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2021-02-12 17:04

BC005 アフタートーク&倉下メモ

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ブックカタリスト第五回の倉下メモ

『これからの「正義」の話をしよう』

マイケル・サンデル

アメリカの政治哲学者。コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者。名前が似ているが、コミュニズム(共産主義)とは異なるので注意が必要。

その他の著作に以下がある。

* 『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』

* 『それをお金で買いますか 市場主義の限界』

* 『公共哲学 政治における道徳を考える (ちくま学芸文庫)』

また、本書のヒットにってさまざまな「教室もの」の書籍が多数出版された。出版業界では、ときどきこうしたブームの火付け役となる本が生まれる(最近の大全ブームなどが記憶に新しい)。

共同体主義

共同体主義は、自由主義(リベラリズム)に対抗する思想だが、しかし共産主義のようにコミュニティーを最上価値として個人の自由を認めないような形はとらず、むしろ根本的には個人の尊厳を重視する。ただ、それが際限なきレベルまで拡大されることを認めない。

対比させると、以下。

「ジェファソニズム=共同体的自己決定主義=共同体主義」

「ハミルトニズム=自己決定主義=自由主義」

私たちが共同体の一部である(あるいは共同体があってこそ個人が生活し、成果を出せる)と認識した上で、自己決定を行うこと。であれば、共同体を滅亡に追いやるような個人の自由は制限されることになる。その制限が必要なのか、それともそれは行きすぎた制約(パターナリズム)なのかで、この二つの思想が分かれる。

この対比は実際的にも重要で、人間は置かれた文脈によって選択を変えてしまうのだから、自分を自由な個人として見るか、それとも共同体の上に存在するものとして見るかによって、「自由な選択」もまた変わってしまうだろう。

トロッコ問題

本書で有名になった問題。トロリー問題とも呼ぶ。5人がトロッコにひき殺されそうになっているとき、一人の命を犠牲にすればその5人が助かるとき、倫理的に「正しい」判断はどのようなものか、というもの。

この「正しさ」は、個人がその選択に納得できるかという側面と、その行為を法律がどのように捌くのかという二つの側面があり、前者が倫理・道徳方面と、後者が政治哲学と関わっている。

このトロッコ問題はさまざまなバリエーションがあり、それだけで本が書かれている。

* 『「正義」は決められるのか? 』

* 『太った男を殺しますか?』

倉下が考えるに、たとえ結果的に法律が罰さなくても、目の前の人間を突き落とすことに人の心は耐えられないだろう。一方で、遠隔操作でボタンを押すならばそれよりも軽度の影響で済むと想像する。

