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2024-09-15 21:15

【読書ラジオ】『そこにはいない男たちについて』『雉猫心中』井上荒野

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⭐︎本紹介
そこにはいない男たちについて (ハルキ文庫 い 19-3) https://amzn.asia/d/ie69233
雉猫心中 (新潮文庫) https://amzn.asia/d/ifMhXwW
(配信の冒頭部分は本の説明文・あらすじを読み上げています。)

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00:05
こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、井上荒野さんの、『そこにはいない男たちについて』と、『雉猫心中』の2冊について話してみようと思います。
そこにはいない男たちについて
愛する夫を弔った女と、夫が大嫌いになった女
夫を突然亡くし、しばらく料理教室をお休みにしていた美香子、38歳
ようやく再会した教室に、女友達に紹介されて初めて参加したマリ、38歳は
夫とうまくいっていないのだと、みんなの前で言うが
料理教室を舞台にした2人の妻の孤独と冒険の物語
各メディアで絶賛され、続々重版した長編小説待望の文庫化という
これは文庫本で買ったんですけれども、想定がすごくオシャレなんですよね
上下に逆さまに女性が2人描かれていて
上に描かれている女性はワインを飲んでいるのかな
ワイングラスのようなもので何かを飲んでいる女性
ひっくり返して下向きに描かれている女性は
お箸を持って何かを食べている女性
どちらもピンクと緑と白を基調にしたイラストで
めちゃくちゃオシャレですね
これを描いたのは誰なのかを知りたいなと思います
今回井上アレノさんを読んだのは初めてでですね
どんな人なのか知らずに
ただ井上恒生さんの娘さんで
あちらにいる鬼を描かれた人だということは知っていたぐらいの
知識で読みました
そこにはいない男たちについてというのは
2人の女性が出てきて
1人は夫を亡くした女性ですね
突然愛する夫が死んでしまった女性
料理教室を開いている美加子
料理研究家で本も出しているような女性ですね
でもう一人はその料理教室に
女友達に紹介されて初めて参加したマリという女性
この人は夫がいるんですけど
自宅で夫が働いていて
その手伝いをしている女性で
うまくいっていない夫と
1日中同じ部屋にいる
家にいるということが耐えられなくて
03:00
外に出る後日に料理教室に通うと
で実は裏では
出会い系のサイトで
男を探しているという女性なんですね
そこにはいない男たちについてというタイトル
美加子の方は夫を失ったので
美加子の元には夫はいないということで
そこにはいない男というタイトルが
マフに落ちるんですけれども
マリの方は夫がいるけど
なんとなくいない存在にしているという
この女性がねよくわからなかった
美加子が愛する夫との別れを
立ち直っていく過程で
マリが夫と別れていくっていうのが
重なっていって
時に2人は開口するみたいな
お話なんですけれども
読んでみて
いくつか付箋を貼った箇所も
あったんですけれども
例えばマリの
休日の夫のように
自分の部屋にこもって
インターネットにほうけるなんてこともしたくない
いかにも時間を潰しているということを
自分で認めたくない
だが夜のこの時間の立ち方は
恐らく呪い
恐ろしく呪い
夫が大嫌いではない妻は
この時間何をして過ごしているのだろう
あるいは世界中の夫が嫌いな妻たちは
この時間をどんな風に
やり過ごしているのだろうという部分
これはすごくよく分かるな
と思った反面
じゃあなんで分からないんだろう
と思ったんですよね
ただこういう
何気なく
嫌だと思っていること
日常の本当に
隙間のような
嫌な自分の気持ち
薄情な自分
そういう感情だとか
思いに焦点を当てて
小説にしてしまうという
のが井上アレノさんなんだろうな
と思って
ちょっとゾッとした
部分ではありましたね
そんなその
嫌な部分というのを
引き受けるのがマリーなんですよね
他にも
旦那さんはどこにいらっしゃるの
今日はご主人はいません
出張か何か
それで羽を伸ばしているの
家にいます
マリーはまたけらけらと笑った
酔っ払いっていいものだわね
富賀子は心の中で
苦笑する
年老しを知らない人といるときと同じくらい
気楽だ
いるけどいつもいないんです
そう言うとマリーはグラスの半分ほどを
一気に飲み干してしまった
旦那はいるけどいつもいない
って言ってのける妻
06:01
ですね
けらけらと笑う
そんな嫌な部分を
描いている
井上アレノさんというのはそういう人なのかなと
どんどん思っていきますね
マリーはですね
嫌な部分を引き受けていて
どっと失って立ち直ろうと
している三賀子に
