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2024-06-18 26:18

読書ラジオ『リヴァイアサン』ポール・オースター

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リヴァイアサン (新潮文庫) https://amzn.asia/d/ebJLyY0
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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書力や日々の学びを音声配信しています。
今日は、ポール・オースターのリヴァイアさんについて話してみたいと思います。
一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が爆発し、死体は15メートルの範囲に散らばっていた。
男がアメリカ各地の自由の女神像を狙い続けたファントム・オブ・リバティであることに私は気づいた。
FBIより先だった。実は彼とはずいぶん以前にある朗読会で知り合い。一時期はとても親密だった。
彼は一体何に絶望し、なぜテロリストになったのか。
彼が追い続けた怪物・リヴァイアさんとは、謎が少しずつ明かされる。
ということで、私にとってポール・オースターの2作品目になりますね。柴田本幸さん役ということで。
1作目はムーン・パリスを読みまして、2作目にこのリヴァイアさんを読みました。
今3作目で、シティ・オブ・ガラス。ガラスの街を読んでいます。
ちなみにこの3作ともですね、共通するポール・オースターの小説に共通する貫くテーマっていうのは何となくあるなっていうのを少しずつわかってきていて。
でも3作とも全然違ってめちゃ面白いっていうことで、面白い小説読みたいなっていう人がいたら、
私は今だったらすかさずポール・オースターの小説どれでもいいから読んだらというぐらいおすすめですね。本当に面白い。
ただですね、面白さを伝えるにはどうしてもネタバレを避けられないということもあって、なかなか感想をお話しするの難しいところがあります。
今日もですね、なるべくネタバレしないように話そうかなと思いますが、新鮮な驚きを持って読みたいという人は、読んでいただいてからこの配信を聞いてもらったらいいのかなと思います。
すでに読んだ人や、まだ読んでないけど内容気になるという人はこのまま聞いていただければなと思います。
ということで今回リヴァイアさんですね。
ファントム・オブ・リバティ、自由の女神を爆発する男がアメリカに現れたということで、ニューヨークにある自由の女神像の大きなやつだけじゃなくて、小さな自由の女神像がアメリカの各地にあると。
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いろんなところに飾ってある、それを爆発する男が現れたということで、ファントム・オブ・リバティ。
どうやらその男がですね、ウィスコンシン州の北部の道端で爆死したらしいというところからこの物語は始まります。
どうやら車を止めてそばの芝生に座っていたところ、自作中だった爆弾が爆発したらしいということで、即死、体がバラバラに吹っ飛んで、爆発現場から15メートル離れた場所でも死体の一部が見つかるほどだったということで。
FBIが地元警察などと協力をして、まずこの男の身元を探し出そうとしたんだが、一緒に爆発した車は盗難者であったし、身元が分かるような流品も残ってなかったということで、
普通なら指紋採取というところになろうが、爆発してしまっているので、その指紋が採取できるような指が残っていないと、両手とも消滅してしまったからということで。
ということで、ブーンパレスは割とロマンチックな始まり方だったなと思うんですが、リヴァイアさんは結構物々しいスタートでですね。
ただどちらの小説も共通して、最初に結末から始まるとかね、小説の概要を説明するっていうのはポール・オースターの手法の一つなんだろうなと思いますね。
リヴァイアさんの方はこうやってまず、ある男が爆死したということから始まって、その後唐突にですね、こんな一文が入るんですね。
私にとっては捜査が長引けば長引くほどありがたい。私が語るべき物語は相当複雑だし、警察が答えにたどり着く前に語り終えないことには、これから書こうとしている言葉も意味がなくなってしまう。
ということで、いきなり語り口は私という主人公に移ってですね、どうやらこの主人公がこの爆発した男、ファンドム・オブ・リワティの正体を知っているらしいと。
警察がたどり着く前に何かを語ろうとしている。それがこの小説の本編に繋がっていくんだということがここに書いてあって。
読んでいる側からしたらもうすごい劇的な始まり方ですよね。この後がもう気になって気になってしょうがないということで、この数ページでもうすでにポール・ウォースターに心が静かみにされてしまうという、本当に面白い小説の面白い始まり方だなと思います。