紹介した漫画

* 『はたらく細胞』

* 『ヒストリエ』

次の本の候補

* 『記憶のデザイン』

* 『闇の自己啓発』

* 『思考の教室』



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はい、ということで、これからの正義の話をしようの収録が終わって、
アフタートークっていう名前がいいんじゃないかって言われたんでしたっけ?
やったかな?もう忘れた。果てない人間の記憶力。
はい、まあこれの今回のご実談ではないんですけど、それと、次回どの本について語るかの打ち合わせということで。
次の本なんですけども、前回あげようと思った記憶のデザインっていう本があって、それはもう前回触れたんで省略しますけど、
あとはやっぱりね、闇の自己啓発っていう本をちょっと最近読んだんですけども、闇の自己啓発にしようかなーっていう気運は高まってます。
なんかブログどれでしたっけ?本クレでしたっけ?に書いてたのは見たんですけど、なんて言うんだろう、結局よくわからなかったんですけど、
うん、その本の中に。
タイトル通りの本なんですか?
タイトル通りの本ではないよ。
あ、ではないのね。
たぶんリアルかオンラインかわからないけど、読書会、4人のメンバーで行われて、1冊の本をみんなで読んで、その後に集まって感想とかを述べ合おうっていう、
闇の自己啓発会っていう名前の読書会があって、それの書き起こしが本にまとまったのがあの本ですね。
あ、そういうフォーマットなんですね。
そうです。で、内容も面白いんですけど、読書会をテキストにするのっていいよねっていうような方面で、
ちょっと、つまりこの僕が読み方リストとの親和性っていう意味で、ちょっと取り上げたいかなっていうのが第一義。
ああ、そのメタ的な視点では非常に興味はある。それは確かに。
あともう一個は思考の教室、考える、思う考えるの教室っていう本があって、
考え方を紹介した本、これも面白かったんですけど、その3冊かな。
思考のデザインか、記憶のデザインか、闇の自己啓発か、思考の教室という本。
思考の教室っていうのは言ったら大体タイトルから想像できる通り。
タイトルから想像できる通りなんやけど、上手に考えるレッスンっていうのがあって、
副題があってですね、要するに思考っていうのは、まず論理的思考っていうのをすればしっかり考えられますよと。
でも、僕らって人間、考えるの下手ですよねっていう話があって、
その下手具合をどうやってカバーしていったらいいかなっていう三段構え。
おー、で、結構その、分厚い。
分厚いよこれ。結構分厚いです。
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だから、ある種その、ファスト&スローのような人間の認知バイアスを踏まえた上での、
ちゃんとした思考、しっかりとした、しっかり考えるための方法を論じた本。
How To みたいなので書かれているってことですか?
ノリ都市は How To よりに書かれてるかな。
あー、それは面白そうですね。
戸田山さんって方が著者なんやけど、非常にライトな、ポップな文体で哲学の本を書かれる方なのです。
あー、その人が、直接同じ分野ではないことを書いている。
いや、どうやろう、哲学者なので、思考を教えるにはピッタリではないかなという気もせんではないかと。
そうか、思考という行為自体が哲学か。
うん、確か大学の先生があったのかな。
それはあれですね、悩ましいですね。どれがいいって言われて、まあ全部気になる気がするよねっていう。
うーん、一応僕の第一推しとしては、闇の自己啓発かな、今んとこ。僕の中ではホットなので。
それはね、テーマがメタ的に広がりそうで面白そうで、それは良いと思います。
うん、だから一応今日は終わりかして、ざっくりと8割ぐらいもう闇の自己啓発推しやったんで、それでいこうかなと思ってます。
なんかあれですよね、やっぱその本を読むことを語るということがコンテンツになるのであれば、いろんな可能性が広がる。
いやー、広がると思いますよ、これは。
ね、あのブックカタリストを収益化するためにどうしたらいいだろうっていうことが考える大きなきっかけにもなる気がするし。
まあ書き起こして本にするっていう。
まあ土著級で言うならそうかな、それはありかもしれないですよね。あのなんていうの倫理について考えようみたいな感じで。
そうそう、で結局その単純な書き起こしの後にお互いそれぞれちょっと文章付け足してみたいな感じ?
うん、まああの言ったら多分3時間ぐらいあって、あのあれだね、ムチ君と。
ちょうすく親父さんみたいなね。
そうそう、あのフォーマットでやれば、あの分からないことが分かりましたって俺言えるので。
いやだからね、それがね結構重要で、ある種その今までのその本の読み方って大学の先生とか学者さんが本の読み方を開示してて、
その既に高いとこで話が進んでいくわけですよね。でももっとこう分かりながら読んでいくっていうそのリアルなもののその開示した本って実はほぼないというか、
そんな企画をそもそも誰も立てないかもしれないけども、結構ニッチというか新しい在り方かなと。
