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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書録や日々の学びを音声配信しています。
今日は、村上春樹さんの『街とその不確かな壁』について話してみようと思います。
今から話す内容にネタバレというか、いろんな情報がちらほら出てくると思いますので、
春樹さんの作品、毎情報なしで純粋に楽しみたいという人は、読んでからこの配信を聞いていただければなと思います。
すでに読んだことある人や、読んでないけど多分読まないから、ネタバレOKという人はこのまま聞いていただければと思います。
まず、あらすじを読んでみようと思います。
これは、街とその不確かな壁の公式サイトですね。新聴者の公式サイトに書いてあるあらすじになります。
魂を揺さぶる村上春樹の秘密の場所へ
待望の新作長編1200枚
17歳と16歳の夏の夕暮れ
カーモを風が静かに吹き抜けていく
彼女の細い指は私の指に何かをこっそり語りかける
何か大事な言葉にはできないことを
高い壁と暴露
図書館の暗闇
古い夢
そして君の面影
自分の居場所は一体どこにあるのだろう
村上春樹が長く封印してきた物語の扉が今開かれる
ということで
村上春樹さんの最新長編小説になりますね。
2023年、1年前ぐらいに発売されたものになります。
珍しく春樹さんのあとがきが書いてありまして
そこを抜粋して読んでみようと思いますが
コロナウイルスが日本で猛威を奮い始めた
20年の3月初めにこの作品を書き始め
3年近くかけて完成させた
その間ほとんど外出することもなく
長期旅行をすることもなく
そのかなり異様な緊張感を強いられる環境下で
日々この小説をコツコツと書き続けていた
まるで夢読みが図書館で古い夢を読むみたいに
そのような状況は何かを意味するかもしれないし
何も意味しないかもしれない
しかし多分何かは意味しているはずだ
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そのことを肌身で実感している
ということで
この街とその不確かな壁はですね
春樹さんが1985年に書いた
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドと
設定が同じでですね
なぜならばこの街とその不確かな壁と
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
2つの朝鮮小説が生まれた
1つの中編小説というものがあります
これは1980年に文芸誌文学会に発表された
街とその不確かな壁という小説なんですね
これは雑誌には掲載されたんですが
跡書に書いてある春樹さん曰く
内容的に納得がいかなかったため
書籍化はしなかったということで
春樹さんの作品で書籍化されていないものは
ほとんどないそうなんですが
この作品だけは珍しく
日本でも他のどの国でも出版されていない
ということで
1980年にこの中編小説を書いた後
順番としてはですね
この前後あたりで青春三部作ですね
羊を巡る冒険が1982年なので
春樹さんがジャズのお店を経営をやめて
小説家1本でやっていこうと決断された時の
その後か羊を巡る冒険の次にですね
中編の街とその不確かな壁を
大幅に書き直そうと
リライトって言うんですかね
しようと思って書いたのが
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
1985年に出版されたお話だったんですね
この後いろんな作品を書かれていて
その年月がたずにすれずれて
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの
違う対応というか
別の結末やストーリーがあってもいいんじゃないか
って思ったと
そういうことで40年経過した2022年に
もう一つの結末ストーリーとしての
街とその不確かな壁を書くことにしたということですね
なので1980年に最初に出した中編の
原始になるような街とその不確かな壁から
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドという
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長編が生まれ
その40年後にまたリライトする形で
街とその不確かな壁という小説を生んだということです
なので基本的な設定は一緒なんですよね
現実と非現実
どっちがどっちかっていうのは明確には分けられないんですけれども
街という
おそらくこれが非現実的な
僕が作り出したもの
僕の真相真理にある壁を概念として
そこに囲まれた街というものを作って
そこにいる僕と
多分現実の世界にいるであろう私
それが交互にストーリーが展開されていく
というのが共通点です
私はですね
村上春樹さんの作品は
風の歌を聴けというデビュー作から始まって
1970年のピンボール
その後の羊を巡る冒険
ダンスダンスダンスを読んで
その間に
その結構後に書かれている
国境の南太陽の西
先作ると
巡礼の都市を読んで
そしてこの前
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを読み
その後にいよいよ
最新作の街とその不確かな壁というのを読んでいる
そんな順番で春樹さんの作品を読んでいるわけなんですけれども
この街とその不確かな壁は
新作ではあるものの
さっき言った通りに
構想自体は
春樹さんが書かれた世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
の時点では
この街という概念の構想はあったということなので
そういった順番で私としては小説を読んでいっているということになります
その構想自体は
春樹さんが小説家としてデビューしたその直後に
自分の真相真理にあるものを街という概念で捉えて
そこに行き来する自分が
二人いるかのようにですね
