に見せるってこととか、考えないといけないよねって思うわけですね。
確かに。一番討論がうまい人は誰だ、みたいなことをやってるわけじゃないからね。
そうそう。それ結局、肺活量とか滑舌とかの競技になってくる、最終的には。
なるほど。
あと、しかもAIに勝てないでしょ、人間は。
確かにね、そうなると。情報量とかね。
そうそうそう。
喋り続けられるからね。
そうそうそう。
さっき言ったピケティとかサンデルの対談を見てると、論理的にはピケティが正しいんですよ、どう考えても。
でもどっちの話が印象に残って、心に来て感動するかっていったら、サンデルの方なんですよ。ここが面白いところなの。
急に論理破綻して叫び出してるんだけど、それに心を打たれるんですよ。
つまり、合理的に考えていったら到達できない場所に行ってんだよね、サンデルは。
「人間の尊厳って最終的にはそこじゃないんだ」みたいなことを言ってるのがいいんですよ、みたいな。
だからサンデルは、別に普通に考えたら負けてるんだよ。
負けてるんだけど、でもサンデルが言ってることって覚えてるし、いいんですよ、すごく、っていうことが。
刺さる。
ゲスト出演を採点する企画
刺さる。俺、思ったのは、俺が例えばゲスト番組に行くじゃないですか。俺が出たゲスト番組を伊藤が採点するみたいな、俺の振る舞いを。
「どんなの、これは」「ここがちょっと感じ悪かった」とか、「ここで食い下がってるのが聞きづらくなってる」とか、
それをしてほしいですね。
得意、得意。大河の感じ悪いところを見つけるの得意だから、俺。
だからヒールとして、踏み越えちゃいけない境界線を越えてないか、みたいなチェックとかさ、あるじゃないですか。
やりすぎ感とか。
「何でここで相手の技を受けてないんだ」みたいなこととかってあると思う。
喋りすぎてるとか。
喋りすぎてる。それは一個、小さい企画としてあるかなみたいな気がして、思いましたよね。
なるほど。
っていう感じですかね、今日はね。
そうですね。
どうでしょうか、今回話してみてどんな感じですかね。
通して思ったのはね、僕、よく事あるごとに言ってますけど、この番組、台本がしっかりあるんですが、私には共有されてないんですね、
今回も。よく一、二分前にPDFもらってますけど。
ですけども最近は、スタートと同時に画面にPDFが映し出されるだけで、何の資料もらってないんです。
だからこれ、僕、毎回ゲストで来てるんですよね。
確かにね。
なので、ヒール役のところにゲストで来る人っていう構造で見たら、割と面白いんじゃないのか。
確かにね。
と思うので、そういう目線とかあったらいいなと思うし。
今日のこのポッドキャストを聞いてから、もし吉田さんの「クリエイターエコノミーニュース」の回を聞いてもらうと、
ここで大河がこれやってるのは、これは狙って用意してるやつかとか。
聞いてる人が「ちょっとこれ、うまくいってないぞ」とか、そういうふうに。
裏目線でね。
裏の楽しみみたいなのも、楽しんでもらえるかもしれない。
っていうのが、ゲストで行った我々の[聞き取り不明]の楽しみ方っていうことで。
そうですね。だから、ちょっと聞いてほしいですね。
「クリエイターエコノミーニュース」の該当する回を聞いてみてください、ということでございます。
はい。今回はゲスト回と番組作りについてのお話でした。
ぜひ向こうを聞いてもらったり、あと、向こうを聞いてこっちを聞いてくれた人もいると思うので、そういう方たちのご意見、ご感想等、
待っております。番組の概要欄のフォームからぜひお願いします。また、番組のフォローもお願いします。それでは、また次回。
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