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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、千早茜さんの『しろがねの葉』という本について話してみたいと思います。
この『しろがねの葉』は、第168回直木賞受賞作ということで、
先日、『何時星になる?』っていう本を読んで、
その本は直木賞の候補作だったんですけど、受賞ならずという本だったんですけど、
めちゃくちゃ面白かったので、受賞した作品ってどんだけ面白いねと思って、
そういう興味で買ってみました。
千早茜さんの、心境地にして渾身の劇的長編ということで、
いやー、読んでよかったですね。めっちゃ面白かったです。
ちょっとあらすじを、帯に書いてあるあらすじを読んでみますが、
戦国末期、シルバーアラッシュに湧く岩見銀山。
天才やまし、騎兵に拾われた少女うめは、
銀山の知識と秘められた鉱脈なりかを授けられ、
女建らに行動で働き出す。
しかし、徳川の支配強化により、
騎兵は生きそそうし、
保護者を失ったうめは、欲望と死の影渦巻く世界に一人投げ出された。
繰り返し訪れる愛する者との別れ。
それでも彼女は運命に抗う。
というあらすじの説明になっています。
この白金の破岩、他の小説と違うところはですね、
戦国末期を舞台にした歴史小説っていうのはたくさんあってですね、
あの、秀吉、信長秀吉家康が生きた時代ですよね。
で、この時代の歴史小説は結構あるんですけど、
その中でも女性が主役っていう小説はグッと少なくなってですね、
それでも女性が主役のものは女上主だったり、
忍者、忍びだったり、大名の妻だったり、
女性が主役の場合はそういう肩書きだったりするかなと思います。
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で、この岩見錦山を題材にした小説っていうのもなくはなくてですね、
それでも主役になるのはそこで働いていた交付の人だったり、
そういった人をお客さんにしていたおいらの話だったりするかなと思うんですけど、
この白金の葉はですね、そこで生きた女性の話、名もないただの女性の話なんですね。
その主役が梅なんですけど、梅が元々いた貧しい集落から両親と共に逃げ出して、
そこで両親と離れ離れになってしまって、一人山の中で迷子になったところを拾われる。
ここから物語が始まっていくんですけど、この少女梅っていうのは実際にはいなかった人です。
なぜならこの岩見錦山っていうのは実際にあったところなんですけど、
銀を掘り当てていくんですよね。山を掘って掘って掘った行動のことをマブと言うんですけど、
歴史的事実としてマブに女の人が入るっていうのは許されなかったっていうことから、
この少女梅っていうのは銀山の鉱脈のありかを授けられて、行動で働き出すという話になってるんですけど、実際いなかった設定になります。
ですがそこがこの小説の面白いところだと思っていて、この岩見錦山で生きた男の人っていうのは
30歳まで生きられなかったと言われてるんですね。行動で働いていると体を悪くしてしまって、30歳を待たずにいなくなってしまう。
この千早茜さんがこの岩見錦山を題材にした小説を書こうと思ったのはそのエピソードを聞いたからだとインタビューで答えられていて、
銀山で働く男は事故や肺病で喪失して葬積してしまう。残された女たちは子孫を残すために何回も突入だっていうエピソードを聞いて、
その当時の女性がどんな気持ちで生きていたのかっていうのが気になったのが、この小説をまず最初に書きたいと思ったきっかけのエピソードだそうです。
この少女梅を主役にすることで、実際にこの岩見錦山で働いて早くいなくなってしまう男性の気持ちもわかるし、
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そういう男性を何人も見送って、また新しいところに突入で子どもをなさなければならない、その当時の女性たちの気持ちもわかる。
そういうこの時代の岩見錦山で働く交付の悲哀、悲しい気持ち、それでもこの山から離れられないというもどかしい部分と、
それに対する女性ですよね、子をなすために3度も突がなければいけなかったこの時代の女の虚しさだったり無言らしさ、
だけれども生き抜いていくっていう強さをこの少女梅を主人公にして一人称で語らせることで、
両方の視点で話が始まっていくっていうのがこの小説の設定のめちゃくちゃ面白いところかなと思います。
そうやってこの梅を主人公にして、葵にも書いてあるんですけど、繰り返し訪れる愛する者との別れ、それでも彼女は運命に抗うということで生きていくこと。
どうやってこの梅が過酷な状況の中でそれでも生きていくということを選択してどうやって生き抜いていったかというのが語られています。
この梅っていうのはですね、女の子なんですが天才山士に認められて孝明なりかを授けられる弟子になるんですけれども、
それに対して周りの少年たちは嫉妬するんですよね。
この山士に弟子入りすると自分たちも一流の山士になれるんですけど、なかなか弟子を取らない騎兵だったので、弟子を取ったと思ったら少女だったということで、
この梅はですね、持ち前の花っぱしの強さだとか、暗いところでも見通せるという嫁があったんですけれども、そういうところを嫉妬されて、おにっこというふうにいじめられています。
ただですね、この小説の前半の方にとても印象的なシーンがあるので、ちょっとそこだけ話してみようと思うんですけれども、
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少女梅をいじめる少年の一人にハヤトというのがいるんですけど、ハヤトはすごい優秀な少年で、早くから才能を認められて山士になるサクセスストーリーを歩んでいく少年なんですけれども、