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主人公はですね、ピーター・エフロンという主人公で、小説家なんですよね。
もうネタバレしちゃいますが、爆発する、爆発した男、ファンドム・オブ・リワティはピーター・エフロンの友人である、こちらも小説家のベンジャミン・サックスになります。
このピーターとサックスの二人の人生が交差していくような形で、このファンドム・オブ・リワティの正体、なぜサックスがファンドム・オブ・リワティになっていったのか。
なぜサックスがそのリヴァイアさんを追い続けたのかということが語られていくわけですね。
こうやった結末とか概要を説明されても、全く問題ないぐらい中身は想像つかないような展開を見せていくので、読者にとっては常に想像の遥か上を行くような物語の展開になっています。
だから本当に読んでいるだけで面白いと。
しかもですね、この一昔前のアメリカが舞台になっていて、そのセリフの言い回しがですね、とってもこう、なんていうんですか、ウィットに飛んでいるというかですね、小粋なんですよね。
アメリカっぽい小粋なセリフ回しみたいなところがふんだんに書いてあって、すごく面白いです。
まず最初はですね、サックスとピーターが出会ったところから始まるんですけれども、この出会いもね、すごく面白い。
ピーターは小説家としては駆け出しで、なかなか売れない時期を過ごしていたんですけれども、ある朗読会に一頭突に呼ばれるんですね。
ただその朗読会は大雪の日で、こんな大雪の中、朗読会あるのかなと思いながら行ったら、その会場になっているバーのバーテンダーからは、あの中止ですと告げられたと。
こんなに積もっちゃやってもあまり意味はないからね。詩はいいもんだが、わざわざケツを凍らそうと熱はないわなと言われる。
このバーテンダーはですね、ピーターがその朗読会で朗読をする人物であるということを知らずにですね、参加者であると思って、こんな風に言うんですね。
あんたもせっかく朗読会に来たのに残念なことだったなと、そんな風に言うわけです。
ただピーターはそのまま帰らずカウンターのスツールに座ってバーボンを注文した。
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雪の中を歩いてきてまだ体が震えていたし、もう一度外に出る前にゴゾロップを温めておきたかった。
そしてバーボンを飲んでいたところにもう一人男がいるということに気がついた。
もう一人男が来たんですね。
そしてバーテンの前まで歩いてきて、私がピーターが10分前に聞いたのとおおむね同じことを聞いて、バーテンも同じように答えた。
そしてバーテンはピーターに、あの人も朗読会に来たんだと。
きっとニューヨーク中で今日わざわざ外に出てくるほどイカれてるのはあんた方二人だけだと思うねとバーテンが言うわけですね。
そうすると後からやってきた男は、それはちょっと違うなと。
あんた自分を忘れている。
そうするとバーテンは、忘れちゃいないさ、俺は感情に入らないだけさ、そんな風に言うわけですね。
だって俺はここにいなくちゃならん、ところがあんたらそうじゃない、そこだよ、俺は来なかったらそこをなくしてしまう、バーテンはそんな風に言うわけです。
そうすると後から遅れてきた男は、でも僕だって仕事をしに来たんだぜ、50ドルの稼ぎになるって言われたんだ、そしたら朗読会は中止、地下鉄代も無駄にした。
そうするとバーテンは、なんだ、そんなら話は別だ、朗読をしに来たんだったらあんたも感情に入らんだろうな、ということはこの町中で出かけなくてもいいのにわざわざ出てきたのはただ一人ってことになる、ということでピーターを見るわけです。
そうするとピーターは、僕のことを言ってるんだったら、それならリストはゼロだろ、
そうすると後からやってきた男はにっこり笑いながら、ふむ、とすると君がピーター・エフロンだってことになるのかな、そうなるんでしょうね。
でも僕がピーター・エフロンなら、あ、ピーター・エアロンならあなたはベンジャミン・サックスに違いない、いかにも。
こんな2人の出会いが演出されているわけです。
もういかにもアメリカっぽいセリフ回しで、ただ出会ったって書けば1行で終わるところを、こんな何行も使って演出しているわけです。
そういった出会った2人はすっかり一気投合してしまって、ここから友情が始まったと。
実はですね、後から来た男の方、サックスはピーターの書いたものをいくつか読んでいて、朗読会に誘ったのもサックスだったりしたんですね。
なので不遇の時代、小説家として、迎われない時代を生きていたピーターは、サックスによって人生の転機になるような出会いを果たしたということになります。
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そこから2人の人生が交差していくわけです。
結婚をしたり、いろんな女性と出会って、友達付き合いをしてということが、その間中書かれていくんですけれども、その中に今回のテーマになってくる自由の女神が、所々出てきたりするんですよね。
