甘さの認識の変化
とっても個人的な話なんですけど、 最近何を食べても甘いんですよね。
甘すぎて食べられない。 シャトレーゼで食べられるものがない。
チョコパイを見るだけで胸焼けする。 ミスタードーナツはオールドファッションすら甘すぎるので、
あのなんか、スズカステラみたいなドーナツ一つで満足してしまう。
なんならラーメンを食べても甘いし、カレーも甘いし、 焼き魚も醤油がかかっているところが甘い。
甘くて美味しいだけならいいんですけど、 だいたい甘すぎてもう結構ですってなりがちなんですよ。
味覚がおかしくなったのかなと思って試しに塩を舐めてみると、しょっぱさの奥に甘みを感じ、七味をかけたら辛さの奥の甘みでちょうど良くなる始末。
七味の中の六味ぐらいがもう甘くなっているみたい。
そんな感覚があるんですよね。 年齢を重ねるとともにだんだん甘さを強く感じるようになってきました。
小さい頃はおばあちゃんの作るおはぎとキャンプで食べるマシュマロが大好きで、 なんならね糖分だけ摂取していたと言っても過言ではない私が、
今では花瓶に糖を感じるようになっている。 これは困ったことですよ。
甘い辛い酸っぱい苦いしょっぱいの5種類のうち4つが休業してて、 甘いの独裁政権を強いているわけですね。
この状況で美味しいまずいを正確に判定できるものなのか。 奥さんが勧めてくれたお菓子を食べると決まって甘いとしか言わない男が、
生ビールと発泡酒の違いをちゃんと認識して飲めているのだろうか。 あれ美味しそうじゃないって気さくに話しかけてくれる奥さんに対して、
甘そうとしか返さない男は、もはや何か勘違いしている変な夫になり果ててやしないかと。
強調を求められる部分で空気を読まず甘いって言っちゃったりとか。 みんながウキウキでアイスを選んでいるときに一人炭酸水を買ったり、
なんか僕がおかしくなっているのではって思っちゃうんですよ。 もしかすると変化したのは味覚じゃなくて僕の根本なのではないか。
結果としてそれが味覚っていう末端の機能に現れているだけではないか。 そう思うこともあるんですよね。
その視点でこの状況を改めて解釈するとどうなるか。 もしかすると私は食べ物を食べているのではなく、
比喩を食べているのではないでしょうか。
味覚ってメタファーによく使われますよね。 しょっぱい自慢話とか辛い評価、苦い思い出、酸っぱい皮肉、甘い人生。
そして今の僕はその甘さしか感じられなくなっているんじゃないかって思うんです。 つまりどんな体験に対してでも本気で立ち向かわず
人生と味覚の関係
甘さを見出そうとしている、そんな精神の現れではないか。 そして甘さを見出したいにもかかわらずその自身の甘さに
挽き役している、そんな矛盾した状況なのではないか。 まあ一言で言い換えるなら
生き方そのものが甘くなっている、そう言えるのではないでしょうか。 辛い意見やしょっぱい人間関係から逃げて、挫折の苦さを避け酸っぱい顔をさせないように
ごまかし続けた結果、私の脳は甘さに支配されてしまったのではないかと。
切迫している期限に対してね、まあなんとかなるだろうっていう考える甘さだったり、 ガソリンの価格は1円単位で反応するくせにコンビニで豪快に買い物をする
そんな甘さもあったり。 約束の時間に間に合わないって確定している時に、ごめん遅れるってラインを送って
具体的に何分遅れるとか、そういう時間を示さない甘さ。 あとはSNSを見て知らない人のね、今日も頑張ろうっていう投稿に勇気づけられた気になって
別にその日一日ね、特に頑張らず終えてしまうそんな甘さ。 この機能はきっと使わないだろうなーって思いながらも一応って上位互換の機種を買ってしまう甘さ。
もう甘すぎるんですよ。脳がキャラメルでできているんじゃないかって思うぐらいの甘さ。 こういった具体例を考えていると
もしかしたら味覚っていうのは人生のバロメーターと言えるのかもしれませんね。 子供がピーマンを嫌うのはまだ経験しえぬ人生の苦さを警戒しているっていう
そんな現れだったりとか 辛いものが無性に食べたいときは誰かから忌憚のない意見を無意識に欲しているとき
酸っぱいしょっぱいとかそれぞれ形容される状況を欲していたり回避したかったり 体から出されるサインそれが味覚なのかもしれませんよね
全世界でねスイーティーみたいな感じで味の表現が様々な比喩に使われるのは実はそういった 隠されたメカニズムというものがあってそれによるものだったりするのかもしれませんよね
真相はわかりませんが 今回の僕の甘さを強く感じるっていう原因も
単純にこの世に甘いものが増えたからなのか 僕の舌がね華麗によって変化したからなのか
もしくは今まで話したように僕自身が人生に甘えてしまっているそのメンタルが影響しているのか 一体何が正解なのか
まあこれはねおそらく考えても答えは出ないと思うんですけども ただこのことをですね医療関係者の妻に話したところ
糖尿じゃないって言われて 人生の苦さをね感じたところです
ちょっとね今日なんかエッセイしないけどただの雑談を話す感じだったんですけど たまにはこういうのもいいかなと思って
こういうエッセイ的な変な話もお付き合いいただければと思います それではご静聴ありがとうございましたタイマンでした
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