さらにもう一人いるかのように影という存在を出してですね
自分が統合されていったり
一人の自分が失われていったり
そういうようなことをこの小説の中で
試みているのかなと思うんですけれども
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40年経って
あの時とは別の
アナザーストーリーがあるんじゃないかということで書いたこの新作
読んでですね
なんかもしかしたら春樹さんこれ
なんていうんだろうな
今までの伏線を全部回収しにかかっているような
総括のような小説なんじゃないかなと
読み終わって一番最初に思ったのが
そういった感想でしたね
今まで読んできたデビュー作から
若い時の春樹さんが書いた小説を
私は中心に読んでいるわけなんですけれども
そういった小説と比べるとですね
多分一番わかりやすくて一番読みやすいのは
この街とその不確かな壁だと思うんですよ
すごくわかりやすいし
春樹さんらしさも多分にあるんですけれども
なんていうか自分の
自己探索をするような
真相真理をずっと覗いていくようなその
静かな試みが小説として現れている
というような雰囲気をすごく受けるので
この中で春樹さんが外にも出ずに
この小説に向き合ってきた
この小説に向き合うってことは
40年前に自分が考えてきた
多分一つの革新的な
春樹さんの中のテーマだと思うんですよね
そういったものにもう一回じっくり向き合う
なんかそういう
なんていうか締めくくりのような部分もあってですね
きっとその後の
例えばノルウェイの森だとか
海辺のカフカーとか
その後に続く小説
たくさんあると思うんですけど
そういった中での伏線も
この中に回収されていっているというか
総括としてまとめられているという
たちいちの小説なんじゃないかな
っていう風に思ったりしました
なので
春樹さんってよく
ずっと成長しない男の
失った女性を
追い求め続ける軸を
書き続けている小説家であるみたいな
ところをよく
書評家の方に
言われたりしますけれども
まさにそれはその通りで
春樹さんってそういう
職業小説家の方だと思うので
それについて批判するっていうのは
私はちょっとよくわからないんですけど
だってそういう人じゃんと思ったりするんですけど
もう俺は
そういうやり方で小説を書いてきて
ずっとこうですけど何かみたいな
そんな静かな
自己主張も感じられるような
小説だったなという風に思いました
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なので
春樹さん好きな人はですね
この小説読んでなんか
最後なんじゃないかなって思ったり
なんかまた同じこと書いてあって
ちょっとがっかりみたいな感想を持たれる人
多かったんじゃないかなと思いますが
私としては
今までいろんな小説であったものが
ここにじっくり書いてあって
そういった点ではめちゃくちゃ面白かったし
わかりやすい小説だったなと思います
で、もともと
1980年の
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
なんですけれども
その長編2作を比べてみると
圧倒的なエンターテイメントの要素
って言うんですかね
アドベンチャーだとかスリリングな展開
少しちょっとサスペンスも入っている
というような
アドベンチャーだとか
少しちょっとサスペンスも入っている
という点で言うと
小説として間違いなく面白いのは
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドだと思います
私はスタイフの配信でも
その面白さ、はるきさんの着想
というかアイデア
それを形にしていくテクニックの部分だとか
めちゃくちゃ面白い
1980年代に考えたなっていう
ことをすごい熱量で
2回にわたって話したと思いますけど
そういう点で小説として面白いのは
私としては圧倒的に世界の終わりと
ハードボイルドワンダーランドだと思います
ただ、はるきさんという小説家が好きで
その世界観に
とても魅力を感じる読者としては
読まずにいられないのが
この街とその不確かな壁だなと思います
なぜなら結構な伏線回収というか
総括がされている小説だと思うから
なんですね
ということで前置きが本当に長くなりましたが
じゃあどんな内容だったのかというところで言うと
この小説に出てくる
登場人物は
まず17歳の僕と
16歳の君が出てきます
これはおそらく実際の世界の
お話なんだろうなと思うんですが
僕と君は高校生の時に出会って
恋のようなものに落ちた
けれども僕の前から君はある日
突然姿を消してしまった
その素質を抱えたまま僕は大人になり
45歳の時に穴に落ちる
そしてまた街へ行ってしまう
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そんな話になります
街にいる僕は
自分のことを私と言って
やっぱり街で夢を見ようするんですよね
また街で
16歳の少女
おそらくこれが現実世界で
僕が17歳の時に恋をした君
と出会う
君は僕の夢を見ようサポートする
図書館で働く少女ということですね
そしてまた出てくるのが
僕の影ですね
街に入る時に僕と引き剥がされて
門へのところに隔離されている
影が出てきます
もう一人ですね
これが後に出てくる誰かだと思うんですけれども
誰だかわからないが
僕に対して
あなたはと語りかける誰か
というのも出てきます
このあなたと語りかけるのは
第1部で出てくるんですけれども
第2部第3部で出てくる誰か
ここで登場しているんじゃないかなというところで
それを想像するのもすごく面白いところかなと思います
この小説は
第1部第2部第3部となっていて
第1部に出てくるのが今話した
登場人物になります
ネタバレしますと言ったものの
さすがに全部話してしまうと
読んだ時の面白みっていうのがないと思うし
竹谷さんと読書会をやると思うので
ゴリゴリのネタバレは
ちょっとそっちの方にとっておいて
第1部の登場人物の内容で