この小説のテーマはですね、人はいかにして怪物になるかっていうことだと思うんですね。
さらに言うと、私がこのポールオースターの小説2作を読んで、共通のテーマとしてありそうだなと思っていることとして、全ての辞書はどれ一つ書けることなく、今の現実を構成しているということが、ポールオースターの小説の共通のテーマというか、作り方なんだろうなというふうに思っているんです。
なので今回のこのリヴァイアさんという小説も、ピーターが回想する形で、自分の人生とサックスの人生、それぞれにおける出会い、交差する内容について書いているんですけれども、
そこのどれ一つとっても、結末につながらないものはない、無関係な事象はないと言えるんじゃないかなと思います。
どんなに結末に対してあっちこっちの方向に進んでいるように見えても、全ての出会いや全ての事象は必ず結末につながっていく。
どれかが一つ違っていれば、もしかしたらサックスはファントムオブリバティにならなかったかもしれないし、暴発をして命を落とすことはなかったかもしれない。
そう思わせるような小説の作り方になっています。
そしてもう一つ、今回のこの小説で一つ大きなテーマとしては、もしかしたら私は君だったかもしれないし、君が私だったかもしれない。
それはピーターとサックスの関係でもそう言えるかもしれないし、サックスとサックスが追いかけ続けた怪物リヴァイアさん。
この二人の関係に対してもそういうことが言えるかもしれないんですね。
なので、偶然の出来事がどんどんつながっていって物語になっていくんだろうし、小説でなければそれが人の人生なんだろうなと思うんですけれども、
全く違う人間で私と君という二人の男がいたとしても、もしかしたらファントム・オブ・リバティになっていったのは君じゃなくて私だったかもしれない。
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そういうことがもしかしたら言えるんじゃないかなと、そんな風に思わせられるような小説でした。
なので、この小説を読んでいて、ピーターとサックスの人生をずっとなぞらえていくような読み方をしていく時に時勢が前後するような形で、最初に結末が書かれてそこに向かっていく過程が説明されたりするんですけれども、
ピーターとサックスの人生を読んでいるうちに、もしかしたらこれは自分にも起こり得ることなのかもしれないし、現実の世界で生きている私は、もしかしたら別の人生を生きていたかもしれない。
あの時のあれがなければ、また違った、全く違った人生になっていったのかもしれない。
そんなことをね、ぼんやり思わせられるような小説ですね。
もう一個、ムーンパレスと共通のこととしては、同じフレーズが出てくるんですよね。
たぶんポール・オースターはすごく気に入っているフレーズだと思うので、ぜひ2作品読まれる方はどこにそれが書いてあるか探してほしいんですけど、
そのキーワードはホモ・エレクトスですね。
ポール・オースターはどうやら自分の男性性としての能力っていうんですかね、を発揮するっていうことを結構ね、プライドを持ってるんじゃないかなと思っていて、
そんなことを誇っているようなピーターだったりサックスを書いている、男性の登場人物を書いているような気がします。
そして、村上春樹の小説にも共通する部分かもしれないんですけれども、とにかくすぐ女の人と関係を結ぶことができますね。
モテます。その辺はなんか村上春樹とも近いものがあるなと思いながら読んでいました。
確かにポール・オースターの作品に出てくる主人公、ムーンパレスで言えばマーコーだし、リヴァイアさんで言えばピーターとサックス。
ちょっと変わってるけど、かなり変わってるけど、なんかほっとけない魅力的な男性であることは間違いないなと思います。
だから、女性がほっておかない、次から次へと関係を結ぶことができる魅力の持った男性登場人物っていうのも、この小説の魅力の一つなんだろうなというふうに思います。
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そしてリヴァイアさんはですね、どんどんサックスがどうやって人生を転落させていくのか、そしてビルからもこの人は転落してしまうんですが、それが一つのきっかけにもなっているところもあるんですけれども、転落していくのかっていうのがどんどん語られる中で、
サックスが結構決定的なセリフを言うんですよね。
それがボールオースター自身の人生観なのかもしれないし、先ほど話した全ての事象はどれ一つ欠けることなく、今っていう現実を構成しているんだということを説明させているようでもあるなと思います。
例えばですね、サックスがビルから転落して、その直後に語る言葉の中に、
あの晩の一部始終が忌々しい生々しさと共に蘇ってきた。
パーティ、マリアターナー、非常階段、落下直後の瞬間、死の確信、洗濯ロープ、コンクリート、何一つぼんやりとしてはいなかった。
どの要素も全て等しく鮮やかだった。