だからこそ梅のことを強烈にライバル視していじめたりしてたんですよね。
ある時に梅がボロボロの着物を着た、もう痩せ細って年老いたオイランが子供にいじめられている場面に遭遇した時に、
ハヤトがその子供たちを怒鳴りつけてお湯払うという場面があります。
そこで梅は、自分のことをいじめていたハヤトがいじめっ子だったのに、オイランをいじめていた少年たちを追い払うというところにびっくりするんですけれども、
追い払った後にそこに咲いていた赤いツツジを二人でツツジの蜜を吸うという場面があるんですね。
そこで今までいじめられていたハヤトと少し話すというところがあるんですけれども、
そのツツジの蜜をずっと吸い続けることで、二人の足元は花びらで真っ赤に染まるという、この花の赤と追い払ったオイランの着物の赤というのがコントラストになっていて、
そこで梅は、そのハヤトがいじめっ子ではなく、自分に普通に話しかける一人の少年としてそこにいるということに驚くと、
いじめられていたオイランのことを思って、女である自分もいつかああなってしまうのか、ああなってしまうというのは、
女というのは男に遊ばれて、捨てられてボロボロになって、それでも生きていけなければならない、地獄にいるようだ、そういう女に自分もなってしまうのか、
なってしまうとしたらそれは男のせいなのではないか、というようなことを梅は思うんですね。
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この記憶が梅の中では強烈に残って、この後のストーリーでも思い出す場面が出てきます。
ここでその、ハヤトと記憶を、思い出を共有するということと、その女というのはどういうものなのかっていうのを梅が最初に自分の中で意識を、意識づける場面としてここがあるのかなと思っていて、これが私の中でとても印象的でしたね。
ここから梅もハヤトも成長していって、成人して、それぞれの役割を果たしつつ物語が進んでいくんですけれども、
この梅っていうのは鬼っ子と言われて、女の子なんですけれども、男のように、マブで働く男のようになりたいと思って成長していくんですが、
鬼兵が徳川の支配下になったことで、岩見銀座を捨てて出ていくんですね。そこから一人になった梅は、もうマブで働くということは許されない。立ち入ることも許されなくなって、女性として生きていかなければならない。
そこでの喪失感から、子供を産んで男を見送ってっていうのを何度も繰り返していくんですけれども、そういう運命に抗いつつも、それでもしなやかに女性らしい柔らかさでその運命を受け入れていく。
で、自分に正直に生きていくその姿は、この時代の女性って本当にそんな人がいたのかどうかっていうのはわからないですけど、見ていてとても強くて素敵だなぁと思うとともに、今の時代でもこんな生き方が女性としてしなやかで正直な生き方ができるかというと、
結構難しいかなと思ったりするので、重なる部分も多いのかなと思って、より梅の強さだったりしなやかさっていうところに憧れる気持ちで読んでいました。
最後の方に梅が、自分が置かれた運命に対して選択をしていく場面で、もしかしたら人によっては、「え?」って思っちゃう場面があるかもしれないんですけど、私はそこを読んでいて、私でもそうするだろうなぁと思って、
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すごい正直な選択で、好きだなぁと思いながら読んでいました。
女性にとって生きていくっていうことは、愛情だったり、子供を産んで育てる、出産だったり、自分のやりたいことをやるっていう仕事。
この3つのどれかを選べるか、どれかを切り捨てられるかって言ったら、それは難しくて、少なからずこの3つのテーマっていうのは常に欲しいものだったり、それでも手に入らないものだったりすると思うんですよね。
その時々によって、今はこれを大事にしなければならないとか、大事にしたいと思いながら生きていくのが女性なのかなと思うんですけど、
この運命っていうのは周りに利用されたり、すごい無謀に集中を受けたりするんですけれども、そこに悲観的になるのではなく、むしろ自分がそういう運命を乗りこなしてやろうというような強さが常に見えるんですよね。
それがとても魅力的だし、女性としての魅力もある。
それっていうのは、戦国末期の時代に生きた女性に自立とか自由があったかというとそうではないと思うんですけれども、この運命っていう人は過酷な運命の中でも精神的には自由だったのかなと思うし、自立されていたのかなと思います。
そういう一人の女性を駆け切ったっていうところで、この千早あかねさんっていう小説家はすごい人だなと思いながら読んでいました。
島本梨央さんが真上に言葉を寄せられていて、生きることを選ぶ、それがどれほど強靭な選択か、この小説でした。
フィクションではありますけど、戦国末期に生きた女性、それは今を生きる私たちにも通ずるものはたくさんある、感動せずにはいられないような小説でした。
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この千早あかねさんの他の本も読んでみたいなと思いました。
ぜひこの女性が描く、戦国末期の女性の、普通の女性、何もない女性の話っていうのは、歴史好きな人はもちろんですけど、普段歴史小説読まないっていう人でも、
普通の女性の生きた人生っていうことで、ぜひ興味持って読んでみてほしいなと思いました。
上智翔作の白金の葉という本について話してみました。
今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。
ではでは。