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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、田中兆子さんの『今日の花を摘む』という本について話してみようと思います。
私の趣味は、男性との肉体を伴った仮染めの恋。それを私は密かに花摘みと呼んでいる。
出版社に勤める傍ら、茶道をたしなむゆうこは、一見地味な51歳の独身女性。
だが、人生を折り返し、今日が一番若いと日々を謳歌するように花摘みを楽しんでいた。
そんなゆうこの前に初めて、恋の終わりを恐れさせる男が現れた。
20歳近く年上の茶の湯の水神、前島だ。
だが、彼にはある秘密があった。
肉体の衰えを感じ始めた世代のリアルな性愛を軸に、自分を偽らずに生きる女たちの姿とその連帯を描いた著者初の長編小説。
ということで、大人の恋愛小説。
それだけではなく、年齢的にやっぱり肉体が衰えていく、セックスができない体になっていく世代が、それまで楽しんでいた性愛をどういうふうに楽しんでいくか、そういう変わっていくかどうかみたいな、そんなことが書いてありますね。
そしてこのユリコさんは51歳にして初めて、恋の終わりを恐れさせる男性と出会ってしまうという。
くしくもそんな折に、会社の方でもですね、仕事の方でもちょっと周辺がバタバタっとし始めていて、ユリコだけではなく同世代の働く女性、そしてユリコのかなり後輩の女性たちと、
時には対決しながら、時には連帯しながら、それぞれがやりたいようにやっていくみたいな、なかなか読み応えのある小説でした。
ということで、もう少し感想を話していきたいと思いますが、ユリコさんは51歳。あんまり美人ではない独身。
若い頃から茶の湯をたしなんでいるということで、51歳になった今はですね、お茶会を開催するオーナーに頼まれて、その茶事を取りしきったりですね、会計を担当したり、割とハイレベルなお茶の楽しみ方、関わり方をされている女性です。
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仕事はですね、同世代の同期のキャリア女性とか部長に昇進しているんですが、ユリコさんは課長止まりなのかな。
なんで私には光が当たらないんだという、ちょっとした悔しい思いを持っていそうなんですけれども、それでも仕事は仕事と割り切って、出版社の仕事をそれなりに楽しみつつ、自分なりに真剣に取り組んでいると。
お茶以外の趣味ということで、花摘みという言葉で出てくるんですけれども、ユリコさんは特定の相手を作らずにセックスを楽しむという、そういう割り切った、本当に素晴らしい、そんなことをはっきり口に出せる女性って素敵だなと思うんですけど、そんな女性ですね。
ユリコさんは自分のことをこんな風に言います。
私は私を機嫌よくさせるのが上手い。他人に機嫌を取ってもらわず、自分をちょっと甘やかす。
それは例えば、休日の大半を寝て過ごすとか、休日の大半を寝て過ごしてしまったからってもう罪悪感なんで、当の昔になくしてしまっていると。
自分を甘やかして機嫌よくさせる、そういうことに楽しんでいる。
そして睡眠はセックスと同じくらい快楽だということで、この人は何度も話していますが、特定の相手を作らず、セックスを楽しむのが好きな人なんですよね。
タイトルにもなっている花摘みということなんですけれども、肉体を伴った仮染めの行為、それをユリコさん的には花摘みと呼んでいるんですね。
登山用語ではまた別の意味でね、花摘みって使われますけど、うちのけいこちゃんも花摘みに行ってくるなんてちらっと言いますけど、別の意味ですね。
ユリコさんの場合は、昔男性が花を倒るように女性と遊んだのに習い、女性の私も巷に咲き乱れている花を摘んで遊ぶというんですね。
これっていう男性に出会ったら、まず相手の目を見てその目の色を確かめるそうです。
もちろんトラブルになるので、仕事関係の男には絶対に手を出さない。
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プライベートの中で、その人の目を見て、行けそうかな?とか、私の触手が動くかな?みたいな判断をして、相手もどうかな?って思って、行けるか?となったら、今日の花は今日のうちに摘んでしまうという、そういうスタンスのユリコさんになります。