語れる部分を語っていこうかなと思います
高校生の時に出会った僕と君
僕の前から突然姿を消した君
姿を消す前に
あなたが
君
姿を消す前に君という少女は
本当の私は街で図書館に勤めている
私はその影なのよというようなことを言います
そして
肝臓を横向きにしたような形の
街の地図というのを僕に話してくれます
自分が時々
誰かの影みたいに思える
私は本当の私の身代わり
仮初めの両親の下で育てられた
というようなことを言うんですね
この少女が僕に
街の存在
自分が影であるということを高校生の時に話し
僕はその記憶をずっと持ったまま
大人になるんですね
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そしていざ45歳である日突然穴に落ちて
気がついたら街の中にいた
その時に直感的に
これは君が話してくれた街なんだ
ということで
すっと順応するという話なんですね
僕は
街で読みをするんですけれども
僕はこの街を出ていくことはできない
そんな風に言います
ここでは僕がやるべきことがあって
何をするかも十分わかっている
つまり
もう一つの世界で感じていた孤独を
ここでは感じなくて済む
だから僕はこの街から
出ていく理由がない
出ていくことはできない
そんな風に言うんですね
そして
この後のストーリーになっていきますが
やっぱり影はですね
一緒にこの街を出ていこうということで
僕を説得するんですね
ハルキさんがやりたかったこと
大きなことの一つとしては
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドで
僕が選んだ
それとは違う
結末があってもいいんじゃないか
街を出ていくか出ていかないかの判断
もう一つの答えがあってもいいんじゃないか
ということをこの小説で試みたかった
ということなので
この小説を読み進めるにつれて
気になっていく最大の関心事は
僕がどういう決断をするか
という部分になります
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドも
読んだことある人だったら
あの決断が今回はどうなるのか
というのが直感的に思い出されるかもしれないんですけれども
どっちも読んだことないという人は
何のこっちゃかわからないということになりますので
簡単に言うと
ハードボイルドワンダーランドの
簡単に言うと
街というのは僕が作り出した
真相真理の中にある
架空の非現実的な世界
です
そこに行ってしまった人間は
影と引き離されて
要するに影というのは自分の心
感情の象徴なんですよね
つまり心を失うわけです
その状態で
その街にいるということは
本当の自分を失うことになる
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ただやるべき仕事があって
必要とされている状況があって
自分が大事な人が隣にいる
そんな状況から
脱出するべきかどうか
結局は答えは同じだったで終わるのかな
とか
または全然違うような決断があったりするんじゃないかな
そんな風に読んでいく中で
楽しんでいきました
そして前作の世界の終わりと
ハードボイルドワンダーランドほど
面白いストーリーの展開だったり
魅力的な登場人物というのは
小谷さんの小説にはそこまで出てこないんですけれども
やっぱり僕の
行くべき道を
予言したり
誘導したりする人物として
小谷さんという人だったり
イエローサブマリンの少年
あとはコーヒーショップの女性
みたいな
小説に出てきそうな
登場人物も出てくるので
こういった人たちとの僕とのやり取り
というところが第二部の
メインになっていくそんな小説でしたね
この小説を読んで
やっぱり僕が
失ったものもしくは損なわれてはいるが
失っていないものというのは結局
何なんだろうとか
小説の途中で出てくるんですけれども
ガルシアマルケスという
本物の小説家がいて
これらの時代の愛という小説を書かれた人なんですが
その人が取る
小説の手法でマジックリアリズム
というものがあって
現実と非現実が生きているものと死んでいるものが
まるで一つに入り混じったような
そういった一つに入り混じっている状態が
まるで日常的な当たり前の出来事
みたいに書く手法について
僕とコーヒーショップの女性が
語るシーンというのが出てきていて
まさにそのマジックリアリズム
というものがハルキさんの小説で
取られている手法なんだと思うんですよね
そんなこともこの小説の中で
ハルキさんが解説してくれていてですね
それも
最初に話したような
ハルキさんの小説の総括のような
立ち位置になっているんじゃないかと思ったりする部分で
非常に勉強になるし
ハルキさんのことがよく分かった気になる
ような小説だったなと思います
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なんだろう
すごく不思議な小説感覚なんですけれども
もしかしたらこれで長編小説終わりなんじゃないかな
と思ったりしています
そういうところもあってですね
ハルキさんの作品を読んだことある人
あとは世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを
読んだことある人は絶対読んだ方がいいなと思います
まだ文庫本は出てないと思いますので
ちょっと分厚い単行本にはなりますが
街とその不確かな壁
一度は読んでいただければなと思います
今日話せなかったことは
ケヤンさんとの読書会で
ちらちら話していきたいなと思います
毎回ハルキさんの本を読むと
読書名本というのを私は書くんですけど
今回はA45枚ほど
5、6枚になっているので
この辺話していけたらなと思っております
ということで今日は
とりとめのない間奏の配信ということで
村上ハルキさんの街と
その不確かな壁について話してみました
この配信が気に入っていただけたら
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました
ではでは