で、やっぱり一番親和性、というかさっき言ったような身近な感じってそういう本の書き方にあるんじゃないかなという気もしますね。
うん、しかもねなんかポジションとしてすごい良くて、俺哲学何も知らんくって、あのだいたいらしささんに教えてもらいながら聞いている感じで、
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まあ読んで分かんなかったことを聞くみたいな感じにもなってるし。
しかもこれって結局分かってしまった後にはもう書けないじゃないですか。だってもう分かってるから。
だから分かりながらの時にしか書けないことなんですね、これって。
俺そういう意味で理系の料理2なんだ。
まあそれに近いかもしれない。
そういうのが得意なのかもな、何も知らなかったことが分かったっていうことを書くことが。
だからやっぱり偉い学者さんがこうやって本を読めばいいよって教えを受けたまるよりは、隣にいてこの人もこうやって読んできたんかっていうような、
並行して進んでいけるような本の形の方が、さっき言ったような何でも難しいことを好む人ばかりではないわけで、世の中っていうのは。
より広く読まれるのは実はそういうタイプの本なのではないか仮説があるんですけど。
フィクション要素をちょっと足して1,3,5回をまとめるとすごいなるかもしれないな、その話。
確かに確かに確かに。
どうやってそれを学んでいって、高齢主義から入って、高齢主義じゃないけど、経済学から入って、高齢に富んで、いわゆる政治哲学を含む哲学全般へいろんなことを学んでいくっていう学び。
学びの過程がコンテンツになっている。
なっていくっていう。
3回だと文量もそれなりに増えるし、解説も加えられるからね。
そうそう、何回か続けて、ある種のテーマにそういうものだけをピックして本にしていくっていうMOOC形式っていうのは多分ありでしょうね、きっと。
一番しかもストレートに課金要素が生まれるというか。
今回は3回確かにちゃんと繋がっていて。
普通に人が興味を持って本を読んでいたら絶対何か繋がりはあるんで、きっと。今後も多分生まれてくると思いますよ、きっと。
ちょうどいいかもな、確かに。ちょっと文字起こしツールとかで文章にしてみると良いかもしれないな。
一つの道として。これは僕の経験があると早めにやったほうが良くて。
例えば今打ち合わせキャストを今からやろうと思ったら、もうね、とてもじゃないけど、さっき言った繋がりがどの回にあるのかも思い出せへんから。
それ、そうですね。パッとやるとして、一回聞き直さないとかな、まずは3回分は。
それは間違いなく。一回聞き直さなあかんけども、ある程度若いうちに、記憶が若いうちに少なくとも企画を駆動させたほうがいいのは確かでしょうね。
次回の収録までに何か考えます。
了解です。
それは確かに一番土直球で良さげですね。一番の問題はどうやって分担するかっていう話なんだけど。
それは大きな問題。
それは置いといて、確かにできそうでコンテンツとして優れている気はする。
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そうそう、思い出した。さっき言おうとして、名前が出てこないんだけど、ロードムービーってあるじゃないですか。旅の途中を描いていく映画の読書版。
そして、多分、分かってなかった俺からしか見えない視点もあって、分かっている人から見たららしたさんの視点もあって、解説が入れば面白い気がするんですよね。
確かに。
この人はちゃんと公理主義のことを分かってこの本を読んでいるんだろうかって思えるだろうし。
しかもこの企画のいいとこは、続けるは続けるほどコンテンツの種が増えていくという。
早めにまとめないとだけど、続ければちょいちょい良いペースでいけるかもですね。
単純に月額でお金払ってもらうことももちろんありつつも、一番ストレートで誰も不幸にならないやり方かなという気がしますね。
ついでに俺もめっちゃいっぱい勉強できるし。
それはあるな。それはありますね。
結局、この回話すために僕も何冊か本採読しましたからね。
そういう動機づけがないと本棚の奥からわざわざこれからの正義話を取り出したりしないんで。
2回目は多分1回目よりすごく学ぶこと多いですからね。
確かに。
今回でいうと1回目より2回目の方が大事だったんじゃないかっていう気がして。
なるほど。
そういうのもあれか。読書術として言えるかもなんだな。俺のだけど。
でもそれは一般的に言えることだと思いますよ、きっと。
1回読んでハイライトして、ハイライトを中心に今度はめっちゃメモりながらもう1回読んで。
まだ今そこまでなんですけど、その後もうちょっと整理整頓をした方が良いかなと思っていて。
結構読書術としては泥臭いやり方じゃないですか。スマートではないというか。
でもやっぱりね、そうしかないんですよね。
もうスマートな読書術って全部嘘なんだよね。
泥臭ければ泥臭いほど良いしね。
俺だから暗記してますからね、今この本で読んだ内容。
何だっけ、ジョン・ロールズは正義論は何年に書かれたみたいなのとか。
で、大事なんですよ。すごいすごいよやっぱ。