結構ストレートな物言いを
言ったりしてそういう場面には
結構イラッとするんですよね
立ち直る過程である
男性と出会ったりするんですけれども
その男性との
ちょっとした
イザコザがあって
最後どうなっていくか
一方マリーは離婚するんですけれども
あれだけ嫌いだった夫と
離婚してせいせいしていると思いきや
そういうわけでもない
という
暗い部分
ですよね
人間の嫌な薄暗い
薄情な
でも
良い質の部分
そういったものが
描かれている小説だなと思いました
私が
この小説を読み終わって一番最初に
思った感想は
マリーに対して
好きにせいって感じですよね
好きにしたら
いいやんっていう
なんでこんなこと小説に書くんやろ
っていう
本当にそういう感想で
よく分かんなかったんですよね
文庫解説は
原田彦さんが書かれていて
原田彦さんが
あれのさんを
大絶賛しているんですよ
それも
よく分かんなかったし
ただ料理に関する
描写は
他の作家の中でも
ピカイチだっていうことについては
確かにそうかもしれない
と思ったんですけど
それだけでこんなに
人気の作家になってないでしょう
と思って
まだ私の知らないものがきっとあるんだろう
ということで
二作目を手に取りました
二作目というか
二冊目ですね
それがキジネコ真珠という小説です
キジネコ真珠
キジネコに導かれて
男女は出会った
男には妻と娘がいた
女には
中学教師の夫がいた
むさぼり合う二人
これは愛なのか
夫の奇妙な性癖
近所の不気味な老人
理解不能な中学生たち
二人とともに景色もうごめく
どうしてもやめられなかった
どちらかの身が
滅びるまでは
男女それぞれの視点から
同じ出来事を語り
嘘やすれ違う感情を
重層的に描き出した
心地を示す恋愛長編
あの
09:02
井上アレノさんは
各作品をね
黒アレノ白アレノという風に
分類されているそうなんですけれども
私が読んだ
二作はどっちも黒アレノ
なんでしょうね
このキジネコ真珠は
プロローグから始まり
第一部終わりの始まり
第二部始まりの終わり
そしてエピローグ
で終わっていく小説です
プロローグはですねいきなり
すごく不穏な
始まり方なんですよね
ある主婦の
なんでもない一日が
描かれていくような感じで
ただ最後
プロローグの最後ですね
配品回収のトラックの声が
近づいてきた
ずいぶん長く巡回している
私はそう思いそれからアナウンスの中に
自分の名前を聞き取った
この主婦の名前は
オオヌキトモコと言いますが
そのアナウンスは
御町内の皆様
御扶養になったオートバイ
オーディオ製品
愛人はオオヌキトモコの
ところへどうぞ
オオヌキトモコが簡単に捨ててくれます
御町内の皆様
オオヌキトモコは人手なしです
いらなくなったペットや
御邸主や奥様は
御所へどうぞ
あっという間にスクラップにして捨ててくれます
あれはバンドリの声だ
すっごいドロドロの小説じゃないか
っていう最初のプロローグで
思いました
そして続く第一部終わりの始まりは
そのオオヌキトモコの
視点で語られていきます
夫がいる
キジネコの
ヨベルに
導かれるように
ある男バンドリと
出会うんですね
お互い
見た目とか
相手が
どういう人なのかっていうのは
一切どうでもよくて
お互いがお互いの
欲望の対象であったという
色気があるとか
魅力的だとか
そんなことはどうでもなくて
どうでもよくて
ただ自分の渇きだとか
足りない部分を満たしてくれる
男であり女だった
ような出会いで
ズブズブと
ほぼ毎日
昼間の
不倫に落ちていく
二人なんですね
それが
オオヌキトモコの視点で書かれていく
終わりの始まり
二人が駆け落ちをする
寸前のところで
トモコの語りは終わるんですよね
ここまで読んで
読者は
12:01
トモコの方が
バンドリに
骨抜きになって
しまっていて
身も心も
溶けてしまっている女性
後先考えずに
行動してしまっていて
もうこの二人が行く道は
破滅に違いない
バンドリだけが
トモコの命綱なんだろう
というような
心境で第一部を
読んでいきます
一方第二部で始まるのは
二人の出会いから
またバンドリの視点で書かれていて
思った通りバンドリは
そこまで
トモコを愛しているわけでもないし
ただ
モテ遊んでやろうというか
自分が
欲望の欲しいままに
トモコを抱いていて
どこかあざ笑っているようでもある
ただバンドリ自身も
妻との
関係性に
どこか足りないものだとか
比較をして
低く見てしまう
自分をどこか
悔しく思っていたりして
そんなことから
目を背けるように
トモコを抱いていく
というバンドリが
そのバンドリの語りからも
少し見えてくるんですね
バンドリの語りの中では
駆け落ちして
その後の二人も
描かれるんですね
その最後がですね
ついにバンドリは
これは現実なのか
思い出なのか
空想なのか
よくわからない描写が
バンドリの語りの中に
どんどん増えていくんですよ
この人とうとうおかしくなっているな
言っちゃっているな
最初はトモコが
頼っていたバンドリ