すごいですね。なかなか小説の中では、そんなことを恋に陥る前島という男性に話してしまうんですね。
セキララにね。そんなところも前島さんからすると、ユリコさんの魅力の一つと言えるんじゃないかなというふうに思います。
前島さんというのは、もともと資産家の家に生まれて、おそらくビジネスでも成功した人なんだと思いますが、今は一人で横須賀の大きな屋敷に一人住んでいて、お手伝いさんがいて、たまに趣味でお茶会を開くと。
そこに呼ばれたお手伝いのユリコさんという形で、二人の恋が深まっていきます。
この前島さんがですね、かなりの水陣というか、粋なおじさん、おじさまなんですよね。
ビジュアルはもちろん小説なので出てきませんが、なんとなくね、海の近くに住んでいるから、こんがりと色よく焼けていて、グレーヘアーで髪の毛も豊かで、体もキュッと引き締まっていて、サーフィンも多分若い時は楽しんだだろうし、
今はお茶会をする時は着物を着て、それ以外の時はラフな姿で一人静かに過ごしている素敵なおじさまなんだろうなと推測します。
これ勝手な私の予想なんですけどね。
そんな人に出会ったらきっと女性の大半が恋をしてしまいますよね。
そんな前島はですね、ゆり子さんの花摘みの趣味を知っているし、ある時前島さんのお茶会にゆり子が手伝いに行った時に、ちょっとストーカーチックにね、男につきまとわれた状況を前島が見ていたりするので、
何が良くなかったのとか、そんな風に言うんですけど、ゆり子さんは、これもセキュララに、セックスに満足しませんでしたと。
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相手のセックスは一人よがりで、自分が楽しもうというだけで、私を楽しませようとか、一緒に二人で楽しもうという、そういう姿勢がなかったと。
もっと小説の中ではセキュララに書いてあるんですけれども、そんなことを言うと。
そうすると前島は、それをね、二人はお茶を立てて茶室でそんな話をするんですよね。
それを前島さんは、女の人はもう遠慮や我慢などしないで、相手の男の人にここが良くないって正直に言っていいんじゃないでしょうかって言うんですよ。
どんな世界でも欠点を指摘されて不適されたり文句を言い返したりする人間は伸びないし、欠点を克服しようと努力する人間はそれだけで人として全うです。
そんな風に言うんですね。
ここでユーリコさんはですね、改めて前島さんの顔を初めて一人の男として眺めて、ここから二人の恋が動き始めていくのかなというシーンなんですけど。
これね、後で読んでいくうちに、このセリフある種のフラグだったんだなということが後半の方でわかってくるので。
面白かったですね。
つまり、口ではどうとでも言えるんだが、実際にその状況に自分がなった時に、本当にそのように振る舞える大人の男って本当にいるのかなってやっぱり思っちゃったっていうことがありましたね。
その辺はちょっと読んでいて楽しんでほしいんですが、そんな風に本当に素敵に大人の恋愛を始める二人なんですけれども、やっぱり障害というかハードルが、高いハードルが出てきます。
それがそれぞれの体に起きる年齢特有のセックスに対する障害というものですね。
それは何なのかというのは小説を読んでほしいんですけれども、やっぱり自分の体の変化に対してどういうふうに折り合いをつけていくかっていうのは、男性と女性では全く違うと思うし、男性の中でも女性の中でもそれぞれ違うと思うんですよね。
こんなはずじゃないってあがく人もいるだろうし、それをすっと受け入れて、今まで楽しんできたこういうやり方はもう終わりにしようってけじめをつける人もいるだろうし、けじめをつけたものの、
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そういうふうに考えたりすると、いやでもな、とか、周りの声を聞くと、こうやって乗り越えたよみたいな話を聞いたりすると、私にもまだできるんじゃないかなって思ったり、そんなユリコさんと前島さんがどういうふうに向き合っていくのかっていうのが中盤に描かれていきます。