事件全体が過剰なほどの明快さを持って浮かび、鮮烈な想起がなだれのように襲ってきた。
何かとてつもないことが起きたのであり、その何かが彼の中で力を失ってしまう前に、全神経をそれに集中する必要があった。
だからこそ沈黙したのである。
沈黙することは思考の中に自分を閉じ込めることであり、墜落の瞬間を何度も何度も生き直すことであった。
そうすることによってあたかも今後ずっと自分を中空に宙吊りにしておくことができるように思えたのだ。
永久に地面の5センチ上で、永久に最後の瞬間の啓示を待っている気がしたのだ。
そんなふうにサックスは自分が転落した時のことを言うわけですね。
この時の出来事がきっかけで、この後の転落というのが決定的になっていきます。
そしてもう少し物語が進んでいった先に、サックスはこんなことを言います。
もしドワイドが死ななかったら、話は全然違っていただろうとサックスは言った。
逃げるなどとは考えもしなかっただろうし、その最初のステップが抹消されていたなら、後に起きたことも何一つ起きなかったはずだと。
だが現実には一人そうやって森の中に立っていると、深い歯止めのないパニックに彼は襲われた。
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こんなふうに言うんですね。
最初のステップが抹消されていたなら、後に起きたことも何一つ起きなかったはずだ。
ここがですね、全ての辞書はどれ一つ書けることなく、今現実を構成する。
私はそんなふうに思う一つ大きなセリフだなと思います。
あとはですね、こんなことも言いますね。
これはピーターのセリフなんですけれども、
現実というものが常に我々が想像し得ることの一歩先を行っているからに他ならない。
自分の考え出したものがいかに奇抜だと思っても、
それらは到底、現実世界が始終吐き出しているものの予測しがたさには及ばない。
この教訓は今や私には逃れようのないものに思える。
どんなことでも起き得る。
そしていずれは何らかの形で、事実、どんなことでも起きるのだ。
ピーターもサックスの人生を側で見聞きして、こんなふうに思っていきます。
こういうピーターとサックスの人生観、偶然なんかないんだと、
すべてが繋がって今にあるんだと、
それは抗うようのない、それが人生なんだと。
まるで生まれた時から罪を背負っているかのような、
その呪縛からは逃れられないとでも言うように、
自分の人生を嘆くわけでもなく、
どんどん理解していくというようなプロセスを覗いている感覚にもなりますね。
すごくネガティブとも思えない。
ただ理解していく、受け入れていく。
自分が生きていることの意味、今生きていることの意味っていうのはこれなんだと。
それが、たとえ世間の正しさみたいなものにはまってなかったとしても、
自分がそれであっていると信念を持ってそう思えたのであれば、
その道をもう行くしかないんだ、みたいな、そういう運命なんだ。
そんな風に、特にサックスがですね、思っているような気がして、
で、代償あれど、人ってそういうものなんじゃないかななんて、
なんとなくしみじみ思いましたね。
いいとか悪いとか、そういうジャッジは別として、
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今この状況にあればもうこうするしかない、みたいな、
そして次の展開をどれだけ予測しようと思って頑張ったとしても、
その先に起きることでしか未来を構成していかない。
そんな、なんかこう、諦めというかですね、
一種の悟りなのかもしれないですけれども、
そういう風にちょっと自分の人生についても考えさせられるような、
あの小説だったなと思います。
で、終盤に書きでですね、サックスがファントム・オブ・リバティになる、
その究極の真理みたいなことが最後語られていくわけですけれども、
もうそこには何も口を差し挟むことができない、
まあ一人の男の悩みを、
口を差し挟むことができない、
まあ一人の男の背負った運命というか、
私から見ればそれはちょっと悲哀のようなものだったりはするんですけれども、
サックスにとっては大真面目だし、
そのサックスの人生とサックスが望んだ友情を受け入れるという、
ピーターの振る舞い、行動というところに深くこう、
陣と来る小説だったなと思います。
ぜひ読んでほしい。
ムーンパレスとリヴァイアさんは名作だと思います。
そして今読んでいるガラスの街、シティ・オブ・ガラスもめちゃくちゃ面白い。
実はこれが一番面白いんじゃないかと思っているぐらい、
シティ・オブ・ガラスも面白いので、
ぜひ気になった方はポール・ウォースター、私と一緒に読みましょう。
ということで今日は、
ポール・ウォースターのリヴァイアさんについて話してみました。
この配信が気に入っていただけたら、
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。
ではでは。
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