例えばベンサムの本が1785だったか9だったか。
で、ミルの自由論は1850何年とかで。
で、他のことを読むと単純な年号を覚えるのなんて、
性格じゃなくてもいいんだけど、これってこの人と同じ時代なんだっていうのは
やっぱ暗記しないと多分出てこない。
そうそうでしょうね、きっと。
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で、ジョン・ロール、正義論も分からなさすぎるから、
頑張ってWikipediaから暗記項目を作ってからもう一回読んだすからね。
なるほど。1年経ったらゴリゴさんの方が詳しくなってると思いますよ、きっと。
それはね、できるように頑張ります。
なんかあの無知のベールとか現象状態、
ああいうのもやっぱ反射で出てくるようになったんですよ、ちゃんと覚えて。
で、見返すたびに、これってこういうことだなって思うから、
その上で読んでやっとわかった。
さっき言ったように、メモリが大きく使用されずに、パッパッと進めるわけですね、理解して。
そうそう、多分それなんですよね。
だから、知識がないとメモリが足りなくなるって名言かもしれない。
そういうところはあるのかも。
一つの段落を読むために、いろんなものが、これ分からへんし、これ何やろうってなってしまって、もう読めない。
あるいは読むのにものすごく時間がかかると。
あとはね、メモリにロードすると、やっぱメモリが足りなくなるので、
スタックが起こってしまって。
なるほど、なるほど。
で、もう1回メモリに戻してこないといけなくて、さらに人間はそこがコンピューターよりもさらに効率が悪く。
そっか、そっか。
で、めっちゃ覚えれば、多分メモリが増えるんじゃないかと思うんですよね。
まあ、そら増えるでしょうね、おそらくは。
で、思ったのがそう。あと学べば学ぶほど、たくさんのことを覚えられる気がした。
うん、それはそうと思います。
言ったらなんですけど、容量が足りなくなるという、覚えれば覚えるほど新しいことを覚えるのは、
隙間がないから詰まるということが考え方としてできるじゃないですか。
そうではないということが身をもって分かったっていうか。
うん、じゃあノートが増えると、くっつけられる点が増えるんで、
ものを覚えれば覚えると覚えやすくなる。
逆か、覚えるってことは逆に言うと思い出せるってことなんで。
思い出せるっていうのはつまり、フックが多いってことなんですよね。
うん、そう。だから覚えれば覚えるほど、もっと覚えられるは、
あ、面白いな、これはっていう。
そういう感じでね、最近はずっと暗記にはまっているんですよね。
なるほど。そっか、暗記はしたことないんだよね、今まで。
いやー、俺もね、めっちゃ嫌いでしたよ。
あのバカじゃねーのぐらいに思ってましたよ。
そんなことを暗記するとかアホじゃないっていうぐらいに思っていたし、
年号なんて暗記しなくていい最大格、最もっとも暗記しなくていいことだと思ってたけど、
逆にね、今ね、そんな程度暗記するの何にも苦労しないからね、暗記したほうがいいんですよね。
だいぶ変わりましたね、それは。
うん、すごい変わった。
今、メルマガに書いてるんですけど、
偉い物理学者さんの人が、暗記を使うと20年覚えておくのに必要な時間が10分らしいんですよね。
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ほうほうほう、なるほど。
その10分以上を覚えると価値があると思ったことは、俺は暗記するって言ってて。
なるほどね。
で、例えばベンサムの本が何年に書かれたというのは、確か10分ぐらいなら書けてもいいかなって思えて、
仮に週に1回、毎週それを見直すっていうことをやると、2時間を超えるらしいんですよ、20年続けたら。
で、その50倍以上暗記システムというのは効率がいいって言っていて、
その人はアルファ号の論文を読みたいって思って、
EGOのルールは、EGOは19×19のマスで戦うゲームであるっていうレベルから暗記して論文だいたいわかったって言ってて。
へー、すごいな。
確かにそのレベルを暗記することがすごく大事なんだなっていうか、
長い意味での結局より効率よく学べることにつながるんだろうなって思って。
それはそうでしょうね、きっと。
なので、サンデルさんのほうもちゃんと暗記できるように自分で問題を作らないと思っていて、これがまた大変なんですよね。
これが一番知的作用を促すでしょうね、問題を作るというのが。
そうですね。次回、本の作るきっかけが見えたので、それをやってみようですね。
はい、そうですね。
ということで、次回は特に何もなければ闇の自己啓発について。
はい。
これは俺は読まないほうが楽しめる感じですかね。
本の中身そのものは好き嫌いがあるんで、僕が喋ってから判断した方がいいと思います。
じゃあそうします。普通に聞かせてもらって、面白そうだったら俺も読んでみます。
はい、そんな感じで。
はい、それではBook Catalyst After Talk、また。
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