という構図だったものが
それがどんどん崩れていく
もう二人ともついに破滅で
自分の足では立っていられないような
ことになったんだなと思うところで
第二部が終わります
そして
エピローグですね
エピローグはまた
トモコの視点で描かれるんですけれども
普通の日常を送っている
トモコがまた描かれているんですね
これはどういうことだろうと
思いながら読んでいくと
駆け落ちの後
最後の出来事の後の
二人というのが浮かび上がってきて
バンドリがどうなったのか
ということがここで
トモコの視点で語られていく
そして
あの廃品回収のアナウンスの声で
終わっていく
いやー
これはですね
本当に嫌なお話を読んだなという感じです
15:01
ただやっぱりその
そこにはいない男たちについて
と通ずる部分があるとすれば
日常のその
ふとした何気ない
猫が横切った
家の中に猫が迷い込んできた
というような何気ない
誰にも
誰にでも起きるような出来事から
こんな物語を書いてしまう
あれのさん
すごいなということと
あとはその
今ってその
不倫というのはバッシングされる
ことの方が多い
一方で
何気ないであれば
添い遂げる二人
昼顔でしたっけ
そんなドラマもありましたけど
どこか美しく描かれていくものもある
中で
これはですね
二人とも破滅
しかももう
何というか生き地獄のようなところに
使っていくような物語なんですね
それがこうじわじわと
そんな過程をゆっくり見せられる
その書き方も素晴らしいな
と思ったし
単なる
嫌な気持ちになる小説ではない
というのが
読み終わった感想でした
もう一つがですね
この第一部
友子の視点での語り
終わりの始まりを読んだ後
自分の価値観に気付いた
ということがありましたね
私はこの第一部を読んだ後
なんて下品で
低俗な人たちなんだろう
と思ったんですよ
でもふとそう思って
その次に疑問が
湧いてきて
なんで低俗とか下品だと思うんだろうと
他に
不倫の小説は読んだことがあって
その小説に対しては
下品だとか低俗だ
なんて思わないのに
なんでこのキジネコ神獣については
そんな風に思うんだろうと
考えてみたんですね
出した結論としては
二人に意思がないということだったんですよね
意思がないっていうのは
その
この線を
踏み越えてしまえば
自分たちがどうなるのか
想像して
それでも乗り越えるというような意思決定
決断がないままに
ズブズブいく二人
でそこには
お互いが魂
に引き寄せられて
なるべくしてなった
というわけではなく
たまたま欲望の対象だった
そんなお互いの
ニーズがマッチしたというような形で
肉体関係を結んで
そこから抜け出せなくなってしまっている
二人に対して
自分たちの意思がないな
と思ったし
覚悟がないなと思いましたね
だから葛藤もないわけですね
18:01
周りにバレたら
どうしようと思いながらも
用心することなく
どんどん大胆になっていく
二人
そういうものに私は
嫌悪感を覚えるんだなっていう
自分の価値観に
気づいた
そういうねなんか変なこう
自分の価値観を炙り出すような
炙り出しの小説だったなという
風にも思いました
こういうものが好きな人も
いるかもしれないんですけど
私は特に好んで
読みたい小説
ではないなと思いましたね
特に
黒有野さんは
もういいかな
たぶんちょっと
耐えられないなと思いました
なぜなら
井上有野さんを読み始めてから
たまたまかもしれないんですけど
なんか数年に
一回あるかないかぐらいの
血を引いてしまって
すごく体調が悪くなったんですね
しかも
さらに
自分の乗ってる車の
鍵が
壊れたりとかして
なんかね
有野さんを読んでる間に
なんか嫌なことが
自分の身の回りにも起き始めていて
これはね
なんか
良くないものに
出してしまったのかもしれない
っていうね
自分とは合わない小説だったのかもしれない
と思って
井上有野さんはこの2冊で
封印しようかなと思いました
ただ
何度も繰り返し
なりますが
日常のふとした出来事
誰にでも起きるようなこと
美しく描かれていること
に焦点を当てて
いやそういうことじゃない
薄暗い部分に
光を当てれば
こういう地獄のような物語になるんだぞ
というのを描く
そういった
小説ってあんまりないな
と思うし
じわじわと
読者も
気づかないうちに
そういう沼に
はめていく
そのかきっぷりっていうのはやっぱり
欲しいものがあるなぁ
と思いましたね
だからこそ
触れるな危険
っていう私の
全身が
危険信号を発しているような
気もしています
ということで
ご興味ある方はぜひ
読んでみてもらって
なかなかすごい小説だったな
と思います
ということで今日は
恋愛男たちについてと
きじねこ真珠について
話してみました
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ありがとうございました
ではでは
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