今回は、『締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか 「先延ばし」と「前倒し」の心理学 (光文社新書 1355)』を紹介しました。
キャッチーなタイトルですが、心理学的知見だけでなくタスク管理(タスクマネジメント)の基礎も学べるとてもよい本です。
書誌情報
* 出版社:光文社
* レーベル:光文社新書
* 出版日:2025/4/16
* 著者
* 安達未来(ADACHI Miki)
* > 1986年生まれ。2009年、広島大学総合科学部卒業。2014年、広島大学大学院総合科学研究科博士課程後期修了。博士(学術)。専門は社会心理学、教育心理学。大手前大学助教、講師等を経て、2021年より大阪電気通信大学准教授。セルフコントロールや学習支援を中心に、理論的・実践的な研究を行う。著書に『生徒指導・進路指導 (よくわかる!教職エクササイズ4)』(共編著、ミネルヴァ書房)がある。近年ではタスクマネジメントを視野に入れたセルフコントロールの研究も積極的に行っている。
* 目次
* 序章:タスクマネジメントとは何か
* 1章:先延ばしとセルフコントロール
* 2章:先延ばしは本当に悪いのか?
* 3章:前倒し概念の誕生
* 4章:前倒しとセルフコントロール
* 5章:先延ばしと前倒しのルーツ
* 終章:ちょうどいい先延ばしと前倒しのみつけ方
「知らなかったのか…? タスクからは逃げられない…」
「タスク」と呼ぶといかにも仰々しいですが、私たちの日常が「やること」で溢れていることは間違いないでしょう。仕事、家政、趣味、地域、公共……。そうしたもろもろの「やること」をひとまず「タスク」と呼べば、私たちはタスクに取り囲まれていると言えます。
多くの場合、私たちはそれらのタスクをただ実行するのではなく、何かしらの段取りを考え、うまくいくように采配しています。そのような手つきの全体を本書では「タスクマネジメント」と呼んでいます。ノウハウ書界隈では「タスク管理」と呼ばれているものに重なるでしょう。
一般的にそうしたタスク管理では、「タスク」をどう処理するかや時間設定をどうするか、という話に注力します。たしかに大切な要素です。しかし、それだけで片づくならばこんなにたくさんのタスク管理ノウハウは生まれていないでしょう。
タスクの実行や達成にあたって重要なのは、当人の認知や感情です。私たちは命令されたら実行するロボットではありません。認知や感情や経験といったものを持つ人間なのです。
何かしらのタスクをついつい先送りしてしまう。別にさぼろうと思っているのではない。やるべきだとは強く感じている。でも、手が付けられない。そのような先送りは「先延ばし」と言え、タスク管理を仕損じる原因になってしまいます。
だから「先延ばし」についてはさまざまな対策が施されていたわけですが、心理的な要因に注目するならば、その逆である「前倒し」も手放しで称賛できるものでないことがわかります。
単純な効率性や生産性ではなく、ある「適切さ」のもとで物事を進めていけるようになること。本書はその助けになると思います。
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サマリー
このエピソードでは、締切前に提出されたレポートが興味深さに欠ける理由を探ります。著者の足立美希さんは、先延ばしと前倒しに関する心理学的な知見を深め、タスクマネジメントの重要性について語ります。先延ばしと前倒しの概念について考察し、特に前倒しが心理学で新たに定義された用語であることが強調されます。タスクマネジメントの重要性や、タスクを管理する際の締切やタスクの性質についても掘り下げられます。先延ばしの心理的要因やセルフコントロールの重要性が議論され、タスク管理における具体化と抽象化のアプローチが提案されます。さらに、英語の勉強を通じて習慣化と意志の力を駆使した実践例が紹介されます。このエピソードは、レポートが早く提出される背景を考察し、その結果、多くのレポートの質が低下する理由を探ります。著者は、先延ばしせずに早く提出することが本当に良いのか疑問を持ちながら、効率的なタスクマネジメントの重要性にも触れています。本エピソードでは、早く提出されたレポートがなぜ質が低いのかについて探求し、課題を与えられる側の評価や職場環境の影響について考察します。また、実験を通じてタスクへの取り組み方や認知的負荷についても論じられ、マネジメントの観点からの興味深い視点が紹介されます。このエピソードでは、締切に対するアプローチとして先送りと前倒しの考え方が取り上げられ、それぞれの長所と短所について掘り下げます。また、タスク管理の方法やセルフマネジメントの重要性についても考察されます。タスクマネジメントの本を通じて、自己啓発や働き方の適応性、学術的知見に基づいたアプローチの必要性が語られます。