この小説の面白いところは、そんな大人の恋愛だけではなく、ユリコ自身や後輩、同僚、友達に起きるいろんな事件があるんですけれども、それを乗り越えていくために女性同士が連帯するっていう、今一種のシスターフットって流行りかもしれないんですけど、そこがすごく面白いんですね。
前半のユリコさんっていうのは、私はちょっと傲慢な人なのかなと思っていて、自分のことはすごく自分自身がわかった気でいるし、それを超えたことっていうのは年齢的にセーブして、自分が好きなことを気持ちよくさせることだけに時間をフォーカスさせている。
そんな女性なんじゃないかなと思っていて、例えば塗り絵で言うと、もう枠をはみ出さない塗り絵というか、きっちり決められたところを一つ一つ塗っていくみたいな、お行儀のいい塗り絵のような生活をしている女性だなと思って。
冒険っていうのは自分が認めた範囲でしか冒険しないみたいなね。それが花摘みだと思うんですけど、そんな女性なんだろうなと。だからそれを超えるものについてはシャットアウトする女性なんですよ。
それで自分自身のことをもうちゃんとわかったつもりでいて、私はこうなんだ、こういう人生であと50年死ぬまで生きていくんだって思っている女性なのかなと思ったんですけど、それってすごく大人かもしれないですけど、私が読んでいてちょっと傲慢だなと思ったっていうか。
こうやって人と関わっていかないことを良しとしていて、それでいて自分は自分の今の生活は完全に調和されていて完璧なんだって思っている。そんなところが少し傲慢なのかなと思ったんですけど。
後半のユリコさんはですね、後輩のために、あとは自分のために、女性の権利のために党本清掃し、同期を巻き込み、会社を巻き込み、活動していくという行動がすごくパワフルです。
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この人こんなことをやる人だったっけ?別人みたいって思うぐらいにすごくパワフルな行動をしていきます。
それはですね、きっといろんな会社の中で起こりうることに近いかもしれなくて、もし自分の身に、例えば自分の後輩に、部下にそんな相談をされたら、同じように自分は動けるんだろうかって、やっぱり自分のことを振り返る機会もありました。
あとはですね、恋のライバルっていうのも出てくるわけですね。自分が到底かなわない女性で、若いし美しいし、何よりも相手との一緒にいた時間っていうのもかなわないわけですね。
そんな時に、果たして自分がこのままこの人と一緒にいるっていうことは、この人のためになるんだろうかとか、自分を押し殺したことにならないのかとか、自分が生きていくこのライフスタイルと、恋をした人と生きていく、どっちが大事なんだ、両立はできないってなった時に、どういう選択をするのかみたいな。
ユリコさんのその決断がですね、すごくかっこいいんです。それはやっぱり、二人が恋に落ちたお茶室でまた、その決断がユリコさんの口から出てくるんですけれども、そこのラストに向かっていくユリコさんのその変化、変化しつつ、絶対にこれは譲れないというユリコさんの真の強さ。
それ以外のことは、やっぱり大人の女性なので、柔軟に柳のように対処していくという。そして、周りと連帯しながら問題を解決していくという。読みごたえがある小説だったなというふうに思います。
お茶が好きな人とかね、大人の恋愛に興味津々な人、楽しく読んでいただけるんじゃないかなというふうに思います。
そしてですね、私最後はやっぱり倫理観と強要が自分らしさを支えてくれるもの。窮地に陥った時に自分を救ってくれるのは、しっかり培った倫理観と強要なんだなというふうに思いました。
大人の恋愛の話なのにね、最後は倫理観と強要だなみたいな、すごく真面目なことを考えてしまいましたが、恋愛小説としても楽しめるし、一人の女性の強くしたたかでしなやかな生き方としても十分に学べるし、疑似体験ができるような小説でとってもおすすめだなと思います。
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ということで今日は、田中調子さんの今日の花を摘むという本について話してみました。この配信が気に入っていただけたら、いいねやコメント、フォローお願いします。励みになります。それでは、今日も聞いていただいてありがとうございました。ではでは。